PS6は15万円超え? アナリストが警告する次世代機「1000ドル時代」
5万4,978円で始まったPS5が、4月2日から9万7,980円になる。だが業界アナリストたちが見ているのは、もっと先の風景だ。次世代機の価格は「10万円の壁」どころの話ではないかもしれない。
5万4,978円で始まったPS5が、4月2日から9万7,980円になる。だが業界アナリストたちが見ているのは、もっと先の風景だ。次世代機の価格は「10万円の壁」どころの話ではないかもしれない。
「999ドルは不可能ではない」—— 3人のアナリストが見る次世代機
ゲームコンサルティング会社Kantan GamesのCEO、セルカン・トト博士がGamesRadar+の取材で語った数字が、波紋を広げている。PS6の少なくとも1つのバリエーションで999ドル(約15万9,000円)に達する可能性は否定できない、と。
この見解は彼だけのものではない。複数のアナリストが独立して999ドル前後という同じレンジに到達している。NYU(ニューヨーク大学)スターン経営大学院でビデオゲームビジネスを教えるヨースト・ファン・ドリューネン教授は、さらに踏み込んだ。次世代のコンソールハードウェアは現行世代より50%高い価格帯からスタートすると予測している。PS5の発売価格499ドルを基準にすれば、約750ドル(約11万9,000円)がスタートラインだ。
「私たちは急速に、1000ドルのコンソールが当たり前になる世界に向かっている。コンソールゲーミングは贅沢品になるだろう」—— ヨースト・ファン・ドリューネン教授
ゲーム業界の調査会社Circanaのベテランアナリスト、マット・ピスカテラ氏も今回のPS5値上げについて「予想していたより大きな引き上げだった」と認めている。3人のアナリストが、異なる角度から同じ方向を指し示している。次世代機は現行世代比50%以上の値上げが既定路線だと言わんばかりだ。
Xbox Project Helixも例外ではない。マイクロソフトの次世代機はPC/Xboxハイブリッド路線を掲げており、リーカーのKeplerL2は部品コストだけで1000ドル超と試算している。別のリーカーMLIDによる部品原価の見積もりは約900ドルで、小売価格は999ドルが「攻めた最低ライン」、1200ドル(約19万1,000円)が最も現実的な数字だという。
メモリ危機という構造的な地殻変動
なぜ、ここまで価格が跳ね上がるのか。答えはシンプルで、かつ根深い。
2026年第1四半期、DRAMとNANDの価格は前四半期比で80〜90%急騰した。調査会社TrendForceは当初55〜60%の上昇を見込んでいたが、わずか数週間で予測を90〜95%に上方修正するほどの異常事態だ。PC向けDRAMに至っては、四半期で価格が2倍以上になった。
ファン・ドリューネン教授はその背景をこう説明する。
「AI向けデータセンターがアジアにおけるハードウェアや部品の流通を吸い上げ、配分を困難にしている。DRAMとNANDのコストは2026年初頭から80〜90%上昇した」
問題の本質は単なる「品不足」ではない。Samsung、SK Hynix、Micronの3大メモリメーカーが、利益率の高いAI向けHBM(高帯域幅メモリ)に生産ラインを振り向けた結果、一般消費者向けのDRAMとNANDが後回しにされている。ウェーハ1枚をHBMに回せば、その分だけスマートフォンやゲーム機のメモリが減る。ゼロサムゲームだ。
IEEE Spectrumの報道によれば、2026年にはデータセンターが世界のメモリチップ生産量の70%を消費する見通しだ。残りの30%を、PC、スマートフォン、ゲーム機、自動車——あらゆるメーカーが奪い合う。しかもこの状態はSK Hynixの予測で2027年後半まで続く可能性がある。
これは景気循環ではなく、産業構造の転換だ。
PS5値上げは「序章」に過ぎない
明後日4月2日から適用されるPS5の新価格を改めて整理しておこう。
日本国内の新価格(税込)
PS5(ディスクドライブ付き)は7万9,980円から9万7,980円へ。デジタル・エディションは7万2,980円から8万9,980円へ。PS5 Proは11万9,980円から13万7,980円へ。いずれも約1万8,000円の値上げだ。PlayStation Portalも5,000円上がり3万9,980円になる。
唯一の例外が「デジタル・エディション 日本語専用」モデルで、5万5,000円のまま据え置かれた。言語とアカウントを日本に限定することでグローバル展開コストを省いた設計が、この局面で効いている。
