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Bcachefs 1.38.6、ジャーナルのロックを全面排除。性能に本腰

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Bcachefs 1.38.6、ジャーナルのロックを全面排除。性能に本腰

カーネルの外に追い出されたファイルシステムが、速度で勝負を仕掛けてきた。Bcachefs-Tools 1.38.6は、ジャーナル周りのロック競合を根本から潰すパフォーマンスリリースだ。 ロックを捨てる Bcachefs 1.38.6が現地時間6月17日にリリースされた。ディスクフォーマットの変更はなし。目玉は新機能ではなく、コードベース全域にわたるパフォーマンスチューニングにある。 開発者のケント・オーバーストリート(Kent Overstreet)氏が公開したChangelogを読むと、手の入れ方が尋常ではない。 最大の変更は、ジャーナルフラッシュの完全ロックフリー化だ。マルチスレッドで O_SYNC や fsync を叩くワークロードで、従来はジャーナルのメインロックがボトルネックになっていた。1.38.6ではフラッシュ処理からロックを排除した。ピンリストもジャーナル全体でロックを共有する方式をやめ、リストごとの個別ロックに切り替えている。ジャーナルの読み込みにはバイナリサーチを導入し、デフォルトのジャーナルサイズも引き上げた。 データベースサーバーやコンテナ環境で f

Apple自身が捨てて17年。AppleTalkがLinuxからも消える

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Apple自身が捨てて17年。AppleTalkがLinuxからも消える

Appleが2009年に見切りをつけたプロトコルが、2026年のLinuxカーネルでようやく退場する。直接の引き金は、コードの老朽化ではなくAI生成パッチの氾濫だった。 3694行の静かな退場 AppleTalkの実装がLinuxカーネルから消える。ネットワーク共同メンテナーのヤクブ・キチンスキ(Jakub Kicinski)氏が、現地時間6月15日付でコミットを投入した。Linux 7.2に向けたnet-nextツリーへの変更で、37ファイル、3694行の削除を含む。 AppleTalkは1985年にAppleが導入した独自のネットワークプロトコルスイートだ。ケーブル1本でMacintosh同士がつながる、プラグ・アンド・プレイのLANを実現した。だがTCP/IPに主役の座を奪われ、Apple自身がMac OS X 10.6 Snow Leopard(2009年8月リリース)でサポートを打ち切っている。 生みの親が17年前に葬ったプロトコルを、Linuxはなぜ今まで抱えていたのか。 AIパッチという名の引き金 キチンスキ氏はコミットメッセージにこう書いた。 「最近、

AIの安全性を疑い続けた研究者が、止める側に回った

AI

AIの安全性を疑い続けた研究者が、止める側に回った

Anthropicのセキュリティ研究者ニコラス・カルリーニ(Nicholas Carlini)氏は、AI業界の安全性主張を疑うことを仕事にしてきた。その彼が、自ら確かめた事実によって立場を変え、いま米政府とAnthropicの対立の最前線に立っている。 「職業的懐疑論者」の転向 カルリーニ氏のキャリアは、AIの弱点を暴くことで築かれた。カリフォルニア大学バークレー校でデイヴィッド・ワグナー(David Wagner)教授のもと博士号を取得。2016年に発表した「Carlini & Wagner攻撃」は、敵対的機械学習の標準的な手法となった。画像認識を騙す手法、音声アシスタントに人には聞こえない命令を埋め込む手法、大規模言語モデルが訓練データを暗記・出力してしまう問題。AI開発者が「安全だ」と言えば、カルリーニ氏がそれを破る。 Google Brain、DeepMindで7年を過ごした後、2025年にAnthropicへ移った。AIモデルで「どんな悪いことができるか」を調べるためだと本人は書いている。 2019年、カルリーニ氏はOpenAIがGPT-2を「危険すぎてリリースでき

Linuxカーネルが新ファイルシステムの受け入れ基準を明文化

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Linuxカーネルが新ファイルシステムの受け入れ基準を明文化

