Fable 5

Copilot CoworkにDeepSeek検討。AIコスト高騰が生んだ矛盾

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Copilot CoworkにDeepSeek検討。AIコスト高騰が生んだ矛盾

Microsoftのエンタープライズ向けAIエージェント「Copilot Cowork」が6月16日、全世界で一般提供を開始した。あわせて明らかになったのが、従量課金制への移行と、中国DeepSeekのV4モデルを低コスト選択肢として検討中であるという事実だ。ホワイトハウスがAnthropicのFable 5に輸出規制をかけた、わずか数日後の発表になる。 トークンという名の燃料費 Copilot Coworkは、Microsoft 365の業務データを横断して複数ステップのタスクを自律実行するエージェントだ。内部にはAnthropicのClaude(Opus 4.8、Sonnet 4.6)を搭載し、メールの仕分け、リサーチ、資料作成までをバックグラウンドでこなす。3月の発表以降、Fortune 500の半数以上が利用し、Microsoftの「Frontierプログラム史上最速で成長した機能」と位置づけられている。 問題はコストだ。エージェント型AIはタスクを完了するまでモデルを繰り返し呼び出す。一問一答のチャットとは消費構造が根本的に違う。MicrosoftのCopilot担当

Anthropicの安全性は信念であり武器でもある

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Anthropicの安全性は信念であり武器でもある

Fable 5の停止劇には、ジェイルブレイクや輸出規制より深い話がある。テック戦略アナリストのベン・トンプソン(Ben Thompson)氏が、Stratecheryでその論理を読み解いた。氏はAnthropicの行動原理を「安全性という超能力」と呼ぶ。安全性への信念が本物であること自体が、この会社のあらゆる攻撃的な判断を正当化する構造になっているという指摘だ。 なぜ「危険すぎる」モデルを公開したのか Mythos Previewを「危険すぎて一般公開できない」と発表したのは4月のこと。その会社が2カ月後、ガードレール付き版のFable 5を公開した。公開3日でジェイルブレイクが見つかり、政府に止められた。しかもFableの公開は、6月1日にSECへIPOの秘密申請を行ったわずか8日後だ。評価額は約9650億ドル(約154兆円)、年間収益ランレートは470億ドル(約7兆5000億円)。この規模の企業が、政府と真正面からぶつかっている。 皮肉屋なら「自作自演」と言うだろう。しかしトンプソン氏が掘っているのはもっと構造的な話だ。 AIの最前線で経済的価値を吸い上げてきたのは、ここ

米セキュリティ専門家40人超がFable禁止の撤回を要求

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米セキュリティ専門家40人超がFable禁止の撤回を要求

トランプ政権がAnthropicのFable 5とMythos 5に輸出管理指令を出してから3日。Adobe、Zoom、ソフォス、NVIDIAの幹部やセキュリティ研究者を含む40人超が、ホワイトハウスに対して禁止措置の撤回を求める公開書簡に署名した。書簡が訴えるのは一点。この措置は防御側から最良のツールを奪っただけで、攻撃側には何の影響も与えていない。 書簡が突きつける問い 公開書簡を取りまとめたのは、元Facebook最高セキュリティ責任者のアレックス・スタモス(Alex Stamos)氏。現在はAIコーディングセキュリティ企業Corridorの最高製品責任者を務める。 書簡は「防御側にAIを提供することが不可欠だ」と正面から訴える。自社や顧客のコードに潜む脆弱性を、攻撃者より先に見つけて塞ぐ。その切り札と見なされていたのがFable 5だ。 署名者にはLuta SecurityのCEOケイティ・ムスリス(Katie Moussouris)氏、SocialProof SecurityのCEOレイチェル・トバック(Rachel Tobac)氏、Veracode共同創業者のクリ

「AIにもモデルリスクがある」。2008年危機の当事者が語った重み

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「AIにもモデルリスクがある」。2008年危機の当事者が語った重み

カナダのマーク・カーニー(Mark Carney)首相がFable 5停止を2008年の金融危機になぞらえた。リーマン・ショックの渦中で二国のG7中央銀行を率いた人物の警告は、ほかの誰のものとも重さが違う。G7エビアン・サミット開幕を目前に控えた発言の意味を読む。 「誰も悪くない。だが教訓を無視すれば、我々が悪くなる」 現地時間6月14日、アイルランドのウェストポートでカーニー首相が記者団に語った。Fable 5とMythos 5の停止について問われ、特定の企業や政府を批判するのではなく、構造そのものに矛先を向けた。 カーニー氏の言葉はこうだった。特定のモデルへの過度な依存で今まさに起きている事態は、少数への集中が引き起こすリスクの見本だ、と。そして「モデルリスク」という金融の専門用語を持ち出した。AIインフラの冗長性と多様性を確保すべきであり、それはリーマン・ブラザーズの破綻後に金融規制が銀行システムに求めたものと同じ原則だ、と。 この発言が異例なのは、語っている人物の経歴にある。 なぜこの人物の言葉が重いのか カーニー氏は2008年、42歳でカナダ銀行(中央銀行)総

