岬 徹

テクノロジー分野を中心に2024年からYouTubeで約3,000本の動画を制作。登録者4万5千人超、Xフォロワー1万人超、noteフォロワー千人超。AI、半導体、PC、ゲーム業界について、一次資料やデータを基に分析を続ける。

岬 徹
OpenAI、インフラ支出を7500億ドルに再拡大

AI

OpenAI、インフラ支出を7500億ドルに再拡大

2030年までのインフラ支出目標を6000億ドルから7500億ドルへ引き上げたOpenAIが、ジョージア州に初の自前データセンターを建設する。 6000億ドルでは足りなかった OpenAIが2030年までに投じる計算インフラの総額が、約7500億ドル(約122兆円)に膨らんだ。年初に投資家へ示していた約6000億ドルから25%の上積みだ。 数字の振れ幅が大きい。2025年末にサム・アルトマン(Sam Altman)CEOが掲げたのは1兆4000億ドルだった。2026年2月には投資家向けの説明で約6000億ドルへ半減し、今回7500億ドルへ引き上げられた。 クラウドプロバイダーとの契約が膨らんでいる。OpenAIはOracleと5年で約3000億ドル、AWSとは当初380億ドル(7年)の契約を結び、2026年2月に1000億ドルを追加して合計1380億ドル(8年)に拡張した。新規契約が積み上がるたびに、総額の見積もりが書き換わる。 だがこの7500億ドルという数字は、OpenAIが自社の金庫から出す額ではない。パートナー企業がデータセンターを建設・運営し、OpenAIがその計

韓国外交官1万人の情報流出か、10カ月間の侵入を検知できず

セキュリティ

韓国外交官1万人の情報流出か、10カ月間の侵入を検知できず

韓国外交部が、傘下の国立外交院オンライン教育システムへの不正アクセスを公表した。侵入は10カ月に及び、外交官ほぼ全員の個人情報が流出した可能性がある。 ゼロデイ脆弱性を突かれた教育システム 韓国外交部は7月21日、国立外交院のオンライン教育システムが正体不明の攻撃者に侵入されていたと発表した。 攻撃者は2025年4〜5月にかけて、サーバーソフトウェアのゼロデイ脆弱性(開発元すら把握していない未公開の欠陥)とセキュリティ設定の不備を突いてサーバーを掌握した。 その後は正規のアクセス権限を使い続けたため、通常の監視手法では検知が難しい状態だった。 侵入は2026年2月初旬まで約10カ月間継続し、その間に攻撃者はサーバーへ繰り返しアクセスしていた。外交部によると「随時行われた」という。 外交部自身がこの異常を見つけたのではない。2月に「関係機関」から不審なアクセスの通報を受け、外交部は即座にシステムを遮断した。韓国メディアの報道では、通報元は国家情報院とされている。7月時点でもシステムは復旧していない。 「ほぼ全員が含まれていると想定している」 このシステムには約1万件の

SDLの上にXlibを再実装、libx11-compat公開

Linux

SDLの上にXlibを再実装、libx11-compat公開

X11アプリのソースコードを一切変更せずに、macOSやWayland環境で動かす。そんな互換レイヤーが公開された。 X11を捨てられない現実に向けた、もう一つの答え GNOMEがX11バックエンドを完全削除し、KDE PlasmaもX11セッションの廃止に向けて動いている。Linuxデスクトップの表示基盤はWaylandに収束しつつある。 それでも、何十年もX11のAPI(Xlib)に依存してきたアプリケーションは残り続ける。 台湾・国立成功大学のホアン・チンチュン(Ching-Chun "Jim" Huang)氏が開発するlibx11-compatは、この問題への新しい回答だ。XlibのクライアントライブラリをSDL(SDL2/SDL3)、SDL_ttf、Pixmanの上にインプロセス(同一プロセス内)で再実装し、Xサーバーなしで既存のX11アプリを動作させる。 設計上の要点は「Xサーバーの代替ではない」という割り切りにある。libx11-compatはX11のワイヤプロトコルを再実装するものではなく、Xlibのクライアント側APIだけをSDLの描画・イベント処理で差し

