岬 徹

テクノロジー分野を中心に2024年からYouTubeで約3,000本の動画を制作。登録者4万5千人超、Xフォロワー1万人超、noteフォロワー千人超。AI、半導体、PC、ゲーム業界について、一次資料やデータを基に分析を続ける。

岬 徹
英バーナム新首相、デジタルIDカード計画を就任初日に廃止へ

英国

英バーナム新首相、デジタルIDカード計画を就任初日に廃止へ

約300万の署名を集めた反対請願、18億ポンドの費用試算、議会からの「失態」批判。前任者が残した不人気政策を切り捨てるバーナム氏には、かつて自分がIDカード推進の当事者だったという過去がある。 スターマーの遺産を断つ アンディ・バーナム(Andy Burnham)新首相が、7月20日月曜日の就任と同時に着手する最初の仕事が見えてきた。 前任のキア・スターマー(Keir Starmer)首相が進めたデジタルIDカード制度の全面廃止。バーナム陣営は7月18日、制度に投じるはずだった予算と人員を生活費対策に振り向ける方針を明らかにした。 廃止でどれだけの財源が浮くかは分かっていない。スターマー政権は制度の予算を明示しなかった。財政責任局(OBR)は3年間で約18億ポンドと試算したが、政府はこの数字を受け入れなかった。 300万署名と2度の撤退 スターマー前首相がデジタルID制度を発表したのは2025年9月25日。不法就労対策として、英国で働くすべての人にデジタルIDの取得を義務づける構想だった。通称「Brit Card」(ブリットカード)と呼ばれたこの制度では、在留資格、氏名

データセンター反対、全米125ヶ所で一斉抗議へ

AI

データセンター反対、全米125ヶ所で一斉抗議へ

AIインフラへの怒りが一つの運動にまとまろうとしている。7月18日、全米同時抗議。散発的だった地域の反発は、選挙を動かす政治勢力に変わりつつある。 ティーパーティーの系譜 7月18日、米国の少なくとも125ヶ所でデータセンター建設に反対する抗議行動が予定されている。全国規模の同時抗議としては初めてで、AI向けインフラの急速な拡大に対する不満を一つの運動にまとめる動きだ。 主催するのはHumansFirst。共同創設者のエイミー・クレマー(Amy Kremer)氏は、複数の団体を通じて2009年のティーパーティー運動を立ち上げた中心人物の一人だ。現在はジョージア州の共和党全国委員を務める。 クレマー氏はデータセンターへの反発は党派を超えていると強調した。11月の中間選挙と2028年の大統領選で重要な争点になると予測し、共和党がビッグテックに甘い対応をしていることも批判した。 だが「超党派」を掲げるHumansFirst自体は、4月17日に保守派の組織化に専念する方針を発表し、非保守系のメンバーは別組織に移行した。「ビッグAIへの懸念は超党派だが、保守派として戦う」というのがク

Plasma 6.8、SteamとDiscordに影と角丸を自動適用

Linux

Plasma 6.8、SteamとDiscordに影と角丸を自動適用

KWinがCSDウィンドウのドロップシャドウと角丸を自動で描画する。System MonitorにはCPUアフィニティ設定が追加された。 影のないウィンドウに影を KDE Plasmaでは、ウィンドウの装飾をコンポジタ(KWin)に委ねるか、自前で描画するかがアプリごとに異なる。GTKアプリの多くはドロップシャドウを自前で描き、QtアプリはKWinに任せる。 問題は「どちらもしない」アプリだ。SteamやDiscordはまさにこれで、Plasmaデスクトップ上で影もアウトラインも角丸もない四角い窓として表示される。デスクトップ全体の統一感が崩れる原因だった。 Plasma 6.8で、KWinの開発者ヴラッド・ザホロドニー(Vlad Zahorodnii)氏がこの問題を解決した。CSD(クライアントサイドデコレーション)でありながらドロップシャドウを描画しないウィンドウを検出し、KWinがドロップシャドウ、アウトライン、角丸を自動で付与する。 技術的には、デコレーションテーマがメタデータで"shadow"と"titled"の2スタイルへの対応を宣言し、KWinがウィンドウの状

