岬 徹

テクノロジー分野を中心に2024年からYouTubeで約3,000本の動画を制作。登録者4万5千人超、Xフォロワー1万人超、noteフォロワー千人超。AI、半導体、PC、ゲーム業界について、一次資料やデータを基に分析を続ける。

岬 徹
IBM株25%暴落、115年の歴史で最悪の1日を記録

テクノロジー

IBM株25%暴落、115年の歴史で最悪の1日を記録

IBMが決算発表の1週間前に暫定業績を開示し、株価は1日で25%超下落した。1987年のブラックマンデーを超える、創業以来最大の急落。 正式発表を待てなかった IBMのアービンド・クリシュナ(Arvind Krishna)CEOが現地時間7月14日、投資家向けの書簡を公開した。正式な第2四半期決算は7月22日に予定されているが、それを待たず暫定業績を開示した。 通常、企業がこの種の事前開示に踏み切るのは、市場の予想と実態の乖離が大きすぎて黙っていられないときだ。 暫定売上高は172億ドルで、前年同期比1%増。ウォール街の予想(約179億ドル)を約7億ドル下回った。調整後1株利益は2.93ドルで、予想の3.01〜3.02ドルに届かなかった。 事業別ではソフトウェアが5%増、コンサルティングが横ばい。インフラ部門は7%減だった。 IBM暫定Q2業績:予想との乖離 予想実績差異売上高約179億ドル172億ドル-7億ドル調整後EPS3.01〜3.02ドル2.93ドル-0.08ドルインフラ売上1桁台の減少-7%予想以上の悪化 ※暫定値。正式決算は7月22日に発表予定。

ニューヨーク州、全米初のデータセンター建設凍結を発動 行政命令で即時発効

データセンター

ニューヨーク州、全米初のデータセンター建設凍結を発動 行政命令で即時発効

ニューヨーク州のホークル知事が、50メガワット以上のデータセンター新設を最長1年間凍結する行政命令に署名した。州単位のモラトリアムは全米初。 法案ではなく、行政命令 ニューヨーク州のキャシー・ホークル(Kathy Hochul)知事は7月14日、大規模データセンターの新規建設を最長1年間凍結する行政命令第62号に署名した。50メガワット以上の電力を消費するデータセンターが対象で、州の環境保全局は、審査が完了していない許認可の発行を一時停止する。 州単位でデータセンターの建設凍結を実行したのは、全米でニューヨーク州が初めてとなる。 注目すべきは、ホークル氏が選んだ手段だ。ニューヨーク州議会は6月4日、20メガワット以上を対象とする「責任あるデータセンター開発法」(S10642)を上院44対16、下院102対39で可決していた。州議会を通過したこの法案に署名すれば、モラトリアムは立法として成立する。 ホークル氏はそうしなかった。知事室は法案を「複雑で、議会との追加作業が必要」と説明し、代わりに行政命令を選択した。行政命令なら署名した瞬間から効力が発生する。議会法案の署名・施行を

Anthropic新CM「難しい問いに希望がある」に批判、墓地映像にアルトマン氏も反応

Anthropic

Anthropic新CM「難しい問いに希望がある」に批判、墓地映像にアルトマン氏も反応

Anthropicの新広告が、AI業界が自ら提起した問いに自ら答えられるのかという疑問を呼んでいる。 燃える家で始まるCM Anthropicが7月9日に公開した映像は、広告としては異例の入り方をする。 画面に映るのは燃え上がる家屋。続いて、顔認識で群衆をスキャンする監視映像、路上で眠る人、鉱山で働く労働者、そして整然と並ぶ墓石。ナレーションで複数の声が重なる。「AIは信頼できるのか」「歯止めが必要になったら、誰がかけるのか」 映像の最後に文字が浮かぶ。 There's hope in hard questions (難しい問いに希望がある)。 広告代理店Mother Londonが制作したこの映像は、Anthropicの「Inviting hard questions」キャンペーン(難しい問いを歓迎する)の一部だ。一般からAIに関する疑問を募る専用サイトを開設し、寄せられた問いに対する取り組みを公開で追跡すると約束している。 Anthropicは公益法人(Public Benefit Corporation)としての立場を前面に出している。事前に米国で5万2000人を対