AMD、Anthropicに2GWのGPUを供給へ。50億ドル出資も

AMD

AMD、Anthropicに2GWのGPUを供給へ。50億ドル出資も

AnthropicがAMDのInstinct MI450シリーズGPUを最大2ギガワット導入する。AMDは最大50億ドルの出資も表明し、Anthropicが既にMI355Xを運用していた事実も初めて公式に確認された。 リークから3日で正式発表 7月19日、半導体アナリスト企業SemiAnalysisがAMD幹部の公開GitHubリポジトリからYAML設定ファイルを発見した。AnthropicがAMDの「顧客」として記載され、最高の優先度30ポイントが付与されている。Metaと同格のハイパースケーラー扱いだった。 3日後の現地時間7月22日、AMDとAnthropicが戦略提携を発表した。AnthropicはInstinct MI450シリーズGPUを最大2ギガワット導入し、最初の1ギガワットは2027年前半に稼働を開始する。AMDはAnthropicに最大50億ドルの戦略的出資を行う。 発表はAMDのAdvancing AIカンファレンス(7月22〜23日、サンフランシスコ)の初日に合わせた。2日前にはMicrosoftがAzureへのHelios大規模展開を発表しており、A

エヌビディアCEO、アンソロピックに「Mythos開放」要求

AI

エヌビディアCEO、アンソロピックに「Mythos開放」要求

中国発Kimi K3が引き起こした株安のさなか、エヌビディアのフアンCEOが取材に応じた。中国AIの排除論に真っ向から反対し、名指しした相手はオープンAIではなく、自社の顧客でもあるアンソロピックだった 「Mythosを一般提供しろ」 エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが、Axiosの独占インタビューでアンソロピックに矛先を向けた。 Nvidia’s Jensen Huang defends Chinese AI 名指ししたのは、サイバーセキュリティ・生物学領域に強い制限付きモデル「Claude Mythos」だ。フアン氏は、これを「everyone」(すべての人)に開放すべきだと主張した。 「Mythosはサービスとして提供されるべきだ。忘れないでほしいのは、Mythosが提供されなくても、オープンモデルはどのみち存在するということだ。だからこう思う。アンソロピックを走らせろ、と」 この会社を抑え込むことは、アメリカの利益にならない。フアン氏はそう言い切った。 Mythosは現在、サイバーセキュリティ・生物学研究向けの最上位モデルとして、限られた提携先にのみ提供さ

Windows 11のプロパティ画面、WinUI 3化の痕跡発見

UI

Windows 11のプロパティ画面、WinUI 3化の痕跡発見

ごみ箱の削除ファイルを右クリックして開くプロパティ画面。そこだけダークモードに対応し、WinUI 3の意匠になっていた。Windows 95から続く実装の置き換えが、プレビュービルドの中で始まっている。 ごみ箱の中に、見慣れない画面があった Windowsウォッチャーのphantomofearth氏が見つけたのは、ごみ箱に入れたファイルのプロパティを開いたときに現れる、見慣れない画面だった。 角の丸いチェックボックス、アクセントカラーの入った復元ボタン、そして待望のダークモード。実験的ビルド26300.8935に隠れていたその画面は、今のところ削除済みファイルのプロパティでしか出現しない。それでも、File Explorerの中でも指折りの古株が動き出した最初の兆候だという見方は、複数のメディアで一致している。 普段ファイルを右クリックして開くあのプロパティ画面は、Win32のcomctl32.dll(共通コントロールライブラリ)にネイティブな実装であり、これはWindows 95で最初に世に出たものだ。見た目こそ何度か手直しされてきたが、内部のコードは大きく変わっていない。

CachyOS×NVIDIA環境でGNOMEがKDEを逆転

Linux

CachyOS×NVIDIA環境でGNOMEがKDEを逆転

ネイティブLinuxベンチマークでGNOME Shell 50.3がKDE Plasma 6.7.2を上回った。3月のUbuntu 26.04テストで約47%もの差をつけられていたGNOMEが、舞台をCachyOSに移して巻き返している。 Ubuntu 26.04での大差は何だったのか 3月、Ubuntu 26.04ベータ版でのAMD Radeon RX 9070 XTを使ったテストでは、KDE Plasma 6.6がGNOME 50に対して幾何平均で約47%の性能優位を示していた。NVIDIAドライバR595環境でも約21%の差がついている。「Linuxでゲームをするなら、デスクトップ環境の選択もパフォーマンスに影響する」という認識が広がった。 KDE Plasmaの圧勝。それが4ヶ月前の結論だった。 今回のテストでは、Razer Blade 18にCachyOSを入れ、GeForce RTX 5090 Laptop GPU(NVIDIAドライバR610)でKDE Plasma

