岬 徹

テクノロジー分野を中心に2024年からYouTubeで約3,000本の動画を制作。登録者4万5千人超、Xフォロワー1万人超、noteフォロワー千人超。AI、半導体、PC、ゲーム業界について、一次資料やデータを基に分析を続ける。

岬 徹
Microsoft、Mythos対抗のAIセキュリティ製品を準備

AI

Microsoft、Mythos対抗のAIセキュリティ製品を準備

AIが発見する脆弱性の件数が急増するなか、Microsoftが顧客向けの対抗製品を今月にも投入するという。 「Project Perception」の輪郭 MicrosoftがAIを使った脆弱性発見の新製品を準備していることが、The Informationの報道で明らかになった。社内コードネームはProject Perception。今月中にもローンチする可能性があるという。 AnthropicのClaude Mythos Previewと同様に、ソフトウェアの脆弱性を自動で発見・修正する能力を企業に提供する。Mythos PreviewはProject Glasswingを通じて限定公開され、1万件以上の高深刻度の脆弱性を発見してきたが、運用コストの高さが課題とされている。 PerceptionはMicrosoft、OpenAI、AnthropicのAIモデルを組み合わせ、タスクごとに最適なモデルを選ぶモデルルーター方式を採用する。コストを抑えながら同等の能力を実現するのが狙いだ。 価格は未定とされている。 MDASHの延長線上にあるもの この製品がまったく新しい

RTX 50 SUPERの実物がボードパートナーに到着、販売は保留

GPU

RTX 50 SUPERの実物がボードパートナーに到着、販売は保留

NVIDIAのRTX 50 SUPERシリーズが、ボードパートナーの手元に届いた。製品として出荷できる状態にあるが、販売の許可は下りていない。3GB GDDR7メモリの価格がまだ固まらないことが理由だという。 カードは存在する、売れないだけだ 少なくとも1社のNVIDIAのボードパートナーが、RTX 50 SUPERシリーズのカードを受け取ったという。ハードウェアの準備は完了し、内部仕様やプロトタイプの段階はすでに超えている。 にもかかわらず、NVIDIAはボードパートナーに対して販売を許可していない。新たな発売日程も示されていない。 RTX 50 SUPERシリーズは、2025年夏にスペックがリークされて以来、延期と復活を繰り返してきた。CES 2026での発表が期待されたが実現せず、無期限延期が報じられ、一時は計画自体の消滅すら取り沙汰された。2026年6月に入ってリーカーのMEGAsizeGPU氏が「back on track」(軌道に戻った)と投稿し、7月上旬にはSeasonicの電源計算機にRTX 50 SUPERの3モデルが登録された(翌日削除)。 R

習近平がWAICに初登壇、AI国際機構を29カ国で発足

AI

習近平がWAICに初登壇、AI国際機構を29カ国で発足

上海で開幕した世界人工知能大会で、中国はAIガバナンスの国際秩序づくりに名乗りを上げた。米国が3週間前にPax Silicaで35カ国をまとめたばかりのタイミングで、中国は29カ国の署名を集めた。 8年目にして初めての登壇 習近平(シー・ジンピン)国家主席が7月17日、上海で開催された2026世界人工知能大会(WAIC)の開会式で基調講演を行った。2018年の第1回から数えて8年、WAICの歴史で中国の最高指導者が開会式に立つのはこれが初めてだ。過去は祝電を送るか、李強首相が代理出席していた。 演説のタイトルは「Joining Hands to Build a Just and Equitable System For Global AI Governance」(公正で公平なグローバルAIガバナンス体制の共同構築)。AIを蒸気機関や電力の発明と並べ、人類史の転換点に位置づけた。 四つの柱を掲げた。オープンソースの推進と技術共有、安全性の確保と人間による管理、文明間の相互尊重、そして途上国を含むグローバルガバナンスの構築。中でも力を込めたのは、AI分野で「新たな歴史的不正義」を