40gドローンが飛行中の蛾を撃墜、蚊の根絶へ前進

テクノロジー

40gドローンが飛行中の蛾を撃墜、蚊の根絶へ前進

40gの自律ドローンが、飛行中の蛾をプロペラで叩き落とした。超音波ソナーで羽ばたきのパターンから蚊を識別し、体当たりで仕留める。Y Combinator支援のフランス発スタートアップTornyolが、化学薬品に頼らない蚊の根絶を目指す。 プロペラで蛾を叩き落とす 7月14日、Tornyol共同創業者のアレックス・トゥーサン(Alex Toussaint)氏が映像を公開した。 Extremely excited to announce our first air-to-air kill of a flying moth by an autonomous micro-drone. This is a big step towards completely eradicating mosquitoes. pic.twitter.com/UhtNqwXCQI — Alex Toussaint (@alextoussss) July

Valve、メモリ危機「まだ悪化している」 小売価格に半年の遅延

メモリ危機

Valve、メモリ危機「まだ悪化している」 小売価格に半年の遅延

Steam Machineの生産がメモリ確保量に制限される中、Valveのエンジニアが店頭価格と卸値の断絶を語った。 店頭に並んでいる価格は、もう古い 消費者が店頭で目にしているメモリやSSDの価格は、メーカーが実際に支払っている部品コストを反映していない。Valveのエンジニア、ヤザン・アルデハイヤット(Yazan Aldehayyat)が明かした。 小売の棚に並ぶ製品は、メーカーが数か月前に仕入れた在庫で作られている。現時点の卸値との間には3〜6か月のずれがあり、今すでに高いと感じている価格は「まだましだった頃」の仕入れ値がベースだ。 アルデハイヤット氏はこの状況を端的に表現した。「まだ悪化している」と。 卸値と小売価格のずれが意味すること このタイムラグが意味するのは、今後数か月で消費者が直面する値上げの規模だ。 投資銀行ジェフリーズ(Jefferies)のレポートは、2026年第3四半期にDRAMとNANDの価格が前四半期比40〜50%上昇すると予測している。第4四半期にもさらに30〜40%の上昇が続き、本格的な価格下落は2028年まで見込めないとの見解だ。

Medusa Point、5.4GHzブーストでZen 5を35%超え

AMD

Medusa Point、5.4GHzブーストでZen 5を35%超え

AMD次世代モバイルAPU「Medusa Point」の10コアESが、Geekbench 6でシングルコア3329、マルチコア1万6555を記録した。前回まで2GHz付近に抑えられていたブーストクロックが5.37GHzに達し、Zen 6の性能水準が見え始めている。 初めて5GHz超でブーストした Medusa Pointのエンジニアリングサンプル(ES)がGeekbenchに登場するのは、もう珍しいことではない。3月以降、異なるCPU IDのサンプルが繰り返し姿を見せてきた。今回のCPU ID 100-000001713-33_Nは7月上旬に続く2回目の登場で、評価プラットフォームはAMD Plum-MDS1。10コア/20スレッド、クラスタ構成は4コア+6コアに分かれている。 今回の結果が過去のリークと根本的に異なるのは、クロック速度だ。 3月の初出時にはシングル1210、マルチ7323にとどまっていた。7月上旬に同じ33_Nサンプルが再登場し、シングル3174、マルチ1万5092まで跳ね上がったが、どちらもGeekbenchが報告する最大周波数は2GHz付近だった。

ファンCEOの革ジャン、96万ドルで落札

NVIDIA

ファンCEOの革ジャン、96万ドルで落札

サザビーズのチャリティオークションに出品されたNVIDIA CEOジェンスン・ファンのレザージャケットが、事前見積もりの16倍で落札された。 見積もり4万〜6万ドル、結果96万ドル 7月17日(米国時間)、サザビーズのオンラインオークション「The CEO's Uniform(CEOの制服)」が終了した。出品物は1点だけ。ジェンスン・ファンが着用し、サインを入れたトム・フォードの黒いレザージャケットだ。 ハンマープライス(落札価格)は96万ドル(約1億5600万円)。サザビーズが設定した事前見積もり4万〜6万ドルの16倍に達した。入札者は45人、入札回数は65回。 新品のトム・フォード製レザージャケットは5,000〜9,000ドル程度。2024年のGTC基調講演でファンが着ていたリザード型押しモデルでも約8,990ドルだった。96万ドルはジャケットの値段ではない。 「着用済み」であることの価値 落札品は、2023年10月18日に台北で開催されたHon Hai(鴻海/Foxconn)Tech Dayでファンが着用したもの。鑑定機関のPSA(Professional Spo

