岬 徹

テクノロジー分野を中心に2024年からYouTubeで約3,000本の動画を制作。登録者4万5千人超、Xフォロワー1万人超、noteフォロワー千人超。AI、半導体、PC、ゲーム業界について、一次資料やデータを基に分析を続ける。

岬 徹
Facebook、今年3度目の世界規模ダウン

Facebook

Facebook、今年3度目の世界規模ダウン

Metaが運営するFacebookとInstagramで7月19日に世界規模の障害が発生し、数時間にわたってアクセスできない状態が続いた。3月、6月に続く今年3回目の大規模障害となる。 日曜早朝の突然のダウン 米東部時間7月19日午前3時25分頃、Facebookが応答しなくなった。Webブラウザからアクセスすると「Account Temporarily Unavailable(アカウントは一時的に利用できません)」とだけ表示され、ログインも閲覧もできない。 午前3時44分から午前5時02分(米東部時間)のわずか1時間20分で、DownDetectorには米国だけで2万3000件を超える障害報告が集中した。Instagramも1万8000件以上を記録している。 インターネット監視団体のNetBlocksは、この障害が国レベルのインターネット遮断やフィルタリングとは無関係であることを確認した。Meta側の問題が世界中のユーザーに同時に波及した。 デスクトップに集中した障害 DownDetectorの内訳では報告の63%がWebサイトの問題に集中していた。モバイルデバイスが

Noetra、Rubin GPU2万7500基の国策AI基盤を発表

AI

Noetra、Rubin GPU2万7500基の国策AI基盤を発表

44社が出資するNoetraが、NVIDIAの次世代GPU2万7500基と140メガワット級データセンターを2028年6月に稼働させる計画を打ち出した。電力調達と立地は白紙のままだ。 44社連合の素性 国内でAIモデルを開発する企業にとって、計算資源の確保は長年の課題だった。潤沢なGPUを持つ海外ハイパースケーラーに対し、国産勢は順番待ちを強いられてきた。2026年7月16日、その状況を変えうる計画が出た。 ソニーグループ、ソフトバンク、NEC、本田技研工業の4社を中核に据えた新会社Noetra(ノエトラ)が、NVIDIAの次世代Rubin GPU約2万7500基と140メガワット級データセンターの構築を発表した。 Noetraは7月1日に事業を開始した。本社は東京都渋谷区。代表取締役社長の丹波廣寅(たんば ひろのぶ)氏は、ソフトバンク傘下のSB Intuitionsで国産LLM「Sarashina」の開発を率いた人物だ。 出資企業は合計44社。旭化成、KDDI総合研究所、メガバンク3行(三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行)、AIスタートアップのPreferred N

米国でEVモデルの撤退・終了が相次ぐ 2026年の動きを一覧化

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米国でEVモデルの撤退・終了が相次ぐ 2026年の動きを一覧化

Honda最後のEV「Prologue」の廃止が確定し、Tesla、VW、Volvo、Polestarまで含めた撤退の波が止まらない。販売は回復基調にあるのに、メーカーは撤退を選んでいる。 売れていた車が、消えた Hondaが7月16日、米国で唯一残っていたEV「Prologue」の生産を2026年モデルで終了すると認めた。 Prologueは失敗作ではない。2024年に約3万3000台、2025年に約3万9000台を販売し、米国のEV販売ランキングで6位に入った年もある。GMのUltiumプラットフォームを借りてメキシコの工場で組み立てた車で、自前の技術ではなかったが、市場には受け入れられていた。 だが2025年9月末に7500ドルの連邦税額控除が廃止されると、販売は急落する。2025年10〜12月の販売台数は約2600台。それまでの9か月間の3万6000台超とは別の車種の数字に見える。2026年上半期は約8400台で、前年同期比48%減。アメリカン・ホンダの自動車販売担当副社長ランス・ウォルファー(Lance Woelfer)氏は、今後はハイブリッドに軸を移すとしている。

