Windows 11更新KB5079391、配信わずか1日で撤回──エラー0x80073712の正体

Microsoftが「品質改善」を約束した矢先に、その品質が問われる事態が起きている。まだ誰も原因を説明できていない。

Windows 11更新KB5079391、配信わずか1日で撤回──エラー0x80073712の正体

Microsoftが「品質改善」を約束した矢先に、その品質が問われる事態が起きている。まだ誰も原因を説明できていない。


新機能満載のアップデートが、届かない

Windows 11向けのプレビュー更新プログラムKB5079391が、配信開始からわずか1日で撤回されている。対象はバージョン24H2と25H2の両方。3月26日にリリースされたこのアップデートは、インストール時にエラーコード「0x80073712」を引き起こし、Microsoftは3月27日付でサポートページの変更ログに既知の問題として追記した。

「一部の更新ファイルが見つからないか、更新ファイルに問題があります」──Windows Updateの画面に表示されるのは、このそっけないメッセージだけだ。影響を受けるシステムの条件も、原因も、復旧時期も、何ひとつ明かされていない。

Microsoftはサポートページで「影響の拡大を防ぐため、このアップデートの提供を一時的に制限した」と説明している。追加情報は「判明次第共有する」とのことだ。
Microsoft

現在Windows Updateを開いても、KB5079391は表示されない。代わりに利用可能なのは、3月21日にリリースされた帯域外アップデートKB5085516のみとなっている。

撤回されたのは「豊富な新機能」ごと

KB5079391は単なるバグ修正パッチではない。撤回されたアップデートには、ユーザーが長く待ち望んでいた複数の新機能が含まれている。

まず、Smart App Control(SAC)のオン・オフがOSの再インストールなしで切り替え可能になる変更。これまでSACを無効にするにはWindowsのクリーンインストールが必要だったため、誤って有効にしたユーザーや、正当なアプリが誤検知でブロックされるユーザーにとっては待望の改善だった。

ディスプレイ周りでは、1000Hzを超えるリフレッシュレートへの対応が加わった。ハイエンドゲーミングモニターの所有者には朗報だが、今はその恩恵を受けることができない。

ほかにもナレーターのAI画像説明機能の強化、エクスプローラーの安定性改善、設定アプリのデザイン刷新、セーフモードでのタスクバー信頼性向上など、多岐にわたる修正が含まれていた。

これらの新機能は段階的ロールアウト(gradual rollout)で配信される予定だったが、そもそもアップデート自体が届かなければ意味がない。

インストールエラーだけではない不穏な報告

公式に認知されているのはエラー0x80073712のみだが、海外のフォーラムではそれ以外の問題も報告されている。

オーストラリアのWhirlpoolフォーラムでは、KB5079391をインストールした直後にWi-Fiが消失し、有線接続でもWebページが開けなくなったという報告が上がった。デバイスマネージャー上ではアダプターは正常と表示されるのに、実際には通信できない。アップデートをアンインストールすると復旧したという。

ドイツのITブログ Born's IT- und Windows-Blogのコメント欄では、KB5079391のインストール後にADユーザーでもローカルユーザーでもログインできなくなったという事例が寄せられた。LAN接続を切断するとログインが可能になり、アンインストールで正常に戻ったという。

これらはMicrosoftが公式に認知した問題ではないが、ネットワークスタックに何らかの影響を及ぼしている可能性を示唆している。

「品質改善」を掲げた直後のつまずき

タイミングが悪い、という言葉では足りないかもしれない。

つい1週間前、MicrosoftはWindows Updateの大幅な改善計画を発表したばかりだ。更新の無期限一時停止、シャットダウン時の強制アップデート廃止、月1回だけの再起動制限──Windows責任者のパヴァン・ダヴルリが「ペインポイントに対処する」と約束した内容は、長年の不満に応える画期的なものだった。

Microsoft is finally fixing what makes everyone hate Windows Update
Microsoft is doing a 180-degree turn on its Windows Update policies in an attempt to win back users’ trust and fix Windows 11’s pain points.

だが、その約束のインクが乾く前に、今度はプレビューアップデートを丸ごと撤回する事態に陥っている。もちろん、プレビュー版はそもそも問題を洗い出すために存在するのだから、バグが見つかること自体は正常なプロセスだ。ただ、全ユーザーへの配信を停止するほどの問題が事前テストで検出できなかったのは、品質管理の実効性に疑問を投げかける。

ユーザーが今やるべきこと

KB5079391はあくまでオプションのプレビュー版であり、セキュリティ修正は含まれていない。つまり、インストールできなくても実害はない。

Windows Updateに表示されない場合は、そのまま放置して構わない。すでにインストールしてネットワーク障害などの問題が発生している場合は、「設定」→「Windows Update」→「更新の履歴」からKB5079391をアンインストールすることで復旧が見込める。

KB5079391に含まれる新機能や修正は、従来のパターンどおり4月の月例アップデート(Patch Tuesday、4月14日予定)に統合される見込みだ。慌てる必要はまったくない。

正直なところ、Windows Updateの「品質」が本当に改善されるかどうかは、こうした地味なプレビュー版の安定性にこそ表れる。派手な約束より、次のPatch Tuesdayが静かに成功することのほうが、ずっと雄弁な証明になるだろう。


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