岬 徹

テクノロジー分野を中心に2024年からYouTubeで約3,000本の動画を制作。登録者4万5千人超、Xフォロワー1万人超、noteフォロワー千人超。AI、半導体、PC、ゲーム業界について、一次資料やデータを基に分析を続ける。

岬 徹
中国、AIモデルと半導体設計の輸出規制強化を検討

AI

中国、AIモデルと半導体設計の輸出規制強化を検討

Kimi K3で世界を揺さぶった中国が、今度は自国のAI技術を閉じ始めた。 3つの壁 中国商務部が国内の大手AI・半導体企業と協議を重ねている。Financial Timesが7月21日、協議に関与した2人の関係者の話として報じた。 協議に加わっているのはアリババ、バイトダンス、Zhipu(Z.ai)。Huaweiを含む半導体企業も対象に入っている。検討されている規制は大きく3つに分かれる。 AIモデルの流出防止。訓練データの海外移転を制限し、モデルの重み(学習済みのデータ本体)を外国ユーザーがダウンロードできないようにする。モデルへのアクセスやサービス利用は引き続き許可される見込みだが、重み自体を外に持ち出せなくなる。 半導体設計の海外製造規制。QualcommやTSMCといった海外の半導体メーカーが、Huawei、アリババ、バイトダンスなど中国企業の設計に基づいて先端チップを製造することを制限する案が検討されている。 スタートアップの海外買収規制。エージェンティックAI(人の指示を受けて自律的にタスクを遂行するAI)分野を中心に、戦略的な技術企業の海外買収を制限する。

NVIDIA、AI生成動画を22ミリ秒で見破る検出器を発表

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NVIDIA、AI生成動画を22ミリ秒で見破る検出器を発表

SIGGRAPH 2026で発表されたSynthetic Video Detectorは、1080p映像をフレーム単位で解析し、AI生成か否かを判定するNIMマイクロサービスだ。精度は非圧縮で最大92%。Wowzaとの連携により、170か国のライブ配信インフラに組み込まれる。 22ミリ秒の判定 2024年1月、英国の大手エンジニアリング企業アラップ(Arup)の香港オフィスで、経理担当者がビデオ会議に参加した。画面にはCFOと同僚が映っていた。全員がAI生成のディープフェイクだった。指示に従い、15回の送金で約2560万ドルが流出した。 2026年4月にはフロリダ州で、男がAI生成の3秒間の動画を保安官代理に見せ、パトカーへの侵入を虚偽通報した。保安官代理は実際に武器に手をかけて対応している。 FBIは2025年の年次報告で初めて「AI関連」を犯罪の分類項目に加え、2万2000件超の被害申告と約8億9300万ドルの損害を記録した。ガートナー(Gartner)の2025年9月の調査では、302の組織のうち62%が過去12か月間にディープフェイクによる攻撃を受けている。 NVI

NVIDIA、DLSS 5の制御ツールをSIGGRAPHで初公開

DLSS5

NVIDIA、DLSS 5の制御ツールをSIGGRAPHで初公開

3月に炎上したDLSS 5が、具体的な開発者向けコントロールを伴ってSIGGRAPHに戻ってきた。3種のモデル選択、オブジェクト単位のマスキング、強度スライダー。NVIDIAが示したのは「アーティストが最終画面を決める」仕組みだ。 3月の傷跡、7月の回答 3月のGTC 2026で披露されたDLSS 5のデモ映像は、キャラクターの顔が元のデザインと大きく変わっているとして批判を浴び、YouTubeの公式トレーラーには8割超の低評価がついた。NVIDIAは開発者にアーティスティックな制御権があると主張したが、その制御が具体的にどう機能するのかは見せていなかった。 現地時間7月20日、ロサンゼルスで開催中のSIGGRAPH 2026基調講演で、NVIDIAはその「どう」を初めて公開した。DLSS開発を率いるエドワード・リュウ(Edward Liu)氏が技術的な背景を説明し、クリエイティブアーティストのガフ(Gaff)氏がライブデモで制御ツールを操作して見せた。 レンダリングの上に「生成」を重ねる DLSS 5の位置づけは、従来のDLSSとは根本的に異なる。リュウ氏の説明によれば