磁気ナノ発振器10万個が45ナノ秒で同期した

スピントロニクス

磁気ナノ発振器10万個が45ナノ秒で同期した

64個が限界だったスピントロニクス発振器の同期を、一気に10万5,000個まで拡大する実験が成功した。しかも揃うまでの時間は45ナノ秒。脳を模倣する次世代コンピューティングに、物理的な裏付けが加わった。 従来記録の1,640倍 幅10〜20ナノメートルのスピンホールナノ発振器(SHNO)を最大10万5,000個並べ、すべてを相互に同期させた。成果は7月10日付でNature Nanotechnologyに掲載された。オープンアクセス論文で、責任著者はヨーテボリ大学のヨハン・オーケルマン(Johan Åkerman)教授。筆頭共同著者にはインド工科大学ブバネーシュワル校(IIT Bhubaneswar)のニラマニ・ベヘラ(Nilamani Behera)助教ら3名が名を連ねる。 SHNOは、電子の電荷ではなく「スピン」という磁気的性質を演算に使うスピントロニクスデバイスだ。重金属と強磁性体の積層膜にナノメートル幅のくびれ(ナノコンストリクション)を設け、直流電流を流す。スピン軌道トルクで磁化が歳差運動に入り、マイクロ波周波数の自励振動が起きる。隣接する発振器同士はスピン波で結合し

Steam Machine、週1.2万~1.5万台の推計が出る

ゲーム

Steam Machine、週1.2万~1.5万台の推計が出る

Valveはハードウェアの販売台数を公表しない。Steam Machineも例外ではなく、6月29日の出荷開始から3週間近く経っても公式な数字は出ていない。Linuxゲーミング専門メディアBoiling Steamが、Steamのトップセラーチャートを使った逆算で推計を出した。 トップセラーチャートから何がわかるか Steamのグローバルトップセラーチャートは、販売本数ではなく収益でランキングを決めている。直近24時間の売上を集計し、直近3時間にはさらに重みを加えるリアルタイム方式だ。ベースゲームの購入もDLCもゲーム内課金も、1ドルは1ドルとして扱われる。 この仕組みが、高価格なハードウェアの販売台数を推計する手がかりになる。1台1049ドルのSteam Machineは、2.49ドルのCS2のケースキーと同じ収益ベースで比較される。ソフトウェアが上位に入るには大量の販売数が必要だが、ハードウェアは1件あたりの金額が大きい分、少ない台数でもランキングを押し上げられる。 7月18日時点で、Steam Machineはグローバルチャートの2位に位置していた。1位はCS2、3位は

韓国発、フロッピー1枚に収まるゲーム開発コンテスト

ゲーム開発

韓国発、フロッピー1枚に収まるゲーム開発コンテスト

韓国のゲームイベント団体2P Game Arcadeが、3.5インチフロッピーディスク1枚分の容量に収まるゲームの開発コンテストを開催している。締切は9月4日。 1,474,560バイトの枠 2P Game Arcadeが5月に告知した「1.44MBゲーム開発コンテスト」は、ルールの核心が一つだ。 解凍後の全ファイル(実行ファイル、ゲームエンジン、ライブラリ、画像、音声を含む)が1,474,560バイト以下であること。3.5インチHDフロッピーディスクの物理容量がそのまま上限になる。 ブラウザやサーバーに依存するゲームは不可で、単独で起動しプレイできなければならない。開発言語やゲームエンジンの選択には制限がなく、C++でもHSPでも自作ツールでも構わない。ゲームエンジンのランタイムも容量に含まれるため、Unreal Engineで1.44MBに収まることはまずない。 参加は個人でもチームでも可能で、居住地域の制限もない。 賞金はフロッピーに載せて届く 賞金総額は114万ウォン(執筆時点の為替で約12万4000円)。内訳は大賞72万ウォン、金賞28万ウォン、銀賞14万ウ

Microsoft、廃止予定の旧OutlookにもCopilot導入を案内

AI

Microsoft、廃止予定の旧OutlookにもCopilot導入を案内

Microsoftが、年末までにOutlook(クラシック)のメール作成画面にCopilotを組み込む。廃止に向かうアプリにまで新機能を入れる。アプリの寿命よりCopilotの拡大が先に来ている。 終わりかけたアプリに、新機能が来る Outlook(クラシック)は、新機能の追加がほぼ止まっている。バグ修正とセキュリティ更新だけが細々と続き、Microsoftは「新しいOutlook」への移行を繰り返し促してきた。 企業向けの自動切り替え開始も、当初の2026年4月から2027年3月へと延期された経緯がある。クラシック版のサポート自体は2029年まで続くが、方向は明確に「廃止」だ。 そのOutlook(クラシック)に、Copilotによるメール作成機能がデフォルト有効で追加される。Microsoftが管理ポータルで公開した情報によると、対象はOutlookの全バージョン(Web、モバイル、新しいOutlook、クラシック)で、クラシック版への展開は2026年末までに完了する見込みだ。 管理者が事前に何かを操作する必要はない。有効化は自動で行われる。Copilotを使いたくなけ

