RX 9070 XTコネクタ焼損9件目、全て同じ青アダプター

RX 9070 XTのコネクタが、またしても焼けた。今回で9件目になる。共通点ははっきりしている——全員が、Sapphire同梱の同じ青いアダプターケーブルを使っていた。

RX 9070 XTコネクタ焼損9件目、全て同じ青アダプター
KennerLetty

RX 9070 XTのコネクタが、またしても焼けた。今回で9件目になる。共通点ははっきりしている——全員が、Sapphire同梱の同じ青いアダプターケーブルを使っていた。


またひとつ、同じ場所が焼けた

VideoCardzが日本時間4月12日夜に伝えた新たなRedditの投稿により、Sapphire NITRO+ RX 9070 XTの公表ベースの溶損事例は合計9件に到達した。

A melted 12vhpwr connector with a twist: It's AMD flavoured!
by u/KennerLetty in pcmasterrace

投稿者はKennerLetty氏。修理サービスに持ち込まれたRX 9070 XTが、ベンチマークは問題なく通るのに実ゲーム中にランダムで黒画面へ落ちる症状を抱えていた経緯を、画像付きで報告している。取り外したコネクタの奥までライトを当てると、焦げた跡がはっきり見えた。使われていたのは、Sapphireが箱に同梱している、青い先端の3×8ピン→12V-2×6変換アダプターだった。

溶けた12VHPWRコネクタに、ひとひねり。今度はAMD味だ。

症状も、発端も、これまでの8件とほとんど同じだ。変わるのは件数だけ——そしてその件数が、偶然と呼ぶには少しずつ重くなってきている。

9件すべてに並ぶ、一本の線

VideoCardzの追跡によれば、2025年10月の初報から、11月・12月・2026年1月・2月と、Sapphire NITRO+の溶損報告はほぼ月単位のペースで積み上がってきた。全てが同じ製品、同じ変換アダプター経由という、あまりに揃いすぎた共通点を持っている。

毎回Sapphire NITRO+で、毎回同じ青い先端の変換アダプターで、毎回RX 9070 XT。9人の被害者が踏んだ手順は、不気味なほど揃っている。

同じ12V-2×6コネクタを採用したもう一つのRadeonASRock Taichiでも事例は報告されているが、頻度の点でSapphire NITRO+は突出している。Tom's Hardwareは過去の取材記事で、焼け跡が毎回コネクタの上段列に集中している点を指摘した。接点の片側だけに電流が偏ったような、不自然な熱の残り方だ。

330Wで焦げる、600W定格のケーブル

ここで立ち止まって見たい数字がある。Sapphireの公式仕様表に記載されたNITRO+ RX 9070 XTのTBP(Typical Board Power)は330W。一方で、12V-2×6コネクタの定格は単体で600Wまで供給できる設計になっている。

定格の半分強しか流れていないはずのミドルハイGPUで、純正同梱のケーブルが焦げている。この一点だけで、「高消費電力GPUだから仕方ない」という言い分は通りにくくなる。

RTX 5090級の450Wオーバー負荷ではない。冷静に見れば、扱いやすいワットレンジのカードだ。それでも焼ける。その一言に、規格設計の限界が詰まっている。

Sapphireの「3件だけ」から、4ヶ月

2025年12月、Sapphireの北米PRマネージャーEd Crisler氏はHardware Unboxedポッドキャストに出演し、当時3件とされていた溶損について、原因はカード側のコネクタでもPSUでもなく、同梱の変換アダプターにあるという見解を示した。一方でCrisler氏は同じインタビューの中で、12V-2×6規格そのものが再設計を必要としている点も率直に認めている。

それから4ヶ月。

件数は3から9へと膨らみ、Sapphireは同じブルーチップ・アダプターを箱に入れ続けている。2026年2月に発売されたCrimson Desert Edition版の公式仕様表にも、バンドル品として「12V-2×6 to 3×8-pin adapter」の記載が残っている。

原因は特定できている、と企業は言う。だが回収も、設計変更の告知もない。その空白の期間にも、9件目、10件目は積み重なっていく。

本当にアダプターだけが悪いと断定できるなら、該当ロットの回収や部材変更を告知する余地は十分にあったはずだ。だが今のところ、公式の動きは静かなままだ。

Reddit側の「確証バイアス」論と、数字の輪郭

今回のRedditスレッドのコメント欄では、件数の積み上がりを前にしても「確証バイアスだ」と冷静に諭す声が少なくなかった。

Redditでは実際より大きな問題に見えるだけだ。焼けなかった個体と比べれば、せいぜい0.1%の話だろう。

論理としては正しい。だが、9件すべてが同一製品・同一アダプターに収束している事実は、統計的な偶然で片付けるには輪郭がはっきりしすぎている。

RX 9070 XTは、AMDが久しぶりに「買える価格の競争力あるRadeon」として送り出したカードだ。そのフラッグシップSKUで、箱に入っていた純正アクセサリーを使っただけで、半年後に黒画面を迎える可能性が現実的な確率として議論されている——その状況そのものが、12V-2×6という規格の信頼残高を静かに削っていく

買う側が取れる、現実的な逃げ道

短期的な自衛策は、ある程度はっきりしている。ネイティブで12V-2×6を備えたATX 3.1世代のPSUに切り替え、付属の青いアダプターを外すことだ。

ただしこれも万能ではない。RTX 5090ではネイティブケーブルでの焼損例も報告されている。問題の根は「アダプターか、ネイティブか」の先、コネクタ設計そのものの余裕のなさにあるのではないか、と疑う声は根強い。

600W定格のケーブルが、330Wのカードを焼いている。その数字だけで、もう十分だろう。


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