RTX 5090を約52万円で購入、届いたのは約300円の洗濯洗剤――Amazonは返金を拒否した
約52万円のグラフィックボードを注文して、届いた箱を開けたら洗濯洗剤が入っていた。しかも、証拠を揃えてAmazonに訴えても返金は拒否される。これは冗談ではない。いま実際に起きている話だ。
約52万円のグラフィックボードを注文して、届いた箱を開けたら洗濯洗剤が入っていた。しかも、証拠を揃えてAmazonに訴えても返金は拒否される。これは冗談ではない。いま実際に起きている話だ。
箱の中身は1kgの洗剤だった
インドのあるユーザーが、Amazon IndiaでGIGABYTE GeForce RTX 5090 WindForce OC 32Gを29万9,995ルピー(約52万円)で注文した。注文は3月10日(日本時間)。商品の出荷元はAmazonの倉庫、いわゆる「Amazonが発送」の商品だった。

届いたのは3月14日(日本時間)。用心深くも開封の様子をカメラで録画していた彼が目にしたのは、期待したGPUではなく、Ghadiブランドの洗濯洗剤1kg。市場価格にして約300円の代物だった。
異変の兆候は開封前からあった。GPU箱のメーカーシールは切り裂かれた上からテープで覆われ、正規品にはないバーコードが貼り付けられていた。そして何より、配送ラベルに記載された重量が1.56kg。RTX 5090の実重量はパッケージ込みで約3kgだ。半分しかない。この数字だけで、箱の中にGPUが入っていないことは明白だった。
このユーザーはRedditにて、「Amazonの配送ラベル自体が、正しい商品が入っていなかった証拠だ」と主張している。物流の嘘は、物流自身が暴く。
Amazonの「徹底調査」が意味したもの
被害者はすぐにAmazon Indiaのカスタマーリレーション部門に連絡した。担当者は少なくとも4人が入れ替わり、最初は「3月18〜19日までに解決する」と言われた。それが25日に延期され、「複数の専門チームによる徹底調査が必要」という説明に変わった。
そして8日間の沈黙の末に届いたのは、返金ではなくメールだった。「包括的なレビューの結果、正しい商品が出荷・配送されたと判断した」。動画の証拠を見たかどうかすら不明だ。被害者が消費者裁判所への提訴を予告した直後、わずか15分でこの却下メールが届いたという。報復としか思えないタイミングだった。
問題はこれだけではない。販売元は 「FAB World Point」 という業者だが、請求書の名義は別人だった。さらにインドではPC部品の販売に18%のiGST(統合物品サービス税)が課されるが、この請求書のiGSTは0%。税務上の辻褄すら合っていない。
WccfTechの報道によれば、同じ販売業者から数日前にも別の購入者がまったく同じ洗剤を受け取っている。組織的な詐欺の疑いは濃い。
RTX 5090は「詐欺師のATM」になっている
正直なところ、このインドの事件だけなら「不運なケース」で片付けられたかもしれない。だが現実はもっと深刻だ。
RTX 5090の発売以降、Amazonを舞台にした詐欺は異常なペースで増加している。1月にはAmazon米国で、999ドルの激安価格で出品されたRTX 5090を購入した少なくとも42人がウエストポーチを受け取るという集団詐欺事件が発覚した。同じ月にはAmazon Resaleで購入したMSI RTX 5090の箱の中から岩とタオルが出てきた事例もある。
欧州でも状況は同じだ。Amazon オランダではRTX 5090の箱にマカロニ、米、旧世代GPUが詰められて送られ、Amazon フランスではGPUコアとVRAMチップが剥がされた「抜け殻」が正規品として出荷された。直近では、eBayで返品されたRTX 5090からGPUダイとGDDR7メモリが物理的に剥がされていたという事件まで報告されている。
手口は多様化し、被害の規模は拡大し続けている。
GDDR7メモリの価格高騰とAI需要の爆発が、GPUを「部品取りの宝箱」に変えてしまった。詐欺の手口が高度化しているのは、それだけリターンが大きいからだ。
背景にあるのは、AI需要によるメモリ価格の異常な高騰だ。RTX 5090のMSRPは1,999ドルだが、実売価格はカスタムモデルで3,000〜5,000ドルに達している。GPUダイとVRAMだけでも数百ドルの価値がある。詐欺師にとって、これほど割のいい「ビジネス」はない。
壊れているのはGPUではなく、信頼のシステム
今回のインドの事件で最も深刻なのは、詐欺そのものではない。Amazonのフルフィルメント(FBA)を通じた正規注文で、動画証拠と重量の物理的矛盾が揃っているにもかかわらず、プラットフォームが購入者を切り捨てたことだ。
Amazonは自社のヘルプページで、商品が説明と異なる場合の返金・交換を保証し、「A-to-Z保証」という仕組みも用意している。だがその保証が機能しなかったとき、消費者に残された選択肢は裁判所しかない。
52万円のGPUと約300円の洗剤。その差額を埋めるのが、世界最大のECプラットフォームの仕事ではないのか。
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