7-Zip、XZ圧縮処理のRCE脆弱性を修正 CVSS 7.0

セキュリティ

7-Zip、XZ圧縮処理のRCE脆弱性を修正 CVSS 7.0

7-Zipのバージョン26.02で、XZ形式の圧縮データ処理に存在するリモートコード実行脆弱性が修正された。自動更新機能がなく、ユーザーは手動で更新する必要がある。 脆弱性の中身 トレンドマイクロのZero Day Initiative(ZDI)が2026年7月15日にアドバイザリZDI-26-444を公開した。CVE-2026-14266、CVSSスコアは7.0(High)。 7-ZipがXZ形式のチャンクデータを処理する過程で、細工された圧縮データがヒープベースのバッファオーバーフローを引き起こす。ヒープ領域(プログラムが実行時に動的に確保するメモリ)の境界を越えた書き込みがメモリ破壊につながり、攻撃者が現在のプロセスの権限で任意コードを実行できる可能性がある。 Lunbun LLCのランドン・ペン(Landon Peng)氏が発見し、2026年6月5日に7-Zip開発者へ報告。ZDIによる協調開示は7月15日に実施されている。 悪用には操作が必要 悪用にはユーザー操作が必要で、攻撃者は細工したアーカイブファイルを被害者に開かせるか、悪意あるWebページへ誘導する必

Windows 11 KB5121767緊急配信、Dell問題を修正

Windows11

Windows 11 KB5121767緊急配信、Dell問題を修正

Microsoftが一部DellのPCで止まっていたセキュリティ更新の修正版を緊急リリースした。影響のないPCにも届く可能性がある。 Intelドライバとの非互換で配信が止まった 7月14日に配信が始まったWindows 11の月例セキュリティ更新KB5101650は、570件を超える脆弱性を修正する大型パッチだった。ところがDellの一部のPCで、パフォーマンスの低下や異常な発熱、予期しないシャットダウンといった深刻な症状が報告された。 原因はIntel IPF(Innovation Platform Framework)ドライバとの非互換にある。IPFはファンの回転制御や電力管理、人感センサーによる自動ロックといったハードウェア制御を担うドライバで、DellのPrecisionやXPSなど比較的新しいモデルに搭載されている。 KB5101650はWindows USB-C Connection Manager(USB-C接続マネージャー)に新しいインターフェースを追加しており、これがIPFドライバと正常に動作しなかったとされる。 Microsoftは問題を把握し、該当す

サムスン・ファウンドリ、社員の81.5%が離職意向 労組調査

半導体

サムスン・ファウンドリ、社員の81.5%が離職意向 労組調査

サムスン電子のファウンドリ事業部で、社員の8割超が「2年以内に辞めたい」と回答した。賞与がメモリ部門の約3分の1という現実を、数字が裏付けている。 7組織中、突出した不満 サムスン電子最大の労組である超企業労働組合サムスン電子支部が、6月17日から30日にかけてデバイスソリューション(DS)部門の社員8,297人を対象に「2年以内の転職意向」を調査した。ファウンドリ事業部の回答者のうち、81.5%が転職意向を示した。 DS部門を構成する7つの組織の中で、この数字は飛び抜けている。全体の平均は49.5%。ファウンドリはこれを30ポイント以上も上回った。 調査の基準では、62%に達すれば「非常に高い」とされる。 非メモリ系の他事業部も高い。System LSIが75.4%、半導体R&Dセンターが60.6%。対照的に、メモリ事業部は32.7%にとどまった。 サムスン電子 半導体部門 事業部別の転職意向率 ※超企業労組が6月17〜30日に実施。DS部門の社員8297人が回答 同じDS部門で3倍の差 この格差を生んでいるのは、5月の労使合意で導入された特