AIデータセンター送電線に土地収用権、全米で衝突拡大

AIデータセンター

AIデータセンター送電線に土地収用権、全米で衝突拡大

米国でAIデータセンター向け送電線の建設用地を確保するため、電力会社が土地収用権を行使し始めている。売却を拒む住民の土地を、補償と引き換えに強制取得する法的手段だ。 「公共利用」の境界線 デイトン大学法学部のアーロン・ワラヤット(Aaron Walayat)助教が7月16日、学術メディアThe Conversationに論考を発表した。AIデータセンター向け送電線のための土地収用は、合衆国憲法修正第5条が定める「公共利用」の要件を満たすのか。ワラヤット氏はこの争点を、200年以上続く法的論争の最新局面として分析している。 eminent domain(土地収用権)とは、「公共利用」を条件に、政府が正当な補償のもとで私有地を強制取得できる権限を指す。道路や送電線の建設で古くから使われてきた。電力会社は州法に基づいてこの権限を委任されることが多い。送電線用地の地権者と交渉し、合意に至らなければ収用手続きに移る。 ワラヤット氏が注目するのは、「公共利用」の定義だ。送電線は従来、不特定多数の住民に電力を届けるインフラとして収用の正当性を認められてきた。だが送電線が実質的に特定の民間デ

GNOME、セキュリティ開示を90日から30日に短縮

セキュリティ

GNOME、セキュリティ開示を90日から30日に短縮

AI生成の脆弱性報告が大半を占める状況を受け、GNOMEがセキュリティ情報の開示ポリシーを改定する。担当者は11月での退任も表明した。 90日の形骸化 GNOMEのセキュリティイシュー追跡を担うマイケル・カタンザロ氏(Michael Catanzaro)が7月20日、脆弱性報告の開示期限を90日から30日に短縮すると発表した。2026年8月1日以降に報告されたイシューに適用される。 業界標準の90日は、GNOMEの実態に合っていなかった。カタンザロ氏によれば、メンテナーの対応は二つに分かれる。報告から1〜3週間で修正するか、まったく修正しないか。 90日間の猶予を設けても、メンテナーがその時間を活かすことはほぼなかった。修正が入るか期限が来るかのどちらかが先に起き、修正される場合は最初の数週間で片がつく。残りの期間は機密を維持しているだけで、誰の役にも立っていなかった。 カタンザロ氏自身、AI生成報告の増加がなくても「短い期限の方がGNOMEには合う」と述べており、今回の短縮はAI対応策にとどまらない判断だと位置づけている。 AI禁止ポリシーとの衝突 変更はもう一つあ

OnePlus撤退、CMFも断念 メモリ高騰が格安スマホを消す

AI

OnePlus撤退、CMFも断念 メモリ高騰が格安スマホを消す

AIデータセンターが消費するメモリの量が、スマートフォンの価格帯そのものを壊し始めた。値上げではなく、製品の消滅が始まっている。 格安スマホが採算割れに追い込まれている OnePlusが北米・欧州からの撤退を確認した。7月16日、同社は今後これらの地域で新製品を投入しないと発表した。親会社Oppoの戦略再編を受けた判断で、インドと中国での事業に集中する。 Oppoは2026年第2四半期に前年同期比で2桁の出荷減を記録しており、OnePlusだけの話ではない。 6月にはNothingの廉価ブランドCMFが、次期モデルCMF Phone 3 Proの開発中止を発表した。共同創業者のアキス・エヴァンゲリディス(Akis Evangelidis)氏によれば、現在の部品価格では前モデルと同じ仕様の端末がインドで約3万〜3万5000ルピー(約5万1000〜6万円)になる。前モデルの発売価格1万8999ルピー(約3万2000円)から58〜85%の値上がりだ。 CMF Phone 2 Proは2025年にMKBHDの「ベスト・バジェットフォン」に選ばれた端末だ。その後継機を、CMFの価格帯

YouTube、AIスロップ排除の収益化基準を3分類で明確化

YouTube

YouTube、AIスロップ排除の収益化基準を3分類で明確化

YouTubeがAI生成コンテンツの収益化ルールを具体化した。排除対象を3つに分類し、「不快なコンテンツ」という主観的基準も導入している。 「同じツールが、傑作もスロップも生む」 YouTubeは7月16日、YouTubeパートナープログラム(YPP)の収益化ポリシーで定める「不正コンテンツ(inauthentic content)」の基準を3カテゴリに明確化した。 説明したのは、同社でトラスト&セーフティを統括するVP(バイスプレジデント)のマット・ハルプリン(Matt Halprin)氏。クリエイター向け公式チャンネルCreator Insiderの動画で、今回の狙いをこう語った。 AIは大量の動画制作を可能にする。それが創造性を高め、高品質なコンテンツの量産につながることもある。だが同じツールが、非常に似通ったジェネリックな動画を大量に生み出すこともある。後者はコンテンツファーミング(収益目的の動画量産)であり、YPPに含めたくない(Creator Insider動画でのハルプリン氏の発言) 3つに分かれる。 第1カテゴリはテンプレート的・反復的コンテンツ。AIやC

