Linux
Linux 7.2リリース。キャッシュを理解するCPUスケジューラが到着
Linux 7.2が予定通り公開された。目玉はCPUスケジューラがキャッシュ構造を理解するCache Aware Scheduling。リリース直前まで膨らみ続けたパッチの波と、壊れたコードを差し戻す判断の両方が、いまのカーネル開発を映している。
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Linux 7.2が予定通り公開された。目玉はCPUスケジューラがキャッシュ構造を理解するCache Aware Scheduling。リリース直前まで膨らみ続けたパッチの波と、壊れたコードを差し戻す判断の両方が、いまのカーネル開発を映している。
Linux
リーナス・トーバルズがLinux 7.2-rc7をリリースした。来週の安定版リリースはほぼ確実だが、rc7のパッチ量は通常の最終候補としては異例の多さだ。その原因をトーバルズ自身が名指しした。AIだ。
Linux
Linuxカーネルのナンバー2が、新人開発者の学びの場にLLM生成パッチが殺到している現状に線を引いた。
Linux
Linuxカーネル7.2の5番目のリリース候補が公開された。前サイクルの7.1に続き、rc5としては2回連続で規模が膨らんだが、リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏は内容に懸念はないとしている。 2サイクル連続の「大きなrc5」 トーバルズ氏は現地時間7月26日、Linux 7.2-rc5のリリースを告知した。前サイクルでも同様にrc5が膨らんでおり、これが常態化しつつある。 ただし今回は事情が異なるという。ネットワーキングツリーが前週、カンファレンスの影響で作業を溜め込んでおり、今週分と合わせて一気に流れ込んだ。その結果、パッチ全体の3分の1以上がネットワーキングで占められた。大半はドライバ側の修正だ。 ドライバ全般では珍しい傾向も出ている。今回はUSB関連の変更がGPUドライバを上回った。サウンド、tty、ブロック、FireWireなどの修正も含まれ、ドライバの変更は広範囲にわたる。 ドライバ以外では、テスト基盤(selftest、perf)、ファイルシステム(SMB、Btrfs)、Rustコード、アーキテクチャ固有の修正、ドキュメントの更新が入ってい
AI
トーバルズ発言を受けて反AI陣営が勢いづいているが、その内部は政治と倫理で分裂している。 「AIお断り」の波が止まらない リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)が現地時間7月15日、Linuxカーネルのメーリングリストで「Linuxは反AIプロジェクトではない」と宣言した。AIに反対する開発者には「フォークするか、立ち去れ」と告げている。 トーバルズの立場は一貫して実用主義だ。AIは便利かどうかだけで判断すべきであり、倫理や社会的な議論はカーネル開発の領分ではないという姿勢を崩していない。 この発言はAI推進派を勢いづかせた。だが同時に、Linuxカーネルが公式に「反AIではない」と線を引いたことで、反AIを掲げるプロジェクトの存在意義がかえって際立っている。 実際、ここ数カ月でAI生成コードを拒否する動きは加速している。 ヨーロッパの非営利コードホスティングCodebergは、現地時間7月22日の会員投票で利用規約を改定した。賛成358、反対144で、生成AIで書かれたコードが大半を占めるプロジェクトのホスティングを禁止した。ホストされたコードやユーザーデ
Debian
Debianがプロジェクト内でのLLM利用に関する正式な一般決議(GR)の討議期間に入った。全面禁止と条件付き容認という対照的な2案が提出されている。 5ヶ月前は「決めない」で終わった DebianがLLM利用の方針を定めようとするのは、今回が初めてではない。 2026年2月、元DPL(Debian Project Leader)のルカス・ヌスバウム(Lucas Nussbaum)氏がAI支援コード貢献に関するGR草案を提出した。著作権の不透明さから品質管理、コミュニティへの影響、環境負荷まで論点は出揃ったものの合意に至らず、GRは正式に提出されないまま議論が収束している。 5ヶ月が経ち、状況は変わった。現地時間7月24日、2つの正式なGR提案が討議期間に入った。提案者も賛同者もDebianの中核を担う開発者たちで、双方とも7名の賛同を得ている。「決めない」で先送りした課題が、ついに投票の俎上に載った。 全面禁止か、条件付き容認か Proposal Aは、LLMや生成AIツールで作成・補助された貢献をDebianから明示的に排除する。提案者はマティアス・ガイガー(Mat
