紅の砂漠にIntel Arc公式対応 発売23日で方針転換

「返金しろ」と言われたIntel Arcユーザーに、Pearl Abyssが正式回答を出した。パッチ1.03.00で公式サポートに加え、XeSS 3.0とフレーム生成まで実装している。

紅の砂漠にIntel Arc公式対応 発売23日で方針転換
Pearl Abyss

「返金しろ」と言われたIntel Arcユーザーに、Pearl Abyssが正式回答を出した。パッチ1.03.00で公式サポートに加え、XeSS 3.0とフレーム生成まで実装している。


23日間で180度変わった対応

紅の砂漠(Crimson Desert)のパッチ1.03.00が、Intel Arc GPUの公式サポートを追加している。3月19日の発売時に「Intel Arc GPUには対応していない、返金を」と突き放したPearl Abyssが、わずか23日後に態度を一変させた格好だ。

しかも単なる起動対応ではない。アップスケーリング技術のIntel XeSS 3.0と、XeSS Frame Generationフレーム生成)の両方が設定メニューに追加された。

XeSS Frame Generationを搭載するタイトルはまだ少なく、この対応速度と実装範囲は予想を超えている。

発売直後のFAQでPearl Abyssは「Intel Arc GPUには対応していない。購入したプラットフォームで返金手続きを」と記載していた。この文言がコミュニティで拡散し、大きな反発を招いた。

Intelは何年も前から手を差し伸べていた

この問題を深刻にしたのは、Pearl Abyss側の対応だけではない。Intelが公式に声を上げたことで、話の構図が変わった。

Intelは報道各社への声明で、開発期間中に「何度もPearl Abyssに連絡を取り」、テスト用のハードウェアドライバ、エンジニアリングリソースを提供してきたと明かしている。Alchemist、Battlemage、Meteor Lake、Lunar Lakeと複数世代にわたる支援の申し出だったにもかかわらず、Pearl Abyssはそれを活かさずに発売に踏み切った。

Intel GPUを使うプレイヤーがファイウェルの世界に飛び込めないことを、非常に残念に思っている」という声明は、企業間のやりとりとしては異例の率直さだった。数百万本を売り上げた人気タイトルから自社GPUユーザーが締め出されている状況に、Intelの苛立ちが滲んでいたと見るのが自然だろう。

Pearl Abyssはこの声明を受けてFAQの文言を修正し、「Intel Arc GPUシステムでも紅の砂漠を楽しめるよう、互換性と最適化のサポートに取り組んでいる」と方針を転換した。
Intel Arc対応までの23日間
3/19
紅の砂漠 発売
Intel Arc GPUでは起動不可。FAQに「非対応、返金を」と記載
3/22
Intel が公式声明
「数年間にわたり支援を申し出ていたが、Pearl Abyssは受け入れなかった」と公表
3/23
Pearl Abyss 方針転換
FAQを修正し謝罪。「互換性と最適化のサポートに取り組んでいる」と発表
4/7
Intel ドライバで非公式起動可能に
Game Onドライバ更新で起動は可能になるが、テクスチャ崩れやクラッシュが多発
4/11
パッチ1.03.00 ─ 公式サポート
Intel Arc正式対応+XeSS 3.0+XeSS Frame Generation搭載
日付はUTC基準の公式発表日

パッチの中身:対応はしたが、完璧ではない

パッチ1.03.00のグラフィック関連アップデートは、Intel Arc対応だけにとどまらない。

PC向けには新たにAMD Radeon Anti-Lag 2が追加され、「Displacement Scale」「Detail Decorative Mesh」といったグラフィックオプションも加わった。DLSS Ray Reconstructionの画面歪みエフェクト時のノイズも修正されている。

コンソール側でも、PlayStation 5(通常モデル)とXbox Series XEnhanced Raytracingオプション、PlayStation 5 Proに「PSSR Sharpness」設定が追加された。

ただし、Intel Arc対応には注意点がある。パッチノートおよび既知の問題ページによると、Arc A-seriesではXeSS 3.0やXeSS Frame Generation使用時に画面が正常に表示されない場合がある。A770ではXeSS使用時にクラッシュが報告され、A750ではヘルナンドの街でクラッシュする問題が残っている。

つまり、現時点でもっとも恩恵を受けるのはBattlemage世代(Arc B580/B570)のユーザーだ。旧世代のAlchemist(A770/A750)ユーザーにとっては、起動できるようになっただけでも前進だが、安定性にはまだ課題がある。

Intel Arc世代別 対応状況(パッチ1.03.00時点)
Battlemage
B580 / B570
Alchemist
A770
Alchemist
A750
基本動作
XeSS 3.0 △ 表示不具合 △ 表示不具合
Frame Gen △ 表示不具合 △ 表示不具合
既知の問題 XeSS使用時
クラッシュ
ヘルナンド
でクラッシュ
○=安定動作 △=動作するが不具合あり。公式パッチノートおよび既知の問題ページに基づく

グラフィック以外の改善も多い

パッチ1.03.00はグラフィックだけのアップデートではない。ゲームプレイ全体にわたる改良が含まれている。

コンテンツ面では、アビスネクサスを使ったテレポートが騎乗中・落下中・水泳中・壁登り中にも使えるようになり、ボス戦のロックオン機構が改善された。クリフには新アビリティ「Focused Aerial Roll」が追加され、仲間キャラクターのデミアンとウンカにも新スキル群が実装されている。

全プラットフォーム共通で、室内の照明品質向上や水面反射の改善も行われた。会話シーンの早送り速度が最大4倍に設定可能になり、カメラの視覚範囲やオフセットも調整できるようになっている。

UI面では、ワールドマップのアイコン表示が整理され、装備ステータスの二重表示バグも修正された。ローカライゼーションの品質改善も全言語で実施されており、日本語環境のプレイヤーにも恩恵がある。


「圧力が効いた」という事実

400万本以上を売り上げた大型タイトルが、特定GPUベンダーのユーザーを門前払いにし、それを公式FAQで堂々と記載していたという事実は異例だった。Intelのディスクリートカードの市場シェアは数パーセントに過ぎないが、内蔵GPUまで含めれば世界最大のGPU出荷元でもある。

Pearl Abyssが方針を転換した直接の理由は明言されていない。だが、コミュニティの反発、Intelの公式声明、Steamレビューへの影響が重なった結果であることは想像に難くない。

対応そのものは評価すべきだろう。23日で公式サポートにXeSS 3.0とフレーム生成まで実装したスピードは、開発チームの技術力を示している。ただ、最初から手を差し伸べていたIntelの提案を受け入れていれば、こうした騒動自体が起きなかったことも、また事実だ。


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