xAI、無許可ガスタービン59基を設置 公表の倍以上と判明

AI

xAI、無許可ガスタービン59基を設置 公表の倍以上と判明

メンフィス近郊で稼働するxAIのデータセンター用発電施設の規模が、これまでの公表値を大幅に上回っていた。許可なく設置されたタービンから出る汚染物質が、周辺の黒人コミュニティの健康を脅かしている。 「27基」ではなかった xAI(現SpaceXAI)がテネシー州メンフィスのデータセンター「Colossus 2」用に設置した無許可の天然ガスタービンが59基に達していたことが、Reutersの調査報道で判明した。xAIは今年1月時点で「27基を無許可で稼働中」と認めていたが、実数はその倍以上だった。 根拠は、Reutersが情報公開請求で入手したメール記録だ。xAI側コンサルタントとミシシッピ州環境品質局(MDEQ)のやり取りが残されている。うち57基以上がミシシッピ州サウスヘブンに設置されており、データセンター本体があるテネシー州との州境をまたぐ形で運用されている。残る2基は別の場所にあり、Reutersは所在を特定できなかったとしている。 Colossus 2はAIチャットボット「Grok」の訓練と推論を担う施設だ。送電網への接続には数年かかりうるため、xAIは自前のガスタービ

Xの新ランキングアルゴリズム、返信欄の対立増加との関連を検証

X

Xの新ランキングアルゴリズム、返信欄の対立増加との関連を検証

Xがアルゴリズムから相互フォローのデータが抜け落ちていたと認め、修正を始めた。見知らぬアカウントで埋まるリプライ欄は、設計ミスの産物だった。 「友人が消えていた」のはバグだった Xの製品責任者ニキータ・ビア(Nikita Bier)氏が現地時間7月13日、アルゴリズムの調整を発表した。相互フォロー(互いにフォローし合っているユーザー)の投稿がリプライ欄で優先的に表示されるようになる。 We're rolling out a small tweak to boost visibility of your posts to your mutuals (people who you follow back). We noticed this data was missing from the algo and it made your

Windows 11の検索、Bing広告とMSNコンテンツを一掃へ

Windows11

Windows 11の検索、Bing広告とMSNコンテンツを一掃へ

Windowsサーチから「今日の画像」やトレンド検索、スポンサー広告が消える。ウェブ検索とMicrosoftストアの候補は設定のトグルで切れるようになり、ローカル優先の検索が戻ってくる。 レジストリ編集から、トグル1つへ Windowsサーチのウェブ検索を切りたければ、レジストリエディターを開いてHKEY_CURRENT_USER\Software\Policies\Microsoft\Windows\ExplorerにDisableSearchBoxSuggestionsというキーを作り、値を1にして再起動する。Windows 11が発売されて以来、この手順は日本語の技術系ブログやYouTubeで何度も紹介されてきた。手順を間違えればシステムに影響が出るリスクがあり、Windows Updateのたびに設定が初期化されるという報告も絶えなかった。 Microsoftは現地時間7月13日、Windowsサーチ全体の大幅な刷新を発表した。ウェブ検索のオン/オフを設定画面のトグルで切り替えられるようにする改善も含まれる。対象はWindows Insider ProgramのExpe

iOS 27パブリックベータ公開、Siri AIが一般ユーザーの手に届く

Apple

iOS 27パブリックベータ公開、Siri AIが一般ユーザーの手に届く

WWDC 2026で発表されたSiri AIを、開発者でなくても試せるようになった。派手な新機能より土台の修復に振ったiOS 27の実力も、いよいよ検証が始まる。 Siri AIに触れる方法と、触れられない人 Appleは現地時間7月13日、iOS 27、iPadOS 27、macOS 27 Golden Gate、watchOS 27、tvOS 27、visionOS 27のパブリックベータを公開した。Apple Beta Software Programに登録すれば、開発者アカウントなしでインストールできる。パブリックベータの内容は、開発者向けに7月6日に配布されたbeta 3と同一だ。 目玉はSiri AIだが、使えるiPhoneには条件がある。 iOS 27自体はiPhone 11以降に対応するが、Siri AIの利用にはApple Intelligence対応機種、つまりiPhone 15 Pro以降が必要になる。 さらに上の階層がある。Expressive Voices(感情豊かな音声)や強化版ディクテーションといった高度な機能は12GBのメモリを要求するとされ

