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glibc 2.44リリース。設定ファイル方式のチューナブルと数学関数の最適化

glibc

glibc 2.44リリース。設定ファイル方式のチューナブルと数学関数の最適化

GNU Cライブラリ(glibc)の最新版2.44が公開された。チューナブル設定に新たな手段が加わり、数学関数の高速化や複数アーキテクチャへの最適化が進んでいる。 環境変数から設定ファイルへ 今回の注目は、/etc/tunables.confの導入にある。 glibcには「チューナブル」と呼ばれる仕組みがあり、mallocの動作やメモリ管理のパラメータを実行時に調整できる。従来はGLIBC_TUNABLES環境変数でプログラムの起動前に設定する必要があった。 新たに加わった/etc/tunables.confは、これを設定ファイルとして永続的に管理できるようにする。1行に1つのチューナブルを記述し、ldconfigを実行して適用する仕組みで、Red Hatが開発に貢献した。 この変更には背景がある。2023年10月、QualysがGLIBC_TUNABLES環境変数のパーサーにバッファオーバーフローの脆弱性を発見した。「Looney Tunables」(CVE-2023-4911)と名付けられたこの問題は、ローカルの攻撃者がroot権限を奪取できるもので、CVSSスコアは7

Debian、LLM利用の全面禁止か条件付き容認かを正式投票へ

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Debian、LLM利用の全面禁止か条件付き容認かを正式投票へ

Debianがプロジェクト内でのLLM利用に関する正式な一般決議(GR)の討議期間に入った。全面禁止と条件付き容認という対照的な2案が提出されている。 5ヶ月前は「決めない」で終わった DebianがLLM利用の方針を定めようとするのは、今回が初めてではない。 2026年2月、元DPL(Debian Project Leader)のルカス・ヌスバウム(Lucas Nussbaum)氏がAI支援コード貢献に関するGR草案を提出した。著作権の不透明さから品質管理、コミュニティへの影響、環境負荷まで論点は出揃ったものの合意に至らず、GRは正式に提出されないまま議論が収束している。 5ヶ月が経ち、状況は変わった。現地時間7月24日、2つの正式なGR提案が討議期間に入った。提案者も賛同者もDebianの中核を担う開発者たちで、双方とも7名の賛同を得ている。「決めない」で先送りした課題が、ついに投票の俎上に載った。 全面禁止か、条件付き容認か Proposal Aは、LLMや生成AIツールで作成・補助された貢献をDebianから明示的に排除する。提案者はマティアス・ガイガー(Mat

LinuxカーネルCVE、2日で432件公開の衝撃

Linux

LinuxカーネルCVE、2日で432件公開の衝撃

7月19日から20日にかけて、Linuxカーネルの脆弱性識別番号(CVE)が432件、一気に公開された。セキュリティ担当者からは困惑と諦めの声が上がっている。 週末の洪水 日曜から月曜にかけて、linux-cve-announceメーリングリストに掲載されたCVEの数は432件。今月すでに公開されていた40件超とは別の数字だ。 Akamai Technologiesのチーフ情報セキュリティアーキテクト、ヤン・シャウマン氏(Jan Schaumann)は月曜、oss-securityメーリングリストにこの大量公開について投稿した。CVEシステムがセキュリティ変更の追跡に最善の手段ではないと指摘した上で、これだけの件数にどう対処すべきかを問いかけている。 個別のカーネル変更を優先順位付けしようとすること自体が、もう実行不可能だと今回の件数が示している(シャウマン氏のoss-securityメーリングリストへの投稿) LLMに優先順位を付けさせても、1日に12件、翌日に25件と出されるようでは追いつかない、とシャウマン氏は述べた。深刻な問題が浮上するのを数週間待つか、Linux環