| 製品 | 改定前 | 4月2日〜 | 増額 | 増率 |
|---|---|---|---|---|
| PS5 | 79,980 | 97,980 | +18,000 | 23% |
| PS5 DE | 72,980 | 89,980 | +17,000 | 23% |
| PS5 Pro | 119,980 | 137,980 | +18,000 | 15% |
| DE 日本語専用 | 55,000 | 55,000 | — | — |
| PS Portal | 34,980 | 39,980 | +5,000 | 14% |
※価格は税込。出典:PlayStation Blog 公式発表(2026年3月27日)。DE=デジタル・エディション。

PS5の発売時価格は5万4,978円だった。4月2日からの新価格9万7,980円は、発売時の約1.8倍に相当する。ゲーム機本体が5年余りでここまで値上がりする事態は前例がない。
SIEは値上げの理由を「世界的な厳しい経済環境の変化が長期化する状況」と説明しているが、具体的なコスト要因には踏み込んでいない。2026年2月の決算説明会でも、陶琳CFOはメモリ確保の進捗を述べるにとどまり、価格改定には直接言及しなかった。
この発売時比78%という値上げ幅は、PlayStation史上でも前例のない水準だ。しかも、これはまだ「現行世代」の話に過ぎない。
米国ではPS5が649.99ドル、PS5 Proが899.99ドルに設定された。2025年8月のトランプ関税対応値上げから数えて1年足らずで2度目の改定だ。トト博士はソニーの戦略をこう読む。「将来の変動を見越して、小刻みに上げるのではなく一度に大きく引き上げた。状況が好転すれば値下げや『ディール』を提供する余地を残すためだ」。
値上げの向こうにある計算
ソニーにとって、ゲーム機本体は入口に過ぎない。PlayStation Plusのサブスクリプション、ゲーム販売、ライブサービスの課金こそが収益の柱だ。本体の値上げでユーザー基盤の拡大が鈍れば、その先の課金収入にも影響が及ぶ。ソニーグループの連結営業利益の3割強をゲーム事業が占めることを考えれば、これは経営判断として決して軽いものではない。
日経新聞によれば、ソニーGの株価は2025年11月の上場来高値から33%下落している。メモリ価格高騰によるゲーム事業の損益悪化懸念が、市場を冷やしている。
岐路に立つコンソールゲーミング
PS5が499ドルで登場した2020年、コンソールは「PCより安くゲームが遊べる選択肢」だった。その前提が、いま音を立てて崩れようとしている。
次世代機が本当に999ドル前後で登場するなら、それはもはや基本的なゲーミングPCと変わらない価格帯だ。コンソールの存在意義だった「手頃さ」が失われたとき、消費者はどちらを選ぶのか。
もちろん、反論の余地はある。リーカーのKeplerL2はPS6の部品コストを約760ドルと推定し、ソニーが補助金を出せば699ドル(約11万1,000円)も可能だとしている。ただし、その試算にはこう但し書きがつく。「問題は、Xboxがもう直接の競争相手ではない今、ソニーがわざわざそうする動機があるかどうかだ」。

ファン・ドリューネン教授が指摘するように、ハードウェアメーカーは本来、本体価格を抑えてソフト販売で回収するモデルを好む。「本体は通常、大幅な補助を受けている部分であり、ゲーム販売がビジネスモデルの重心だ」。だがメモリコストの急騰と関税の二重苦が、その伝統的なモデルを維持困難にしている。
Circanaのピスカテラ氏は、次世代機の時期も価格も「不確実性が大きすぎる」と慎重だ。1000ドルを超える可能性があるかと問われれば、「ありえる。ただ、そうならないことを強く願う」と答えている。
正直なところ、今の状況では誰にも正確な予測はできない。メモリ価格の行方、関税政策の変動、AI投資の持続性——変数が多すぎる。ただ、一つだけ確かなことがある。5万円台でPS5を買えた時代は、もう戻ってこない。
次世代機の発売は2027年末から2028年にかけてと見られている。それまでに世界の半導体産業とゲーム市場の力学がどう動くか。ゲーマーの財布が試される日は、想像より早くやってくるかもしれない。
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