Legion Go 2が約45万円に——5ヶ月で発売価格の2倍へ

ゲーミングハンドヘルドの価格が、いつの間にか「普通のゲーミングPC」に並び始めている。Lenovo Legion Go 2の2TBモデルが、発売から数ヶ月で約2倍の値段になった。

Legion Go 2が約45万円に——5ヶ月で発売価格の2倍へ
Lenovo

ゲーミングハンドヘルドの価格が、いつの間にか「普通のゲーミングPC」に並び始めている。Lenovo Legion Go 2の2TBモデルが、発売から数ヶ月で約2倍の値段になった。


5ヶ月で2倍になった値札

Lenovoの Legion Go 2 が静かに値上がりしている。静かに、というのは誰かが発表したわけでも謝罪したわけでもなく、気づいたら価格が変わっていたからだ。

2TBモデルは2025年10月の発売当初、約1,480ドル(約23万5,000円)だった。それが現在、Lenovoの公式サイトでは2,849ドル(約45万3,000円)まで跳ね上がっている。5ヶ月ほどでほぼ倍。消費者向けのゲーミングハンドヘルドとして、この数字は相当異常だ。

Legion Go 2はOLEDディスプレイや着脱式コントローラーなど評価点も多いが、搭載チップはAMD Ryzen Z2 Extreme。Strix Halo(Ryzen AI Max+ 395)のような最上位ではない。
Z2 Extreme搭載機 vs Strix Halo搭載機 — スペック・価格比較
Legion Go 2
Z2E / 2TB
ROG Xbox
Ally X / 1TB
OneXFly Apex
Max+395 / 48GB
OneXFly Apex
Max+395 / 64GB
チップ Z2 Extreme Z2 Extreme AI Max+ 395 AI Max+ 395
RAM 32GB 24GB 48GB 64GB
ストレージ 2TB 1TB 1TB 2TB
画面 8.8" OLED
144Hz
7" IPS
120Hz
8" IPS
120Hz
8" IPS
120Hz
価格(USD) $2,849 $999 $2,299 $2,799
価格(円) 約45万3,000円 約15万9,000円 約36万5,000円 約44万5,000円
※ Legion Go 2はLenovo公式(2026年4月)、ROG Xbox Ally XはBest Buy(2026年4月、999ドル)、OneXFly ApexはOneXPlayerストア掲載価格。Strix Halo(AMD Ryzen AI Max搭載)列は網掛け。為替換算:1ドル≒159円(2026年4月時点)。

1TBモデルについても、Best Buyでの現在価格は2,000ドル(約31万8,000円)。発売時の1,350ドルから約650ドル上昇している。

Legion Go 2 — 発売時価格 vs 現在価格(USD)
発売時(2025年10月)
現在(2026年4月)
Z2 Extreme / 32GB / 2TB 2TB最上位モデル
$1,480
$2,849
Z2 Extreme / 32GB / 1TB 1TB上位モデル
$1,350
$2,000
※ 発売時価格は2025年10月31日時点のMSRP(Z2 Extreme / 32GB / 2TB: $1,479.99、Z2 Extreme / 32GB / 1TB: $1,349.99)。現在価格はLenovo公式サイト(2026年4月)。為替換算:1ドル≒159円。

問題は「高い」だけじゃない

価格そのものより、この値上がりが明らかにしていることの方が気になる。

比較してみると構図がよく見える。Strix Halo搭載機——つまりZ2 Extremeより明確に性能が上のチップを積んだ機器——の価格が今のLegion Go 2より安い。OneXPlayer Apex(Ryzen AI Max+ 395 / 48GB RAM)は2,299ドル(約36万5,000円)から購入可能だ。同じストレージ容量を狙えば64GBモデルで2,799ドル(約44万5,000円)になるが、それでも2TBのLegion Go 2より安い。

「搭載チップが劣るのに、より高い価格」という逆転が起きている。


Z2 Extremeという選択の限界

Z2 Extremeは悪いチップではない。前世代のZ1 Extremeから実質的な性能向上があり、Legion Go 2自体もTom's Hardwareなどに好意的なレビューを受けている。

ただ、Z2 Extremeは最上位ではないAMDのハンドヘルド向けラインアップでいえば、Strix Haloの方が大幅に高い演算性能を持ち、メモリ帯域でも有利だ。バッテリー消費は大きくなるが、処理能力という点では比較にならない。

それだけに、性能が下のモデルが上のモデルより高いという逆転現象が余計に目立つ。

同じZ2 Extreme搭載機でも、ROG Xbox Ally Xの1TBモデルは999ドル(約15万9,000円)で在庫も安定している。Legion Go 2がなぜここまで高いのか、チップの仕入れコストだけでは説明がつかない。

ちなみに旧世代のLegion Go(Z1 Extreme搭載)は、現在437ドル(約7万円)前後で流通している。同じコントローラー着脱式デザインの製品が、わずか数世代でこの価格差になった。

RAMショックとハンドヘルド市場

背景にあるのは、業界全体を覆っているメモリ価格の高騰だ。AIブームによる旺盛な需要がDRAMNAND市場を直撃し、PCパーツ全体のコストを押し上げている。Steam Deckは欠品、AYANEOは旗艦モデルの新規予約を一時停止(既存の予約分は出荷予定)、Corsairは自社製品の価格を引き上げた。

Legion Go 2の値上がりも同じ文脈で起きている——とは言えるが、それだけではないかもしれない。Lenovoはかつて、Legion Go 2の需要が自社ノートPC販売を食う懸念があると示唆したことがある。本当にそれが理由なら、この価格設定は「買ってもらいたくない」というメッセージと読めなくもない。


誰が買うのか、誰が買えないのか

今のLegion Go 2の価格は、単純に市場の論理から外れている。

Z2 Extreme搭載の競合機より高く、Strix Halo搭載機とほぼ同等かそれ以上の値段がする。ハンドヘルドとしての強みだったコンパクトさと手頃さが、この価格帯では大幅に薄れる

B&Hなど一部ショップでは旧来の価格(1,849ドル、約29万4,000円)で在庫が残っているケースもあるが、それは在庫限りの話だ。補充されれば新価格が適用される可能性が高い。

手頃なゲーミングハンドヘルドの価格帯が、じわじわと上に押し上げられている。それが「一時的な混乱」なのか、「このカテゴリの相場がそもそも変わった」ということなのか——もう少し時間が経たないと、答えは見えてこない。


参照元

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