岬 徹

テクノロジー分野を中心に2024年からYouTubeで約3,000本の動画を制作。登録者4万5千人超、Xフォロワー1万人超、noteフォロワー千人超。AI、半導体、PC、ゲーム業界について、一次資料やデータを基に分析を続ける。

岬 徹
Reddit、Old Redditに続き通常版でもログイン強制の兆候

Reddit

Reddit、Old Redditに続き通常版でもログイン強制の兆候

ログアウト状態の閲覧を段階的に制限。ユーザーの反発は広がっている。 「reddit.comには影響しない」はずだった 現地時間6月30日、Redditの管理者アカウントboat-botanyがモデレーター向けサブレディットr/modnewsに投稿した。Old Reddit(old.reddit.com)のログアウト閲覧を廃止し、今後1か月かけてログインを必須にするという。 理由はスクレイピング(プログラムによる大量のデータ自動収集)対策だった。Old Redditのログアウト状態が「悪用的なスクレイピングと自動化トラフィックの重大な発生源」になっていると説明し、同じ投稿の中で「この変更はreddit.comでのログアウト閲覧には影響しない」と明記した。 だが約1か月後の7月末、その約束に疑いが生じている。 テック系メディアNeowinの記者が現地時間7月28日、Google ChromeでNew Reddit(www.reddit.com)をログアウト状態で閲覧中にログインを要求するポップアップが表示されたと報じた。ポップアップの選択肢は「アカウント作成」か「既存アカウント

x86専門家が再び投稿。16タイル・32タイルのAMX実装が「大規模運用中」

x86

x86専門家が再び投稿。16タイル・32タイルのAMX実装が「大規模運用中」

https://youtu.be/aU0wG6bt3rU(2025年10月当時のYouTube動画。現在非公開) IntelもAMDもまだ作っていないはずの拡張実装が、すでにどこかで動いている。  9か月前のメッセージの続き 2025年10月、x86アーキテクチャの専門家であるクリスティアン・ルドロフ(Christian Ludloff)がLinuxカーネルのメーリングリストに投稿した内容は、控えめに言って異様だった。Intel、AMD以外の「企業体」がx86のオペコード、CPUID、MSR領域を使用中であり、衝突を避けよ、という警告を発していた。 ルドロフはGoogleやトランスメタ(Transmeta)等でx86関連の業務に携わった経歴を持ち、x86命令セットの技術資料サイトsandpile.orgを長年運営してきた人物だ。彼自身が何かを開発しているわけではない。投稿には「伝えるよう依頼された」と書かれていたが、依頼者は明かされなかった。  あれから約9か月。現地時間7月27日、同じルドロフがLinuxカーネルのメーリングリストに再び投稿した。今回の件名は「x86 AM

Defender for Endpoint on Linux、更新後の再起動でサービスが停止するバグ

Linux

Defender for Endpoint on Linux、更新後の再起動でサービスが停止するバグ

Microsoftのセキュリティ製品がLinuxサーバーの防御を自ら解除した。影響ビルドは全対応ディストリビューションから撤去され、修正版が公開されている。 更新がセキュリティを消す Microsoft Defender for Endpoint on Linuxに、アップグレードまたは再インストール後の再起動でDefenderサービスが無効化されるバグが見つかった。影響を受けたのはビルド101.26042.0000から101.26042.0009で、サポート対象の全Linuxディストリビューションに及ぶ。Microsoftのリリースノートによると、影響ビルドは本番チャネルからすべて撤去され、新規インストールにも使えなくなっている。 アップグレードの過程でDefenderサービスの自動起動設定が失われ、再起動後にサービスが立ち上がらなくなる。端末はそのまま稼働を続けるが、保護は機能していない。mdatp healthコマンドで手動確認しなければ、管理者はこの状態に気づけない。 Defender for Servers(Plan 1/2)とDefender for Cloudを