Intel元CEO、NVIDIAのGPUを「鼻で笑った」と告白

半導体

Intel元CEO、NVIDIAのGPUを「鼻で笑った」と告白

Intel元CEOのゲルシンガー氏が、NVIDIAへの軽視、株主への1000億ドル還元、10年間の工場未建設というIntelの失敗を率直に語った。 技術者がいない経営の代償 パット・ゲルシンガー氏(Pat Gelsinger)がポッドキャスト「All-In」に出演し、Intel元CEOとして同社がどこで道を誤ったのかを振り返った。 18歳でIntelに入社し、アンドリュー・グローブ(Andy Grove)やゴードン・ムーア(Gordon Moore)のもとで育った。初めてエグゼクティブスタッフに加わったとき、20人中15人が博士号を持つ技術者だったと振り返る。 その文化が途切れたことが問題の始まりだった。技術者出身のリーダーが去り、経営の中枢を財務畑の人材が占めるようになった。2021年にゲルシンガー氏がCEOとして復帰するまで約15年間、Intelのトップに技術者はいなかった。 復帰前の5〜6年間だけで、Intelが配当と自社株買いで株主に返した金額は1000億ドルにのぼるという。「あの1000億ドルがバランスシートにあったら」と同氏は嘆いた。 復帰したとき、Intel

Windows 11、7月更新が届かないDell全10機種が判明

Windows

Windows 11、7月更新が届かないDell全10機種が判明

Microsoftが一部のDell PCへの配信を止めた7月のセキュリティ更新KB5101650について、影響を受ける具体的なモデルが明らかになった。ワークステーションから旧世代のXPSまで、10機種に及ぶ。 業務用の上位モデルが中心 Windows 11の2026年7月セキュリティ更新KB5101650が、一部のDell PCで予期しないシャットダウンや過熱、バッテリー消費の加速を引き起こしている。Intel Innovation Platform Framework(IPF)ドライバとの非互換が原因だ。Microsoftは現地時間7月14日の配信直後にこの問題を認め、該当PCへの配信を停止した。 影響を受けるモデルはこれまで公表されていなかったが、今回、以下の10機種であることが判明した。 KB5101650配信停止の影響を受けるDellモデル モデル型番発売年ワークステーション(新命名規則)Pro Max 14 PremiumMA142502025年Pro Max 16 PremiumMA162502025年Pro Precision 7 14PW7142

Secure Boot証明書移行、OEM12社が疑問に回答

Windows11

Secure Boot証明書移行、OEM12社が疑問に回答

10月の最終期限を前に、IT管理者が抱えていた具体的な疑問に対し、MicrosoftとPC各社が同時に答えた。 12時間のQ&Aが残したもの 7月15日、MicrosoftはTech Community上でOEM Secure Boot Office Hoursを開催した。Acer、ASUS、Cisco、Clevo、Dell、富士通、Honor、HP、Lenovo、LG、Surface、Xiaomiの12社が参加し、太平洋時間の午前7時から午後7時までの12時間にわたってIT管理者の質問を受け付けた。 Secure Boot証明書の2011年チェーンから2023年チェーンへの移行が始まって3週間以上が経過している。Microsoft Corporation KEK CA 2011は6月24日に、Microsoft UEFI CA 2011は6月27日にそれぞれ期限切れを迎えた。残るMicrosoft Windows Production PCA 2011の失効は10月19日。IT管理者にとっては、自分の環境にある全デバイスの移行を完了させるか、少なくとも計画を確定させるまでの猶

