9950X3D2がCPU-Zに出現、消えた64MBの謎
CPU-Zに現れた未発表CPU。スペックは概ね噂どおりだが、最大の売りであるはずのL3キャッシュだけが食い違っている。192MBのはずが、128MB。読み間違いか、それとも別の何かか。
CPU-Zに現れた未発表CPU。スペックは概ね噂どおりだが、最大の売りであるはずのL3キャッシュだけが食い違っている。192MBのはずが、128MB。読み間違いか、それとも別の何かか。
CPU-Zが映し出した「実在の証拠」
AMDが一度も公式に発表していないRyzen 9 9950X3D2が、ハードウェア情報ツールCPU-Zのバリデーション画面に姿を現した。リーク情報で知られる@momomo_usが3月22日(日本時間)に発見したもので、WCCFTechがこの情報を報じている。
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— 188号 (@momomo_us) March 22, 2026
CPU-Zのスクリーンショットには「AMD Ryzen 9 9950X3D2 16-Core Processor」と明記されている。コードネームはGranite Ridge、ステッピングはGNR-B0。16コア32スレッド、TDP 200W、コア電圧1.284V。動作クロックは約5,174MHz。ここまでは、これまでのリーク情報とほぼ一致する。
だが、ひとつだけ奇妙な数字がある。
消えた64MB
CPU-ZのName欄には「AMD Ryzen 9 9950X3D」と表示されている。末尾の「2」がない。一方、Specification欄は正しく「9950X3D2 16-Core Processor」と記載しており、ソフトウェア側の対応が追いついていない兆候だ。
そしてL3キャッシュは128MB。内訳は96MB+32MBの構成で、これは現行の9950X3D──片方のCCDだけにV-Cacheを載せたモデル──とまったく同じ数値になる。
9950X3D2の最大の特徴は、2基のCCD両方に3D V-Cacheを搭載する「デュアルキャッシュ」設計だ。各CCDが32MBの標準L3と64MBのV-Cacheを持つため、合計は96MB×2=192MBになるはず。これまでのGeekbenchリークでも「96MB×2」と正しく認識されていた。
では、なぜCPU-Zだけが128MBと報告しているのか。
CPU-Zがキャッシュを128MBと表示しているのは、ソフトウェア側がデュアルV-Cache構成を正しく読み取れていない可能性が高い。CPU-Zはまだ9950X3D2に正式対応していない。
WCCFTechも同様の見解を示しており、CPU-Zが最新のアップデートを受けていないために、2基目のV-Cacheタイルを認識できていない可能性を指摘している。あるいは、そもそもこのエントリ自体が偽物である可能性も排除はできない。
それでも「本物」を示す手がかり
ただし、偽造説を支持する材料は少ない。CPU-Zバリデーションはハードウェアから直接情報を取得するため、捏造には実機が必要になる。加えて、TDP 200Wという数値はこれまでの複数のリークと一致し、GNR-B0ステッピングも既存のGranite Ridge製品と整合する。
そもそもここ数か月、9950X3D2の「実在」を示す証拠は山のように積み上がってきた。ASRockは3月16日(日本時間)付のプレスリリースで「newly launched(新たに発売された)」とまで書いてしまった。EEC(ユーラシア経済委員会)への申請書類、GIGABYTEのX870 Tachyonボード上でのGeekbenchテスト、ASUSのオーバークロック動画に映り込んだフォルダ名。マザーボードメーカー3社が同時期にフライングしている事実は、偶然ではありえない。
今回のCPU-Zバリデーションは、それらに加わる新たな一片だ。しかもベンチマークデータベースではなく、実機から直接取得された情報という点で、質的に一段上の証拠といえる。
192MBの真価はどこにあるか
仮にL3キャッシュが本当に192MBだとして、ユーザーにとっての恩恵はどの程度なのか。ここは冷静に考える必要がある。
現行9950X3Dの「片側だけV-Cache」設計が抱える最大の問題は、ゲームがどちらのCCDで動くかによって性能が変わることだ。Windowsのスケジューラがゲームをキャッシュ付きCCD(CCD0)に振り分ければ高性能、そうでなければ恩恵が薄れる。この「CCD割り当てガチャ」は、価格.comの口コミでも不満の声が上がっているテーマだ。
9950X3D2のデュアルV-Cacheは、この構造的弱点を根本から解消する。どちらのCCDにゲームが振られても、96MBのL3キャッシュにアクセスできる。理論上はCCD割り当てを気にしなくていい、初めての16コアX3Dが実現する。
ただし、合成ベンチマークでの差は小さい。以前のGeekbenchリークでは9950X3Dを約7%上回る程度だった。真価が問われるのは、キャッシュ依存度の高い特定のゲームタイトルでの実測値だ。
一方で、TDPは170Wから200Wに跳ね上がる。ブーストクロックは5.7GHzから5.6GHzに100MHz下がる。キャッシュを倍にした代償は、消費電力の増加とクロックの微減という形で現れている。
発売はいつか──そしていくらか
AMDの沈黙は続いている。CES 2026では「stay tuned」と言うにとどまり、3か月が経過した今もなお公式発表はない。だがパートナー企業の動きを見れば、準備が最終段階にあることは疑いようがない。
現行の9950X3Dは発売時13万2,800円(税込)で、現在は約10万9,800円まで下落している。9950X3D2の価格は未定だが、海外の一部リーカーは999ドル前後を予測している。1ドル=約159円換算で約15万9,000円。日本価格はさらに上乗せされる可能性もあり、16万〜18万円台が現実的なラインかもしれない。
DDR5メモリの高騰が続く中、フラッグシップCPUだけで15万円超という構成は財布に厳しい。だがAMDにとって、Zen 6が2027年にずれ込む可能性が報じられる中、9950X3D2は現行アーキテクチャの「最終兵器」としての役割を担う。
Zen 5世代の集大成として、AM5プラットフォームの価値を最大化する一手。9950X3D2が「つなぎ」なのか「到達点」なのかは、価格設定で決まる。
CPU-Zのキャッシュ表示が128MBだろうと192MBだろうと、このCPUが実在し、発売間近であることはもはや疑いようがない。ソフトウェアが追いつくのが先か、AMDの口が開くのが先か。リーク合戦の勝者は、いつも計画どおりにはならない。
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