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Amazonが初公表した水消費量と「芝生比較」の危うさ

データセンター

Amazonが初公表した水消費量と「芝生比較」の危うさ

Amazonがデータセンターの水消費量を初めて公表した。年間25億ガロン。そして「米国人が芝生に撒く水の0.075%にすぎない」と付け加えた。数字としては正しい。だが、正しい数字が正直な比較とは限らない。 初めて明かされた「25億ガロン」 AWSは2026年6月11日、データセンターの水消費データを初めて公開した。2025年の全世界での水使用量は25億ガロン(約95億リットル)。競合のGoogle、Meta、Microsoftが2020年以降すでに公表してきたデータに、最大手がようやく追いついた格好だ。 Amazon側が強調するのは効率の良さだ。1kWhあたりの水使用量は0.12リットルで、業界平均0.84リットルの7分の1以下。2021年比で52%改善したという。他社との比較では、Metaが0.19リットル(2024年)、Microsoftが0.27リットル(2025年)、Googleが1.15リットル(2024年)。いずれもAmazonのデータに基づく数字であり、測定条件の違いに留意が必要だが、相対的に少ない水で多くの計算をこなしている、というのがAmazonの主張だ。

ナデラ氏「自分もやめられない」。AI使い放題の時代が終わる

AI

ナデラ氏「自分もやめられない」。AI使い放題の時代が終わる

Microsoftのサティア・ナデラ(Satya Nadella)CEOが、AIの過剰利用を戒めた。「自分もトークンマキシングの中毒だ」と認めたうえで、従業員に対して高価なフロンティアモデルの安易な使用をやめるよう呼びかけている。AIを売り込む側のトップが「やめられない」と告白したこと自体が、シリコンバレー全体で進むAIコスト見直しを象徴している。 「たくさん使ってる。中毒だ」 2026年6月、ニューヨーク・タイムズのポッドキャスト「Hard Fork」の公開収録に登壇したナデラ氏は、社内でどれほどトークンマキシングが起きているかを問われ、質問が終わる前に答えた。 「たくさん。自分もトークンマキサーだ、中毒になる。でも新鮮さが薄れたら一歩引いて、自分は何を作ろうとしているのかと考えないといけない」 トークンマキシング(tokenmaxxing)。AIのトークン消費量を際限なく最大化する行為を指すネットスラングで、2026年春ごろからシリコンバレーで急速に広まった。社内リーダーボードでトークン消費量を競い合う文化が、複数のテック大手で確認されている。 ナデラ氏はさらに踏み込ん

Metaの「優秀な人材」が単純作業に回される。AI部門6500人の反乱

AI

Metaの「優秀な人材」が単純作業に回される。AI部門6500人の反乱

「優秀だから選ばれた」。そう告げられてApplied AIチームに異動させられたエンジニアたちが、いま声を上げている。 配属か退職か Metaの社内が荒れている。新設されたApplied AI Engineering(応用AIエンジニアリング)部門で不満が噴出し、今週の社内ライブ配信中に従業員がマイクを乗っ取って上級幹部を罵倒する一幕があったと報じられた。プレゼンターの一人は両手で顔を覆ったという。 この部門は3月に設立され、約6500人のエンジニアとプロダクトマネージャーが所属する。率いるのはReality Labs部門の元副社長、マヘル・サバ(Maher Saba)氏。CTOのアンドリュー・ボズワース(Andrew Bosworth)氏の直轄組織だ。 問題の核心は、配属の経緯にある。従業員に与えられた選択肢は2つだけ。「参加するか、辞めるか」。社内では自分たちを「徴兵組」と呼ぶ声が広がっている。 担当する業務は、AIモデルの訓練用にコーディング問題やパズルを生成すること。以前はソフトウェア開発の最前線にいたエンジニアたちにとって、それは創造性も技術的挑戦もない単純作業だ

Metaが社内AIトークン使い放題を撤回。コスト抑制へ転換

AI

Metaが社内AIトークン使い放題を撤回。コスト抑制へ転換

4月には社内リーダーボード「Claudeonomics」で従業員同士がAIトークン消費量を競い合い、30日間で60兆トークンを燃やしていた。それからわずか2カ月。Metaは6月9日付の社内メモで、従業員のトークン使用量に上限を設け、社内AIツールMetaCodeへの移行を促す方針を打ち出した。 「使い放題」から「制限」へ、2カ月で180度転換 報じられた社内メモの内容は端的だった。2026年の社内AI関連支出の予測が数十億ドル規模に達したことを受け、個人やチーム単位でのトークン使用量の可視化、予算の設定、使いすぎへの自動通知を導入する。2027年にはさらに踏み込んだ管理体制に移行するという。 ほんの数カ月前まで、Metaは真逆のことを言っていた。CTOのアンドリュー・ボズワース(Andrew Bosworth)氏は2月の技術カンファレンスで、トップエンジニアが自身の給与に相当する額をトークンに費やし、生産性が5〜10倍に跳ね上がったと語っている。「簡単に元が取れる。上限なしでやれ」。 その号令を真に受けた結果がClaudeonomicsだった。8万5000人以上の従業員が参加

