岬 徹

テクノロジー分野を中心に2024年からYouTubeで約3,000本の動画を制作。登録者4万5千人超、Xフォロワー1万人超、noteフォロワー千人超。AI、半導体、PC、ゲーム業界について、一次資料やデータを基に分析を続ける。

岬 徹
世界スマホ出荷Q2は11%減、13年ぶり低水準でAppleが過去最高シェア

スマートフォン

世界スマホ出荷Q2は11%減、13年ぶり低水準でAppleが過去最高シェア

メモリ危機が予測の段階を超えた。2026年第2四半期、世界のスマートフォン出荷台数は2013年以来の低水準に沈んだ。 「勝者」と「敗者」が分かれた四半期 Counterpoint Researchが7月13日に発表した速報値で、2026年4〜6月期の世界スマートフォン出荷台数は前年同期比11%減となった。第2四半期としては2013年以来の最低水準になる。 原因はこれまで繰り返し指摘されてきたメモリ不足だが、今回のデータで見えるのは、同じ危機の中で勝ち組と負け組がはっきり分かれたことだ。 サムスンが首位を奪還した。シェアは24%で、トップ5中で最も高い前年同期比成長率を記録した。 Galaxy S26シリーズが牽引し、インドと中東では値上げを抑えた戦略と夏のプロモーションが奏功した。中でもGalaxy S26 UltraはプライバシーディスプレイとオンデバイスAIへの関心が高く、プレミアム帯の需要をつかんでいる。 Appleはシェア20%で2位につけた。第2四半期としては過去最高で、出荷は前年同期比3%増えている。主要メーカーで唯一値上げをしておらず、メモリ価格の上昇分を自

Meta、ルイジアナ州のデータセンターに500億ドル超を投資へ

AI

Meta、ルイジアナ州のデータセンターに500億ドル超を投資へ

Metaがルイジアナ州リッチランド郡で建設中のデータセンター「Hyperion(ハイペリオン)」に追加で400億ドルを投じ、投資額を500億ドル(約8兆1000億円)超に引き上げる。18カ月前は100億ドルだった予算が、5倍に膨れた。 18カ月で5倍に膨らんだ予算 Metaは現地時間7月13日、ルイジアナ州リッチランド郡のHyperionデータセンターの計算能力を5GWに拡張し、投資額を500億ドル超に引き上げると発表した。 2024年12月の着工時、予算は100億ドルで計算能力は2GW超を計画していた。2025年7月にマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏がFacebookの投稿で「数年かけて5GWに拡張する」と表明。同年10月にはBlue Owl Capital(ブルー・アウル・キャピタル)とのジョイントベンチャーが発表され、建設費は270億ドルに跳ね上がった。そして今回、500億ドル超。 Hyperion投資額の推移 2024年12月着工、予算100億ドル計算能力2GW超を計画2025年7月5GW拡張を表明ザッカーバーグ氏がFaceboo

任天堂がSwitch 2のOLEDモデル検討、2028年量産の可能性

ゲーム

任天堂がSwitch 2のOLEDモデル検討、2028年量産の可能性

Switch 2にOLEDモデルが加わる可能性が浮上した。年内に開発判断が下され、最速で2028年初頭の量産が視野に入るが、部品コスト高騰の中で採算の確保が最大の課題になっている。 FHDリジッドOLED、年内に開発判断か 任天堂がSwitch 2シリーズにOLEDディスプレイを搭載した新モデルの投入を検討していると、韓国メディアZDNet Koreaが7月13日に報じた。韓国ディスプレイ業界の関係者3人の証言に基づく報道で、検討段階の計画として複数の具体的な情報が出ている。 関係者の一人によると、検討されているのはリジッドOLED(ガラス基板を使った非屈曲型)のパネルで、解像度は1920×1080(FHD)。初代Switch(有機ELモデル)の1280×720(HD)からの引き上げだ。この計画が承認された場合、年内に開発に着手し、早ければ2027年末から2028年初頭に量産体制に入る見通しだという。 一方、別の関係者はより慎重だ。リジッドOLEDの採用自体は検討中だが、LCDとの価格差が大きく、Switch 2 OLEDの発売はまだ確定していないという。 パネル供給の候補