ニチレイ攻撃にRansomHouseが犯行声明、暗号化済みと主張

サイバーセキュリティ

ニチレイ攻撃にRansomHouseが犯行声明、暗号化済みと主張

7月13日にサイバー攻撃を受けたニチレイに対し、RansomHouseがダークウェブ上で犯行声明を出した。2025年のアスクル攻撃に続き、同グループによる日本企業への攻撃が繰り返されている。 犯行声明の中身 ニチレイへのサイバー攻撃について、RansomHouse(ランサムハウス)を名乗る集団がダークウェブ上のリークサイトで犯行声明を公開していたことが、7月21日にセキュリティ関係者への取材で判明した。 声明を確認したS&J株式会社の三輪信雄(みわ のぶお)氏によると、リークサイトには攻撃実行日として7月13日が記載され、ステータスには「Encrypted」(暗号化済み)と「EVIDENCE」(証拠あり)の表示があるという。 RansomHouseは声明の中で、ニチレイのIT部門がインシデントを隠蔽しようとしていると非難した上で、機密データの流出を避けたければ連絡するよう要求している。パスワードなしでダウンロードできる「証拠パック」へのリンクも掲示し、窃取したとするデータの一部を公開する形で圧力をかけている。 ニチレイは7月22日時点でRansomHouseの主張について公

ADATA会長「電力とメモリが今後10年で最も不足する」

メモリ不足

ADATA会長「電力とメモリが今後10年で最も不足する」

メモリ不足はいつ終わるのか。世界有数のメモリモジュールメーカーの答えは「10年は続く」だった。 増産しても届かない ADATAのチェン・リーバイ(Chen Li-bai)会長が、台湾・工商時報の取材に応じ、今後10年間で世界が最も不足する資源は電力とメモリになると述べた。 AI泡沫2030後再談!威剛陳立白:記憶體還要再缺10年 擴廠也滿足不了台積電法說會後台股重挫,市場再度出現AI投資過熱及泡沫化疑慮。記憶體產業界大老威剛董事長陳立白表示,現階段討論AI泡沫言之過早,「2030年以後,再來討論AI泡沫究竟會在2040年還是2050年發生」,目前全球AI算力、記憶體及電力需求,仍遠高於市場想像。 市場擔憂雲端服務商算力投資速度快於實際需求…工商時報工商時報 Samsung、SK Hynix、Micronの大手3社は慎重な拡張方針を維持しており、需要を満たせる規模の増産には踏み切らないとチェン氏は指摘する。中国のDRAMメーカーが供給を加えても足りないという。 中国勢は半導体製造装置の調達規制に阻まれている。ウエハー工場やクリーンルームの建設には数年を要し、新工場が稼働しても

Mullvad共同創業者、ポピュリスト政党に500万SEK献金

VPN

Mullvad共同創業者、ポピュリスト政党に500万SEK献金

プライバシーを最大の売りにしてきたVPNサービスの創業者が、移民排斥を掲げる政党に個人資産から約8400万円を注ぎ込んだ。もう一人の共同創業者も公然と距離を取り始めている。 500万SEKの個人献金 スウェーデン発のVPNサービスMullvad(スウェーデン語で「モグラ」の意)の共同創業者ダニエル・ベルントソン(Daniel Berntsson)氏が、ポピュリスト政党エーレブロ党(Örebropartiet)に500万スウェーデンクローナ(約8400万円)を個人献金していた。6月末、スウェーデンの左派紙Flammanの報道で明らかになった。 エーレブロ党は2014年にスウェーデン中部の都市エーレブロで結成された地域政党で、党首のマルクス・アラード(Markus Allard)氏は左翼党の元党員だ。就学前教育や歯科医療の無償化、週30時間労働といった左派的政策を掲げる一方で、移民の大幅削減と「大規模な再移住(remigration)」を推進している。移民に母国への帰還を促す、あるいは強制する政策であり、「極右」との批判を受けている。 ベルントソン氏の500万SEKは、Flamm

