アプリ起動でMacBook Proが負けた?意外なテスト結果

Windowsノートの体感速度がMacBook Proを上回った——そんな簡易テストの動画が話題を呼んでいる。ただし、この結果をそのまま受け取るには、見落とせない前提がある。

アプリ起動でMacBook Proが負けた?意外なテスト結果
lewisjdoyle

Windowsノートの体感速度がMacBook Proを上回った——そんな簡易テストの動画が話題を呼んでいる。ただし、この結果をそのまま受け取るには、見落とせない前提がある。


アプリ起動テストでZenbook S16がMacを圧倒

MacBook Pro M3 Proを日常機として使いながら、ASUS Zenbook S16も併用しているルイス・ドイルが、両機を並べたアプリ起動テストの動画をXに投稿した。

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テスト内容はシンプルだ。コールドブートからEvernote、Microsoft Word、Spotifyの起動速度を目視で比較する。結果は意外なものだった。コールドブートこそMacBook Pro(M3 Pro、36GB統合メモリ)がリードしたものの、アプリ起動では3本すべてでZenbook S16が先に開いた

ドイル自身も投稿の中で「洗練されたテストではないが、日常の体感を反映している」と述べている。彼はMediumでMacBook Pro M3 Proを「ノートPCのゴールドスタンダード」と評しつつ、Zenbook S16を購入した経緯を綴っており、MacBookの優位性を認めたうえでの比較である点が興味深い。

ドイルのZenbook S16はAMD Ryzen AI 9プロセッサ・32GBメモリを搭載。対するMacBook Proは2023年発売のM3 Proチップ・36GB統合メモリ構成だ。
テスト構成とアプリ起動結果
MacBook Pro Zenbook S16
チップ M3 Pro (2023) Ryzen AI 9
メモリ 36GB統合 32GB DDR5
SSD 内蔵(旧世代) PCIe Gen 4
起動 ● 勝利
Evernote ● 勝利
Word ● 勝利
Spotify ● 勝利
テスト実施:Lewis Doyle(@lewisjdoyle)2026年4月。コールドブートからの起動速度を目視比較。SSD空き容量・バックグラウンドプロセス等は未制御

SSDの世代差が「勝敗」を左右した可能性

この結果を「Windowsの勝利」と断じるのは早い。アプリの起動速度を左右する要因は一つではないが、ストレージのランダムリード性能が大きな役割を果たしていることは確かだ。

M3 Pro MacBook Proの内蔵SSDは、M5世代と比べると読み書き速度に差がある。Appleは2026年3月に発売したM5 Pro/M5 Max搭載MacBook Proで、SSD性能を前世代比で最大2倍に引き上げた。最大14.5GB/sに達するこの数字は、旧世代のMacが抱えていたストレージのボトルネックを裏づけている。

一方、Zenbook S16にはサードパーティ製PCIe Gen 4 NVMeドライブが搭載されており、ランダムリード性能に優れるモデルが多い。つまりこの比較は、CPUやOSの優劣というよりも、ストレージの世代差が映し出されたものである可能性がある。

アプリ起動はCPUベンチマークだけでは測れない。ストレージI/O、メモリ帯域、OSのプリフェッチ機能、そしてアプリ側の最適化が複合的に絡む処理だ。

このテストが見落としているもの

テストの公平性を検証すると、少なくとも3つの変数が制御されていない。

まず、SSDの空き容量だ。NANDフラッシュは使用率が高まるほど読み書き速度が低下する。両機のストレージ使用率が不明なまま比べても、フェアとは言いがたい。

次に、アプリごとの最適化差。テストで使われたWordはMicrosoft製品であり、Windows版が先行して開発されている。macOS版はパフォーマンス面で劣るとの声がユーザーの間で根強い。Xの返信欄でも「MacOfficeを使う人なんていない」という極端な反応が複数あった。EvernoteやSpotifyはクロスプラットフォーム開発だが、それでも各OS上での動作最適化には差が生じる

そして3つ目は、バックグラウンドプロセスの違い。再起動直後であっても、WindowsmacOSではスタートアップ時に読み込まれるサービスの量と種類が異なる。この差がアプリの初回起動速度に影響する可能性は十分にある。

このテストは「同じ条件下でOSを比較した」のではなく、「異なる条件下での体感差を記録した」に近い。一人のユーザーの体験報告であり、それ以上でもそれ以下でもない。

本当の比較はこれからだ

ドイルのテストは、Windowsノートの体感速度が着実に上がっていることを示す一つの証拠ではある。数年前なら、同価格帯のWindows機がMacBook Proの日常操作でここまで迫ることは考えにくかった。

ただし、比較相手のM3 Proはすでに2世代前のチップだ。2026年3月に発売されたM5 Pro/M5 Max搭載MacBook Proでは、SSD性能が大幅に改善されている。Wccftechもこの点を指摘し、より公平な比較にはM5 MacBook ProとZenbook S16を並べるべきだと述べている。

もうひとつ忘れてはならないのは、アプリの起動速度がノートPCの体験すべてを代弁しないということだ。スクロールの滑らかさ、スリープからの復帰、バッテリー駆動時の性能維持——MacBook Proが評価されてきた「体感の良さ」は、アプリが0.5秒早く開くかどうかとは別の領域にある。

それでも、Windows陣営にとっては明るい材料だ。「ベンチマークでは勝っても使い心地ではMacに敵わない」と言われ続けたWindows機が、体感の土俵にも上がれるようになった。次はM5 MacBook Proと並べてほしい。そのとき同じ結果が出るなら、風向きは本物だ。


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