Linux
7月19日から20日にかけて、Linuxカーネルの脆弱性識別番号(CVE)が432件、一気に公開された。セキュリティ担当者からは困惑と諦めの声が上がっている。 週末の洪水 日曜から月曜にかけて、linux-cve-announceメーリングリストに掲載されたCVEの数は432件。今月すでに公開されていた40件超とは別の数字だ。 Akamai Technologiesのチーフ情報セキュリティアーキテクト、ヤン・シャウマン氏(Jan Schaumann)は月曜、oss-securityメーリングリストにこの大量公開について投稿した。CVEシステムがセキュリティ変更の追跡に最善の手段ではないと指摘した上で、これだけの件数にどう対処すべきかを問いかけている。 個別のカーネル変更を優先順位付けしようとすること自体が、もう実行不可能だと今回の件数が示している(シャウマン氏のoss-securityメーリングリストへの投稿) LLMに優先順位を付けさせても、1日に12件、翌日に25件と出されるようでは追いつかない、とシャウマン氏は述べた。深刻な問題が浮上するのを数週間待つか、Linux環
セキュリティ
AI生成の脆弱性報告が大半を占める状況を受け、GNOMEがセキュリティ情報の開示ポリシーを改定する。担当者は11月での退任も表明した。 90日の形骸化 GNOMEのセキュリティイシュー追跡を担うマイケル・カタンザロ氏(Michael Catanzaro)が7月20日、脆弱性報告の開示期限を90日から30日に短縮すると発表した。2026年8月1日以降に報告されたイシューに適用される。 業界標準の90日は、GNOMEの実態に合っていなかった。カタンザロ氏によれば、メンテナーの対応は二つに分かれる。報告から1〜3週間で修正するか、まったく修正しないか。 90日間の猶予を設けても、メンテナーがその時間を活かすことはほぼなかった。修正が入るか期限が来るかのどちらかが先に起き、修正される場合は最初の数週間で片がつく。残りの期間は機密を維持しているだけで、誰の役にも立っていなかった。 カタンザロ氏自身、AI生成報告の増加がなくても「短い期限の方がGNOMEには合う」と述べており、今回の短縮はAI対応策にとどまらない判断だと位置づけている。 AI禁止ポリシーとの衝突 変更はもう一つあ
Linux
トーバルズ氏が「フォークしろ」と言った2日後、35年前のカーネルをAIで書き直したプロジェクトがHacker Newsに浮上した。実用性はゼロ。だからこそ面白い。 35年前のカーネルが動いた 北京航空航天大学(ベイハン大学)の学部生が、1991年にリリースされたLinuxカーネル0.11を丸ごとRustで書き直した。ハンドルネームは「Poseidon」。リポジトリ名はlinux-0.11-rs。 Linux 0.11は1991年12月8日に公開された初期カーネルで、初版(0.01)の公開から約3か月後にあたる。リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏がヘルシンキ大学の学生だった時代の産物だ。0.11はLinuxが初めてセルフホスティング(自分自身をコンパイルできる状態)に到達したバージョンでもある。 Poseidon版はこの0.11を、オリジナルのセマンティクス(動作仕様)を維持しながらRustで一から実装し直している。カーネル本体に加え、60以上のcoreutils(基本的なUnixコマンド群)、パイプラインや制御構文を備えたPOSIXサブセットのシェル、Ta
Linux
Linuxカーネルの創始者が、AI/LLM利用に反対する一部開発者に対し、最上位メンテナーとして譲らない姿勢を示した。 発端はSashikoとPatchworkの連携スレッド リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏が現地時間7月14日、linux-mediaメーリングリストに投稿した。きっかけは、AIコードレビューシステムSashikoとカーネルのパッチ管理ツールPatchworkの連携を議論するスレッドだった。 スレッドを立ち上げたのは、メディアサブシステムのメンテナーであるマウロ・カルバリョ・チェハブ(Mauro Carvalho Chehab)氏だ。5月末に始まり、Sashikoの開発者ロマン・グシュチン(Roman Gushchin)氏を含む複数の開発者が参加していた。 議論の途中で、あるコメントがLLMに対する全面的な反対を表明していると指摘された。グシュチン氏が「LLMを使わないこと自体が目的であれば議論しよう」と呼びかけたところに、トーバルズ氏が返信した。 「トップレベルメンテナーとして踏み込む」 トーバルズ氏のメールで際立つのは、発言のト