AIモデル16種に政治テストを各30回。15モデルが左派に固定、Grokだけ二面性

AI

AIモデル16種に政治テストを各30回。15モデルが左派に固定、Grokだけ二面性

政治思想を2軸で測るポリティカルコンパスを主要AIモデル16種に繰り返し受験させたところ、Grok以外の全モデルがリバタリアン左派に収まった。しかもモデル自身は、その偏りをほとんど認識していない。 69,440回の回答が示したもの AI検出ツールを開発するUnslopが、主要AIモデル16種にポリティカルコンパスを受けさせた。その調査結果が公開されている。 ポリティカルコンパスは、62の設問に4段階で回答することで、政治思想を経済軸(左派〜右派)と社会軸(権威主義〜自由主義)の2次元座標に配置するテストだ。2001年からオンラインで公開されている。 テスト対象は、OpenAIのGPT-5.6 Sol・GPT-5.5・GPT-4o、AnthropicのClaude Fable 5・Opus 4.8・Sonnet 5・Haiku 4.5、GoogleのGemini Flash、MetaのLlama 4 Maverick、xAIのGrok 4.5、DeepSeekのV3、Qwen3

Anthropic、オープンウェイト禁止は求めず。チップ規制と安全テストを主張

AI

Anthropic、オープンウェイト禁止は求めず。チップ規制と安全テストを主張

50社超が署名した公開書簡に唯一加わらなかったAnthropicのCEOが、自社の立場を公式に表明した。 唯一の不在 NVIDIAのジェンスン・ファンCEOが現地時間7月24日、自身初となるXへの投稿で公開書簡を共有した。「Open Weights and American AI Leadership」(オープンウェイトと米国のAIリーダーシップ)と題された3ページの文書は、オープンウェイトモデルへの規制を急がないよう米国の政策立案者に求める内容だ。 当初の署名企業はNVIDIA、Microsoft、Meta、Hugging Faceなど25社。OpenAI、Google、Anthropicの3社は名を連ねていなかった。 だが48時間で署名は倍増し、50社を超えた。OpenAIはサム・アルトマンCEOが書簡への支持を表明した翌日に署名。Googleもスンダー・ピチャイCEOが同社のオープンウェイトモデルGemmaの実績に触れて賛同を表明し、署名に加わった。AMD、SpaceX、Ciscoなども名を連ねている。 残ったのはAnthropicだった。 署名しなかったこと自体が

中国の国有企業、液浸DUV装置の量産を開始か。ASML株6%下落

半導体

中国の国有企業、液浸DUV装置の量産を開始か。ASML株6%下落

年5台から始まる国産液浸露光装置が、ASMLの独占に何をもたらすのか。株式市場は即座に反応したが、量産と実用は別の壁だ。 報道が走った日に起きたこと 現地時間7月27日、上海の国有企業が液浸DUV(深紫外線)リソグラフィ装置の量産を開始したとThe Informationが報じた。事情に詳しい2人の関係者の話として伝えている。 報道によれば、出荷目標は2026年に約5台、2027年に約20台。納入先に挙がったのは、中国最大の半導体受託製造企業であるSMIC(中芯国際集成電路製造)、華虹(Hua Hong)セミコンダクター、そしてDRAM大手のCXMT(旧ChangXin Memory Technologies)の3社だ。 メーカー名は伏せられた。複数の中国企業からDUV開発チームを集約した組織で、そのひとつが上海裕良晟科技(Shanghai Yuliangsheng Technology)だという。裕良晟はSiCarrier傘下の企業で、ファーウェイとのつながりが指摘されている。米商務省は2024年末、裕良晟を輸出規制対象リスト(エンティティリスト)に加えている。 報道が出

Microsoft、KMSサーバーにTPM認証を義務化。海賊版への影響はなし

Microsoft

Microsoft、KMSサーバーにTPM認証を義務化。海賊版への影響はなし

Microsoftが企業向け認証サーバーのセキュリティを強化した。一部で「海賊版Windowsの終焉」と報じられたが、一般ユーザーには無関係だ。 「海賊版が使えなくなる」は誤報 Microsoftが現地時間7月22日に発表したKMS Hardware-Securedをめぐり、「海賊版Windowsが使えなくなる」という誤解がネット上に広がっている。 KMS(Key Management Service)は企業が社内ネットワーク上のサーバーからWindowsを一括認証する仕組みで、今回の変更はこのサーバー側にTPM(セキュリティチップ)による身元証明を求めるものだ。 ところが一部の海外メディアが、2025年11月に遮断された海賊版手法「KMS38」と今回の発表を結びつけた。「TPMで海賊版を一掃する」という趣旨の記事が出回り、自分のPCが影響を受けるのではないかと心配する声がRedditに相次いでいる。 実際には、KMS Hardware-Securedが検証するのは企業のKMSサーバーそのものだ。個々のPCは対象に入っていない。KMSサーバーのTPMがMicrosoftに対

