Ubuntu 26.04 LTSが最小RAM要件を6GBに引き上げ――価格高騰の真っ只中に
Ubuntu 26.04 LTS「Resolute Raccoon(毅然としたアライグマ)」の公式リリースノートに、ひっそりと変更が刻まれていた。最小RAM要件が、これまでの4GBから6GBへ引き上げられたのだ。前回の変更は2019年。
タイミング、これ以上ないほど悪い。
何が変わったのか
Ubuntu 26.04 LTS「Resolute Raccoon(毅然としたアライグマ)」の公式リリースノートに、ひっそりと変更が刻まれていた。最小RAM要件が、これまでの4GBから6GBへ引き上げられたのだ。前回の変更は2019年。Ubuntu 18.04 LTSのリリース時に2GBから4GBへ更新されて以来、約7年ぶりの改定となる。
CPUとストレージの要件は据え置き。変わったのはメモリだけだ。そして変更幅は50%増という、決して小さくない数字だ。
Ubuntu Desktop 26.04 LTS requires a 2 GHz dual-core processor or better, a minimum of 6GB RAM and 25 GB of free hard drive space.
――Ubuntu公式リリースノートより
| リリース | 年 | RAM | CPU | ストレージ |
|---|---|---|---|---|
| 12.04 LTS (Precise Pangolin) | 2012 | 384MB〜512MB | 1GHz | 5GB |
| 14.04 LTS (Trusty Tahr) | 2014 | 1GB | 1GHz | 5GB |
| 18.04 LTS (Bionic Beaver) | 2018 | 4GB | 2GHz デュアルコア (64bit) | 25GB |
| 26.04 LTS (Resolute Raccoon) | 2026 | 6GB | 2GHz デュアルコア (64bit) | 25GB |
※ 要件変更のあったリリースのみ掲載。16.04・20.04・22.04・24.04 LTSは変更なし。12.04 LTSの384MBは32bit版、512MBは64bit版の最小値。18.04の4GBは2019年のページ更新時に2GBから改定された値。すべて公式リリースノートおよびOMG Ubuntu調査に基づく。
「正直さのアップデート」という言い訳
Ubuntuの専門メディア「OMG Ubuntu」は、この変更を「honesty bump(正直さの引き上げ)」と表現している。つまり、OSそのものが急に重くなったわけではない。GNOMEデスクトップ(バージョン46から50へ大幅更新)、現代のWebブラウザ、そして複数のアプリを並行して動かす実態に合わせて、「建前」を「現実」に近づけた、ということらしい。
実際、OMG UbuntuはRAM 2GBのノートPCにUbuntu 26.04ベータ版をインストールして動作を確認している。起動はする。ただし、使い物にならないほど重い。
6GBという数字は、Ubuntuが「2GB余分に使う」ようになったから生まれたのではなく、私たちのコンピューティングの使い方が変わったから生まれた。
この解釈は理解できる。しかし問題は、変更の理由ではなく、変更のタイミングだ。
最悪のタイミングという現実
世界的なRAM価格高騰が進行している2026年春、この変更は単なる仕様変更以上の意味を持ちはじめている。
4GBのマシンを持つユーザーが「じゃあ増設しよう」と思っても、以前なら数千円だったメモリが今や倍近い値段になっている。古いマシンの多くはメモリがオンボードで固定されており、そもそも増設すらできない。買い直すとなれば、さらに出費がかさむ。6GBという新しい足切りラインは、選択を迫るタイミングとして最悪だ。
要件が上がることで「よりよい環境を推奨する」という意図はわかる。だが、買い替えを迫るタイミングとしては、これほど不運な選択もない。
OMG Ubuntuが正直に指摘するように、6GBはソフトな要件だ。インストール自体は4GB以下でも可能で、単に「快適性は保証しない」という立場をCanonicalは取っている。つまり動かないわけではない。ただ、「推奨できない環境でUbuntuを使い続けるしかない」ユーザーが確実に増えることになる。
4GBマシンユーザーへの代替策
軽量ディストリビューションという逃げ道は、まだ残っている。
同じUbuntuファミリーには「Lubuntu」がある。LXQtデスクトップを採用した軽量版で、最小要件はRAM 1GB、CPUは1GHz、ストレージは10GB弱。現時点では24.04 LTSが最新版だが、低スペックマシンを延命させるには十分な選択肢だ。
また、Ubuntu 26.04 LTSが6GBを要求するのはあくまでデスクトップ版の話。サーバー版は最小1.5GB(クラウドイメージなら1GB)から動作する設計で、用途によっては引き続き古いマシンで稼働できる。
Ubuntuの「現実」を映す鏡
今回の変更が示しているのは、Ubuntuが重くなったという事実ではなく、「普通のデスクトップ用途」が要求するリソースが、静かに、確実に膨らんでいるという現実だ。
Firefoxでタブを20枚開き、LibreOfficeでスプレッドシートを編集しながら、Thunderbirdでメールを受信する。それが「普通のPC作業」だとすれば、4GBで快適に動く環境を維持するのは、もはや「軽量化という努力」ではなく「妥協の積み重ね」になっていた。
6GBという数字は、Ubuntuが変わったのではなく、私たちが変わったことを教えてくれている。
Ubuntuのリリースは2026年4月23日を予定している。RAMの値段が落ち着く前に、新しい足切りラインが動き出す。
参照元
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