Switch 2携帯ブーストの衝撃、旧作GPU性能が2倍

ただの解像度アップではなかった。Digital Foundryの検証が明かした「携帯モードブースト」の正体は、旧Switchライブラリ全体を底上げするシステムレベルのアップグレードだ。

Switch 2携帯ブーストの衝撃、旧作GPU性能が2倍
Digital Foundry

ただの解像度アップではなかった。Digital Foundryの検証が明かした「携帯モードブースト」の正体は、旧Switchライブラリ全体を底上げするシステムレベルのアップグレードだ。


携帯モードブーストとは何か

Nintendo Switch 2のシステムアップデートv22.0.0で、携帯モードブースト(Handheld Mode Boost)が追加されている。3月17日(日本時間)に配信されたこの機能は、旧Switchソフトを携帯モードでプレイする際、TVモード(ドックモード)と同等の性能で動作させるというものだ。

仕組みはシンプルだが巧妙である。Switch 2の1080pディスプレイに対して、旧Switchソフトはこれまで720pのまま引き伸ばして表示されていた。携帯モードブーストはゲームに「今、テレビに接続されている」と錯覚させ、ドック時の高解像度・高品質設定を携帯モードでも適用する。

設定方法は「設定」→「本体」→「Switchソフトの動作モード」から、トグルひとつでオン・オフを切り替えるだけ。ただしSwitch 2専用ソフトには効果がなく、あくまで旧Switchソフト限定の機能だ。

Digital Foundryが見つけた「解像度以上の変化」

技術分析で知られるDigital Foundryがこの機能を検証している。その結果は単なる解像度向上という予想を大きく超えるものだ。

携帯モードで720pに制限されていたタイトルが最も恩恵を受ける。『マリオカート8 デラックス』や『ルイージマンション3』は1080pパネルにきれいにマッピングされ、携帯モードとは思えない画質になった。『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』や『ヨッシークラフトワールド』のように1080pに届かないタイトルでも、従来より明らかにクリーンな映像が得られている。

だが本当に興味深いのは、解像度の先にある変化だ。一部のゲームではテクスチャフィルタリング、ライティング、描画距離がドックモードの設定に切り替わる。『ゼノブレイド クロニクルズ2』や『Alan Wake』がその好例で、携帯モードの粗い画質が一変する。『DOOM』や『DOOM Eternal』も鮮明さが増した。

そして最も注目すべきはパフォーマンスだ。『バイオハザード5』でテストしたところ、携帯モードブースト有効のSwitch 2は、旧Switchのドックモードよりも明らかに高速に同じシーンを描画した。これは画質設定の変更だけでは説明がつかない。分析によれば、一部のケースでは旧Switchドックモードの約2倍のGPU性能が発揮されているという。

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この事実が示す意味は大きい。Switch 2専用パッチが配信されないタイトルであっても、携帯モードブーストだけでライブラリ全体が底上げされる可能性がある。

バッテリーという代償

もちろん、タダで性能は手に入らない。

Redditユーザーによる実測テストでは、携帯モードブーストの代償が数字で示されている。『DOOM』をフル充電から放電まで計測した結果、通常モードでは5時間5分だったバッテリー持続時間が、ブースト有効時には3時間43分まで短縮された。約25%の減少だ。

任天堂自身も公式サポートページで消費電力の増加を明記している。720pから1080p相当への描画負荷増大を考えれば、むしろ25%で済んでいるとも言える。だが通勤や移動中にプレイする人にとっては、1時間以上の差は無視できない。

加えて、いくつかの機能制限もある。ブースト有効時はタッチスクリーンが無効になり、装着したJoy-Con 2はProコントローラーとして認識される。TVモード動作を前提としない一部のタイトル――たとえば『ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・イーブイ』――では正常に動作しない。ゲームごとのオン・オフ切り替えにも対応しておらず、設定画面から手動で切り替える必要がある。


「らしくない」任天堂の英断

携帯モードブーストは、任天堂らしくない機能だ。

任天堂は伝統的に、技術的なオプションをユーザーに委ねることを避けてきた。設定項目は最小限、動作は統一的、「誰が使っても同じ体験」が設計哲学だった。それが今回、パフォーマンスとバッテリーのトレードオフをユーザーの判断に委ねた。しかもデフォルトではオフという慎重な導入だ。

コミュニティの反応は圧倒的に好意的である。とりわけ携帯モード中心のプレイヤーにとっては、Switch 2専用アップデートを受けていない旧作ライブラリが一夜にして生まれ変わった。『ゼノブレイド クロニクルズ2』の画質向上に感動する声、『Astral Chain』を初めて携帯モードでプレイする決意を語る声が相次いでいる。

PS4 Proの「ブーストモード」を思い出す人もいるだろう。だがあちらは同じ据え置き環境での強化だった。Switch 2の携帯モードブーストは、携帯機の小さな画面で据え置き品質を実現するという、より野心的な試みだ。

正直なところ、この機能がもっと早く実装されなかったことが不思議でもある。Switch 2の発売時から1080pパネルと旧作の720p問題は明らかだった。だが裏を返せば、任天堂は十分な検証を経てからリリースしたとも取れる。ゲームごとの挙動差が大きい機能だけに、慎重さには理由があったのだろう。

今後の課題は、ゲームごとの個別トグルの実装と、互換性リストの公開だ。現状ではどのタイトルが恩恵を受け、どのタイトルに問題があるかは、ユーザーが自分で試すしかない。任天堂がこの機能をさらに洗練させるなら、Switch 2のライブラリの価値はもう一段上がる。

たった一つのトグルが、数千本のゲームを変えた。次に変わるのは、遊び方そのものかもしれない。


参照元


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