Linux
Linuxカーネルを伝統的なGCCではなくLLVM/Clangで構築する取り組みを長年率いてきた開発者が、約1年5カ月の沈黙を破ってカーネル開発に戻ってきた。 「帰ってきた。LKMLを燃やす」 2026年7月6日、リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏がLinux 7.2の開発ツリーに1件のパッチを取り込んだ。変更内容はMAINTAINERSや.mailmapなど4ファイルの更新で、技術的にはメールアドレスの書き換えにすぎない。目を引いたのは、コミットメッセージに添えられた一文だった。 I'm coming back. I will return. I will possess your body, and I'll make LKML burn.(戻ってくる。必ず戻る。お前の体を乗っ取り、LKMLを燃やしてやる)(git.kernel.org) パッチの著者はニック・デソルニエ(Nick Desaulniers)氏。
Linux
4月にマージされたAI利用の申告ルールが、早くも見直しの渦中にある。 自分たちが作ったルールを、自分たちで疑い始めた LinuxカーネルのAI帰属ルールを、メンテナー自身が見直そうとしている。 2026年4月、カーネルにマージされたcoding-assistants.rstは、AIを使ってパッチを書いた開発者にAssisted-byタグの付与を義務づけた。既報の通り、責任は全て人が負い、開発者はAIが関与した事実を申告するルールになっている。 マージから3ヶ月で、その前提が揺らいでいる。 7月1日、VFSメンテナーのクリスティアン・ブラウナー(Christian Brauner)氏がLKMLにパッチを投稿した。Assisted-byタグの大幅な簡素化を求める内容で、現行の書式がAIの名前やモデルバージョンまで記録させるためにGitの履歴がAI企業の無料広告になっている、と指摘している。 「我々のGitの履歴が、AI企業とそのプロプライエタリなエージェント・モデルの無料広告プラットフォームとして機能し始めていることに、非常にいらだちを覚える」(ブラウナー氏のLKMLへの投稿
Linux
Linux 7.2のマージウィンドウが閉じ、最初のリリース候補が現地時間6月28日に公開された。パッチの3分の1をAMD GPUのレジスタ定義が占めているが、その裏では6年がかりのセキュリティ改善が完結し、AMDのHDMI 2.1対応やUSB4の新プロトコルなど、実用に響く変更が揃った。安定版は8月下旬の見込みで、カーネルのソースコードは総行数4389万行を超えた。 6年362コミット、strncpy()が消えた Linux 7.2で最も意味のある変更は、新機能の追加ではなく削除だ。 C言語の文字列コピー関数strncpy()が、カーネルのソースツリーから完全に除去された。6月20日のマージで、関数の実装そのものと全アーキテクチャ固有の最適化コードが一括で消えている。 Linuxカーネルからstrncpyが消えた。6年362コミットの結末Linuxカーネルから文字列コピー関数strncpyが完全に削除された。NUL終端を保証しない危険な仕様はバグの温床とされ、6年間で362コミット・70人の開発者がstrscpy等の安全な代替へ移行。Linux 7.2で19ファイル346行を
Linux
新しいコードに不具合があったわけではない。遅いわけでもない。リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)が「不快だ」と書いたのは、ファイルをディレクトリのどこに置くか、その一点だった。そして彼が引き合いに出したのは、半世紀前の技術だった。 機能には何も言わなかった 舞台はLinuxカーネルの次期版、7.2のマージウィンドウ。sched_extと呼ばれる仕組みの更新が、トーバルズのもとに届いた。sched_extは、ユーザー空間で動くBPFプログラムとしてCPUスケジューラを書ける拡張可能スケジューラの枠組みで、6.12でカーネル本体に取り込まれて以来、ゲーミング性能の改善やスケジューラ研究の素早い試作に使われてきた。今回の7.2では、サブスケジューラ支援の開発が続いている。1つのシステムに複数のスケジューラを階層的に載せ、ワークロードごとに最適なものを割り当てる構想だ。マルチテナント環境のような場面で効いてくる。 トーバルズは、この機能のどれにも反対しなかった。コードは取り込んだ。ただし、取り込みながらこう書いた。 Please don't do this disgu