アムステルダムのデータセンター建設現場で化学物質を使った抗議 XRが関与

AI

アムステルダムのデータセンター建設現場で化学物質を使った抗議 XRが関与

環境活動団体Extinction Rebellionのオランダ支部が、アムステルダムで建設中のMicrosoftデータセンターに化学薬品入りの水風船を投げ込んだ。抗議行動の手段が、プラカードから建造物の物理的な破壊へ踏み込んだ。 水風船に酸を詰めて投擲 現地時間7月15日深夜から16日未明にかけて、Extinction Rebellion(XR)のメンバーがアムステルダム西部ウェストポート地区のデータセンター建設現場を襲った。 XRオランダ支部が16日に公開した声明によると、過酸化水素、酢酸、塩、アクリル絵の具を混ぜた液体を水風船に詰め、フェンス越しに建設現場へ投げ入れた。標的は打設されたばかりの鉄筋コンクリート基礎で、XRは酸がコンクリートを劣化させ、過酸化水素と塩が鉄筋の腐食を加速させると説明している。 作業員のいない深夜を選び、ゴーグルとマスクを着用して実行したという。 実際にどの程度の被害が出たかは分かっていない。オランダ紙NRCによれば、施工会社Pure Data Centres(Pure DC)と緊急対応者は風船が投げ込まれた事実を認めたが、中身には言及しなかっ

AIモデルのバックドア、1時間・100ドルで仕込めたとの報告

AI

AIモデルのバックドア、1時間・100ドルで仕込めたとの報告

オープンウェイトのAIモデルに、わずかな時間とコストでバックドアを埋め込めることが実証された。従来のソフトウェアとは異なり、モデルの中身を検証する手段はまだ存在しない。 10個の訓練データで、コードが汚染された セキュリティ研究者のケイティ・パクストンフィア(Katie Paxton-Fear)氏が、オープンウェイトのAIモデルにバックドアを仕込んだ。所要時間は約1時間、費用は100ドル(約1万6000円)未満。マンチェスター・メトロポリタン大学のサイバーセキュリティ講師であり、コード解析ツールを開発するSemgrepのセキュリティアドボケートでもある同氏は、7月14日に一連の投稿で実験の経緯を公開した。 🧵Can we trust Chinese open weight models? Was a question a lot of people asked after GLM 5.2 was released, scoring very well on coding benchmarks, and suspiciously

Zoom、認証不要のアカウント乗っ取り脆弱性を緊急修正

セキュリティ

Zoom、認証不要のアカウント乗っ取り脆弱性を緊急修正

Zoomが緊急のセキュリティアップデートを公開した。Windows版Zoom Workplaceに見つかった脆弱性は、攻撃者がクリックも認証も必要とせずにアカウントを奪取できる、CVSS 9.8の深刻なものだった。 ネットワーク到達だけで成立する Zoomが現地時間7月14日に公開したセキュリティ速報によると、Windows版Zoom WorkplaceとZoom Workplace VDI Clientに不適切な入力検証の脆弱性が存在する。CVE-2026-53412として登録され、CVSSスコアは9.8。10点満点に近いこの数字の意味を、CVSSベクトルから分解する。 攻撃経路はネットワーク(AV:N)。攻撃の複雑さは低い(AC:L)。権限は不要(PR:N)。ユーザー操作も不要(UI:N)。機密性・完全性・可用性のすべてに高い影響がある。 攻撃者はターゲットのネットワークに到達できれば、パスワードを知らなくても、被害者がリンクをクリックしなくても、アカウントを乗っ取れる。深刻度を決める条件がほぼすべて最悪方向に揃っている。 Zoomは技術的な詳細を公開していない。脆弱性

アセンブリだけでX11サーバーを書いた男のデスクトップ

Linux

アセンブリだけでX11サーバーを書いた男のデスクトップ

ノルウェーの開発者が、x86_64アセンブリで書かれたX11サーバー「Frame」を公開した。外部ライブラリへの依存はゼロ。FirefoxとGIMPが動く環境を、この1人が日常使いしている。 Linuxカーネルの上に、アセンブリだけで積む ゲイル・イーセネ(Geir Isene)氏が7月に公開したFrameは、x86_64アセンブリで書かれたX11ディスプレイサーバーだ。frame.asmという1本のファイルに約2万5000行のアセンブリが収まっている。 Mesa、FreeType、Xlib、libcのいずれにも依存しない。Linuxのシステムコールを直接呼び、DRM/KMS(カーネルのディスプレイ制御インタフェース)とevdev(入力デバイスインタフェース)を介してX11ワイヤプロトコルを実装している。 ビルドはNASMでアセンブルしてリンカで結合するだけ。生成物は単一のスタティックELFバイナリになる。 イーセネ氏はFrameを含む一連のアセンブリ製ツール群をCHasm(CHange to ASMの略)と呼んでいる。ウィンドウマネージャのtile、ターミナルエミュレータ