蒸留攻撃で年間60億ドル損失か、米AI大手が政府全体に警告

AI

蒸留攻撃で年間60億ドル損失か、米AI大手が政府全体に警告

中国AI企業による蒸留攻撃の経済的被害が初めて具体的な数字として報じられた。AnthropicとOpenAIは、トランプ政権と議会に対策を繰り返し求めている。 9か月分のリードが消えている 蒸留攻撃で米国のAIラボが被る損害は年間最大60億ドル(約9700億円)に達する。ブルームバーグが7月13日に米国当局の推定として報じた。シリコンバレーはトランプ政権に対し「存亡の危機になりかねない」と警告しているという。 ニューヨーク・ポストも同日、Anthropicに近い情報筋の発言を伝えた。現在、中国のフロンティアモデルは米国の約6〜9か月遅れとされるが、蒸留がなければその差は18か月以上に広がるとの見方だ。蒸留が9か月以上の差を埋めている。 蒸留(distillation)とは、高性能なAIモデルに大量の質問を投げ、その応答を使って別のモデルを訓練する手法だ。自社モデルの小型化など正当な用途で広く使われるが、競合の許可なくこれを行えば、数十億ドルをかけた研究開発の成果を安価に複製できる。 中国のAIモデルは数字の上でも米国に迫っている。利用者数の上位10モデルのうち6つが中国企業

経済学者200人超がAI雇用リスクで共同声明、ノーベル賞受賞者16人も署名

AI

経済学者200人超がAI雇用リスクで共同声明、ノーベル賞受賞者16人も署名

AIの経済的影響に備えるべきだと、200人超の経済学者・AI研究者が共同声明を発表した。AI懐疑派として知られるノーベル賞受賞者も名を連ねている。 楽観派と懐疑派が同じ紙に名前を書いた スタンフォード大学デジタル経済研究所のエリック・ブリニョルフソン(Erik Brynjolfsson)氏らが7月13日、「We Must Act Now」(今すぐ行動しなければならない)と題する共同声明を発表した。署名者は200人を超え、ノーベル経済学賞受賞者16人が含まれる。 声明は、AIが今後10年で飛躍的に強力になる可能性があり、大規模な雇用の喪失を含むリスクと、生活水準の向上という機会の両方をもたらしうると訴えている。その影響は産業革命より大きくなりうるが、かかる時間はけた違いに短い、と警告する。 署名者の顔ぶれが、この声明の意味を物語っている。 ブリニョルフソン氏は、AIが若年層の雇用を縮小させているという実証データを積み上げてきた研究者だ。一方、共同署名者の一人であるMITのダロン・アセモグル(Daron Acemoglu)氏は、シリコンバレーが喧伝するほどAIの変革は急速ではな

EU、13歳未満のSNS利用制限へ 夏以降に立法提案

EU

EU、13歳未満のSNS利用制限へ 夏以降に立法提案

EUが全面禁止ではなく「段階的アクセス」を選んだ。安全性の証明はプラットフォーム企業が負う。 専門家パネルが報告書を提出 フォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen)欧州委員長が設置した子どものオンライン安全に関する専門家パネルが7月13日、最終報告書を提出した。2025年9月の施政方針演説で設置が決まり、共同議長にはウルム大学児童青年精神科のイェルク・フェーゲルト(Jörg Fegert)教授とフランス国立衛生医学研究所のマリア・メルシオール(Maria Melchior)氏が就いた。医療・神経科学・心理学・ITの専門家と若者の代表が3回の会合を重ね、提言をまとめた。 報告書の柱は年齢区分ごとのアクセス制限だ。3歳未満はスクリーンそのものを使わせない。3〜12歳は、保護者や教師の監督のもとで、年齢に適したサービスに限って利用を認める。13〜18歳には、安全機能が備わったプラットフォーム上で「段階的な自律利用」(evolving autonomous use)を許可する。 全面的なプラットフォーム禁止は勧告しなかった。 報告書が繰り返し強調したのは、立

ロシアFSBのルーター侵入に13カ国19機関が共同勧告、英EUは制裁発動

セキュリティ

ロシアFSBのルーター侵入に13カ国19機関が共同勧告、英EUは制裁発動

米英など13カ国のサイバーセキュリティ当局19機関が、ロシア連邦保安庁(FSB)第16センターによるルーター侵入について共同勧告を出した。突かれたのは高度な脆弱性ではなく、初期設定のまま放置された機器。英国とEUは制裁と攻撃の名指しを重ねた。 19機関が名指しした「第16センター」 NSA、CISA、FBIをはじめ、英国、オーストラリア、カナダ、ポーランド、エストニアなど13カ国の19機関が2026年7月13日、共同のサイバーセキュリティ勧告を公開した。相手はFSB第16センター。セキュリティ業界がBerserk Bear、Energetic Bear、Dragonfly、Ghost Blizzard、Static Tundraなどの名前で10年以上追跡してきた集団と同一の活動だとしている。 手口の入口はSNMP(ルーターなどのネットワーク機器を遠隔で監視・管理するプロトコル)だ。攻撃側はインターネット全体をスキャンし、初期値のまま、または推測しやすいコミュニティストリング(SNMPv1/v2で認証パスワードの役割を果たす文字列)を受け付ける機器を探す。 見つけた機器には、送