Windowsでマザーボードの型番を確認する3つの方法

Windows

Windowsでマザーボードの型番を確認する3つの方法

PCのマザーボード情報は筐体を開けなくてもWindowsの標準機能で確認できる。3つの方法のうち1つは間もなく使えなくなる。 なぜマザーボードの型番を知る必要があるのか メモリの増設、BIOSのアップデート、CPUやグラフィックボードの交換。いずれもマザーボードの型番を知らなければ始まらない。確認せずにパーツを買えば、そもそも取り付けられない可能性がある。 マザーボードの型番を調べる最も確実な方法は筐体を開けて基板上の印字を読むことだが、ノートPCや省スペース型のデスクトップPCでは分解のハードルが高い。Windowsにはこの情報をソフトウェアから読み取る手段が3つ用意されている。 いずれの方法も、SMBIOS(System Management BIOS)というハードウェア情報の仕様にPCメーカーが正しくデータを書き込んでいることが前提になる。一部の機種では、型番の欄に「To Be Filled By O.E.M.」と表示されることがある。その場合はPCメーカーの公式サイトでシリアル番号から製品情報を確認する必要がある。 システム情報(msinfo32)で確認する 最

TDF、OOXML形式を「Microsoftのロックイン兵器」と批判

LibreOffice

TDF、OOXML形式を「Microsoftのロックイン兵器」と批判

LibreOfficeの開発母体が、DOCX・XLSX・PPTXに依存する構造の危険性を改めて指摘した。背景にはドイツ政府のODF義務化やEuro-Officeとの対立がある。 7000ページの「標準」 The Document Foundation(TDF)の創設メンバー、イタロ・ヴィニョーリ(Italo Vignoli)氏が7月17日、ブログ記事を公開した。Microsoft Officeの独自ファイル形式がユーザーを同社製品に縛り付けている、という批判だ。 この批判自体は以前から繰り返されてきた。今回ヴィニョーリ氏があらためて焦点を当てたのは、標準化プロセスと実態の乖離だ。 OOXML(Office Open XML)はISO/IEC 29500として国際標準化されている。形式的にはオープンな規格だ。 しかし仕様は約7000ページに及び、Microsoft Officeの既存の動作をXMLの形に落とし込んだもので、レガシー機能や非公開の実装仕様が含まれる。第三者が完全に実装することは事実上不可能とされる。 さらに決定的な問題がある。OOXMLにはStrictとTra

Microsoft、WSUS全版で同期障害を確認 メタデータ蓄積が原因

Microsoft

Microsoft、WSUS全版で同期障害を確認 メタデータ蓄積が原因

企業のパッチ配信を支える仕組みが、週末を前に止まった。Microsoftはサーバー側の修復を進めているが、復旧時期は未定。 何が起きているか Microsoftは7月17日、WSUS(Windows Server Update Services)でサービス劣化が起きていることをWindows Release Health(リリース正常性)ダッシュボードで公表した。企業のWSUSサーバーで同期時間が大幅に伸びるか、同期そのものがタイムアウトする。 WSUSは、組織のIT管理者がMicrosoft製品の更新プログラムを社内ネットワーク経由で一括配信するための仕組みだ。承認した更新だけを、指定したタイミングで届けられる。 数千台の端末が一斉にインターネットから更新を取りに行く代わりに、WSUSサーバーが1回だけダウンロードして社内に配る。帯域の節約、更新前の検証、配信タイミングの制御。企業ネットワークの更新管理における基本インフラだ。 その同期機能が止まれば、7月の月例更新(Patch Tuesday)を含む最新のセキュリティパッチを端末に届ける手段が失われる。 メタデータの

英国AISI、オープンウェイトAIのサイバー能力差を初めて公開

AI

英国AISI、オープンウェイトAIのサイバー能力差を初めて公開

オープンウェイトのAIモデルがサイバー攻撃に使われたとき、クローズドモデルとの差はどれだけあるのか。英国のAI Security Instituteが初めて定量的な答えを出した。 4ヶ月から7ヶ月 英国のAI Security Institute(AISI)が7月17日、オープンウェイトモデルのサイバー能力に関する初の公開分析を発表した。AISIは英国科学・イノベーション・技術省傘下の政府系研究機関で、2023年からフロンティアAIモデルのサイバー能力を追跡している。 評価対象はZ.aiのGLM-5.2(2026年6月リリース)とDeepSeekのV4-Pro(同年4月リリース)。いずれもパラメータを公開し、誰でもダウンロード・改変・自前のサーバーで稼働できるオープンウェイトモデルだ。 結論は明快で、これらのモデルは4〜7ヶ月前にリリースされたクローズドモデルと同等のサイバー能力を持つ。AISIが2025年1月〜9月リリースのオープンウェイトモデルを内部評価した時点では6〜10ヶ月あった差が、縮まった。 個別タスクでの比較 AISIのnarrow cyber tasks