サム・アルトマン自宅、わずか2日で2度目の標的に――銃撃と放火が相次ぐ

OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏の自宅が、48時間も経たないうちに再び狙われた。放火の次は銃撃——同じ場所で、なぜ繰り返されるのか。

サム・アルトマン自宅、わずか2日で2度目の標的に――銃撃と放火が相次ぐ
Steve Jurvetson(CC BY 2.0)

OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏の自宅が、48時間も経たないうちに再び狙われた。放火の次は銃撃——同じ場所で、なぜ繰り返されるのか。


深夜の銃撃、車はそのまま逃走

サンフランシスコ市内ロシアンヒル地区にあるアルトマン氏の自宅が、現地時間4月13日(日)の午前1時40分ごろ、2度目の攻撃を受けた。

2日間の経緯
2026年4月11日(金)〜 4月13日(日)
午前3時40分4月11日(金)
放火未遂
モロトフカクテル投擲
チェスナット通り側の金属製門に火炎瓶が投げられる。警備員が即座に消火。監視カメラが一部始終を記録。
数時間後4月11日(金)
逮捕
容疑者がOpenAI本社で身柄拘束
ミッションベイのOpenAI本社前で脅迫発言をしていた人物が放火犯と同一と特定され逮捕。
同日夕4月11日(金)
起訴
ダニエル・モレノ=ガマ(20歳)を郡刑務所に収監
殺人未遂・放火・焼夷装置の製造所持などの疑いで収監。
午前1時40分4月13日(日)
銃撃
ホンダセダンから発砲
2人乗りの車がロンバード通り側を通過後に引き返し、助手席から発砲。車は逃走、防犯カメラがナンバーを記録。
午後4時15分4月13日(日)
逮捕
容疑者2人を過失発砲の疑いで逮捕
アマンダ・トム(25歳)、ムハマド・タリク・フセイン(23歳)。2件の事件の関連は調査中。

サンフランシスコ警察(SFPD)の初動報告書によれば、2人乗りのホンダセダンが、チェスナット通りからロンバード通りにかけて広がるアルトマン氏の敷地前を一度通過した後、引き返してきた。助手席の人物が窓から手を出し、ロンバード通り側に向けて発砲したとみられる

監視カメラ映像と敷地内の警備員の証言が根拠とされており、警察の報告書にも「銃声が聞こえた」という記述がある。車はそのまま逃走したが、防犯カメラがナンバープレートを捉えており、警察は後に車両を押収した。

サンフランシスコ警察の報告書によれば、乗車していた2人のうち助手席の人物が窓から手を伸ばし、ロンバード通り側に向けて発砲したとみられる。車はその後逃走した。

その後、同日午後4時15分にSFPDは容疑者2人の逮捕を発表した。アマンダ・トム(25歳)とムハマド・タリク・フセイン(23歳)が、過失による不法発砲の疑いで身柄を拘束された。OpenAIとSFPDはメディアの取材に対しコメントを返していない。


2日前には放火、容疑者は逮捕済み

今回の事件が衝撃的なのは、その前日譚があるからだ。

4月11日(金)早朝、テキサス州出身の20歳、ダニエル・アレハンドロ・モレノ=ガマ容疑者が、チェスナット通り側からアルトマン氏の敷地に接近。午前3時40分ごろ、金属製の門に火のついた布を詰めたビンを投げつけたとされる。いわゆるモロトフカクテルによる攻撃だ。

敷地内の警備員が即座に初期消火に当たり、大事には至らなかった。監視カメラも一部始終を捉えており、SFPDはその後、近隣のOpenAI本社(ミッションベイ地区)で建物への脅迫発言をしていた人物を同容疑者と特定、身柄を確保した。モレノ=ガマ容疑者は殺人未遂・放火・焼夷装置の製造所持などの疑いでサンフランシスコ郡刑務所に収監されている。

2件の事件:比較
1件目(放火) 2件目(銃撃)
日時 4月11日(金)
午前3時40分
4月13日(日)
午前1時40分
手口 モロトフカクテル 車からの発砲
攻撃側面 チェスナット通り側 ロンバード通り側
被害 門の一部が焼損 詳細不明
けが人 なし なし
容疑者 ダニエル・モレノ=ガマ
(20歳・テキサス州出身)
アマンダ・トム(25歳)
ムハマド・タリク・フセイン(23歳)
逮捕 当日中 当日中(午後4時15分)
逮捕容疑 殺人未遂・放火・
焼夷装置製造所持など
過失発砲
2件の関連 調査中(現時点で不明)
今回の銃撃と、2日前の放火未遂。2件の事件でけが人は報告されていない。

繰り返される標的、問われる背景

「偶然の一致」で片付けるには、あまりに短い間隔だ。

2件とも同一の自宅が標的になったという事実は、無差別な犯行というよりも、明確な意図を持った標的化の可能性を示唆している。アルトマン氏は現在、AIの覇権争いの象徴的な存在であり、その評価は人によって大きく異なる。「人類に恩恵をもたらす」と称賛する声がある一方、「AI開発の暴走を招く」と批判的に見る層も少なくない。

直接の動機はまだ明らかになっていない。モロトフカクテル事件の容疑者がどういった意図で行動したのかも、捜査段階では明らかにされていない。2度目の銃撃と1件目との関連も、現時点では不明だ。

アルトマン氏自身は1件目の事件後、ブログで家族写真を公開し「言葉と物語の力を甘く見ていた」と振り返った。AI業界への批判を「真剣な懸念から来るものとして歓迎する」としつつ、「論争の場で爆発物を使うのは違う」と訴えている。

深夜の銃声と2日前の炎。2件が繋がっているのかどうか、それ自体がまだわかっていない。

個人への暴力が、問いを生む

問題は、特定の個人への攻撃がこの頻度で続いているという事態そのものだ。

テック業界のCEOへの「物理的な脅威」が現実になったとき、何が変わるのか。セキュリティ体制の強化、公人としての露出の抑制、そして「あの人を標的にする気にさせる何か」への問いかけ。技術をめぐる社会的な摩擦が、いよいよ街の路上に現れ始めている。


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