新ファイルシステム追加のガイドラインが、異論なく承認された。5月に草案として提示されていた文書が、Linux 7.2のマージウィンドウが開くと同時にカーネルのドキュメントツリーへ収まっている。 草案から正式な「門」へ adding-new-filesystems.rst がLinuxカーネルの Documentation/filesystems/ に追加された。 5月のLSFMM+BPFサミットでアミール・ゴールドスタイン(Amir Goldstein)氏が提案し、ファイルシステム開発者の間で議論を経たドキュメントだ。当時は草案だった。今回Linux 7.2のマージウィンドウで、反対意見なしに正式採用された。 中身は「新しいファイルシステムをカーネルに入れたいなら、これを満たせ」という要件集。技術要件とコミュニティへの責任、その両方を明記している。 何が求められるのか 技術面の要件は明快だ。 folio(ページキャッシュの管理単位)とiomap(ブロックマッピングの現行API)を使うこと。古いAPIで組まれたファイルシステムは、そもそもレビューの土俵に上がれない。mk

KDE Plasma 6.7リリース。21年越しの悲願と、X11最後の夏

Linux

KDE Plasma 6.7リリース。21年越しの悲願と、X11最後の夏

KDEのデスクトップ環境Plasma 6.7が、現地時間6月16日にリリースされた。目玉は「画面ごとの仮想デスクトップ」。2005年にKDE 3.3.2上で提出された要望から数えて、実に21年。この機能を実装したのはKDEコミュニティの外にいたPHP開発者だった。30周年を迎えるKDEにとって節目のリリースであり、X11セッションを提供する最後のバージョンでもある。 21年、ひとりのPHP開発者が動かした 2005年6月、あるKDEユーザーがバグトラッカーに要望を出した。デュアルモニター環境で仮想デスクトップを切り替えると、両方の画面が一斉に切り替わる。片方だけ動かしたい。解像度は1280×1024が2枚。時代を感じる構成だが、問題の本質は2026年まで変わらなかった。 実装を阻んでいたのはX11の仕様だ。EWMH(拡張ウィンドウマネージャーヒント)は「アクティブな仮想デスクトップは常にひとつ」が前提で、画面ごとに別のデスクトップを表示する概念がそもそもない。2013年、当時のKWinメンテナーだったマルティン・フレーサー(Martin Flöser)氏がX11上での実装を退け

Steam Machine、SteamOSでGeekbenchに再登場

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Steam Machine、SteamOSでGeekbenchに再登場

10か月間沈黙していたSteam Machineのベンチマークが、ひっそりと更新された。しかも今回は、Windowsではない。 WindowsからSteamOSへ 6月15日、Geekbenchに「Valve Fremont」名義の新しいCPUベンチマーク結果が2件投稿された。Fremontは、Valveが開発中の据え置き型ゲーム機Steam Machineの内部コードネームだ。 注目すべきはOSの欄。2025年8月に初めてGeekbenchに登場した際はWindows 11 Proで動作していたが、今回はSteamOSに切り替わっている。ハードウェアの開発初期段階ではドライバの安定性やベンチマーク環境の都合でWindowsを使うのが一般的で、当時はまさにその状態だった。製品版のOSでテストが行われるようになった以上、開発は最終段階に入ったとみてよいだろう。 スペックの変化と変わらないもの CPUは前回と同じAMD Custom CPU 1772。Zen 4アーキテクチャの6コア/12スレッドで、L3キャッシュは16MB。Geekbench上のベース周波数は3.2GHzか

Flatpak次世代はsystemd依存へ。怒りが消した妥協

Linux

Flatpak次世代はsystemd依存へ。怒りが消した妥協

Linuxの「どのディストリビューションでも動く」アプリ配布基盤、Flatpak。その次世代構想で、systemdを使わない環境が切り捨てられようとしている。開発者はもともと配慮するつもりだった。だが、コミュニティ自身の炎上がその意志を折った。まだコードは1行も書かれていない段階での出来事だ。 何が変わるのか 5月のLinux App Summit 2026(ベルリン開催)で、2人のRed Hat開発者がFlatpakの将来像を発表した。エイドリアン・ヴォヴク(Adrian Vovk)氏とセバスチャン・ウィック(Sebastian Wick)氏だ。現行Flatpak(6月8日に1.18リリース)の改善を続けつつ、並行して「Flatpak Next」と呼ばれる次世代アーキテクチャの構想を進めているという。 核心は systemd-appd という新コンポーネントにある。 現在のFlatpakは、bubblewrapというサンドボックスツールでアプリをホストOSから隔離している。Flatpak Nextでは、この設計を一から作り直す。サンドボックスの実行基盤はbubblewrap