Anthropicが技術者をD.C.に飛ばした。Fable 5復旧交渉の行方

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Anthropicが技術者をD.C.に飛ばした。Fable 5復旧交渉の行方

Fable 5とMythos 5の全面停止から3日。Anthropicの上級技術スタッフがワシントンD.C.に入り、ホワイトハウス関係者と直接会談に臨んでいると報じられた。対立は対話の局面に移りつつある。 金曜日から続く水面下の接触 6月14日、Anthropicに近い関係者の証言として報じられた。同社の上級技術スタッフがワシントンに飛び、ホワイトハウス関係者と対面での協議に入っている。金曜日(6月12日)にトランプ政権側が最初の接触を図って以降、技術スタッフはバーチャル会議を重ねてきたという。 双方が問題解決に意欲を示しているという。 ただし、その間にも認識のずれは表面化している。政権側は「Anthropicが真剣に取り組んでいない」と主張していた。Anthropicに近い関係者は「金曜日の段階からバーチャルで対話を続けてきた」としている。技術者がD.C.に赴いたこと自体が、この認識の溝を埋めるための動きだろう。 止まった3日間で動いたもの 停止の経緯と背景についてはこれまでの記事で詳しく報じた。ここでは、この3日間で浮上した新たな事実を確認する。 停止翌日の報道で

Fable 5停止、もう一つの理由。中国のMythosアクセス疑惑が浮上

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Fable 5停止、もう一つの理由。中国のMythosアクセス疑惑が浮上

Fable 5とMythos 5の全面停止から2日。ジェイルブレイクとAmazonの通報、政権との交渉決裂という経緯はすでに報じた。だがその裏に、公表されていないもう一つの理由があった可能性が浮上している。 中国と関係のあるグループがMythosにアクセスした疑いがあり、それが輸出管理の根拠の一つだったと、事情に詳しい関係者の話として報じられた。 「アクセスを求めた」から「アクセスした疑い」へ 伏線は5月にあった。 4月、シンガポールで開かれたカーネギー国際平和財団の会合で、中国のシンクタンク職員がAnthropicの関係者にMythosへのアクセスを求めたと報じられた。Anthropicは拒否し、米国家安全保障会議(NSC)にもこの接触は報告された。 あの時点では「アクセスを求めて断られた」話だった。今回の報道は一段階先に進んでいる。中国関連グループが実際にMythosにアクセスした疑いがあるというのだ。どの組織が、どのような経路でアクセスしたのかは明らかになっていない。 食い違う説明 ここで注目すべきは、Anthropic側の反応だ。 同社の広報担当者は、Fab

インド発「AI主権」論。欧州との決定的な違い

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インド発「AI主権」論。欧州との決定的な違い

Fable 5の全面停止から48時間。欧州では政治家たちが「主権」を叫んだ。同じ時間軸で、インドではまったく別の声が上がっていた。政治家ではなく、企業の創業者たちだ。しかも金額つきで。 提携発表の翌日に遮断された国 まず時系列だ。 6月11日、TCS(タタ・コンサルタンシー・サービシズ)がAnthropicとの大型提携を発表した。Claude専任の事業部門を新設し、5万人の社員にClaudeへのアクセスを付与する。金融、医療、公共サービスなど規制の厳しい業界向けにAIソリューションを共同展開する、という内容だった。Anthropicのダリオ・アモデイ(Dario Amodei)CEOは声明で「インドは米国に次ぐ第2の市場」と明言している。 その翌日の夜、Fable 5とMythos 5が停止された。 TCSの5万人がClaudeを学び始めた矢先に、最上位モデルが消えた。2月にはInfosysとも提携を結んでいる。インドのITサービス大手2社がAnthropicのエコシステムに深く組み込まれた直後の出来事だった。 欧州にとってFable 5停止は「自分たちが使っていたサービ

Fable 5停止が浮き彫りにした「AIは誰のものか」。欧州の政治家が一斉に動いた

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Fable 5停止が浮き彫りにした「AIは誰のものか」。欧州の政治家が一斉に動いた

米国政府がAnthropicのFable 5とMythos 5を止めてから24時間も経たないうちに、ヨーロッパの政治家たちが一斉に声を上げた。左右を問わない。現職閣僚も、野党指導者も、元首相も。口にした言葉はそれぞれ違うが、指し示す先はひとつだった。AIは国家インフラになった、そしてそのインフラを他国が握っている、と。 何が起きたか 経緯を手短に振り返る。6月9日にリリースされたFable 5は、Anthropicが一般公開した初のMythosクラスのモデルだった。リリース前に米国政府への通知は済んでおり、反対はなかった。それが6月11日木曜夜、Amazonのアンディ・ジャシー(Andy Jassy)CEOが政権幹部に電話をかけたことで状況が変わる。自社の研究者がFable 5のセーフガードを突破し、サイバー攻撃に転用可能な情報を引き出したという報告だった。少なくとも5社が追随して懸念を伝え、翌金曜の夕方にはハワード・ラトニック(Howard Lutnick)商務長官からダリオ・アモデイ(Dario Amodei)CEOへ輸出規制の書簡が届いた。同日夜、Fable 5とMytho