韓国でSSD価格が倍増、SN850X 1TBが60万ウォン突破

WD_BLACK SN850Xの1TBモデルは現在60万ウォン、日本円にして約6万4000円だ。harukaze5719氏によれば、このモデルはかつて20万〜30万ウォン台で流通していた。北米市場の同韓国でSSD価格が倍増、SN850X 1TBが60万ウォン突破

韓国でSSD価格が倍増、SN850X 1TBが60万ウォン突破
WesternDigital

WD_BLACK SN850Xの1TBモデルは現在60万ウォン、日本円にして約6万4000円だ。harukaze5719氏によれば、このモデルはかつて20万〜30万ウォン台で流通していた。北米市場の同韓国でSSD価格が倍増、SN850X 1TBが60万ウォン突破

韓国でWesternDigitalとSamsungのコンシューマー向けSSDの価格が倍増している。1TBの入門モデルですら、もはや気軽に買える代物ではなくなった。


韓国のSSD市場で何が起きているのか

韓国のPCパーツ市場で、また一つの値札が静かに塗り替えられている。リーカーのharukaze5719氏が4月7日にX上で報告したところによれば、SamsungとWesternDigitalのコンシューマー向けSSDの韓国国内価格が、軒並みおおよそ2倍に跳ね上がっているという。本人も「さらなる検証が必要」と前置きしつつ、公式オンライン小売の表示価格をもとに警鐘を鳴らした格好だ。一部ショップの便乗値上げではなく、流通全体に値上げが波及していることが見えてくる。

WD_BLACK SN850Xの1TBモデルは現在60万ウォン、日本円にして約6万4000円だ。harukaze5719氏によれば、このモデルはかつて20万〜30万ウォン台で流通していた。北米市場の同モデルが200〜250ドル前後で売られていることを考えると、ほぼ2倍の開きがある。普通に売られていたゲーミングSSDが、わずか数ヶ月でぴたりと2倍の値札を付けて陳列されている。

1TBモデルの値上がり幅(旧価格→現在)

WD_BLACK SN850X 1TB かつて
20〜30万ウォン
WD_BLACK SN850X 1TB 現在
60万ウォン
Samsung 990 PRO 1TB かつて
20〜25万ウォン
Samsung 990 PRO 1TB 現在
47万ウォン

数ヶ月前まで20万ウォン台で買えていた1TBのゲーミングSSDが、いずれもおおよそ2倍の価格帯に押し上げられている。

WD_BLACK SN850X(韓国国内価格) 1TB:60万ウォン(約6万4000円) 2TB:120万ウォン(約12万7000円) 4TB:220万ウォン(約23万3000円) 8TB:450万ウォン(約47万7000円)

8TBモデルの450万ウォン、約47万7000円という数字は、もはやストレージ単体の議論ではない。この金額は、ハイエンドGPUを丸ごと一枚買えてしまう価格帯だ。そのGPUを諦めて、たった一枚のM.2 SSDに同じ金を払う計算になる。韓国の自作PCユーザーから見れば、数ヶ月前まで存在しなかった選択肢を突きつけられている。


Samsungも同じ角度で値上がり

問題はWesternDigitalだけにとどまらない。Samsungの990 PROおよび9100 PROシリーズも、ほぼ同じ角度のグラフを描いて値上がりしている。Samsungは韓国企業でありながら国内では代理店経由で販売されることが多く、公式チャネルでの価格追跡は難しい。だがharukaze5719氏がSamsung公式サイト上で確認した数字だけでも、状況の異常さは隠しようがない。

Samsung 990 PRO 1TBは現在47万ウォン、約313ドル(約5万円)で販売されている。harukaze5719氏によれば、このモデルはかつて20万〜25万ウォン前後で流通していた。倍以上の値上がりだ。さらに上位の9100 PRO 8TBに至っては400万ウォン、約2670ドル(約42万4000円)に達している。SN850Xの8TBよりは安いが、依然として一般消費者の手の届く価格ではない。般消費者の手の届く価格ではない。

WD Black SN8100の存在感も興味深い。次世代のPCIe 5.0ドライブであるSN8100の4TBが約250万ウォン(約26万5000円)、1TBが62万8000ウォン(約6万7000円)、2TBが125万ウォン(約13万3000円)で取引されている。新世代の高性能ドライブが、旧世代のSN850Xとほぼ同じ天井に押し上げられている。

韓国国内のSSD価格(2026年4月時点)