MetaがManusを切り離した。20億ドルで買った知識は返せるのか

AI

MetaがManusを切り離した。20億ドルで買った知識は返せるのか

中国発のAIエージェント企業Manusが、Metaの社内システムから完全に締め出された。6月に入り、MetaはManus従業員の社内データシステムへのアクセスを遮断し、Meta社員にもManusツールの業務利用を禁じた。社内メモにはManusを「サンセット(終了)」するとあり、進行中のプロジェクトはすべてMeta自前のシステムへ移行するよう指示が出た。 半年で築いた壁、半年で壊す 2025年12月、MetaはManusの親会社Butterfly Effectを20億ドル超(約3200億円超)で買収した。従業員の引き留め報酬5億ドルを含めると総額は約25億ドルに達するとも報じられている。わずか10日で交渉がまとまり、マーク・ザッカーバーグ氏自ら年内決着を急がせた案件だった。 Manusは2025年3月にデモ動画ひとつで世界の注目を集めた汎用AIエージェントで、発表から8カ月で年間経常収益(ARR)が1億ドルを突破していた。CEOのシャオ・ホン(Xiao Hong)氏、最高科学責任者のジー・イーチャオ(Ji Yichao)氏、CPOのチャン・タオ(Zhang Tao)氏。3人の創業

AIデータセンターの「水問題」、冷却は氷山の一角だった

AI

AIデータセンターの「水問題」、冷却は氷山の一角だった

アメリカで建設が計画されているAIデータセンターの3分の2が、干ばつの続く地域に立地しようとしている。技術企業側が繰り返す「水の使用量は農業より少ない」という弁明は、数字として間違ってはいないが、重要な前提を欠いている。 809件中517件が干ばつ地帯 NOAAの干ばつ情報システムで干ばつ地域を照合したところ、全米で計画中の809件のデータセンタープロジェクトのうち517件が、過去1年間にわたって干ばつに分類された地域に集中している。 この数字が示すのは、立地選択の失敗ではなく、業界が水問題をどこから切り取っているかという問いだ。 企業側の論拠はこうだ。1月にザイレム(Xylem)とグローバル・ウォーター・インテリジェンス(Global Water Intelligence)が出した報告書によると、2050年までにAIが必要とする追加の水需要のうち、データセンターの冷却水が占める割合は約4%にとどまる。残りは発電が約54%、半導体製造が約42%を占める。テック企業が語る「冷却水の節約」は、AI由来の水消費全体のうち4%をめぐる話にとどまる。 6月3日に国連大学が発表したレポ

生成AIへの「依存」、責任はどこにあるのか

AI

生成AIへの「依存」、責任はどこにあるのか

チャットボットを最初の相談相手にする。検索より先にAIに聞く。不安を感じたとき、まずAIに話しかける。生成AIユーザーの約3割が「依存しているかもしれない」と感じた経験があるという調査が国内でも出ている。ツールとして使っているつもりが、いつの間にか手放せなくなっている。その責任をどこが担うのか、まだ答えは出ていない。 SNS訴訟の「次の問い」 2026年3月、ロサンゼルスの陪審員がMetaとYouTubeに有罪評決を下した。インスタグラムを9歳から使い始め、精神的な健康を損なったと訴えた原告の主張を認め、設計の過失と、危険性の周知を怠った責任が認定された。補償的損害賠償として総額300万ドル(約4億8000万円)、懲罰的損害賠償として計300万ドルの支払いも勧告された。この評決は1500件以上の類似訴訟の行方に影響するとみられており、「ビッグテックのタバコの瞬間」と呼ぶ声もある。 評決から2ヵ月後の5月、ノッティンガム大学でテクノロジー批判研究を専門とするバーンド・カルステン・シュタール(Bernd Carsten Stahl)教授が、同じ問いを生成AIに当てはめた論文を発表し

MetaのAIサポートが招いたInstagram2万件超の乗っ取り

セキュリティ

MetaのAIサポートが招いたInstagram2万件超の乗っ取り

MetaのAIサポートツールに設計上の欠陥があり、2万件を超えるInstagramアカウントが乗っ取られた。AIにアカウント復旧の権限を与えながら、本人確認という最も基本的な工程を省いた結果だ。 AIが鍵を渡した Metaは6月6日付でメイン州司法長官室にデータ侵害の届出を行った。影響を受けた可能性のあるアカウントは2万225件。メイン州内だけでも30件にのぼる。 問題のツールは「High Touch Support」(HTS)。ログインできなくなった利用者がInstagramアカウントを取り戻すのを助ける、AI搭載のサポートシステムだ。Metaは2026年3月、このAIサポートをFacebookとInstagramの全アカウントに展開した。「提案ではなく、解決を」と銘打ち、パスワードリセットを含むアカウント復旧操作を、人のオペレーターに代わってAIに任せる仕組みだった。 ここに致命的な設計の穴があった。HTSはパスワードリセットの際、リクエスト者のメールアドレスがそのアカウントの登録アドレスと一致するかを検証していなかった。別のコードパスにバグがあり、無関係なメールアドレス