SDLの上にXlibを再実装、libx11-compat公開

Linux

SDLの上にXlibを再実装、libx11-compat公開

X11アプリのソースコードを一切変更せずに、macOSやWayland環境で動かす。そんな互換レイヤーが公開された。 X11を捨てられない現実に向けた、もう一つの答え GNOMEがX11バックエンドを完全削除し、KDE PlasmaもX11セッションの廃止に向けて動いている。Linuxデスクトップの表示基盤はWaylandに収束しつつある。 それでも、何十年もX11のAPI(Xlib)に依存してきたアプリケーションは残り続ける。 台湾・国立成功大学のホアン・チンチュン(Ching-Chun "Jim" Huang)氏が開発するlibx11-compatは、この問題への新しい回答だ。XlibのクライアントライブラリをSDL(SDL2/SDL3)、SDL_ttf、Pixmanの上にインプロセス(同一プロセス内)で再実装し、Xサーバーなしで既存のX11アプリを動作させる。 設計上の要点は「Xサーバーの代替ではない」という割り切りにある。libx11-compatはX11のワイヤプロトコルを再実装するものではなく、Xlibのクライアント側APIだけをSDLの描画・イベント処理で差し

CachyOS×NVIDIA環境でGNOMEがKDEを逆転

Linux

CachyOS×NVIDIA環境でGNOMEがKDEを逆転

ネイティブLinuxベンチマークでGNOME Shell 50.3がKDE Plasma 6.7.2を上回った。3月のUbuntu 26.04テストで約47%もの差をつけられていたGNOMEが、舞台をCachyOSに移して巻き返している。 Ubuntu 26.04での大差は何だったのか 3月、Ubuntu 26.04ベータ版でのAMD Radeon RX 9070 XTを使ったテストでは、KDE Plasma 6.6がGNOME 50に対して幾何平均で約47%の性能優位を示していた。NVIDIAドライバR595環境でも約21%の差がついている。「Linuxでゲームをするなら、デスクトップ環境の選択もパフォーマンスに影響する」という認識が広がった。 KDE Plasmaの圧勝。それが4ヶ月前の結論だった。 今回のテストでは、Razer Blade 18にCachyOSを入れ、GeForce RTX 5090 Laptop GPU(NVIDIAドライバR610)でKDE Plasma

GNOME、セキュリティ開示を90日から30日に短縮

セキュリティ

GNOME、セキュリティ開示を90日から30日に短縮

AI生成の脆弱性報告が大半を占める状況を受け、GNOMEがセキュリティ情報の開示ポリシーを改定する。担当者は11月での退任も表明した。 90日の形骸化 GNOMEのセキュリティイシュー追跡を担うマイケル・カタンザロ氏(Michael Catanzaro)が7月20日、脆弱性報告の開示期限を90日から30日に短縮すると発表した。2026年8月1日以降に報告されたイシューに適用される。 業界標準の90日は、GNOMEの実態に合っていなかった。カタンザロ氏によれば、メンテナーの対応は二つに分かれる。報告から1〜3週間で修正するか、まったく修正しないか。 90日間の猶予を設けても、メンテナーがその時間を活かすことはほぼなかった。修正が入るか期限が来るかのどちらかが先に起き、修正される場合は最初の数週間で片がつく。残りの期間は機密を維持しているだけで、誰の役にも立っていなかった。 カタンザロ氏自身、AI生成報告の増加がなくても「短い期限の方がGNOMEには合う」と述べており、今回の短縮はAI対応策にとどまらない判断だと位置づけている。 AI禁止ポリシーとの衝突 変更はもう一つあ

Firefox 153、LinuxのGPU動画再生に新経路

Linux

Firefox 153、LinuxのGPU動画再生に新経路

7月21日公開のFirefox 153が、LinuxのGPU動画デコードにVulkan Video経由の新経路を加える。新しいESRも兼ねるリリースだ。 VA-APIに代わる経路 FirefoxはLinuxの動画再生にVA-APIを採用してきた。IntelとAMDのオープンソースドライバはこのAPIをネイティブにサポートしているが、NVIDIAのプロプライエタリドライバは対応していない。 NVIDIA GPUでハードウェアデコードを使うには、コミュニティが開発したnvidia-vaapi-driverが間に入り、VA-APIの呼び出しをNVDECに変換する必要があった。 この回避策はドライバやブラウザのアップデートのたびに動作しなくなることがあり、気づかないうちにCPUデコードに戻っている場合もあった。 Firefox 153は、この構造を迂回するVulkan VideoデコードパスをFFmpegVideoDecoderに追加した。VA-APIを経由せず、Vulkan Videoの拡張機能を通じてGPUに直接デコードを委ねる。 開発を主導したのはNVIDIA技術者のティム

