サイバー攻撃

ブラジルの緊急警報システムが不正利用 信頼性への影響と対策

セキュリティ

ブラジルの緊急警報システムが不正利用 信頼性への影響と対策

真夜中にスマートフォンが叫んだ。サイレントモードでも関係ない。画面に割り込んできたのは「Defesa Civil」の文字と、「misantropi4」の一語。ポルトガル語で「人類への嫌悪」を意味する。洪水でも地滑りでもない。 深夜の強制鳴動 現地時間2026年6月19日午後11時40分ごろ、ブラジル南部パラナ州クリチバの住民の携帯電話が一斉に鳴り始めた。W杯ブラジル対ハイチ戦の直後だった。 表示されたのは「Alerta Extremo」(最高レベルの緊急警報)。洪水やサイクロンなど命に関わる事態にだけ使われるカテゴリで、端末の設定を無視して強制的に音を鳴らし、画面上のあらゆるアプリを押しのける。その警報の本文が「misantropi4」だった。ポルトガル語「ミザントロピア」(人類への嫌悪)の末尾のaを数字の4に変えた、ネットスラング的な表記だ。 数分後にはサンパウロとリオデジャネイロでも同じ警報が鳴り、さらにブラジリア連邦区やバイーア州、アクレ州などへ広がった。最終的に8州と連邦区で少なくとも10件の不正アラートが送信されている。ベロオリゾンテでは「エイリアン襲来。われわれは

OracleのPeopleSoftに深刻度9.8のゼロデイ。100超の組織が標的に

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OracleのPeopleSoftに深刻度9.8のゼロデイ。100超の組織が標的に

Oracleが人事・給与管理ソフトウェアPeopleSoftの脆弱性について緊急セキュリティ勧告を公開した。認証不要でリモートからコードを実行できる脆弱性 CVE-2026-35273 が、すでに大規模な攻撃に使われている。被害組織の7割近くが大学だ。 パッチなし、認証なし、防御なし Oracleが6月10日に公開したセキュリティ勧告によると、PeopleSoft Enterprise PeopleTools(バージョン8.61および8.62)の環境管理コンポーネントに、リモートコード実行が可能な脆弱性が存在する。CVSSスコアは9.8。機密性・完全性・可用性のすべてが「高」と評価された。パスワードもユーザー操作も不要、HTTPでネットワークにアクセスできれば攻撃が成立する。 Oracleはサポート契約者向けに緩和策を案内しているが、正式なパッチが広く利用可能かどうかは不透明なままだ。サポート契約がなければ緩和策のドキュメントにすらアクセスできない。脆弱性の報告者はTrendAI Zero Day Initiative(旧Trend Micro ZDI)のボビー・グールド(Bo

採用面接を悪用する国家系ハッカー 企業への侵入手口を整理

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採用面接を悪用する国家系ハッカー 企業への侵入手口を整理

テック業界を狙った国家支援型サイバー攻撃の約半数が、北朝鮮の工作員によるものだった。セキュリティ大手CrowdStrikeが6月9日に公開した年次レポートが、その実態を数字で裏付けた。偽の履歴書、偽の顔、偽の国籍。AIで武装した工作員は採用プロセスから企業の内側に入り込み、給料をもらいながら情報を盗んでいる。 テック業界の侵入、47%が北朝鮮 CrowdStrikeの「2026 Technology Threat Landscape Report」は、2025年4月1日から2026年3月31日までの1年間を対象としたレポートだ。280以上の脅威グループを追跡するCounter Adversary Operationsチームが、テクノロジー業界に対する国家支援型の「ハンズオン・キーボード」侵入(ハッカーが手動で操作する攻撃)を集計した結果、47%を北朝鮮関連のFAMOUS CHOLLIMAが占めた。 テック業界全体でみれば、国家支援型の標的型侵入の58%超は中国系グループによるものだ。だが、人間が直接キーボードを叩いて侵入する攻撃に限ると、北朝鮮が突出する。自動化されたマルウェア

IBM元幹部、中国政府系ハッカー侵害の隠蔽を主張 告発内容を検証

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IBM元幹部、中国政府系ハッカー侵害の隠蔽を主張 告発内容を検証