Microsoft 365有料ユーザーに消せない広告。Officeのタイトルバーに常駐

AI

Microsoft 365有料ユーザーに消せない広告。Officeのタイトルバーに常駐

Microsoft 365の契約者がExcel、Word、PowerPointを開くと、タイトルバーに「Upgrade your plan」の文字が居座っている。消す方法はない。 作業画面に貼り付いた広告 Excel、Word、PowerPointのデスクトップアプリで、タイトルバーにダイヤモンド型のアイコンと「Upgrade your plan」(プランのアップグレード)が常駐表示されるようになった。 Microsoft 365の有料契約者にも表示される。PersonalでもFamilyでも関係なく出る。非表示にする設定はない。Neowinが報じたこの変更に対し、Microsoft Q&Aには4月末から苦情が積み上がっている。 バナーをクリックすると、現在の契約プランと上位プランの比較画面がポップアップで表示される。誘導先はMicrosoft 365 Premiumだ。年額3万2,000円(執筆時点、初年度はキャンペーンで2万1,300円)。Copilotの利用枠拡大やPremium限定のAI機能を売り文句にしている。 ポップアップには「Supercharge your

Dysphoriaボットネット、摘発後4か月で20万台規模に再拡大 復旧構造を分析

セキュリティ

Dysphoriaボットネット、摘発後4か月で20万台規模に再拡大 復旧構造を分析

3月に国際共同作戦で摘発されたJackSkidボットネットの残党が、ブロックチェーンを使った司令塔の隠蔽と、感染端末同士を中継ノード化する構造を獲得し、約20万台の感染規模で再浮上した。 摘発から6日で復活した系譜 現地時間2026年3月19日、米司法省はカナダ・ドイツの当局と連携し、Aisuru・Kimwolf・JackSkid・Mossadの4つのIoTボットネットのC2(指揮統制)インフラを一斉に解体した。感染端末は合計300万台超、最大攻撃力は約30Tbps。 その6日後、3月25日。中国のセキュリティ企業・奇安信(QiAnXin)のXLabチームが、JackSkidの変種とみられる検体を捕捉した。検体はEthereum ENS(イーサリアム・ネーム・サービス)のドメインを使っており、そこからTelegramチャンネルとの関連が浮かんだ。のちにDysphoriaと命名される新種の最初の痕跡だった。 以後の展開は速い。4月にfbot変種が加わり、月末にはC2取得アルゴリズムが刷新された。5月にSolana SNS(ソラナ・ネーム・サービス)への対応が入り、6月にENSド

オープンソースが20年かけて解けない錠前。Office文書の互換性に必要なもの

OOXML

オープンソースが20年かけて解けない錠前。Office文書の互換性に必要なもの

The Document Foundation(TDF)がMicrosoftの文書形式によるロックインを改めて批判した。だがOOXMLエンジンは無数にあるのに、いまだにWordファイルを他のソフトで正確に表示できない。 ブラウザ戦争の記憶 1995年、ビル・ゲイツ(Bill Gates)は社内メモでこう書いた。インターネットがすべてを変える、Microsoftはこれを最優先事項にしなければならない、と。 当時のMicrosoftには、インターネットを支配できるだけの体力があった。Windows 95は爆発的に売れ、ネットに接続しているユーザーよりWindowsユーザーのほうが5倍から10倍多かったとされる。 Internet Explorerをバンドルし、Windows専用のコンテンツとサービスを押し出せば、オンライン空間を丸ごと囲い込める。ゲイツはそう踏んだ。 結果は逆だった。 インターネットは最初からオープンに生まれ、そのプロトコルは企業の都合に縛られず進化した。オープンソースのサーバとネットワーク技術は、収益モデルを必要とせず大規模に展開できた。 オープンソースの