Windows 11、AIでLinuxを3倍引き離すも総合は互角

AI

Windows 11、AIでLinuxを3倍引き離すも総合は互角

Windows 11はAI処理で圧倒的な速度を出す一方、エンコードや汎用処理では大差で負けている。99項目のベンチマークが突きつけた、OSごとの極端な得意・不得意。 5399ドルのノートPCで99本勝負 Phoronixのマイケル・ラレイベル(Michael Larabel)氏が7月15日、Razer Blade 18上でWindows 11、Ubuntu 26.04 LTS、CachyOSの3つのOSを99項目にわたって比較した結果を公開した。 Ubuntu 26.04 LTS vs. Windows 11 vs. CachyOS Performance On A $5399 LaptopEarlier this month on Phoronix I reviewed the Razer Blade 18 RZ09-0582 as the first

Steam Machine、週1.2万~1.5万台の推計が出る

ゲーム

Steam Machine、週1.2万~1.5万台の推計が出る

Valveはハードウェアの販売台数を公表しない。Steam Machineも例外ではなく、6月29日の出荷開始から3週間近く経っても公式な数字は出ていない。Linuxゲーミング専門メディアBoiling Steamが、Steamのトップセラーチャートを使った逆算で推計を出した。 トップセラーチャートから何がわかるか Steamのグローバルトップセラーチャートは、販売本数ではなく収益でランキングを決めている。直近24時間の売上を集計し、直近3時間にはさらに重みを加えるリアルタイム方式だ。ベースゲームの購入もDLCもゲーム内課金も、1ドルは1ドルとして扱われる。 この仕組みが、高価格なハードウェアの販売台数を推計する手がかりになる。1台1049ドルのSteam Machineは、2.49ドルのCS2のケースキーと同じ収益ベースで比較される。ソフトウェアが上位に入るには大量の販売数が必要だが、ハードウェアは1件あたりの金額が大きい分、少ない台数でもランキングを押し上げられる。 7月18日時点で、Steam Machineはグローバルチャートの2位に位置していた。1位はCS2、3位は

Plasma 6.8、SteamとDiscordに影と角丸を自動適用

Linux

Plasma 6.8、SteamとDiscordに影と角丸を自動適用

KWinがCSDウィンドウのドロップシャドウと角丸を自動で描画する。System MonitorにはCPUアフィニティ設定が追加された。 影のないウィンドウに影を KDE Plasmaでは、ウィンドウの装飾をコンポジタ(KWin)に委ねるか、自前で描画するかがアプリごとに異なる。GTKアプリの多くはドロップシャドウを自前で描き、QtアプリはKWinに任せる。 問題は「どちらもしない」アプリだ。SteamやDiscordはまさにこれで、Plasmaデスクトップ上で影もアウトラインも角丸もない四角い窓として表示される。デスクトップ全体の統一感が崩れる原因だった。 Plasma 6.8で、KWinの開発者ヴラッド・ザホロドニー(Vlad Zahorodnii)氏がこの問題を解決した。CSD(クライアントサイドデコレーション)でありながらドロップシャドウを描画しないウィンドウを検出し、KWinがドロップシャドウ、アウトライン、角丸を自動で付与する。 技術的には、デコレーションテーマがメタデータで"shadow"と"titled"の2スタイルへの対応を宣言し、KWinがウィンドウの状

1991年のLinuxカーネルをRustで書き直した大学生の話

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1991年のLinuxカーネルをRustで書き直した大学生の話

トーバルズ氏が「フォークしろ」と言った2日後、35年前のカーネルをAIで書き直したプロジェクトがHacker Newsに浮上した。実用性はゼロ。だからこそ面白い。 35年前のカーネルが動いた 北京航空航天大学(ベイハン大学)の学部生が、1991年にリリースされたLinuxカーネル0.11を丸ごとRustで書き直した。ハンドルネームは「Poseidon」。リポジトリ名はlinux-0.11-rs。 Linux 0.11は1991年12月8日に公開された初期カーネルで、初版(0.01)の公開から約3か月後にあたる。リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏がヘルシンキ大学の学生だった時代の産物だ。0.11はLinuxが初めてセルフホスティング(自分自身をコンパイルできる状態)に到達したバージョンでもある。 Poseidon版はこの0.11を、オリジナルのセマンティクス(動作仕様)を維持しながらRustで一から実装し直している。カーネル本体に加え、60以上のcoreutils(基本的なUnixコマンド群)、パイプラインや制御構文を備えたPOSIXサブセットのシェル、Ta