米連邦政府にサイバーセキュリティを売り込む巨大IT企業が、自社ネットワークへの国家レベルの侵入を何年も隠し続けていた。そう主張する内部告発訴訟が、今週開封された。 「セキュリティを売る会社」が隠していたもの IBMで脅威インテリジェンス担当副社長を務めたウィリアム・バーロウ(William Barlow)氏が、IBMとAT&Tを相手取って2020年に提起した訴訟が今週開封された。ニューヨークの連邦裁判所が、米司法省の介入見送りを受けて公開に踏み切ったという。 訴えの骨子はこうだ。2013年から2016年にかけて、中国政府系のハッカー集団APT10がIBMの基幹ネットワークに繰り返し侵入した。IBMは内部調査でそれを把握していた。だが当局にも顧客にも報告せず、連邦政府との契約を維持するために隠蔽した、とバーロウ氏は主張している。 この訴訟は虚偽請求取締法(False Claims Act)に基づく。システムの安全性について虚偽の保証をして連邦政府との契約を得ていたとすれば、詐欺に当たるという論理だ。同法では内部告発者による代理訴訟が認められており、政府は最大で損害額の3倍を回収

AIが自ら考え、攻撃を変えるワームが実証された

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AIが自ら考え、攻撃を変えるワームが実証された

「1つのパッチを当てれば止まる」。WannaCryの時代から、ワーム対策の基本はそうだった。1つの脆弱性を突く固定のコードを、1つの修正で塞ぐ。攻撃者と防御者のいたちごっこは、少なくともルールが明確だった。 そのルールが壊れたかもしれない。 「適応型ワーム」という新しい脅威 トロント大学のニコラ・パペルノ(Nicolas Papernot)准教授率いるCleverHans Labが6月2日、AIを搭載した自己複製型ワームのプロトタイプを実証したと発表した。外部から隔離された仮想ネットワーク内での実験だが、結果は従来のワームとは質的に異なるものだった。 従来のワームは、あらかじめ組み込まれたコードで特定の脆弱性を突く。だから防御側は、その脆弱性にパッチを当てれば拡散を止められた。2017年にWannaCryが150カ国以上で猛威を振るったときも、攻撃が突いていたのはWindowsのSMBv1という単一の脆弱性だった。 今回のAIワームはそこが根本的に違う。オープンウェイト(誰でもダウンロードできる公開モデル)のLLMをローカルで動かし、標的のマシンごとに脆弱性を分析して、攻撃

NSAツール流出の犯人、10年経っても不明のまま

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NSAツール流出の犯人、10年経っても不明のまま

米国家安全保障局(NSA)の最強のハッキングツール群を盗み出し、インターネット上にばらまいた集団がいる。10年が経過した今も、その正体を突き止めた者はいない。流出したツールが引き起こした被害は推定 100億ドル 超。そして2026年4月、この流出データからまた新たなマルウェアが見つかった。 2016年夏、突然の登場 2016年8月、「シャドー・ブローカーズ」(The Shadow Brokers)と名乗る集団が姿を現した。複数の報道機関にメンションを飛ばしながら、NSAのエリートハッカー集団イクエーション・グループ(Equation Group)から盗んだとするハッキングツールの「オークション」を告知した。 最低入札額は 100万ビットコイン 。当時のレートでも途方もない金額であり、本気で売る気があったのかどうかは最初から疑わしかった。しかしセキュリティ研究者がツールを分析すると、NSA内部告発者エドワード・スノーデン(Edward Snowden)の暴露資料と一致するプロジェクト名が含まれていた。 シャドー・ブローカーズの英語は不自然に壊れており、わざと片言に見せかけている

7-Elevenで18万人分の個人情報が流出、身代金拒否後に公開

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7-Elevenで18万人分の個人情報が流出、身代金拒否後に公開

