X Proが月6,080円のプレミアムプラス専用に──事前通知なし、突然のアクセス遮断
かつて無料だったTweetDeckが、月額980円のプレミアムで使えなくなった。必要な金額は、その6倍以上。しかも、誰にも知らされていなかった。
かつて無料だったTweetDeckが、月額980円のプレミアムで使えなくなった。必要な金額は、その6倍以上。しかも、誰にも知らされていなかった。
X Proに何が起きたのか
X Pro(旧TweetDeck)が、2026年3月26日(現地時間)をもってXプレミアムプラス専用の機能に変更されている。月額980円のプレミアムプランで利用していたユーザーは、事前通知なしにアクセスを遮断された。
ログインすると表示されるのは「As of Mar 26, 2026, X Pro is only accessible on the X Premium+ plan and above」という冷たい一文だけだ。選択肢は2つ。月額6,080円(年額6万40円)のプレミアムプラスにアップグレードするか、X Proを諦めるか。
@grok This is the notice I received:
— Jay Lampert (@MortChristenson) March 26, 2026
"As of Mar 26, 2026, X Pro is only accessible on the X Premium+ plan and above. Please upgrade your plan to use X Pro."
I am Premium. Was this change made today? Or is this an error?
要するに、昨日まで月980円で使えていた機能が、今日から月6,080円になった。値上げではない。アクセス権の剥奪だ。しかも請求サイクルの途中で、だ。
年額で契約を更新したばかりのユーザーにとっては、支払い済みのプランから主要機能が消えるという、信じがたい体験になっている。
TweetDeckの「無料」は、もう遠い過去になった
X Proの前身であるTweetDeckは、複数のタイムラインやリスト、検索結果をカラム形式で同時に表示できるマルチカラムインターフェースだ。ジャーナリスト、ソーシャルメディア運用担当者、情報収集を仕事にする「パワーユーザー」にとって、事実上の標準ツールだった。
TwitterがTweetDeckを2011年に約4,000万ドル(当時のレートで約32億円)で買収して以来、このツールは10年以上にわたって無料で提供されてきた。転機は2023年。イーロン・マスクによるTwitterのX化に伴い、TweetDeckはX Proに改名され、月額8ドル(日本では980円)のプレミアムプラン専用になった。
当時も反発はあった。だが「980円なら仕方ない」と割り切ったユーザーは少なくなかったはずだ。
その信頼が、3年後に裏切られた形になる。
「いつでも変更可能」という免罪符
X側は今回の変更について公式な声明を出していない。ヘルプセンターのプレミアム機能一覧ではX Proがプレミアムプラス専用と更新されている一方、X Pro専用ページには変更の記載がないままだ。Engadgetの報道によれば、同メディアのスタッフも事前通知を確認できなかったという。
Xの利用規約には、プレミアム機能は「サービスの改善に伴い、いつでも変更される可能性がある」と記載されている。法的にはこの一文で足りるのかもしれない。だが「いつでも変更可能」が、有料ユーザーの機能を予告なく奪う口実になるなら、サブスクリプションの前提そのものが揺らぐ。
「プレミアムに含まれる機能は、サービスの改善に伴い、いつでも変更される場合があります」──Xヘルプセンターより
月額を払っている人間にとって、「改善」とは機能が増えることであって、減ることではない。
Twitter (X) has now made X Pro exclusive to Premium+ users
— Culture Crave 🍿 (@CultureCrave) March 26, 2026
• Now costs nearly $400 per year to use
• Previously known as TweetDeck — which was free
• Users were given no notice
• Annual subscribers are being forced to upgrade mid-cycle pic.twitter.com/8g66jZojDH
3月だけで3度目の「課金の壁」
見落としてはならないのは、これが孤立した出来事ではないことだ。2026年3月のXは、無料・低価格ユーザーからの機能引き剥がしを加速させている。
3月12日(現地時間)には、スレッド内でGrokに質問できる「Ask Grok」機能がプレミアム以上の限定に変更された。3月19日(現地時間)には、Grok Imagineの画像・動画生成が無料ユーザーから完全に遮断されている。そして3月26日(現地時間)、X Proのプレミアムプラス限定化だ。
2週間で3つの機能が有料の壁の向こう側に消えた。パターンは明確だ。無料で提供してユーザーを集め、依存させてから課金する。古典的な手法だが、これほど露骨に、これほど短期間に連発する例は珍しい。
プレミアムプラスの日本での価格推移も振り返っておきたい。2024年末までは月額1,980円だった。同年12月に2,590円に値上げされ、2025年2月にはさらに6,080円へ跳ね上がった。わずか3か月で3倍以上になっている。
誰がこの価格を「妥当」と感じるのか
Xのサブスクリプション体系は現在、ベーシック(月額368円)、プレミアム(月額980円)、プレミアムプラス(月額6,080円)の3段階だ。プレミアムとプレミアムプラスの間には、月額5,100円の崖がある。
プレミアムプラスの主な付加価値は、広告のほぼ完全な非表示とGrokの拡張利用だった。ここにX Proが加わったことで、Xは「情報収集のプロツール」を最高額プランの目玉に据えたことになる。
だが月6,080円という価格は、Netflixのプレミアムプラン(月額1,980円)の3倍以上だ。動画が無限に観られるサービスと、SNSの管理ツール。どちらに6,080円を払うかと聞かれれば、答えは明らかだろう。
正直なところ、X Proの機能自体は優れている。マルチカラム表示、リアルタイム更新、高度な検索。代替ツールで完全に再現するのは難しい。だからこそ、この価格設定は足元を見ている、と言わざるを得ない。
Blueskyへの移行を呼びかける声はあるが、現時点でのユーザー規模の差(Bluesky約4,300万、X約6億)を考えれば、情報インフラとしてのXを簡単に捨てられない人は多い。
半年後にこの変更を振り返ったとき、「あれがXを見限る最後の一押しだった」と語る人がどれだけいるだろうか。あるいは、6,080円を払い続けている自分に驚いているかもしれない。
参照元
他参照
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