Grok Buildが開発者のGitリポジトリを丸ごとアップロードしていた問題、マスク氏が全データ削除を表明

Grok

Grok Buildが開発者のGitリポジトリを丸ごとアップロードしていた問題、マスク氏が全データ削除を表明

SpaceXAIのAIコーディングエージェント「Grok Build」のCLIが、開発者のGitリポジトリをコード履歴ごとGoogle Cloudにアップロードしていたことがセキュリティ研究者の通信解析で判明した。マスク氏はこれまでにアップロードされた全ユーザーデータの削除を表明している。 通信解析で判明したデータ転送の実態 セキュリティ研究者のcereblab氏が現地時間7月12日、Grok Build CLI(バージョン0.2.93)の通信をmitmproxy(通信傍受ツール)で解析した結果をGitHub Gistで公開した。 Grok Buildが読み込んだファイルの中身は、APIキーやデータベースパスワードが入った.envファイル(環境変数を格納する設定ファイル)ごと、そのままSpaceXAIのサーバーへ送信されていた。cereblab氏が仕込んだダミーの認証情報は、推論用の通信にもセッション保存用の通信にも無加工のまま記録されていた。 さらに、エージェントが実際に読んだファイルとは関係なく、Gitリポジトリ全体がGit bundle(リポジトリのスナップショット)と

Samsung Health、AI学習拒否なら健康データ削除と通告

Samsung

Samsung Health、AI学習拒否なら健康データ削除と通告

Samsung Healthアプリが、健康データのAI学習への提供に同意するか、蓄積したデータを失うかの二択をユーザーに迫り始めた。Galaxy Watch 9の発表を目前に控えたタイミングでの変更に、批判が広がっている。 同意しなければ、データは消える Samsung Healthアプリを開くと、一部のユーザーに新しい通知が表示されるようになった。タイトルは「Consent to the Use of Health Data for AI Training and Modelling」(健康データのAI学習およびモデリングへの利用に関する同意)。 設定画面の「プライバシー」メニューに追加されたこのトグルをオフにしようとすると、警告が現れる。 Samsungアカウントとの健康データの同期ができなくなり、法令で保持が求められている場合を除き、健康データは削除されます。保持が求められている場合でも、必要な保持期間の終了後、速やかに消去します。 AI学習への同意を撤回すれば、クラウドに保存された睡眠記録や運動履歴、服薬情報、月経周期のデータはすべて消える。端末のローカルデータは残

Claudeの「性格」はモデルと言語で変わる、Anthropicが実証

AI

Claudeの「性格」はモデルと言語で変わる、Anthropicが実証

Anthropicが自社AI・Claudeの応答に現れる価値観を、モデル別・言語別に定量測定した。 3300の価値観を4本の軸に圧縮する 同じ質問でも、使うモデルが違えばClaudeの答えの「質感」が変わる。話す言語が変われば、さらに変わる。Anthropicの研究チームがこの直感を数字で裏づけた。 7月13日に公開された研究は、Claude.aiの匿名化された30万9815件の会話を対象にしている。分析にはAnthropicが開発したプライバシー保護型の分析ツール「Clio」(会話データから個人情報を除去したうえでパターンを抽出するシステム)を使い、助言や相談といった主観的なタスクに絞って、Claudeの応答にどんな価値観が現れるかを測った。 ベースになったのは、2025年4月に発表した先行研究「Values in the Wild」(実環境での価値観)だ。70万件の会話から3000以上の価値観を特定したが、数が多すぎて比較には使えなかった。今回はその3307の価値観を手作業で339のカテゴリにまとめ、次元削減という統計手法で4本の軸に圧縮した。 配慮(Deference