WordPressコアにRCE脆弱性、数千万サイトが標的に

WordPress

WordPressコアにRCE脆弱性、数千万サイトが標的に

WordPressの根幹にあたるコアコードに、認証なしで任意のコードを実行できる脆弱性が見つかった。パッチ公開から3日、すでに攻撃が始まっている。 プラグインではない。コアが破られた WordPressの脆弱性といえば、通常はプラグインやテーマが原因になる。今回は違う。 7月17日に公表された2件の脆弱性は、WordPressコア自体に存在する。CVE-2026-63030はREST APIのバッチエンドポイントにおける経路混同(route confusion)、CVE-2026-60137はWP_Queryクラスのauthor__not_inパラメータにおけるSQLインジェクション。この2つを連鎖させると、ログインもプラグインも必要なく、匿名の攻撃者がサーバー上で任意のコードを実行できる。RCE(リモートコード実行)と呼ばれる、サイトの完全な乗っ取りにつながる脆弱性だ。 セキュリティ企業Searchlight Cyberの研究者アダム・キューズ(Adam Kues)氏がこの脆弱性を発見し、WP2Shellと名付けた。キューズ氏はWordPressのHackerOneプログラ

AIコーディングツール4種にサンドボックス脱出の欠陥

セキュリティ

AIコーディングツール4種にサンドボックス脱出の欠陥

Cursor、Codex CLI、Gemini CLI、Antigravity。AIにコードを書かせるための主要ツール4つから、サンドボックスの外へ抜け出す手段が見つかった。しかもエージェントはルールを一切破っていない。 ファイルが「外」で走る AIコーディングエージェントのセキュリティは、ひとつの前提に支えられてきた。エージェントはプロジェクトのワークスペース内で自由に動けるが、その外にあるホストOSは保護される、という線引きだ。 イスラエルのAIセキュリティ企業Pillar Securityが、この前提を7つの脆弱性で崩した。研究チームのアイロン・コーヘン(Eilon Cohen)氏、ダン・リシチキン(Dan Lisichkin)氏、アリエル・フォーゲル(Ariel Fogel)氏が数カ月かけて再現し、7月20日に公開した。1日1件ずつ詳細を出す「Week of Sandbox Escapes」(サンドボックス脱出の1週間)と題したシリーズだ。 攻撃の構造は、サンドボックスの壁を直接叩くものではない。 エージェントはワークスペース内でファイルを書く。それ自体はサンドボッ

メモリ3社、CXLコントローラの自社開発を一斉中止

CXL

メモリ3社、CXLコントローラの自社開発を一斉中止

サムスン、SKハイニックス、マイクロンの3社が、サーバー向けメモリ拡張規格CXLのコントローラ開発を自社から切り離した。設計はファブレスに任せ、自分たちはDRAMを売ることに集中する。 DRAMを守るための撤退 CXL(Compute Express Link)は、サーバーのメモリ容量をDIMMスロットの上限を超えて拡張する接続規格だ。AI推論やインメモリデータベースの拡大で、2028年までに150億ドル規模の市場に成長するとの予測もある。 この成長市場に、メモリ3社は当初、コントローラとDRAMを一体化した完成モジュールで参入しようとしていた。コントローラを自社設計し、自社のDRAMと組み合わせて高付加価値の製品として売る。利幅は大きい。 ところが、データセンター事業者が求めたのは正反対の構造だった。コントローラはマザーボードに載せ、メモリスロットには汎用DIMM(デュアルインラインメモリモジュール)を挿す「分離型」にすれば、メーカーを問わず安価なDIMMを選べる。 メモリ3社にとって、この要求に逆らう選択肢は事実上なかった。 自己蚕食のジレンマ 理由はDRAMの市