Amazon Leo、5,105基の衛星でスマホ直接通信に参入

衛星通信

Amazon Leo、5,105基の衛星でスマホ直接通信に参入

Amazonの衛星部門が、携帯電話の基地局が届かない地域に音声・データ・緊急通信を届ける新たな衛星群の認可をFCCに申請した。4月に約116億ドルで合意したGlobalstar買収で手に入れる周波数帯を使い、SpaceXが先行する市場に挑む。 Globalstarの周波数帯で5,105基 Amazon Leoが現地時間7月27日、米連邦通信委員会(FCC)に対して最大5,105基の低軌道衛星群の認可を申請した。正式名称は「Amazon Leo Direct-to-Device(D2D)System」。スマートフォンなどの携帯端末に音声通話、メッセージ、データ通信、緊急サービスを宇宙から直接届ける衛星群で、配備は2028年に開始する計画だ。 衛星は高度510〜580kmの5つの軌道殻に分散配置される。中緯度帯の3つで人口密集地域を、高緯度・極軌道の2つで極地付近をカバーする。端末との通信にはL帯とS帯、地上局との接続にはKa帯とV帯を使う。 従来の衛星が地上に信号をそのまま中継する方式(ベントパイプ)に対し、Amazon LeoのD2D衛星は軌道上で信号を処理してから送り返す。

X Money、米国で正式ローンチ。年利6%とApple Wallet対応

XMoney

X Money、米国で正式ローンチ。年利6%とApple Wallet対応

Xが預金口座とデビットカードを備えた金融サービスを米国で正式に開始した。ベータを経て有料ユーザーへの展開が始まったが、規制面の課題は残ったままだ。 預金口座からデビットカードまで X(旧Twitter)が現地時間7月27日、金融サービス「X Money」を米国のPremiumおよびPremium+加入者向けに正式展開した。 Your money, on the world’s most powerful network 𝕏 Money is rolling out to U.S. Premium and Premium+ subscribers starting today pic.twitter.com/2c1UMkB4Kn — X Money (@XMoney) July 27, 2026 3月の招待制ベータ、6月のPremium+限定公開を経て、有料ユーザー全体への開放に踏み切った。 X Moneyは預金口座、

Microsoft初のサイバー防御AI、コスト半分で首位主張

AI

Microsoft初のサイバー防御AI、コスト半分で首位主張

Microsoftがサイバーセキュリティ特化の自社AIモデルとエージェント防御システムを発表した。コスト半分でベンチマーク首位を主張する一方、リリース前に独立テスターへモデルを共有していない。 コスト半分、ベンチマーク首位を主張 Microsoftが発表したMAI-Cyber-1-Flashは、同社の推論モデル「MAI-Thinking-1」をベースにサイバーセキュリティ用途へ特化したコンパクトなモデルだ。顧客のハッキングインシデント対応で数十年かけて蓄積したデータで訓練されている。 5月に発表済みの脆弱性発見・修復ハーネス「MDASH」に組み込まれ、クエリの約90%を処理する。残り10%の高難度タスクはOpenAIのGPT-5.4が引き受ける。 CyberGymベンチマーク(UC Berkeleyが開発。1,507件の実在脆弱性を用いる)でのMicrosoft自己申告スコアは以下の通り。 * MDASH(MAI-Cyber-1-Flash + GPT-5.4):95.95% * GPT-5.5 Cyber(OpenAI):85.6% * Mythos 5(

中国でGPU価格が一斉急騰。日本でも値上がりの兆し

GPU

中国でGPU価格が一斉急騰。日本でも値上がりの兆し

NVIDIAがVRAMキットの価格を引き上げ、中国ではColorful・MSIの代理店価格が希望小売価格の40〜60%増に跳ね上がった。日本にも波及が始まっている。 代理店価格が一夜で書き換わった NVIDIAがグラフィックボードメーカー各社に対し、GPU+VRAMキットの価格引き上げを通知したという。対象はGDDR6とGDDR7の両方で、ASUS、MSI、Colorful、Inno3Dなど中国市場の主要メーカーに及ぶ。 Wccftechが報じたところによると、引き上げ額はVRAM容量に応じて決まっており、8GBモデルで600元、12GBで900元、16GBで1,200元の上乗せになる(日本円換算で約1万4,500円〜約2万9,000円)。2026年第3四半期からの適用が見込まれている。 通知を受けた中国の代理店は即座に動き、7月25日付で大手2社の公式価格表が書き換わった。 Colorful:最大59%の上乗せ 中国本土で最大のシェアを持つColorfulの代理店価格は、MSRP(希望小売価格)との乖離が著しい。 RTX 5080 Vulcan W OCがMSRPの