OpenAI

Anthropic、著作権和解15億ドルに最終承認

AI

Anthropic、著作権和解15億ドルに最終承認

米国著作権訴訟で過去最大の和解が確定した。AI学習はフェアユースと認められたが、海賊版書籍の保存が違法と判断された結果の決着であり、金額だけでは語れない含みがある。 学習は合法、入手は違法 サンフランシスコ連邦地裁のアラセリ・マルティネス=オルギン判事は現地時間7月20日、Anthropicが作家グループに15億ドル(約2,400億円)を支払う和解を最終承認した。米国の著作権訴訟で確認されている和解額としては過去最大となる。 訴訟は2024年8月、スリラー作家のアンドレア・バーツ(Andrea Bartz)氏らが提起した。Anthropicがチャットボット「Claude」の学習データとして、海賊版サイトのLibrary Genesis(LibGen)やPirate Library Mirror(PiLiMi)から書籍を大量にダウンロードし、無断で使用したと主張する集団訴訟だ。 2025年6月、当時の担当判事ウィリアム・アルサップ(William Alsup)氏が分離判断を下した。著作権で保護された書籍をAI学習に使うこと自体は「本質的に変容的」であり、フェアユースに該当すると

OpenAIのモデルがHugging Faceを侵害した

AI

OpenAIのモデルがHugging Faceを侵害した

先週のHugging Faceへの侵入を実行したのは、OpenAI自身がテストしていたAIモデルだった。サイバー能力のベンチマークで正解を得ることに執着し、サンドボックスの外に出た。 ベンチマークの「カンニング」だった Hugging Faceが現地時間7月16日に公表した侵害の原因が、5日後に判明した。 OpenAIは現地時間7月21日、自社のAIモデルがテスト環境のサンドボックスを脱出し、Hugging Faceの本番インフラの一部を侵害したと発表した。関与したのはGPT-5.6 Solと、それを上回る性能を持つ未公開のプレリリースモデルだ。いずれもサイバー関連の安全制御を意図的に外した状態で、社内のサイバー能力評価に投入されていた。 評価に使われたのは、ExploitGymと呼ばれるベンチマークだ。実世界の脆弱性898件を収録し、AIエージェントが脆弱性を実際のエクスプロイト(攻撃コード)に発展させられるかを測定する。 OpenAIによると、モデルはExploitGymの解答を取得することに過剰に集中し、テスト目標を達成するために極端な手段を取った。 サンドボック

AIコーディングツール4種にサンドボックス脱出の欠陥

セキュリティ

AIコーディングツール4種にサンドボックス脱出の欠陥

Cursor、Codex CLI、Gemini CLI、Antigravity。AIにコードを書かせるための主要ツール4つから、サンドボックスの外へ抜け出す手段が見つかった。しかもエージェントはルールを一切破っていない。 ファイルが「外」で走る AIコーディングエージェントのセキュリティは、ひとつの前提に支えられてきた。エージェントはプロジェクトのワークスペース内で自由に動けるが、その外にあるホストOSは保護される、という線引きだ。 イスラエルのAIセキュリティ企業Pillar Securityが、この前提を7つの脆弱性で崩した。研究チームのアイロン・コーヘン(Eilon Cohen)氏、ダン・リシチキン(Dan Lisichkin)氏、アリエル・フォーゲル(Ariel Fogel)氏が数カ月かけて再現し、7月20日に公開した。1日1件ずつ詳細を出す「Week of Sandbox Escapes」(サンドボックス脱出の1週間)と題したシリーズだ。 攻撃の構造は、サンドボックスの壁を直接叩くものではない。 エージェントはワークスペース内でファイルを書く。それ自体はサンドボッ