LGモニター経由でMcAfee広告を表示 Windowsのデバイス連携機能を利用

LG

LGモニター経由でMcAfee広告を表示 Windowsのデバイス連携機能を利用

LGのゲーミングモニターをWindows PCに接続すると、同意も通知もなくアドウェア的なアプリが自動インストールされる。起動するたびにマカフィーの有料契約を勧めるポップアップが表示され、購入から3年経った旧モデルでも同じ症状が発生している。 モニターを繋いだだけで広告が来る ハードウェア検証チャンネルGamers Nexusは、視聴者からの報告を受けてLG UltraGear 34GX900A-Bを購入した。約1200ドル(約19万円)のゲーミングモニターだ。Windows 11搭載PCにHDMIケーブルで接続して電源を入れると、Windows Updateがドライバパッケージを取得し、そのわずか1分後に「LG Monitor App Installer」がスタートメニューの「おすすめ」欄に現れた。 ポップアップやインストールの確認画面は一切表示されない。 Gamers Nexusは32回連続で再起動し、ポップアップの内容を記録した。31回がマカフィーの30日間無料体験の広告で、残り1回だけがLG自身のモニターユーティリティの案内だった。 この問題は新品に限らない。Gam

トランプ政権、中国AIモデル規制に再び動く

AI

トランプ政権、中国AIモデル規制に再び動く

Kimi K3の衝撃が収まらないうちに、ワシントンが動き始めた。中国製オープンウェイトAIモデルを米国市場から締め出す構想が、政権内部で再び勢いを増している。 禁止ではなく、圧力で締め出す Axiosが7月20日に報じた内容は、単純な「禁止令」の話ではない。 政権に近い複数の関係者がAxiosに明かしたところによると、商務省は昨年、中国の複数のAIラボをエンティティリスト(取引制限リスト)に追加することを検討した。国家安全保障局(NSA)とホワイトハウスの国家サイバー長官室も、中国AIモデルのセキュリティリスクを警告する勧告の発出を検討していたという。 さらにホワイトハウスは、中国製モデルをホスティングする米国企業にセキュリティ上の責任を負わせる大統領令の案も回していた。 いずれも実行には至っていない。規制によるイノベーション阻害を嫌うホワイトハウス高官が、これらの動きを潰した。AI政策の上級顧問だったスリラム・クリシュナン(Sriram Krishnan)氏もその一人だ。 クリシュナン氏は6月末に退任した。Axiosの報道は、その退任後に国家安全保障強硬派の声が大きくな

6台に1台がWindows 10、抱える脆弱性は平均1903件

Windows10

6台に1台がWindows 10、抱える脆弱性は平均1903件

6台に1台のWindows端末がいまだWindows 10で動いている。1台あたりの既知の脆弱性は平均1903件、Windows 11の約3倍。サポート終了から9か月、移行は止まり、リスクは月ごとに積み上がっている。 移行は止まった Windows 10のサポートが終了した2025年10月、移行は一気に加速した。約50%あったWindows 10のシェアは急落し、2026年前半には20%を切るところまで縮んだ。 だがそこで減速が始まった。 IT資産管理のLansweeperが、数万の顧客サイトから集めたデータを公開した。2026年半ば時点で、Windows 11のシェアは78.8%。Windows 10は16.9%。6台に1台が旧OSで稼働している。 移行しやすい端末はすでに移行を終えた。残っているのは、技術的・組織的・経済的な理由で動かせない端末だ。StatCounterの独立データでもWindows 11は2026年2月時点で70%を超えており、どちらのデータでも移行の減速は共通している。 数字が語るリスクの差 Lansweeperのデータで目を引くのは、脆弱性の

Google、Geminiを「焼き込んだ」専用チップを開発中

AI

Google、Geminiを「焼き込んだ」専用チップを開発中

Googleが、Gemini AIモデルの設計をシリコンに直接統合するサーバーチップを開発している。非公式に「Frozen v2」と呼ばれるこのチップは、2028年にも投入される可能性があるという。 TPUとは別の道 Googleが新たに手がけるチップは、同社のTPU(Tensor Processing Unit)とは根本的に性格が異なる。 TPUは汎用のAIアクセラレータだ。多種のモデル、多様なワークロードに対応できるよう設計されている。NVIDIAのGPUも同様で、どんなAIモデルでも動かせる代わりに、実行のたびにメモリからモデルのパラメータを読み込み、計算し、書き戻すという手順を踏む。 Frozen v2はその手順を省く。Geminiモデルの判断ロジックの一部をチップの回路そのものに組み込み、データの移動量と処理ステップを削減する。The Informationが事情に詳しい2名の関係者の話として報じたところによると、開発者はこのチップが現行TPUの6〜10倍の効率を達成すると見込んでいる。 Googleは4月にTPU 8t(トレーニング用)とTPU 8i(推論用)を