Linux 7.2-rc3公開、RISC-V新SoC対応とセキュリティ強化

Linux

Linux 7.2-rc3公開、RISC-V新SoC対応とセキュリティ強化

リーナス・トーバルズがLinux 7.2の3回目のリリース候補を公開した。開発は順調で、8月の安定版に向けて目立った問題は出ていない。RISC-V向け新SoCのデフォルト対応やドライバ脆弱性の修正など、多岐にわたるパッチが入った。 「怖いものは特にない」 トーバルズ氏(Linus Torvalds)は現地時間7月12日、Linux 7.2-rc3のリリースを発表した。添えられたコメントは短い。 Nothing looks particularly scary or strange.(怖いものも奇妙なものも特にない) コミット率はやや高めの状態が続いているが、夏休みに入る開発者が増え、多少バランスが取れているという。AIツールの普及でパッチ投稿量が増えた「new normal」(新しい常態)は7.0から続いており、7.2サイクルも変わらない。 変更の約半分はドライバ関連で、GPUとネットワーキングが中心。残りはファイルシステム、ドキュメント、コアカーネル、アーキテクチャ、ツール類と広く分散している。 UltraRISC RISC-Vがデフォルトカーネル構成に入る rc3

FCC、太陽光反射衛星Earendil-1を承認。鏡の影響は「管轄外」

宇宙

FCC、太陽光反射衛星Earendil-1を承認。鏡の影響は「管轄外」

夜の地上へ太陽光を反射する衛星Earendil-1の打ち上げを、米連邦通信委員会が7月9日に承認した。審査したのは無線通信と宇宙ゴミ対策だけで、巨大な鏡そのものを審査した機関はどこにもない。承認の8日前、天文学界はこの構想の影響を数字で示していた。 夜に太陽光を売る会社 米連邦通信委員会(FCC)は現地時間7月9日、カリフォルニアのスタートアップReflect Orbital(リフレクト・オービタル)に対し、実証衛星「Earendil-1(エアレンディル1号)」の打ち上げと運用を認可した。18m四方の薄膜反射鏡を軌道上で広げ、夜側の地上の指定した場所へ太陽光を数分間反射する。年内の打ち上げを予定しており、衛星本体の質量は142kg、運用高度は625km前後、光のスポットは直径約5kmになるという。 Reflect Orbitalは自らを「The Sunlight Company(太陽光の会社)」と名乗る。夜間の太陽光発電、建設現場や災害現場の夜間照明、農作物の生育調整。そうした使い道を挙げ、太陽光そのものを商品として売る構想を掲げている。 Earendil-1という名前は、ト

グレイ氏、ハイト氏の「スマホ犯人論」に反論する本を9月刊行

子どものメンタルヘルス

グレイ氏、ハイト氏の「スマホ犯人論」に反論する本を9月刊行

子どものメンタルヘルス危機の原因はスマートフォンではなく学校にある。ハイト氏と共にLet Growを創設した心理学者が、50万ドルの前払い金を得て反論書を刊行する。 同志だった二人の心理学者 ピーター・グレイ(Peter Gray)氏とジョナサン・ハイト(Jonathan Haidt)氏は、かつて同じ方向を向いていた。 グレイ氏は82歳の進化心理学者で、ボストンカレッジの研究教授。遊びの進化心理学を専門とし、2013年に刊行した著書『Free to Learn(自由に学ぶ)』で、子ども自身が主導する遊びの時間が奪われたことこそメンタルヘルス悪化の原因だと論じた。スティーブン・ピンカー氏をはじめ学術界から高い評価を受け、ハイト氏もグレイ氏を「遊びの分野におけるスター学者」と呼んでいたという。 2017年、二人は他の2名とともに非営利団体Let Grow(自由に育てよう)を共同で設立した。子どもの自立した活動を取り戻すことを目的とし、2024年の寄付金は約200万ドル(約3億2000万円)に達している。 転機は2023年に訪れた。 「非倫理的だ」 ハイト氏がグレイ氏に新著

