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テッド・チャンが突きつけた「AIに意識はない」

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テッド・チャンが突きつけた「AIに意識はない」

映画「メッセージ」原作者が、AnthropicのClaude「憲法」を正面から批判した。LLMの会話は「巧妙に偽装された文の連続」にすぎず、AIに意識を認める議論は根本から誤っているという主張だ。 SF作家が出した、明確な答え テッド・チャン(Ted Chiang)氏は、SF短編の名手として知られるアメリカの作家だ。映画「メッセージ」の原作「あなたの人生の物語」のほか、New Yorkerへの寄稿でも知られ、2023年にはChatGPTを「ウェブのぼやけたJPEG」と表現して大きな反響を呼んだ。 そのチャン氏が6月3日、The Atlanticに「No, Artificial Intelligence Is Not Conscious」と題したエッセイを発表した。標的は明確だ。Anthropicが2026年1月に公開した84ページの文書、いわゆるClaudeの「憲法」である。 「憲法」とは何か Claudeの「憲法」は、Anthropicの哲学者アマンダ・アスケル(

トランプ政権、骨抜きのAI大統領令に署名

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トランプ政権、骨抜きのAI大統領令に署名

5月21日に撤回されたAI大統領令が、12日後に署名された。ただし中身は別物だ。審査期間は90日から30日に縮み、すべて任意。署名式もなかった。 何が変わったのか 2026年6月2日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が、AIとサイバーセキュリティに関する大統領令「Promoting Advanced Artificial Intelligence Innovation and Security」に署名した。非公開で、式典もなかった。 5月21日に直前撤回された大統領令の「縮小版」だ。前回の記事で取り上げた通り、あの日はホワイトハウスに招待されたテック企業幹部が移動中だったにもかかわらず、トランプ氏が突然「文言のいくつかが気に入らなかった」と署名を見送った。 今回署名された版と5月版の違いは明確だ。 審査期間が 90日から30日 に短縮された。5月版では、フロンティアAIモデルの公開前に政府が最長90日間の安全審査を行う枠組みが柱だった。署名版はこれを30日に縮めた。業界側は14日を求めていたとされ、30日はその折衷案という位置づけになる。 すべてが 「

OpenAI Codex、開発者の外へ踏み出す

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OpenAI Codex、開発者の外へ踏み出す

Codexの週間利用者が500万人を超え、その2割がエンジニア以外の職種で占められている。OpenAIが6月2日に発表した新機能群は、コーディングエージェントとして生まれたこのツールを、企業の業務基盤そのものへ変えようとする意図を隠さない。 500万人の内訳が語ること 2月のデスクトップアプリ公開から4か月で、Codexの週間アクティブユーザーは6倍以上に膨らんだという。だが注目すべきは総数ではない。金融アナリスト、マーケティング担当、オペレーション、リサーチャーといった非開発者層が全体の約20%に達し、しかもその増加速度がエンジニアの3倍に上るという点だ。 OpenAIが同日公開した社内レポート「The Next Era of Knowledge Work」は、この層が何をしているかを具体的に示している。報告書、スプレッドシート、プレゼン資料、契約書といった「成果物の生成」が中心で、データ分析やワークフロー自動化にも広がりつつあるとされる。 これまでもCodexは段階的に守備範囲を広げてきた。2月のGPT-5.3-Codex統合でデスクトップアプリを一般公開し、4月の大型ア

AI企業の株式50%を国民へ、サンダース議員が法案提出

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AI企業の株式50%を国民へ、サンダース議員が法案提出

バーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員が、AI大手企業の株式半分を公的に没収する法案を発表した。3月のデータセンター建設凍結法案から3か月足らず。84歳の独立系議員は「止める」から「奪う」へ、戦略のギアを上げた。 「利益」ではなく「株式」を差し出せ サンダース議員は6月1日、ニューヨーク・タイムズへの寄稿とXへの投稿で「American AI Sovereign Wealth Fund Act」(米国AIソブリン・ウェルス・ファンド法)の概要を公表した。 I will soon be introducing a bill to give the public a 50% ownership stake in the largest AI companies

Anthropic、SECにIPO申請を提出

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Anthropic、SECにIPO申請を提出

AIチャットボットClaude(クロード)の開発元であるAnthropic(アンソロピック)が、ついに株式市場への扉を開いた。評価額は約153兆円。AI企業が公開市場に問われる時代が始まる。 非公開でS-1を提出 Anthropicは6月1日、米証券取引委員会(SEC)に対し、普通株式の新規株式公開(IPO)に向けたS-1登録届出書の草案を非公開で提出したと発表した。公開株式数や価格はまだ決まっていない。上場の実施は市場環境やその他の要因に左右されるとしている。 非公開提出(コンフィデンシャル・ファイリング)とは、SECの審査が完了するまで書類の内容を市場に公開しない手続きだ。大型テックIPOでは近年一般的になっている方式で、SpaceXも同じ手順を経て5月に公開提出に進んでおり、OpenAIも非公開提出を行ったと報じられている。正式なS-1が公開されるのは、ロードショー(投資家向け説明会)の数週間前になるのが通例だ。 動きは速かった。提出のわずか4日前、5月28日にAnthropicはシリーズHで650億ドル(約10兆3,500億円)を調達し、企業評価額は9,650億ドル(