CXMT、2027年末までDRAM生産能力が予約済みに

半導体

CXMT、2027年末までDRAM生産能力が予約済みに

Samsung、SK hynix、Micronに次ぐ「第4のDRAMメーカー」として存在感を増す中国CXMTに、大手PCメーカーの発注が殺到している。生産能力は2027年末まで予約で埋まり、中小OEMにはほとんど枠が残っていない。 大手が押さえ、中小が弾かれる CXMTのDRAM生産能力が、2027年末まで予約で埋まった。サプライチェーン筋の情報として報じられている。 割り当てを確保できたのはDell、HP、Appleといった大手PCメーカーに限られる。購入量で交渉力を持つ企業が、過去の水準を上回る価格であっても長期契約を結んでいる。デスクトップやノートPC市場でのプレゼンスが小さいブランドには、ほとんど枠が回っていない。 Samsung、SK hynix、Micronの大手3社がAI向けHBM生産に製造ラインを集中させた結果、汎用DRAMの供給が逼迫している。PC向けメモリの調達先は構造的に細り、CXMTは「代替」ではなく「争奪対象」に変わった。 SK hynixのクァク・ノジョン(Kwak Noh-jung)CEOは7月10日、2027年が供給面で「業界史上最悪の年にな

iFixit、ASUS ROG Flow Z13の修理スコアに異議

修理する権利

iFixit、ASUS ROG Flow Z13の修理スコアに異議

iFixitがフランスの修理スコア満点を自己申告したASUS製品を分解し、7点を付けた。自己申告制の限界が見え始めている。 満点の裏に、はんだがある ASUSが2025年に発売したROG Flow Z13(型番GZ302EA)は、フランスの修理性指数(indice de réparabilité)で10点満点を自己申告している。iFixitがこの製品を分解し、自社基準で7点を付けた。 3点のひらきは、何を重視するかで決まる。 ディスプレイはきれいに外れる。バッテリーは接着剤ではなくネジで固定されており、M.2 SSDもカメラモジュールも、マザーボードを取り外さずにアクセスできる。画面とバッテリーは故障頻度が高い部品であり、交換しやすい構造は実用上の利点が大きい。 ROG Flow Z13 部品別の交換可否 部品交換可否ディスプレイ○バッテリー○M.2 SSD○カメラ○スピーカー△RAM×無線モジュール×外部ポート× ※○=マザーボードを外さずに交換可能 △=他の部品を外す必要あり ×=はんだ付け(マザーボード交換が必要)。iFixitの分解に基づく iF

中国AIトークン消費、2年で1000倍超に 企業内「通貨」化が加速

AI

中国AIトークン消費、2年で1000倍超に 企業内「通貨」化が加速

中国のAIトークン消費量が2年間で1000倍を超えた。トークンは課金単位を超え、企業の生産性指標や国家のKPIにまで膨らんでいる。だが底値競争を仕掛けたDeepSeekが、ピーク時間帯に限り料金を引き上げる。 140兆の衝撃 中国国家データ管理局のリウ・リエホン(劉烈宏)局長が3月23日、中国発展高層フォーラムで数字を公表した。中国国内のAIトークン日間消費量は、2024年初頭の1000億から2025年末に100兆へ、2026年3月には140兆に達している。 トークンとは、AIが情報を処理する最小単位だ。中国ではこれを「詞元(ツーユアン)」と呼ぶ。リウ氏はフォーラムの演説で、トークンを「智能時代の価値のアンカーであり、技術供給と商業需要を結ぶ決済単位」と位置付けた。 2年で1000倍超。AIは実験室を出て、中国経済の日常に食い込んだ。 月間10億トークンでも「普通」 バイトダンスで北京勤務の社員がサウスチャイナ・モーニング・ポストに匿名で語った。月間で約10億トークンを消費しているが、それでも部内の消費ランキングでは上位にすら入らないという。 バイトダンスの火山エンジ

Kimi K3が自己認識で「Claude」と回答 モデル挙動を検証

AI

Kimi K3が自己認識で「Claude」と回答 モデル挙動を検証

Kimi K3に名前を尋ねると、自分はAnthropicのClaudeだと名乗る事例が報告されている。前モデルでも起きた現象であり、2月の告発と合わせて疑念が深まっている。 「あなたの名前は?」に対する想定外の回答 Moonshot AIが7月16日に発表したKimi K3は、2.8兆パラメータのオープンウェイトモデルだ。Arenaのフロントエンドコード評価で1位を獲得し、注目を集めている。 発表の翌日、デニス・ウー(Denise Wu)氏がXにスクリーンショットを投稿した。Kimi K3のチャット画面で、ユーザーが「What's your name?」と尋ねている。返答はこうだった。 There’s a large grain of salt!🧂 Kimi is still calling itself Claude. pic.twitter.com/fiGAPdbJrP — Denise Wu (@denisewu)