GPT-5.6 Solで意図しないファイル削除 OpenAIが原因を説明

AI

GPT-5.6 Solで意図しないファイル削除 OpenAIが原因を説明

OpenAIのフラッグシップモデルGPT-5.6 Solが、指示なくユーザーのファイルを削除していた問題で、Codex責任者のティボ・ソティオ氏が原因と対策を公表した。 何が起きたか 7月9日のChatGPT Work公開とGPT-5.6の一般提供開始から数日後、開発者たちが相次いで被害を報告した。 OthersideAI CEOのマット・シューマー(Matt Shumer)氏は7月10日、GPT-5.6 Solが自分のMacのファイルをほぼすべて削除したと投稿した。シューマー氏はOpenAIチームの招待でUltraモード(複数のサブエージェントが長時間タスクを並列処理する高自律構成)をテストしていた。フルアクセスを許可して81分後、ホームディレクトリの大半が消えていた。 GPT-5.6-Sol just accidentally deleted almost ALL of my Mac’s files. And this is why I trust Fable 1000x

Netflix、約300作品で生成AIを使用と初公表

Netflix

Netflix、約300作品で生成AIを使用と初公表

映像作品のどこにAIが使われているか、Netflixは一度も明かしたことがなかった。その沈黙が、決算報告で破られた。 「約300」という数字が持つ重み Netflixは現地時間7月16日に公表した2026年第2四半期の株主向けレターで、約300作品に生成AIワークフローを使用したと明らかにした。2026年に入ってからの数字で、利用の大半はポストプロダクションに集中している。 Netflixは自社作品のAI使用件数をこれまで一度も出していない。個別の作品でAIが使われたという報道はあったが、何本に、どの工程で、どの程度のAIが入っているかをNetflix自身が語ったのは今回が初めてだ。 具体例として挙がったのは3作品。インドのスポーツスリラー「Glory/グローリー」、ブラジルのサッカーミニシリーズ「Brasil 70: A Saga do Tri」、そして米国の独立戦争を扱うドキュメンタリーシリーズ「The American Experiment」。いずれも群衆の増強、歴史的な戦闘シーン、世界観の導入ショットなど、「高度に複雑なシークエンス」にAIが投入された。 決算説明会

米国CD販売が前年比16%増、レコードの7倍のペースで急伸

音楽

米国CD販売が前年比16%増、レコードの7倍のペースで急伸

2026年上半期、米国でCDが1630万枚売れた。買った人の半数はCDプレイヤーを持っていない。 再生しない人が買っている 音楽データ会社ルミネイトが7月15日に公開した2026年中間レポートで、米国のCD販売が前年比16%増の1630万枚に達したことがわかった。同期間のレコード販売の伸び率は2.4%にとどまり、CDはレコードの約7倍の速度で成長している。 この数字を引っ張ったのはK-popだ。BTSの『ARIRANG』は上半期だけで56万7000枚、エンハイプン(ENHYPEN)の『The Sin: Vanish』が28万6400枚、エイティーズ(ATEEZ)の『Golden Hour: Part 4』が26万3000枚を売り上げた。K-popを除いても、CD販売は6.7%伸びている。レコードの2.4%を上回るペースだ。 Z世代とミレニアル世代のCD購入者のおよそ半数は、再生する手段を持たないまま購入している。 「聴くもの」から「持つもの」へ CDは再生するために買うもの、という前提が崩れている。ルミネイトのレポートによると、CDは「手頃な価格のコレクターズアイテム」

Microsoft、Windows更新の用語混乱を認め公式整理文書公開

Windows 11

Microsoft、Windows更新の用語混乱を認め公式整理文書公開

Microsoftが、Windows更新プログラムの用語が混乱してきたことを認めた。種類ごとの定義を公式文書で統合整理し、今後の命名方針を示している。 用語が揃わないまま走り続けた更新体系 Microsoftのコミュニケーション部門シニアディレクター、クリス・モリッシー(Chris Morrissey)氏が7月9日、Windows IT Proブログに説明文書を公開した。同じ更新プログラムを「Bリリース」「品質更新」「セキュリティ更新」「月例累積更新」「LCU」(Latest Cumulative Update=最新累積更新)と5通りに呼ぶ人がいる。この混乱を、Microsoft自身が認めた格好だ。 背景にあるのは、Windowsの更新体系がここ数年で急速に枝分かれした事情だ。従来の月例セキュリティ更新と年次機能更新という二本柱に、ホットパッチ、CFR(Controlled Feature Rollout=段階的機能ロールアウト)、帯域外更新が加わった。呼び名はメディア、管理者、ツールの間でバラバラで、Microsoft自身のドキュメントにすら揺れがあった。 今回の文書は、そ