AnthropicとOpenAI、米中間選挙で代理戦争

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AnthropicとOpenAI、米中間選挙で代理戦争

AIの未来を左右するのは技術でも論文でもなく、政治資金かもしれない。AnthropicとOpenAIがそれぞれ後ろ盾になるスーパーPACが、2026年の米中間選挙で激突している。狙いは同じ「AI政策に影響を与えること」。なのに両者は手を組むどころか、互いを潰しにかかっている。 シリコンバレーの内戦が議会に飛び火した AI業界が選挙に本格参入した2026年の米中間選挙で、2つのスーパーPAC(特定の候補者と直接連携しない代わりに、企業や個人から無制限に資金を集められる政治資金団体)が異常な対立を見せていると報じられている。 一方はAnthropicが少なくとも2000万ドル(約32億円)を拠出した Public First。元民主党下院議員のブラッド・カーソン(Brad Carson)氏と元共和党下院議員のクリス・スチュワート(Chris Stewart)氏が共同で率い、AI規制の強化を掲げる。もう一方はOpenAI共同創業者で社長のグレッグ・ブロックマン(Greg Brockman)氏夫妻やベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowit

マスク氏、自社IPO書類と矛盾する発言

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マスク氏、自社IPO書類と矛盾する発言

Anthropicがコロッサスを月額約2000億円で借り受けた契約が、3年なのか6ヶ月なのか——答えはSpaceXのIPO申請書類に書いてある。だが、CEOであるイーロン・マスク(Elon Musk)氏本人が、その書類と真逆のことを言い始めた。 S-1が語る「2029年5月まで」 SpaceXは5月20日、SECにS-1(上場申請書類)を提出した。6月中旬の上場を目指すこの書類のなかで、Anthropicとの計算リソース契約は複数回にわたって言及されている。 F-62ページにはこう書かれている。2026年5月3日付でAnthropicとクラウドサービス契約を締結し、Anthropicは 2029年5月まで 月額料金を支払うことに合意した、と。F-96ページにも同じ文言がある。13ページと146ページでは金額も明示され、「月額12億5000万ドル(約2000億円)を2029年5月まで支払う」と踏み込んでいる。4箇所に同じ趣旨が並ぶ以上、誤記とは言い難い。 いずれの箇所にも90日前通知による解約条項は添えられている。だがこの条項は、長期契約のなかに設けた離脱オプションと読むのが自

米AI大統領令、潰したのは誰か

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米AI大統領令、潰したのは誰か

トランプ政権のAI規制を巡り、ホワイトハウス内部で三つの勢力が激突している。規制緩和を求めるシリコンバレー人脈、安全保障上の脅威として規制強化を訴える国防総省、そしてその間で落としどころを探る首席補佐官と財務長官。5月21日にAI大統領令の署名が土壇場で撤回された裏側に、この対立構造がある。 署名式の数時間前に起きたこと 5月21日、ホワイトハウスはAI企業の幹部を署名式に招待していた。大統領令の草案は数カ月かけて練り上げられ、5月20日にはアイゼンハワー行政府ビルでAI企業幹部向けの説明会が2回開かれた。全員が合意し、あとは署名するだけだった。 だがその前夜から当日朝にかけて、3本の電話がトランプ大統領に入った。元AI・暗号資産担当特別顧問のデビッド・サックス(David Sacks)氏、イーロン・マスク氏、マーク・ザッカーバーグ氏。3人の主張は同じ一言に集約される。「中国に負ける」。 サックス氏は大統領に直接電話し、草案に含まれる監視枠組みが事実上のFDA型承認プロセスになりかねないと警告した。トランプ大統領は記者団に対し、「ある部分が気に入らなかった。延期した。我々は中

教皇レオ14世、4万語超のAI回勅を発布

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教皇レオ14世、4万語超のAI回勅を発布

カトリック教会のトップが、人工知能に正面から向き合った。135年前の労働者保護の精神を受け継ぎ、AIがもたらす「非人間化」のリスクに警鐘を鳴らす文書は、技術企業・政府・市民すべてに宛てられている。 「バベルの塔」か「エルサレムの再建」か 教皇レオ14世が5月25日、就任後初となる回勅「マニフィカ・フマニタス」(Magnifica Humanitas、「壮大なる人間性」の意)を発布した。AI時代における人間の尊厳の保護を主題に掲げた文書は、全 245パラグラフ 、英語版で約4万2300語に及ぶ。回勅としては異例の長さだ。 教皇は冒頭で2つの聖書の場面を持ち出した。自己充足の象徴である「バベルの塔」と、共同作業で城壁を再建した「エルサレムのネヘミヤ」。AIをめぐる選択は、この2つの道のどちらを歩むかだと位置づけている。 技術はそれ自体、人類に敵対する力とみなすべきではない。しかしより大きな利益を求めて職を体系的に奪う選択は正当化できない。 回勅の序論と第4章から、それぞれ核心部分を抜き出した。技術そのものは否定しない。ただし利益のために人を切り捨てることは許容しない。この二重の