Metaが「テント」でAIサーバーを動かし始めた理由

AI

Metaが「テント」でAIサーバーを動かし始めた理由

データセンターの常識が壊れている。Metaがオハイオ州の敷地に建てたのは、鉄筋コンクリートの建物ではない。航空宇宙グレードのアルミフレームに防水布を張った巨大テントだ。中には1棟あたり数千億円規模のAIアクセラレータが詰め込まれ、隣に据えたガスタービンが電力を送り込む。正式名称は「rapid deployment structures(迅速展開構造物)」。建設期間は約3か月。通常のデータセンターが2〜3年かかることを考えれば、桁違いの速さだ。 テントの中身は数千億円の計算資源 エネルギー調査企業Cleanviewの創業者マイケル・トーマス(Michael Thomas)氏が6月4日に衛星画像と自治体の建設許可を公開し、Metaの戦略が明らかになった。 舞台はオハイオ州ニューアルバニーにあるMetaのデータセンター拠点「Prometheus(プロメテウス)」だ。ここには2〜3年をかけて建設された5棟の本棟がすでに稼働している。Metaはその隣に、1棟あたり約1万1600平方メートルのテントを5棟、2026年4月から6月にかけて建設した。衛星画像では、すでに全棟が完成している。

SNS各社は「教室の中」まで狙っていた(訴訟文書が示す手口)

SNS

SNS各社は「教室の中」まで狙っていた(訴訟文書が示す手口)

授業中にSnapchatの通知が鳴る。10代の「アンバサダー」がInstagramの販促グッズを友人に配る。YouTubeのアルゴリズムが、一次方程式の学習動画の次にコメディ動画を推薦する。これらは偶然ではなかった。 1,400学区の訴訟が開いた箱 米国で1,400を超える学区がMeta、Snap、ByteDance(TikTok)、Google(YouTube)の4社を相手に起こしている集団訴訟で、裁判所に提出された内部文書の内容が6月4日に報じられた。訴訟そのものは既報のとおりだが、今回新たに明らかになったのは、各社がどこまで具体的に「学校という場」を攻略しようとしていたか、だ。 文書によると、Snapchatは授業時間中に高校生のスマートフォンへ通知を送る機能を持っていた。通知の内容は、バックパックの中身や教室の様子を共有するよう促すものだった。ある内部戦略文書はこの行為を「机の下(under the desk)」での利用と表現していたという。Snapの社員がダークパターン(操作的なデザイン)に該当するリスクを指摘して通知のオプトアウト機能を提案したが、その提案は実行され

MetaのAIエージェントが世界の中小企業を変える

AI

MetaのAIエージェントが世界の中小企業を変える

WhatsAppやInstagram上の顧客対応を丸ごとAIに任せる「Meta Business Agent」が全世界で提供開始された。広告依存から脱却を図るMetaの新たな収益源が、商取引の形を塗り替えようとしている。 「店員のいない店」がメッセージアプリに現れた Metaは2026年6月3日、ロンドンで開催した年次カンファレンス「Conversations」で、AIエージェント「Meta Business Agent」の全世界展開を発表した。WhatsApp、Instagram、Messengerの3プラットフォーム上で、企業に代わってAIが顧客の質問に答え、商品を提案し、予約や販売までを完了させる。人間のスタッフへ引き継ぐタイミングは企業側が決められる仕組みだ。 マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏は同カンファレンスで「あらゆる規模の企業に、顧客と話し、業務を回すエージェントを届ける」と述べた。 すでにWhatsAppとMessengerでは100万を超える企業がこのエージェントの初期版を利用しており、3つのプラットフォーム合計で毎日10億件を超え

AIの電力需要に建設が追いつかない

AI

AIの電力需要に建設が追いつかない

テック大手が今年だけで合計100兆円超の設備投資を宣言しているが、その受け皿となるデータセンターの建設は計画通りに進んでいない。2027年完成予定の容量のうち6割以上が着工すらしていないとする分析が報じられた。Googleの親会社Alphabetはこの逆風のなかで800億ドル(約12兆8000億円)規模の株式発行による資金調達を発表し、電力インフラの自前確保に大きく舵を切った。 「計画だけ」の容量が山積みになっている AIデータセンターの建設遅延は、もはや個別のプロジェクトの話ではない。 市場調査企業Sightline Climateの分析によると、2026年に稼働予定の約16GW分のデータセンターのうち、実際に建設が進んでいるのは約 5GW にとどまり、全体の3分の1に過ぎない。残りは「発表済み」の段階で止まっている。2027年予定の案件はさらに深刻で、21.5GWの計画に対し着工済みはわずか 6.3GW。つまり完成が約束された容量の大部分が、まだ地面すら掘っていない。 米国データセンター容量:計画 vs 着工済み