モデル / 容量 韓国小売価格 日本円換算
WD_BLACK SN850X 1TB 60万ウォン 約6万4000円
WD_BLACK SN850X 2TB 120万ウォン 約12万7000円
WD_BLACK SN850X 4TB 220万ウォン 約23万3000円
WD_BLACK SN850X 8TB 450万ウォン 約47万7000円
WD Black SN8100 1TB 62万8000ウォン 約6万7000円
WD Black SN8100 2TB 125万ウォン 約13万3000円
WD Black SN8100 4TB 約250万ウォン 約26万5000円
Samsung 990 PRO 1TB 47万ウォン 約5万円
Samsung 9100 PRO 8TB 400万ウォン 約42万4000円

出典: harukaze5719氏のX投稿(2026年4月7日)で報告された韓国公式オンライン小売の表示価格。為替レートは1ウォン≒0.106円(2026年4月時点)で概算。

つまりこれは、製品グレードの問題でもなく、世代の問題でもない。NANDフラッシュという原料そのものが、市場全体を上から押しつぶしている。


なぜ価格は突然2倍になったのか

この現象は、韓国だけで起きている孤立した事件ではない。NANDフラッシュメモリの世界的な供給逼迫が、最も先鋭化した形で現れた地域が韓国だ、と読むほうが正確だろう。背景にあるのは、AIデータセンター向けのストレージ需要の爆発的な伸びだ。Samsung、SK hynix、Micronといった主要メーカーが生産ラインの優先順位をエンタープライズ向けに振り向けた結果、コンシューマー向けNANDの供給が痩せ細っている。

TrendForceは2026年第1四半期のクライアントSSD契約価格が、前四半期比で40%以上上昇すると予測していた。KingstonはNANDウェハーのコストが246%上昇したと報告している。Tom's Hardwareは1月の時点で、平均的な8TBコンシューマー向けNVMe SSDの価格が1476ドルに達したと伝えていた。グラム単価で計算すると金よりも高いという、にわかには信じがたい数字だ。

NAND型フラッシュのスポット価格は2025年8月までほぼ横ばいだったが、その後一気に跳ね上がり、2026年1月までに約5倍になったという指摘もある。

韓国でこの傾向が突出している理由は、SamsungとSK hynixという二大NANDメーカーの本拠地でありながら、両社が国内向けの優先供給を約束していないからだ。むしろ逆で、韓国の流通業者がSamsung製品を仕入れる際の卸価格そのものが上昇しており、その上昇分が小売価格にそのまま転嫁されている。「メーカーのお膝元だから安い」という素朴な期待は、AI需要の前で粉々になっている。


ユーザーが直面する選択

韓国のPCユーザーにとって、この価格動向は単なる「ちょっと高くなった」という話ではない。自作PCの構成を組む際に、ストレージが総予算の中で占める割合が、これまでとは比較にならないほど大きくなる。1TBのシステムドライブと2TBのゲームドライブを揃えるだけで180万ウォン近く、約19万円が消える。ミドルクラスのGPU一枚分に相当する金額だ。

harukaze5719氏の投稿には、「ridiculous price」というリプライが並んでいる。狂った値段だ、という率直な反応だ。だが供給側の構造を見る限り、この価格が短期的に元に戻る兆候はどこにもない。NANDメーカーの設備投資はAI向けに振り向けられ、生産ラインの転換には数年単位の時間がかかる。「半年待てば下がるだろう」という楽観論は、おそらく裏切られる。

私が気になるのは、この値上がりが韓国だけの現象にとどまるかどうかだ。北米でもSamsung 990 EVO Plusが160ドルから240ドルに跳ね上がり、Best Buyの店頭ではSamsung 990 PRO 2TBが400ドル近い値札をつけている。日本市場も無関係ではいられない。為替が1ドル160円付近で推移している現状を考えると、輸入価格はそのまま日本のユーザーに重くのしかかる。

韓国の状況は、世界市場の「先行指標」として読むこともできる。SamsungとSK hynixの本拠地で起きていることは、いずれ他の市場でも同じ角度で現れる可能性が高い。

ストレージは、これまでPC自作の中で最も価格が安定していたパーツだった。GPUが品薄になり、メモリが値上がりしても、SSDだけは「とりあえず買っておけば困らない」存在だった。その前提が、いま音を立てて崩れている。

問題は、今度の値上がりが「品薄による一時的な現象」ではなく、AIが需要の絶対量を書き換えたことに起因している点だ。数年前のマイニング騒動と違って、買い手が急に消える理由が見当たらない。


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