PS6が1000ドルにならない理由——製造コスト試算の現実
「PS6は1000ドルを超えるかもしれない」という声が広がっている。だが部品コストを積み上げると、そこまで届くには全ての条件が最悪化しなければならない。
「PS6は1000ドルを超えるかもしれない」という声が広がっている。だが部品コストを積み上げると、そこまで届くには全ての条件が最悪化しなければならない。
PS5スリムを「対照群」にした精度検証
製品の価格はどこから来るのか。YouTubeチャンネル「Moore's Law is Dead」のトム氏が4月に、詳細なBoM(部品コスト積み上げ)分析をライブ配信で公開した。試算の信頼性を確かめるため、まず現行のPS5スリム(ディスク版)で精度を検証している。
APUダイ81.53ドル、基板36ドル、冷却16ドル、SSD 112.50ドル、RAM 112ドル——積み上げたBoM合計は507.03ドルとなった。関税なしなら499ドルが適正MSRPだが、30%の関税を加えると649ドルとなる。これはソニーが4月2日に改定した実際の販売価格649.99ドルとほぼ一致する。
この一致が次の試算の根拠だ。同じ手法をPS6に使えば、同程度の信頼性が期待できる。
「試算がPS5で現実と合致したなら、同じ手法でPS6を試算しても信頼できる」とトム氏は説明している。
PS6 Orionの試算——関税なしで749ドル
上位モデル「PS6 Orion」はどうなるか。APUダイ110.50ドル、基板48ドル、冷却18ドル、SSD 142.50ドル、RAM 300ドル——合計BoMは743ドルという試算だ。
関税なしのMSRP想定は749ドル(約11万9,000円)で、30%の関税が加わっても849ドル(約13万5,000円)にとどまる。「1000ドル」まではまだかなりの距離がある。
| 項目 | PS5スリム | PS6 S | PS6 携帯版 |
PS6 Orion |
|---|---|---|---|---|
| APUダイ | $81.53 | $46.08 | $46.08 | $110.50 |
| 基板 | $36.00 | $16.00 | $24.00 | $48.00 |
| 冷却 | $16.00 | $7.80 | $7.80 | $18.00 |
| スクリーン | — | — | $65.51 | — |
| バッテリー | — | — | $19.80 | — |
| SSD(1TB) | $112.50 | $142.50 | $142.50 | $142.50 |
| RAM | $112.00 | $108.00 | $108.00 | $300.00 |
| 合計BoM | $507.03 | $404.38 | $493.69 | $743.00 |
| MSRP(関税なし) | $499約7万9,000円 | $399約6万3,000円 | $499約7万9,000円 | $749約11万9,000円 |
| MSRP(関税30%) | $649約10万3,000円 | $529約8万4,000円 | $649約10万3,000円 | $849約13万5,000円 |
コストで最も膨らんでいるのはRAMだ。この300ドルは6ヶ月前のバルク購入価格のほぼ2倍で、PS6の値段を決める最大の変数になっている。
実際の部品調達は2027年初頭から中頃の見込みで、その時点でのRAM価格次第では、コストが大きく変動する余地がある。
「1000ドル」に届くには、全てが最悪でないといけない
では、「1000ドル超え」はどういう条件で起きるのか。
トム氏が示すのは複数の悪条件が重なるシナリオだ。関税30%の継続、DRAMのさらなる値上がり、ホルムズ海峡閉鎖による物流コスト急騰——それら全てが重なっても、試算では950ドル程度にとどまるという。
「今の状況が続いても、せいぜい899ドルだと思う。1000ドル超えには、全てが悪い方向に動かなければならない」とトム氏は述べている。
トム氏が最も現実的とみているのは700〜900ドル(約11万1,000〜14万3,000円)だ。関税が撤廃され、RAMが落ち着けば699ドル(約11万1,000円)前後も現実的だとしている。
「1000ドル」という数字が広まれば広まるほど、実際の価格発表でソニーが良く見えるという逆説もある。PS5のとき、同じことが起きた。
廉価版「PS6 S」は関税なしで399ドルの試算
廉価版モデルも試算されている。ハンドヘルドと同じAPUを搭載し、ディスプレイやバッテリーを省いた家庭用コンソール——PS6 S(コードネーム:Canis)だ。
この構成でのBoMは404.38ドルとなった。関税なしで399ドル(約6万3,000円)、30%関税込みでも529ドル(約8万4,000円)という計算になる。
このモデルが担うのは、PS4世代のユーザーを引き込む「入口」としての役割だとトム氏は指摘している。「350〜400ドルで新作タイトル付き」という構成なら、PS4から乗り換えなかった層を動かす動機として十分に機能する。
「廉価版を出すなら、積極的な価格設定が必要だ。損失が小さければ、その損失を承知で出す意味がある」とトム氏は語っている。
性能面では、RDNA 5アーキテクチャとAIアップスケーリング技術PSSR 3の組み合わせで、レイトレーシング性能はPS5比で2〜3倍に達するとトム氏は予測している。ラスタリゼーション性能では単純比較でPS5を下回る部分があっても、PSSR 3がその差を埋める計算だ。
発売は2027年末か2028年初頭か——公式発表はまだない
トム氏の文書によれば、PS6 OrionとPS6ハンドヘルドはともに2027年Q2から製造開始という。
この時期から逆算すれば春の発売は難しく、2027年Q4か2028年初頭が最も現実的なウィンドウだとみている。
「2029年まで延期」という説は、ブルームバーグが今年2月に匿名情報源をもとに報じたものだ。これに対しトム氏は、OrionもハンドヘルドもQ2 2027から製造開始という文書を根拠に否定している。ハンドヘルドはOrionより製造開始が1〜2ヶ月遅いだけで、2029年まで待つシナリオとは整合しない。
これらはすべてトム氏の独自リークと分析に基づく推定であり、ソニーからの公式情報ではない。ただ、PS5 Proの仕様やPSSRの存在を事前に文書で予測していた実績がある人物でもある。
「1000ドル」への不安はわかるが、試算が示す現実は違う。問われるべきは「いくらになるか」ではなく「その価格に見合う性能が出るか」だ。
参照元
#PlayStation 6 #PS6 #PS6 Orion #PS6ハンドヘルド #Sony #AMD #RDNA 5 #PSSR #Xbox Helix #関税 #価格分析
@PS6の製造コストを積み上げるとBoMは743ドル。30%関税込みでも849ドルにとどまり、「1000ドル超え」には全条件が最悪化しなければならないことがMoore's Law is Deadの試算で示された。RAMが最大コスト要因で、来年の調達時点次第では699ドル前後も現実的となる。
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