世界最大のコンビニチェーン7-Elevenが、フランチャイズ申請者18万5000人分の個人情報流出を認めた。攻撃を仕掛けたのは、Salesforce環境を狙い撃ちにする犯罪グループ。身代金の支払いを拒否した結果、盗まれたデータはダークウェブ上に公開された。 フランチャイズ申請者を直撃した攻撃 7-Elevenのフランチャイズ文書管理システムが、2026年4月8日に不正アクセスを受けた。同社の最高情報セキュリティ責任者(CISO)が被害者に送付した通知レターで、攻撃の事実を認めている。 被害の対象は一般の買い物客ではない。攻撃者はフランチャイズの開業申請時に提出された書類を狙った。漏洩した情報には氏名、住所、生年月日、電話番号、メールアドレスが含まれる。一部にはSSN(社会保障番号)や運転免許証番号も含まれていた。 7-Elevenは通知レターの中で「フランチャイズ文書の保管に使用していた一部のシステムに、権限のない第三者がアクセスした」と説明している。 SSNと運転免許証は、米国ではなりすましに直結する最も機密性の高い個人情報だ。フランチャイズ申請書にはこれらの情報が求めら

通信会社を狙う中国系APT、新型マルウェアで4年潜伏

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通信会社を狙う中国系APT、新型マルウェアで4年潜伏

通信会社のサーバーが、4年間ずっと中国系の盗聴ツールに居座られていた。LinuxとWindowsで別のマルウェアを使い分け、VirusTotalで検出ゼロのまま運用されていたという。 通信会社を狙う4年越しのキャンペーンが浮上 中国系のサイバー諜報キャンペーンが、通信事業者を標的に少なくとも2022年中頃から続いていたことが明らかになった。LinuxとWindowsそれぞれに別のマルウェアを使い分ける構造で、Linux側は Showboat、Windows側は JFMBackdoor と名付けられている。 攻撃グループは「Calypso」、別名「Red Lamassu」として追跡されている。標的はアジア太平洋と中東の組織で、攻撃者は通信業界をテーマにした複数のドメインを用意し、ターゲット企業になりすます形でインフラを組み立てていた。 このキャンペーンの厄介な点は、潜伏期間の長さに対して検出がほぼゼロだったことだ。Showboatの検体がVirusTotalに上がった時点で、検出スコアは「0」だったと記録されている。 Linux側の本体「Showboat」が持つ機能 Li

GitHubの内部コードが3,800件流出、入口は拡張機能1本だった

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GitHubの内部コードが3,800件流出、入口は拡張機能1本だった

GitHubの内部リポジトリ約3,800件が不正に持ち出された。きっかけは、ある従業員がVS Codeにインストールした拡張機能1本だった。 何が起きたか 2026年5月19日、GitHubは自社の内部リポジトリへの不正アクセスを調査していると発表した。翌20日、詳細を公表し、従業員端末に仕込まれた不正なVS Code拡張機能が侵害の起点だったと認めた。 攻撃者は感染した端末を足がかりに、GitHubの内部リポジトリから大量のデータを引き出した。流出した件数は約3,800件で、GitHubは「攻撃者の主張とおおむね整合している」と述べている。 発覚後、GitHubは感染端末を隔離し、問題の拡張機能バージョンをVS Codeマーケットプレイスから削除した。さらに重要な認証情報と暗号鍵をその日のうちに総入れ替えした。顧客データや企業向けアカウントへの影響は、現時点で確認されていない。ただし調査は継続中であり、この評価が変わる可能性は残っている。 GitHubは「対象はGitHubの内部リポジトリのみとみている。攻撃者が主張する約3,800件という数字は、現時点の調査とおおむね整

AIゼロデイ初確認、Googleが鳴らした警鐘

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AIゼロデイ初確認、Googleが鳴らした警鐘

ハッカーがAIで未知の脆弱性を発見し、悪用しようとした最初の事例をGoogleが公開した。「これは氷山の一角に過ぎない」。主任アナリストの言葉が重い。 「理論上の脅威」が現実になった日 セキュリティ研究者が何年も警告し続けてきた事態が、ついに観測された。 Googleが5月11日に公開したGoogle Threat Intelligence Group(GTIG)のレポートによれば、犯罪ハッカー集団がAIを使って未知のゼロデイ脆弱性を発見し、悪用するための武器化に成功した。Googleが「AI起因のゼロデイ悪用」を確認したのは、これが初めてだ。 「これは氷山の一角に過ぎない。問題はもっと大きいはずだ。今回はようやく、目に見える形で初めての証拠を掴んだに過ぎない」(ジョン・ハルクイスト氏/GTIG主任アナリスト) 標的になったのは、広く使われているオープンソースのWebベース管理ツールだった。攻撃が成功すれば、2要素認証(2FA)を迂回して管理権限を奪える。Googleは大規模悪用が始まる前に検知し、影響を受けるベンダーと連携してパッチを当てさせた。被害は表面化していない。