Apple、M7テープアウト完了 Ultra版は最大1.5TBメモリ

Apple

Apple、M7テープアウト完了 Ultra版は最大1.5TBメモリ

AppleはM7の設計を完了し、Neural Engineの大幅強化を施したチップ群でAIサーバー市場に乗り出す構えだ。その技術の原点は、100億ドルを費やして打ち切った自動運転車にある。 M6は「つなぎ」、本命はM7 Bloombergのマーク・ガーマン(Mark Gurman)氏が7月12日付のニュースレター「Power On」で、Appleのチップロードマップの全容を報じた。 M6のテープアウト(回路設計の最終確定)から半年。AppleはM7の設計も完了させた。AI特化チップの開発が異例の速度で進んでいる。 M6は2026年後半に14インチMacBook Proから投入される。メモリ帯域幅はM5の153GB/sから約200GB/sへ拡大し、GPUコア数は10基から12基に増える。一方で、M1以降すべての世代で展開してきたPro・Max・Ultraの上位モデルは作らない。 ガーマン氏によれば、AppleはM7世代向けに計画していたNeural Engineの大幅強化を、M6ラインナップの完成より優先すべきと判断した。M6の上位モデルを捨ててでもM7を前倒しする。AI処理

Fable 5を再延長 Claude Code増枠も7月19日まで

AI

Fable 5を再延長 Claude Code増枠も7月19日まで

AnthropicがClaude Fable 5のサブスクリプション内提供とClaude Codeの週間制限50%増を、いずれも7月19日まで延長した。Fable 5の延長は2度目になる。 7月19日まで、2つのプロモーションを延長 Anthropicは7月13日、公式アカウントを通じて2つの延長を発表した。 We're extending Claude Fable 5 access on all paid plans, as well as keeping Claude Code’s weekly rate limits 50% higher, through July 19. — Claude (@claudeai) July 12, 2026 1つ目がClaude Fable 5のサブスクリプション内アクセスだ。Pro、Max、Team、

AMD、ドライバに最大8Xのフレーム生成設定を埋め込む

GPU

AMD、ドライバに最大8Xのフレーム生成設定を埋め込む

AMDのRadeonドライバから、マルチフレーム生成の倍率設定が最大8Xまで見つかった。NVIDIAの6Xを上回る数字だが、現時点では動作しない。 ドライバに隠れていた8Xの選択肢 Chiphellフォーラムのユーザーが7月11日、サードパーティ製のRadeonドライバ管理ツールRadeonTunerを使って、Adrenalin 26.6.2 WHQLドライバの隠し設定を発見した。 Radeon RX 9070 XTにFSR 4.1.1のオーバーライドライブラリ(V. 2.3.0.2740)を組み合わせた環境で、「グラフィックス」タブの「FSR」パネルに新しい項目が出現した。FSR Multi Frame Generation Ratioの選択肢は1Xから8Xまで並んでおり、既存のドライバには存在しなかった。 同時に見つかったのが、FSR Multi Frame Generation Override、FSR Ray Regeneration Denoiser Override、FSR Neural Radiance Caching

IT管理者がRedditで吐き出したMicrosoft製品への怒り

Microsoft

IT管理者がRedditで吐き出したMicrosoft製品への怒り

セキュリティパッチが業務アプリを壊し、管理ツールは間に合わせの設計で、アプリ配布の仕組みは現場を無視している。Reddit上で噴き出したIT管理者の声が、広い共感を集めている。 パッチを当てても地獄、外しても地獄 Redditのr/sysadminに、ある管理者の投稿が上がった。Microsoftの最新セキュリティパッチが、RDS(リモートデスクトップサービス)環境でMicrosoft 365アプリの認証を壊したという。 I'm so sick of Microsoft by u/nostradamefrus in sysadmin パッチを適用すれば社内で最も重要な業務アプリが動かなくなり、パッチを削除すればOffice 365製品の認証が崩壊する。どちらを選んでも業務が止まる。 この管理者はCopilotにも言及した。認証が壊れて現場が混乱しているさなかに、MicrosoftはCopilotをあらゆる場所に押し込んでいる、と。 パッチ品質の問題は、この管理者だけのものではない。2026年に入ってからWindowsのセキュリティ更新は繰り返し不具合を起こしている。