IntelがGoogle・Amazonと先進パッケージングで交渉——数十億ドル契約へ
Intelの先進パッケージング事業が、ついに大型顧客を獲得しようとしている。GoogleとAmazonという2大ハイパースケーラーとの交渉が進行中だ。
Intelの先進パッケージング事業が、ついに大型顧客を獲得しようとしている。GoogleとAmazonという2大ハイパースケーラーとの交渉が進行中だ。
「数十億ドル規模」の契約が視野に
WIREDの報道によれば、Intelは現在GoogleとAmazonに対し、カスタムAIプロセッサ向けの先進パッケージングサービスを提供する交渉を進めている。3社ともコメントを控えているが、複数の情報筋がこの動きを確認した。
契約が成立すれば、Intel Foundryにとって外部顧客からの大規模な収益源となる。CFOのDave Zinsnerは3月のMorgan Stanleyカンファレンスで「年間数十億ドル規模の契約を締結間近だ」と語った。
パッケージング収益の見通しも大きく上方修正されている。Zinsnerは2025年1月の決算発表で、当初「数億ドル」と見込んでいた予測を「10億ドルをはるかに超える」水準に引き上げたと明かした。
なぜ「チップより重要」なのか
Intel Foundry責任者のNaga Chandrasekeranは、先進パッケージングの重要性についてこう断言した。
シリコンそのものよりも、チップパッケージングがAI革命の実現を左右する。今後10年間で、パッケージングこそが変革の核心となる。
AI時代のプロセッサは、もはや単一のチップでは完結しない。複数の演算ダイとHBMメモリを1つのパッケージに統合する「先進パッケージング」が不可欠となっている。NVIDIAのBlackwellも、GoogleのTPUも、この技術なしには成り立たない。
Intelの武器はEMIB-Tだ。従来のEMIBにTSV(シリコン貫通電極)を追加し、電力供給と信号品質を向上させた次世代技術で、今年中に量産展開が予定されている。最大120×180mmのパッケージサイズに対応し、38以上のシリコンブリッジと12個以上のレティクルサイズダイを収容できる。
元Intel社員によれば、EMIB-Tは「外科的に精密」で、TSMCのCoWoSと比較して省電力・省スペース・低コストを実現できるという。
TSMCのボトルネックが追い風に
先進パッケージング市場では、TSMCのCoWoSが圧倒的なシェアを握っている。しかし、AI需要の爆発で供給は慢性的に逼迫しており、顧客はキャパシティの確保に苦労している。
Intelにとっては、これが参入の好機となる。EMIBとFoverosを組み合わせた技術ポートフォリオで、TSMCに依存できない顧客の受け皿を狙う。GoogleのTPUやAmazonのTrainium/Inferentiaチップが対象となる可能性が高い。
パッケージング事業には別の魅力もある。Zinsnerによれば、この事業は粗利益率40%を達成できる。Intelの主力製品事業と同等の水準だ。しかも新規ファブ建設よりも資本投下が少なく、収益化も早い。
3か国に広がる生産体制
Intelは生産能力の拡大を急いでいる。
ニューメキシコ州Rio RanchoのFab 9は2024年1月から稼働中で、CHIPS法から5億ドル(約800億円)の支援を受けている。約2,700人の従業員がEMIB-Tの量産準備を進めている。
マレーシアのペナン工場は99%完成し、今年中に第一フェーズの組立・テスト工程が稼働する。マレーシアのAnwar Ibrahim首相が、3月にIntel CEOのLip-Bu Tanとの会談後にスケジュールを確認した。
さらに、EMIBの生産を初めて外部委託する動きも始まった。韓国AmkorのSongdo K5施設で生産が行われ、ポルトガルやアリゾナにも拠点が計画されている。
現実は依然として厳しい
ただし、Intel Foundryの足元は盤石とは言い難い。
2025年第4四半期の収益は45億ドルだったが、営業損失は25億ドルに達した。2025年通年では、178億ドルの収益に対して103億ドルの営業損失を計上している。外部ファウンドリ収益に至っては、通年でわずか3億700万ドルに過ぎない。その大半は米国政府との契約とAltera関連の残存業務だ。
Zinsnerは、Foundry事業が2027年末に営業損益で収支均衡に達するという見通しを維持している。パッケージング事業の成長がそのタイムラインを加速させる可能性はあるが、18Aプロセスのランプアップコストという重荷も依然として残る。
顧客が二の足を踏む理由
元Intel社員はWIREDに対し、潜在顧客が公にIntelとの契約を表明することを躊躇している理由を2つ挙げた。
1つは、Intelがファブ拡張計画を本当に実現できるのかを見極めたいという慎重姿勢。もう1つは、TSMCが報復としてウェーハ割当を減らす可能性への懸念だ。
Intel Foundry責任者のChandrasekeranは、顧客の守秘義務を重視する姿勢を示している。「成功しているファウンドリは『これらの顧客を獲得した』とは言わない。顧客に我々の製品について語ってもらいたいのだ」と。
Intel株は今回の報道を受けて23%以上上昇した。市場は期待を織り込み始めている。しかし、契約が成立するかどうかは、Intelが約束を履行できるかにかかっている。
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