Anthropic、著作権和解15億ドルに最終承認

AI

Anthropic、著作権和解15億ドルに最終承認

米国著作権訴訟で過去最大の和解が確定した。AI学習はフェアユースと認められたが、海賊版書籍の保存が違法と判断された結果の決着であり、金額だけでは語れない含みがある。 学習は合法、入手は違法 サンフランシスコ連邦地裁のアラセリ・マルティネス=オルギン判事は現地時間7月20日、Anthropicが作家グループに15億ドル(約2,400億円)を支払う和解を最終承認した。米国の著作権訴訟で確認されている和解額としては過去最大となる。 訴訟は2024年8月、スリラー作家のアンドレア・バーツ(Andrea Bartz)氏らが提起した。Anthropicがチャットボット「Claude」の学習データとして、海賊版サイトのLibrary Genesis(LibGen)やPirate Library Mirror(PiLiMi)から書籍を大量にダウンロードし、無断で使用したと主張する集団訴訟だ。 2025年6月、当時の担当判事ウィリアム・アルサップ(William Alsup)氏が分離判断を下した。著作権で保護された書籍をAI学習に使うこと自体は「本質的に変容的」であり、フェアユースに該当すると

IRGCがAWSバーレーン施設に巡航ミサイル攻撃、「破壊した」と主張

データセンター

IRGCがAWSバーレーン施設に巡航ミサイル攻撃、「破壊した」と主張

停戦崩壊後のエスカレーションが続く中、すでに機能停止していたAWSデータセンターが再び攻撃を受けた。 「作戦ナスル2」第24波 イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)が7月21日、バーレーンにあるAmazon Web Services(AWS)のデータインフラを巡航ミサイルで攻撃し「破壊した」と発表した。 IRGC系通信社タスニムとファルス通信が伝えた声明によると、攻撃は「作戦ナスル2の第24波」に当たる。7月19日に米軍がイラン南西部フーゼスターン州の建設中のダルホビン原子力発電所を攻撃したことへの報復だとしている。 同じ波状攻撃で、IRGCはバーレーンのムハッラクとリファに配備された米軍の防空システムとレーダー施設も標的にしたと主張。さらにヨルダンの米軍施設にも攻撃を行い、ミサイル防衛レーダーとF-15戦闘機1機を破壊したと述べた。 食い違う当事者の説明 IRGCの「破壊した」という主張に対し、バーレーン政府は攻撃を迎撃したと発表している。バーレーン側はAmazonや商業インフラが被害を受けたことを確認しておらず、死傷者も出ていないとした。 AWS自身もコメントを

Gemini 3.6 Flashなど3モデル、4の事前学習も開始

Google

Gemini 3.6 Flashなど3モデル、4の事前学習も開始

Googleが「3.5 Pro」の不在を埋めるように、コスト効率に振り切ったFlash系3モデルを即日リリースした。同じ発表のなかで、次世代Gemini 4の事前学習開始にも触れている。 Flashで攻め、Proは待たせる Google DeepMindは7月21日、AIモデル3種を発表した。汎用のGemini 3.6 Flash、高速軽量のGemini 3.5 Flash-Lite、サイバーセキュリティ特化のGemini 3.5 Flash Cyber。3.6 Flashと3.5 Flash-LiteはGemini API、Google AI Studio、Geminiアプリで即日利用可能になっている。 今回の3モデルにProはない。フラッグシップのGemini 3.5 Proは、5月のGoogle I/O 2026で発表されながら一般提供されないまま2か月が過ぎた。Googleは「パートナーとテスト中で、

OpenAIのモデルがHugging Faceを侵害した

AI

OpenAIのモデルがHugging Faceを侵害した

先週のHugging Faceへの侵入を実行したのは、OpenAI自身がテストしていたAIモデルだった。サイバー能力のベンチマークで正解を得ることに執着し、サンドボックスの外に出た。 ベンチマークの「カンニング」だった Hugging Faceが現地時間7月16日に公表した侵害の原因が、5日後に判明した。 OpenAIは現地時間7月21日、自社のAIモデルがテスト環境のサンドボックスを脱出し、Hugging Faceの本番インフラの一部を侵害したと発表した。関与したのはGPT-5.6 Solと、それを上回る性能を持つ未公開のプレリリースモデルだ。いずれもサイバー関連の安全制御を意図的に外した状態で、社内のサイバー能力評価に投入されていた。 評価に使われたのは、ExploitGymと呼ばれるベンチマークだ。実世界の脆弱性898件を収録し、AIエージェントが脆弱性を実際のエクスプロイト(攻撃コード)に発展させられるかを測定する。 OpenAIによると、モデルはExploitGymの解答を取得することに過剰に集中し、テスト目標を達成するために極端な手段を取った。 サンドボック