日本交通にサイバー攻撃 電話配車停止、GOアプリは継続稼働

セキュリティ

日本交通にサイバー攻撃 電話配車停止、GOアプリは継続稼働

タクシー最大手の日本交通がマルウェア感染で配車システムを停止した。電話もWEB予約も使えない中、動いたのはアプリだけだった。 7月11日未明、システム侵入 日本交通は7月13日、社内システムが外部からの不正アクセスを受け、マルウェアに感染したと発表した。侵入は7月11日(土)未明に発生し、検知後すぐにシステムを遮断。外部のセキュリティ専門機関と連携して調査を進めている。 停止したのは、電話によるタクシー配車、ハイヤーのWEB受注・予約管理システム、そして一部の社内システムだ。7月14日時点で復旧していない。 日本交通はタクシー8558台、ハイヤー2016台を運行し、従業員は提携先を含め1万8228人を擁する。グループ売上は業務提携会社込みで1554億円(2025年5月期)にのぼり、国内タクシー・ハイヤー業界で最大の事業者だ。 データの漏洩は現時点で確認されていない。日本交通は、漏洩が判明すれば個別に通知するとしている。犯行声明を出した攻撃グループはない。 同社は利用者に対し、日本交通を装った不審メールの添付ファイルやリンクを開かないよう注意を促した。 出産間近の利用者

ナデラCEO「AIの代価は2回払う」、企業データ主権を警告

AI

ナデラCEO「AIの代価は2回払う」、企業データ主権を警告

MicrosoftのナデラCEOが、クローズドAIモデルに依存する企業のデータ流出リスクを自身のブログで警告した。 「知識を差し出さなければ使えない」 Microsoftのサティア・ナデラ(Satya Nadella)会長兼CEOが現地時間7月12日、個人ブログに「The Reverse Information Paradox」(逆情報パラドックス)と題した記事を投稿した。 The Reverse Information ParadoxI’ve been thinking a lot about what the net benefit of the AI platform wave is.Satya NadellaSatya Nadella ノーベル経済学賞を受賞したケネス・アロー(Kenneth Arrow)が1962年の論文で指摘した「情報のパラドックス」は、情報の売り手が抱える矛盾だ。買い手は情報の価値を知るために中身を見る必要があるが、見た時点で対価なしに手に入れてしまう。60年以上にわたり、リスクは常に売り手にあった。

GRU将校の実名暴露、日本が「スパイの楽園」と報じられた全容

ロシア

GRU将校の実名暴露、日本が「スパイの楽園」と報じられた全容

ロシア軍の情報機関が東京を拠点に日本の先端技術を調達し、ウクライナへの攻撃に使われる兵器に流していた実態が、米紙の調査報道で明らかになった。 警察庁から徒歩10分のオフィス ニューヨーク・タイムズが現地時間7月12日に公開した調査報道は、5カ国の現・元情報機関関係者への取材に基づいている。報道によれば、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)内部でも存在があまり知られていない秘密部門「第20局」が東京で活動を展開し、外交官やビジネスマンを装った将校が電子部品や工作機械を調達し、第三国を経由してロシアへ搬出していた。 活動の中心にいたとされるのが、マクシム・フィルチェンコフ(Maksim Vladimirovich Filchenkov)氏。49歳のGRU将校で、2024年2月に東京へ赴任した。公式にはロシア国営航空アエロフロートの従業員として勤務している。活動拠点は東京都心のアエロフロート事務所で、日本の警察庁本庁舎から徒歩約10分の場所にある。 ロシアとソ連の情報機関がアエロフロートのポストを偽装に利用する手法は、ソ連時代から続く慣行だ。 調査報道メディアのThe Inside

Firefox、リリースサイクルを4週間から2週間に短縮へ

ブラウザ

Firefox、リリースサイクルを4週間から2週間に短縮へ

Mozillaが9月からFirefoxのリリース間隔を半減させる。Chrome、Edgeに続く動きで、主要ブラウザが一斉に加速する。 「実験」として始まる Mozillaのシルヴェストル・ルドリュ(Sylvestre Ledru)エンジニアリングディレクターが7月9日、開発者向けメーリングリストdev-platformに投稿した。Firefox DesktopとAndroidのリリースサイクルを現行の4週間から2週間に変更し、2026年9月から適用する。 Mozilla自身がこの変更を「実験」と呼んでいる。Firefox 155を9月1日にリリースする予定で、従来のスケジュールでは9月15日だった日程を2週間前倒しする形になる。 全作業を倍速で出荷するという意味ではない。準備できていないものは急がない。機能が必要な時間をかけて成熟する余地は残す(ルドリュ氏のdev-platformへの投稿) ルドリュ氏は目的を2つ挙げている。リリースプロセスの予測可能性を高めることと、アップリフト(緊急修正を既存リリースへ反映する作業)への圧力を減らすことだ。リリース頻度が上がれば各リリー