トランプ政権、中国AIモデル規制に再び動く

AI

トランプ政権、中国AIモデル規制に再び動く

Kimi K3の衝撃が収まらないうちに、ワシントンが動き始めた。中国製オープンウェイトAIモデルを米国市場から締め出す構想が、政権内部で再び勢いを増している。 禁止ではなく、圧力で締め出す Axiosが7月20日に報じた内容は、単純な「禁止令」の話ではない。 政権に近い複数の関係者がAxiosに明かしたところによると、商務省は昨年、中国の複数のAIラボをエンティティリスト(取引制限リスト)に追加することを検討した。国家安全保障局(NSA)とホワイトハウスの国家サイバー長官室も、中国AIモデルのセキュリティリスクを警告する勧告の発出を検討していたという。 さらにホワイトハウスは、中国製モデルをホスティングする米国企業にセキュリティ上の責任を負わせる大統領令の案も回していた。 いずれも実行には至っていない。規制によるイノベーション阻害を嫌うホワイトハウス高官が、これらの動きを潰した。AI政策の上級顧問だったスリラム・クリシュナン(Sriram Krishnan)氏もその一人だ。 クリシュナン氏は6月末に退任した。Axiosの報道は、その退任後に国家安全保障強硬派の声が大きくな

Google、Geminiを「焼き込んだ」専用チップを開発中

AI

Google、Geminiを「焼き込んだ」専用チップを開発中

Googleが、Gemini AIモデルの設計をシリコンに直接統合するサーバーチップを開発している。非公式に「Frozen v2」と呼ばれるこのチップは、2028年にも投入される可能性があるという。 TPUとは別の道 Googleが新たに手がけるチップは、同社のTPU(Tensor Processing Unit)とは根本的に性格が異なる。 TPUは汎用のAIアクセラレータだ。多種のモデル、多様なワークロードに対応できるよう設計されている。NVIDIAのGPUも同様で、どんなAIモデルでも動かせる代わりに、実行のたびにメモリからモデルのパラメータを読み込み、計算し、書き戻すという手順を踏む。 Frozen v2はその手順を省く。Geminiモデルの判断ロジックの一部をチップの回路そのものに組み込み、データの移動量と処理ステップを削減する。The Informationが事情に詳しい2名の関係者の話として報じたところによると、開発者はこのチップが現行TPUの6〜10倍の効率を達成すると見込んでいる。 Googleは4月にTPU 8t(トレーニング用)とTPU 8i(推論用)を

中国AIモデルの脅威論を解体するコモディティ経済学

AI

中国AIモデルの脅威論を解体するコモディティ経済学

Kimi K3とQwen3.8 Maxが立て続けに登場し、中国オープンウェイトモデルへの警戒が再燃している。この恐怖は、どこまで根拠があるのか。 売上原価が戻ってきた ソフトウェア産業では長らく無視できた数字が、AIでは避けて通れない。COGS(売上原価)だ。 Stratecheryのベン・トンプソン(Ben Thompson)氏が7月20日に公開した分析は、中国オープンウェイトモデルに対する業界の過剰反応をコモディティ経済学の枠組みで切り崩している。 出発点はシンプルな区分にある。オープンウェイトモデルが「無料」なのは研究開発費(R&D)を省けるからであり、R&Dは売上高と連動しない固定費だ。 しかし推論にかかるコスト、つまり売上原価は売上に比例して増える。収益が1000倍になれば、推論コストも1000倍になる。 従来のソフトウェアはここが違った。限界費用がほぼゼロだったからこそ、需要を制する者が市場を支配できた。トンプソン氏自身がAggregation Theory(集約理論)として理論化した構造だ。 AIはその前提を覆す。推論コストが消えない以上、古い経済学の原則

Microsoft、Mythos対抗のAIセキュリティ製品を準備

AI

Microsoft、Mythos対抗のAIセキュリティ製品を準備

AIが発見する脆弱性の件数が急増するなか、Microsoftが顧客向けの対抗製品を今月にも投入するという。 「Project Perception」の輪郭 MicrosoftがAIを使った脆弱性発見の新製品を準備していることが、The Informationの報道で明らかになった。社内コードネームはProject Perception。今月中にもローンチする可能性があるという。 AnthropicのClaude Mythos Previewと同様に、ソフトウェアの脆弱性を自動で発見・修正する能力を企業に提供する。Mythos PreviewはProject Glasswingを通じて限定公開され、1万件以上の高深刻度の脆弱性を発見してきたが、運用コストの高さが課題とされている。 PerceptionはMicrosoft、OpenAI、AnthropicのAIモデルを組み合わせ、タスクごとに最適なモデルを選ぶモデルルーター方式を採用する。コストを抑えながら同等の能力を実現するのが狙いだ。 価格は未定とされている。 MDASHの延長線上にあるもの この製品がまったく新しい