Linuxカーネル7.2、Rustで「書かなくて済むコード」がまた増える

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Linuxカーネル7.2、Rustで「書かなくて済むコード」がまた増える

「危険なコードを、書かずに済ませる」。次期Linuxカーネル7.2に向けてミゲル・オジェダ(Miguel Ojeda)氏が送ったRust関連のプルリクエストは、新機能の華やかさとは無縁だ。それでも、カーネルという土台にとっては重みのある一歩になる。今回の目玉は、4万行近いコードを一気に取り込むzerocopyライブラリの導入。これまで人が手書きしていた危ういコードの一部が、コンパイラに安全性を保証させる書き方へ置き換わる。 4万行の正体は「危険な変換」をなくすための部品 7.2のマージウィンドウは、7.1の正式リリース(現地時間6月14日)とともに開いた。その7.1も、NTFSの新ドライバ、Intel FREDのデフォルト有効化、x86の486世代サポートを含む14万行超の旧コード削除を抱えた、節目の更新だった。続く7.2に向けて、Rust陣営が真っ先に送り込んだのが今回のプルリクエストになる。 差分の行数だけ見れば、約3万9000行の追加。ベンチマーク用のコードを除いても約3万2000行という、Rust関連としては異例の大きさだ。ただ、この数字に身構える必要はない。中身のほと

AUR荒らし、マルウェアの次はロシア語の嫌がらせ。AIが最初に検知

セキュリティ

AUR荒らし、マルウェアの次はロシア語の嫌がらせ。AIが最初に検知

Arch Linuxの「AUR」(Arch User Repository)で、1500を超えるパッケージがマルウェアに汚染された騒動が、ようやく収束しかけたところだった。その同じ場所が、今度は毛色の違う厄介事に見舞われている。インストール後、シェルの設定ファイルへ勝手にロシア語の悪口を書き込む嫌がらせだ。財産も認証情報も盗まない。実害がないからこそ、運営はかえって対応に困っている。 マルウェアではない、ただの荒らし きっかけは、開発者のニコラ・ボワシャ(Nicolas Boichat)氏が運用しているAI検知ボットだった。AURのパッケージに不審なメッセージが紛れ込んでいるのを拾い上げたと報告されている。問題のコミットは現地時間6月14日、つまり大規模マルウェア騒動の直後に行われたものだ。 何が仕込まれていたのか。インストール後に bashrc や zshrc、Fishといったシェルの設定ファイルへ、ロシア語の攻撃的なメッセージを書き加える処理が仕込まれていた。端末を起動するたびに、その悪態が画面に流れ出す。 ここが前回と決定的に違う。6月11日に発覚した「Atomic A

Linux-libre 7.1-gnu。i486が遺したもの

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Linux-libre 7.1-gnu。i486が遺したもの

Linux 7.1の安定版が公開された翌日、カーネルからプロプライエタリなコードを取り除く「自由版」Linux、GNU Linux-libreが7.1-gnuとしてリリースされた。リリースノートはいつものようにdeblob(非自由バイナリの除去)作業を報告しているが、今回はマスコットのフリードが何度も嘆いている。 i486のサポートが消えた Linux 7.1で、i486プロセッサ向けのカーネルビルドオプションが削除された。x86メンテナのインゴ・モルナー(Ingo Molnár)氏が2025年4月に提案し、約1年の議論を経て、リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏が今年4月のマージウィンドウで受け入れた。 1989年に登場したi486は、PC普及期を支えたプロセッサだ。Linuxカーネルでは2012年にi386のサポートが落とされ、それ以来i486がx86の最低ラインだった。これが消えれば、最低ラインはPentium世代になる。 トーバルズ氏自身は2022年の時点で「i486クラスのハードウェアにはもう実質的な意味がない」と述べていた。モルナー氏は提案の中で

Linux 7.1がリリース。NTFSの「復活」とAI時代の開発現場

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Linux 7.1がリリース。NTFSの「復活」とAI時代の開発現場

リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏は現地時間6月14日、Linuxカーネル7.1の安定版を公開した。旅先からのリリースだった。「自宅ではまだ日曜の朝だけど、今いる場所は日曜の午後なので」と、いつもの調子で始まるリリースノートの裏に、波乱含みの開発サイクルがあった。 NTFSの「復活」。4年越しの書き換えがもたらすもの Linux 7.1最大の目玉は、NTFSファイルシステムドライバの全面刷新だ。開発を率いたのは韓国の開発者ナムジェ・ジョン(Namjae Jeon)氏。exFATドライバやカーネル内SMBサーバKSMBDを手がけた実績を持ち、4年かけて古い読み取り専用NTFSドライバを近代化し、完全な書き換えに仕上げた。 トーバルズ氏はマージ時にこれを「ntfs resurrection」(NTFSの復活)と称した。 LinuxにおけるNTFS対応は長年、継ぎ接ぎだった。カーネルに組み込まれた古いドライバは読み取り専用。書き込みが必要なユーザーはNTFS-3Gに頼ってきたが、ユーザー空間で動くFUSE実装であり、性能面の不利は避けられなかった。2021年にP

Wine-Staging 11.11リリース。289パッチで本流を補強

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Wine-Staging 11.11リリース。289パッチで本流を補強

Wineの実験版「Wine-Staging 11.11」が現地時間6月13日にリリースされた。WindowsアプリケーションをLinux上で動かすこの互換レイヤーは、前日公開の本流Wine 11.11に289のパッチを上乗せし、Linuxゲーミングの足元を支え続けている。 本流Wine 11.11の変更点 ベースとなるWine 11.11本体から見ていく。目玉は3つある。 まず、暗号ライブラリの入れ替え。Wineが内部で使っていたTomCryptに代わり、Microsoftがオープンソースで公開するSymCryptが採用された。SymCryptはWindows 10以降のすべての暗号処理を担うライブラリで、Microsoftの公式実装をWineが直接取り込んだことになる。古いWindowsインストーラーがハッシュ計算で詰まる問題の解消や、メモリリークの軽減が期待できる。 次に、Waylandドライバの強化。レイヤードウィンドウ(透過ウィンドウ)のサポートが加わった。Waylandの alpha-modifier-v1 プロトコルを利用した透過処理に加え、リサイズ不可ウィンドウ

AURマルウェア、削除完了の翌日にさらに高度な第3波が発生

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AURマルウェア、削除完了の翌日にさらに高度な第3波が発生

AURマルウェア、削除完了の翌日にさらに高度な第3波が発生 Arch LinuxのAURマルウェア汚染は、まだ終わっていなかった。悪意あるコミットの削除が完了したと報告された翌日、手口をさらに高度化した新たな攻撃が確認された。検出のきっかけは、あるコミュニティメンバーがローカルで動かしていたAIモデルだった。 沈黙は24時間も続かなかった 6月12日、パッケージメンテナーのヨナタン・グローテリュッシェン(Jonathan Grotelüschen)氏が、認識しているすべての悪意あるコミットを削除したとメーリングリストで報告した。影響を受けたパッケージは1,579件。Arch Linuxは公式声明を出し、AURへの新規アカウント作成やパッケージの更新・引き取りに制限をかけた。 その制限下で、攻撃は再び起きた。 6月13日夜(UTC)、開発者のa821氏がメーリングリストに新たなリストを投稿した。約50件のパッケージに、難読化されたBunコマンドが挿入されていた。第1波のnpm、第2波の平文Bunとは異なり、今回はコマンド文字列が1文字ずつシングルクォートで分割されていた。gi

Fedora 45、機密VM向けに軽量版GRUBを提案

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Fedora 45、機密VM向けに軽量版GRUBを提案

クラウド上の仮想マシンが「自分のデータは誰にも見られていない」と証明するためには、ブートローダーの中身すら問題になる。その要求に正面から応える提案が、Fedora 45に向けて出された。 通常のGRUBでは「重すぎる」 Red Hatのブートローダーチームが、Fedora 45の変更提案(F45 Change Proposal)として軽量版GRUBの導入を提出した。対象は、Confidential Computingに使われる仮想マシンだ。Confidential Computingとは、クラウド上でデータを処理している最中も暗号的に保護する技術を指す。 なぜブートローダーが問題になるのか。Confidential VMはリモートアテステーション(遠隔検証)に依存している。これはVMが改ざんされていないことを外部から検証する仕組みで、その検証にはTPMのPCR値が使われる。ブートローダーが更新されるとPCR値が変わり、検証が通らなくなる。ブートローダーは小さく、モジュールは少なく、更新頻度は低いほどよい。 通常のGRUBは汎用性を重視した設計で、多数のモジュールを内蔵している