オープンソース

KDE Linux、5月の大掃除でZenカーネル廃止

Linux

KDE Linux、5月の大掃除でZenカーネル廃止

KDEコミュニティが開発中のOS「KDE Linux」の5月の月次報告が公開された。4月に発覚したLinuxカーネルの複数の脆弱性をきっかけにセキュリティの全面点検を実施し、Zenカーネルの廃止や十数件のパッケージ削除に踏み切った。ビルドシステムの根本的な刷新も完了し、プロジェクトが課題としてきたAUR依存もゼロになっている。 使わないものは、切る KDE Linuxは、KDEコミュニティが2025年9月にアルファ版を公開したイミュータブルLinuxディストリビューションだ。KDE Plasmaデスクトップの「リファレンス実装」を目指し、Arch LinuxのパッケージをベースにしつつFlatpakでアプリを管理する設計をとっている。現在はベータに向けた開発が進行中だ。 5月の報告で最も大きな比重を占めたのが、セキュリティ監査とその結果としての大規模整理だった。 直接のきっかけは、4月末に公開されたLinuxカーネルの権限昇格脆弱性CVE-2026-31431(通称Copy Fail)をはじめとする、上流カーネルで相次いだセキュリティ問題だ。KDE Linuxの開発チームはこ

AIレーザー砲台で蚊を殲滅、個人が4か月で完成

テクノロジー

AIレーザー砲台で蚊を殲滅、個人が4か月で完成

コンピュータビジョンと深層学習で蚊を検出・追尾し、レーザーで焼き落とす。ロボティクス愛好家のスティーブン・チェン(Steven Cheng)氏が、そんなSF的な蚊駆除装置を自作した。一晩稼働させたところ、家中の蚊を全滅させたという。 一眼レフと深層学習で蚊を追い詰めた4か月 チェン氏はオープンソースのロボットプロトタイプを複数手がけるコンピュータビジョンの技術者だ。5月28日に公開した投稿で、4か月の開発過程を映像とともに紹介している。 Spent 4 months building the ultimate mosquito killer: an artillery cannon guided by computer vision + deep learning. Trained a custom model to detect and lock onto mosquitoes using a DSLR + zoom lens setup. The dataset

AV2仕様がv1.0.0で正式確定、普及は数年先

動画

AV2仕様がv1.0.0で正式確定、普及は数年先

YouTubeで配信される動画の4分の3以上がすでにAV1で提供され、Netflixのストリーミングの約3割をAV1が担っている。そのAV1を生んだ業界団体Alliance for Open Media(AOMedia)が、後継コーデックAV2の仕様をv1.0.0として正式に公開した。5年以上の開発期間を経た到達点であり、ロイヤリティフリーの動画圧縮技術は次の世代に入った。ただし「仕様の確定」と「自分のPCやスマホで使える」の間には、AV1が証明した通り、年単位の距離がある。 何が決まったのか AOMediaは5月28日付でAV2 Bitstream & Decoding Process Specificationのv1.0.0を公開した。リファレンスソフトウェアAOMedia Video Model(AVM)も同日v1.0.0に到達しており、仕様とリファレンス実装がセットで確定した形になる。 AV2の設計目標はAV1と同等の画質で帯域幅を40%削減すること。2025年時点でのAOMedia側の中間報告では、数学的な画質指標PSNRで28〜30%、人間の知覚に近い指標VMAFで

欧州連合が本気で挑むMicrosoft Office脱却

テクノロジー

欧州連合が本気で挑むMicrosoft Office脱却

欧州のテック企業十数社が結集し、Microsoft 365とGoogle Docsに代わるオープンソースのオフィススイート「Euro-Office」を開発した。6月9日に安定版がGitHubで公開される。「デジタル主権」を掲げる壮大な試みだが、発表直後からフォーク元との法的紛争やフォーマット論争が噴出し、船出は荒波の中だ。 10日後に迫る「脱・米国依存」のオフィススイート Euro-Officeは、ドイツのクラウドホスティング大手IONOSとオープンソースコラボレーション基盤Nextcloudが中核となり、EuroStack、XWiki、OpenProject、Soverin、Abilian、BTactic、Open-Xchange、Office.euなど欧州各国の企業・団体が開発リソースを持ち寄ったプロジェクトだ。 2026年3月27日にベルリンで発表され、テクニカルプレビューが即日公開。6月9日に1.0安定版がGitHubで一般公開される。同日リリースのNextcloud Hub 26 Springにも統合され、IONOSのManaged Nextcloud顧客は発売直後か