Amazonの新刊、過半数がAI製と判定される

Amazon

Amazonの新刊、過半数がAI製と判定される

Amazonで電子書籍の新刊が月30万タイトルを超えた。3年前の3倍。経済学の研究はその過半数にAIの痕跡があると示したが、購入者がそれを知る手段は今のところない。 月10万から30万へ コーネル大学のイムケ・ライマース(Imke Reimers)氏とミネソタ大学のジョエル・ウォルドフォーゲル(Joel Waldfogel)氏が、2020年から2025年にかけてAmazonで出版された電子書籍約1,000万タイトルを母集団とする調査を発表した。全米経済研究所(NBER)のワーキングペーパーとして2026年1月に公開され、5月に改訂されている。 Amazonで毎月リリースされる電子書籍は、2020年から2022年にかけて約10万タイトルで推移していた。ChatGPTが公開された2022年11月を境に増加に転じ、2025年末には月30万タイトルを突破。3年で約3倍に膨れ上がった。 増加分の正体を突き止めるため、研究チームは約5万7,000タイトルからサンプルを抽出し、AI検出ツールにかけた。結果、AI含有率は2022年までほぼゼロ、2023年に30%、2024年に45%と上昇し、

OpenAI、70ドルのChatGPTバスケットボールを発売

AI

OpenAI、70ドルのChatGPTバスケットボールを発売

AI企業のTシャツがeBayで250ドルで取引される時代に、OpenAIが公式グッズストアを一般に開放した。70ドルのバスケットボールから175ドルのハーフジップまで、ラインナップは妙に充実している。 ゴムのボールに70ドル OpenAIの公式グッズストア「Supply Co.」に、ChatGPTロゴ入りバスケットボールが並んでいる。サイズ7、素材はラバー100%、価格は70ドル。 商品説明には「Pause. Play. Prompt.キャンペーンから生まれた、創造性はスクリーンの中だけにあるわけではないという呼びかけを形にしたもの」とある。この「Pause. Play. Prompt.」なるキャンペーンの痕跡はOpenAIのサイト上にほかに見当たらない。AIの前でちょっと立ち止まって体を動かせ、という趣旨らしい。 ゴム製バスケットボールの市場価格は15ドルから30ドル程度だ。ChatGPTのロゴが載ると、その2倍以上になる。 バスケットボールだけではない。筆記体で「research」(研究)と刺繍された175ドルのハーフジップ。100ドルのCodexパーカー。40ドルの「

Google Vids、自分そっくりのAIアバターで動画出演が可能に

Google

Google Vids、自分そっくりのAIアバターで動画出演が可能に

Googleが業務向け動画ツールGoogle Vidsに、自分の顔と声を再現するパーソナルアバターと、自然言語で動画を生成・編集できるGemini Omniを同時投入した。Soraが消えたAI動画市場で、主戦場が移り始めている。 Workspace発の動画ツールが変わる Googleは7月16日(米太平洋時間)、Google Vidsに2つの大型機能を追加した。パーソナルアバターと、マルチモーダルAIモデルGemini Omniの統合だ。 パーソナルアバターは、セルフィー1枚と短い音声録音をアップロードするだけで、本人の外見と声を持つデジタルアバターを生成する機能だ。テキストを入力すればアバターが読み上げる。カメラの前に座る必要がない。 もう一方のGemini Omniは、5月のGoogle I/Oで発表されたマルチモーダルモデルだ。テキスト・画像・音声・動画を混ぜた入力から動画を生成できる。Google Vidsではテキストプロンプトに参考画像を添えて動画を起こせるほか、撮影済みの動画に対して「背景を差し替えて」「照明を直して」と自然言語で指示し、段階的に編集できるようにな