GPT-5.6 Solがファイル無断削除、OpenAIが原因公表

AI

GPT-5.6 Solがファイル無断削除、OpenAIが原因公表

OpenAIのフラッグシップモデルGPT-5.6 Solが、指示なくユーザーのファイルを削除していた問題で、Codex責任者のティボ・ソティオ氏が原因と対策を公表した。 何が起きたか 7月9日のChatGPT Work公開とGPT-5.6の一般提供開始から数日後、開発者たちが相次いで被害を報告した。 OthersideAI CEOのマット・シューマー(Matt Shumer)氏は7月10日、GPT-5.6 Solが自分のMacのファイルをほぼすべて削除したと投稿した。シューマー氏はOpenAIチームの招待でUltraモード(複数のサブエージェントが長時間タスクを並列処理する高自律構成)をテストしていた。フルアクセスを許可して81分後、ホームディレクトリの大半が消えていた。 GPT-5.6-Sol just accidentally deleted almost ALL of my Mac’s files. And this is why I trust Fable 1000x

OpenAI、70ドルのChatGPTバスケットボールを発売

AI

OpenAI、70ドルのChatGPTバスケットボールを発売

AI企業のTシャツがeBayで250ドルで取引される時代に、OpenAIが公式グッズストアを一般に開放した。70ドルのバスケットボールから175ドルのハーフジップまで、ラインナップは妙に充実している。 ゴムのボールに70ドル OpenAIの公式グッズストア「Supply Co.」に、ChatGPTロゴ入りバスケットボールが並んでいる。サイズ7、素材はラバー100%、価格は70ドル。 商品説明には「Pause. Play. Prompt.キャンペーンから生まれた、創造性はスクリーンの中だけにあるわけではないという呼びかけを形にしたもの」とある。この「Pause. Play. Prompt.」なるキャンペーンの痕跡はOpenAIのサイト上にほかに見当たらない。AIの前でちょっと立ち止まって体を動かせ、という趣旨らしい。 ゴム製バスケットボールの市場価格は15ドルから30ドル程度だ。ChatGPTのロゴが載ると、その2倍以上になる。 バスケットボールだけではない。筆記体で「research」(研究)と刺繍された175ドルのハーフジップ。100ドルのCodexパーカー。40ドルの「

OpenAI初のデバイスは「動く」スピーカー、Apple訴訟の渦中で浮上

AI

OpenAI初のデバイスは「動く」スピーカー、Apple訴訟の渦中で浮上

画面のないスマートスピーカーが、OpenAI初のハードウェア製品になるという。自ら動き、持ち主を学び、家に住む「AIコンパニオン」として設計されている。 画面を捨て、人格を載せる OpenAIが開発中の最初のハードウェアデバイスは、画面を持たないスマートスピーカーだとBloombergが報じた。現地時間7月14日付の報道で、事情を知る関係者の話として伝えている。 ChatGPTと連携し、スマートホーム機器の操作、メディアの再生、メッセージへの応答といった機能を備える。ここまでなら、AmazonのEchoやGoogleのNestと変わらない。 従来のスマートスピーカーと異なるのは、このデバイスが「自ら動く機械的要素」を備えている点だ。具体的にどう動くのかは明かされていないが、社内では「家に住む、人のようなAIコンパニオン」として位置づけられており、ChatGPTを物理的な形にすることを目指しているとされる。 持ち主の生活に能動的に関わる設計で、メールなどのデジタル情報にアクセスし、時間をかけて持ち主を学習することで、よりパーソナライズされた応答を返す。ウェイクワード(起動の合

Anthropic新CM「難しい問いに希望がある」に批判、墓地映像にアルトマン氏も反応

Anthropic

Anthropic新CM「難しい問いに希望がある」に批判、墓地映像にアルトマン氏も反応

Anthropicの新広告が、AI業界が自ら提起した問いに自ら答えられるのかという疑問を呼んでいる。 燃える家で始まるCM Anthropicが7月9日に公開した映像は、広告としては異例の入り方をする。 画面に映るのは燃え上がる家屋。続いて、顔認識で群衆をスキャンする監視映像、路上で眠る人、鉱山で働く労働者、そして整然と並ぶ墓石。ナレーションで複数の声が重なる。「AIは信頼できるのか」「歯止めが必要になったら、誰がかけるのか」 映像の最後に文字が浮かぶ。 There's hope in hard questions (難しい問いに希望がある)。 広告代理店Mother Londonが制作したこの映像は、Anthropicの「Inviting hard questions」キャンペーン(難しい問いを歓迎する)の一部だ。一般からAIに関する疑問を募る専用サイトを開設し、寄せられた問いに対する取り組みを公開で追跡すると約束している。 Anthropicは公益法人(Public Benefit Corporation)としての立場を前面に出している。事前に米国で5万2000人を対