ポーランド水処理施設5カ所にハッキング、給水改ざんの恐れ

セキュリティ

ポーランド水処理施設5カ所にハッキング、給水改ざんの恐れ

ポーランド内部保安庁(ABW)が、国内5カ所の水処理施設に対するサイバー侵入を確認した。最悪の場合、給水の安全性そのものに手を加えられる恐れがあったという。米国でも同種の脅威が続いている。 「給水を毒に変える」が現実の選択肢になっている ポーランドの情報機関が、自国の水処理施設に対する深刻な侵入の存在を公にした。ABW(Agencja Bezpieczeństwa Wewnętrznego、ポーランド内部保安庁)が5月6日に公表した活動報告書で、5カ所の水処理プラントが攻撃を受け、攻撃者が施設内の産業機器を制御できる状態にあったと明かしている。 蛇口の向こう側にいるのが地球の裏側のサーバーだったとして、誰がそれに気づけるだろうか。水道は最も気づかれにくいインフラだ。停電なら数秒で誰もが気づくが、水質の異変は飲み下した後に体内で初めて顕在化する。 ABW の報告書は、過去2年間にロシア情報機関が指揮した妨害工作を多数阻止したと記す。攻撃対象は軍事施設、重要インフラ(送電網・水道・交通網)、そして民間施設にまで及ぶ。 「最も深刻な課題は、ポーランドに対する妨害活動である。これは

セキュリティ企業Trellixが自社ソースコードを盗まれた

セキュリティ

セキュリティ企業Trellixが自社ソースコードを盗まれた

2億超のエンドポイントを守るはずのセキュリティ企業が、自分のソースコードリポジトリへの不正アクセスを開示した。Trellixは「悪用の証拠はない」と語るが、語っていないことのほうがはるかに多い。 守る企業がやられた セキュリティ企業のTrellix(トレリックス)が、自社のソースコードリポジトリの一部に不正アクセスがあったことを公表している。BleepingComputerが2026年5月4日付で報じ、Trellix自身も公式サイトに声明を掲載した。 Trellixは2022年1月、McAfee Enterprise(マカフィー・エンタープライズ)とFireEye(ファイア・アイ)の統合で誕生した企業だ。世界5万社超の企業・政府機関に展開し、2億超のエンドポイントを保護していると自社で説明している。守る企業のど真ん中にいる会社が、自分の心臓部を覗き見られた。 Trellix recently identified unauthorized access to a portion of our source code repository. Upon learning of t

DDoSは続いている、Canonicalはトラフィックを絞り始めた

Linux

DDoSは続いている、Canonicalはトラフィックを絞り始めた

ubuntu.comは戻った。だがlaunchpad.netはなお攻撃下にあり、Canonicalは「DoS中にトラフィックを厳しく制限する」防御モードに切り替わった。 「終わった」ではなく「絞っている」 ステータスページが、ある重要な事実を明かしている。日本時間5月3日 08:52、launchpad.netとppa.launchpad.netが「Custom maintenance」のステータスに入った。 そこに添えられた説明は短く、しかし決定的だ。 severely restricting traffic to launchpad during DoS. Alert override(DoS中にlaunchpadへのトラフィックを厳しく制限している。アラートを上書き) Canonicalが、攻撃継続中であることを認めながら、アラートを意図的に黙らせている状態だ。これは防御策の一環であって、復旧ではない。 「Major Outage」ではなく「Custom maintenance」になっている理由はここにある。本当に落ちているわけではない。ただ、Canonicalが攻