Wikipedia編集者がストライキを検討中

テック業界

Wikipedia編集者がストライキを検討中

Wikipediaを支えるボランティア編集者たちが、運営母体であるウィキメディア財団に対して編集ストライキを含む抗議行動を検討している。財団が「コミュニティ技術チーム」を解散し、エンジニア5人とマネージャー1人を整理対象としたことが引き金だ。解散の1週間前には、MediaWikiの主任開発者として20年以上にわたり中核を担ってきたブルック・ヴィッバー(Brooke Vibber)氏も解雇されている。整理対象のメンバーの多くが結成途上の労働組合Wiki Workers Unitedに関わっていたとされ、「労組つぶし」との批判が噴出している。 消えたチーム、残った問い 5月21日、ウィキメディア財団はコミュニティ技術チームの解散を発表した。このチームはコミュニティ・ウィッシュリストと呼ばれる仕組みを通じて、編集者から寄せられたバグ修正やモデレーションツールの改善要望を実装する役割を担っていた。2015年に始まったこの仕組みにおいて、コミュニティ技術チームは財団内で唯一、ボランティア編集者を事実上のプロダクトオーナーとして機能していた。 財団は「単一チームで対応する体制では、ソフトウ

AI生成コードがLinuxを蝕む構造的危機

Linux

AI生成コードがLinuxを蝕む構造的危機

Linuxカーネル7.1の開発サイクルで、AI生成コードがもたらす問題が臨界点に達しつつある。リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏はrc4でAIバグレポートの洪水を批判し、rc5ではコード投稿そのものに対して態度を硬化させた。問題は開発効率の話にとどまらない。フリーソフトウェアの根幹であるGPLv2ライセンスとの法的衝突という、もっと深い地層にまで亀裂が走り始めている。 rc4からrc5へ、怒りの温度が変わった 5月17日のrc4リリース時、トーバルズ氏の批判はAIツールで発見されたバグレポートに向けられていた。同じツールを使う複数の人間が同じ脆弱性を重複報告し、カーネルのプライベートなセキュリティメーリングリストが「ほぼ完全に管理不能」になったと指摘した。AIで見つけるだけ見つけて、修正コードは書かずにメンテナに丸投げする ── その構造への苛立ちだった。 5月24日のrc5で、矛先はさらに広がった。 rc5は本来、安定化に向けてコード変更が減る段階だ。だが今回のrc5は従来のrc5と比べて「かなり大きい」とトーバルズ氏は述べた。ドライバへの些末な修正が大

Btrfsがhuge folios対応、Linux 7.2で投入へ

Linux

Btrfsがhuge folios対応、Linux 7.2で投入へ

Linuxのファイルシステム「Btrfs」が、メモリ管理の大幅な改善に踏み出す。数カーネルサイクルにわたる準備作業が実を結び、最大2MBのhuge folios対応がLinux 7.2のマージウィンドウに向けて準備完了した。 数サイクル分の到達点 Btrfsのhuge folios対応パッチが、メンテナーであるダビド・シュテルバ(David Sterba)氏のfor-nextブランチにマージされた。Linux 7.2のマージウィンドウは6月中旬に開く見込みで、このブランチの内容はそのタイミングでメインラインに提出される。 folioとは、Linuxカーネルがメモリ上のページをまとめて扱うためのデータ構造だ。従来はファイルの読み書きを1ページ(通常4KB)単位で処理していたが、folioを使えば複数ページをひとまとまりとして扱える。管理の手間が減り、I/Oスループットが上がる。 Btrfsのfolio対応は段階を踏んで進んできた。Linux 6.17で実験的なlarge folio対応が導入され、CONFIG_BTRFS_EXPERIMENTALを有効にすることで利用可能になっ

カリフォルニア州、年齢確認法からLinuxを免除へ

Linux

カリフォルニア州、年齢確認法からLinuxを免除へ

OSに年齢確認を義務づけるカリフォルニア州法が、オープンソースの世界に波紋を広げた。批判を受けて提出された修正案はLinuxを救うのか。ただし、すべてのLinuxが対象外になるわけではない。 修正案AB 1856が浮上した経緯 カリフォルニア州議会で、オープンソースOSを年齢確認義務の対象から除外する修正法案AB 1856が審議されている。2026年5月18日付の最新版が5月19日に第2読会を通過し、第3読会に進んだ。6月の委員会審査を控え、可決への道筋が見え始めた段階だ。 発端は2025年10月、ギャビン・ニューサム(Gavin Newsom)知事が署名したデジタル年齢保証法(AB 1043)にある。OSのアカウント設定時にユーザーの年齢を収集し、「13歳未満」「13〜15歳」「16〜17歳」「18歳以上」の4段階でアプリ開発者に通知するAPIの実装を、すべてのOSプロバイダーに義務づける内容だった。 この法律は写真付き身分証や顔認証を求めない。ユーザーが自己申告するだけだ。テキサス州やユタ州の厳格な本人確認とは設計思想が異なる。 問題は「OSプロバイダー」の定義だった。