ナデラCEO「AIの代価は2回払う」、企業データ主権を警告

AI

ナデラCEO「AIの代価は2回払う」、企業データ主権を警告

MicrosoftのナデラCEOが、クローズドAIモデルに依存する企業のデータ流出リスクを自身のブログで警告した。 「知識を差し出さなければ使えない」 Microsoftのサティア・ナデラ(Satya Nadella)会長兼CEOが現地時間7月12日、個人ブログに「The Reverse Information Paradox」(逆情報パラドックス)と題した記事を投稿した。 The Reverse Information ParadoxI’ve been thinking a lot about what the net benefit of the AI platform wave is.Satya NadellaSatya Nadella ノーベル経済学賞を受賞したケネス・アロー(Kenneth Arrow)が1962年の論文で指摘した「情報のパラドックス」は、情報の売り手が抱える矛盾だ。買い手は情報の価値を知るために中身を見る必要があるが、見た時点で対価なしに手に入れてしまう。60年以上にわたり、リスクは常に売り手にあった。

蒸留攻撃で年間60億ドル損失か、米AI大手が政府全体に警告

AI

蒸留攻撃で年間60億ドル損失か、米AI大手が政府全体に警告

中国AI企業による蒸留攻撃の経済的被害が初めて具体的な数字として報じられた。AnthropicとOpenAIは、トランプ政権と議会に対策を繰り返し求めている。 9か月分のリードが消えている 蒸留攻撃で米国のAIラボが被る損害は年間最大60億ドル(約9700億円)に達する。ブルームバーグが7月13日に米国当局の推定として報じた。シリコンバレーはトランプ政権に対し「存亡の危機になりかねない」と警告しているという。 ニューヨーク・ポストも同日、Anthropicに近い情報筋の発言を伝えた。現在、中国のフロンティアモデルは米国の約6〜9か月遅れとされるが、蒸留がなければその差は18か月以上に広がるとの見方だ。蒸留が9か月以上の差を埋めている。 蒸留(distillation)とは、高性能なAIモデルに大量の質問を投げ、その応答を使って別のモデルを訓練する手法だ。自社モデルの小型化など正当な用途で広く使われるが、競合の許可なくこれを行えば、数十億ドルをかけた研究開発の成果を安価に複製できる。 中国のAIモデルは数字の上でも米国に迫っている。利用者数の上位10モデルのうち6つが中国企業

経済学者200人超がAI雇用リスクで共同声明、ノーベル賞受賞者16人も署名

AI

経済学者200人超がAI雇用リスクで共同声明、ノーベル賞受賞者16人も署名

AIの経済的影響に備えるべきだと、200人超の経済学者・AI研究者が共同声明を発表した。AI懐疑派として知られるノーベル賞受賞者も名を連ねている。 楽観派と懐疑派が同じ紙に名前を書いた スタンフォード大学デジタル経済研究所のエリック・ブリニョルフソン(Erik Brynjolfsson)氏らが7月13日、「We Must Act Now」(今すぐ行動しなければならない)と題する共同声明を発表した。署名者は200人を超え、ノーベル経済学賞受賞者16人が含まれる。 声明は、AIが今後10年で飛躍的に強力になる可能性があり、大規模な雇用の喪失を含むリスクと、生活水準の向上という機会の両方をもたらしうると訴えている。その影響は産業革命より大きくなりうるが、かかる時間はけた違いに短い、と警告する。 署名者の顔ぶれが、この声明の意味を物語っている。 ブリニョルフソン氏は、AIが若年層の雇用を縮小させているという実証データを積み上げてきた研究者だ。一方、共同署名者の一人であるMITのダロン・アセモグル(Daron Acemoglu)氏は、シリコンバレーが喧伝するほどAIの変革は急速ではな