アセンブリだけでX11サーバーを書いた男のデスクトップ

Linux

アセンブリだけでX11サーバーを書いた男のデスクトップ

ノルウェーの開発者が、x86_64アセンブリで書かれたX11サーバー「Frame」を公開した。外部ライブラリへの依存はゼロ。FirefoxとGIMPが動く環境を、この1人が日常使いしている。 Linuxカーネルの上に、アセンブリだけで積む ゲイル・イーセネ(Geir Isene)氏が7月に公開したFrameは、x86_64アセンブリで書かれたX11ディスプレイサーバーだ。frame.asmという1本のファイルに約2万5000行のアセンブリが収まっている。 Mesa、FreeType、Xlib、libcのいずれにも依存しない。Linuxのシステムコールを直接呼び、DRM/KMS(カーネルのディスプレイ制御インタフェース)とevdev(入力デバイスインタフェース)を介してX11ワイヤプロトコルを実装している。 ビルドはNASMでアセンブルしてリンカで結合するだけ。生成物は単一のスタティックELFバイナリになる。 イーセネ氏はFrameを含む一連のアセンブリ製ツール群をCHasm(CHange to ASMの略)と呼んでいる。ウィンドウマネージャのtile、ターミナルエミュレータ

SSDでSteamゲームの「カートリッジ」を自作、Redditで1.6万票

Steam

SSDでSteamゲームの「カートリッジ」を自作、Redditで1.6万票

中古の2.5インチSATA SSDにゲームを1本ずつ入れ、差し込むだけで起動する仕組みを個人が作った。SSD高騰と物理メディア消滅の間で、なぜ1万6000人が支持したのか。 差し込めば、ゲームが立ち上がる r/pcmasterraceに7月14日、「Steam Game Cartridges」(Steamゲームカートリッジ)と題した投稿が上がった。 Steam Game Cartridges by u/Jibril-sama in pcmasterrace 投稿者のJibril-sama氏は、中古の128GB SATA SSDを10台まとめて70ユーロ(1台あたり約7ユーロ)で入手し、それぞれにSteamのゲームをインストール。3Dプリンタでカートリッジ型のケースとドックを自作し、SSDを差し込むとSteamが該当ゲームのページを開く仕組みを組み上げた。 技術的には単純だ。OSはLinux。SSDにはValveのSteam URLプロトコルを呼び出すシェルスクリプトを1つ置いてある。ドックの中身はSabrent製のUSB 3.0-SATA変換アダプタで、SSDが接続さ

Ubuntu次回カーネル更新、AMD GPUに最大42倍の性能低下

Linux

Ubuntu次回カーネル更新、AMD GPUに最大42倍の性能低下

セキュリティ修正を優先し、性能リグレッションを含むカーネルをそのまま出荷する。修正は次々回の更新に回される。 9秒が388秒になる Ubuntu Kernel Teamが7月16日、事前警告を出した。次に配信されるカーネル7.0.0-28.28に、AMD GPUの演算性能を最大42倍低下させるバグが含まれている。 影響を受けるのはROCmを利用するGPUコンピュート処理だ。ComfyUIでStable Diffusion XL(SDXL)の画像を生成した場合、通常9秒で終わる処理が388秒かかる。システムがフリーズするわけではなく、スループットが極端に落ちる。 対象はUbuntu 26.04と、Ubuntu 24.04 LTSでHWEスタック(新しいカーネルを段階的に取り込む仕組み)を通じてLinux 7.0系への移行が予定されているユーザーだ。 バグの発見経緯 最初の報告は6月14日、Fedora 44ユーザーによるROCmのIssueだった。Linux 7.0.11から7.0.12へ更新した直後にComfyUIのSDXL推論が42倍遅くなった。GPUはRadeon