医療テクノロジー
脳の電極で「声」を取り戻した男。ALSでもフルタイムで働く
ALSで声と身体の自由を奪われた環境活動家が、脳に埋め込んだインターフェースだけで毎分56語を話し、メールを打ち、ウェブを操作して、フルタイムの仕事を続けている。ブレイン・コンピュータ・インターフェースが研究室の実験から、一人の日常を支える「道具」に変わった。 3,800時間が証明したもの ケイシー・ハレル(Casey Harrell)氏は47歳。カリフォルニア州オークランドに住む気候変動の活動家だ。かつてブラックロックやバンガードに気候対策を迫るキャンペーンの中心にいた。 2020年、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断された。四肢の麻痺と構音障害が進行し、娘に自分の声で話しかけることができなくなった。 2023年7月、カリフォルニア大学デイヴィス校(UC Davis)の脳神経外科医デイヴィッド・ブランドマン(David Brandman)氏がハレル氏の脳に4つのマイクロ電極アレイを埋め込んだ。場所は左中心前回。発話の運動指令を出す領域だ。256個の皮質電極が「話そうとする」ときの脳活動を拾う。AIのデコーディングアルゴリズムがそれを音素に変換し、音素から単語へ、単語から文へ