輸出管理

蒸留攻撃で年間60億ドル損失か、米AI大手が政府全体に警告

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蒸留攻撃で年間60億ドル損失か、米AI大手が政府全体に警告

中国AI企業による蒸留攻撃の経済的被害が初めて具体的な数字として報じられた。AnthropicとOpenAIは、トランプ政権と議会に対策を繰り返し求めている。 9か月分のリードが消えている 蒸留攻撃で米国のAIラボが被る損害は年間最大60億ドル(約9700億円)に達する。ブルームバーグが7月13日に米国当局の推定として報じた。シリコンバレーはトランプ政権に対し「存亡の危機になりかねない」と警告しているという。 ニューヨーク・ポストも同日、Anthropicに近い情報筋の発言を伝えた。現在、中国のフロンティアモデルは米国の約6〜9か月遅れとされるが、蒸留がなければその差は18か月以上に広がるとの見方だ。蒸留が9か月以上の差を埋めている。 蒸留(distillation)とは、高性能なAIモデルに大量の質問を投げ、その応答を使って別のモデルを訓練する手法だ。自社モデルの小型化など正当な用途で広く使われるが、競合の許可なくこれを行えば、数十億ドルをかけた研究開発の成果を安価に複製できる。 中国のAIモデルは数字の上でも米国に迫っている。利用者数の上位10モデルのうち6つが中国企業

Mythos 5が限定復活、Fable 5はまだ止まっている

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Mythos 5が限定復活、Fable 5はまだ止まっている

6月12日に全世界で遮断されたAnthropicの最上位AIモデルが、2週間ぶりに動き出した。ただし「全面復旧」ではない。米政府が認めたのはMythos 5だけ、対象は約100の米国組織だけ、一般向けのFable 5は書簡で触れられてすらいない。同じ日にOpenAIのGPT-5.6も政府承認済みの約20社にしか公開されなかった。誰が最も強いAIモデルを使えるか。それを決めるのは、もう開発企業ではない。この2週間で、その構造が既成事実になった。 書簡の中身 現地時間6月26日金曜日、ハワード・ラトニック(Howard Lutnick)商務長官からAnthropicのトム・ブラウン(Tom Brown)共同創業者に宛てた書簡が届いた。宛先がCEOのダリオ・アモデイ(Dario Amodei)氏ではなくブラウン氏になっている理由は後述する。 書簡の要旨はこうだ。6月12日の指令以降、Anthropicは米政府とともにリスク対応に取り組み、十分な成果が得られた。よって「信頼されたパートナー」に限り、Mythos 5へのアクセスを認める。ラトニック氏は承認リストをいつでも変更できるとし、

中国360が「中国版Mythos」を発表 規制後に派生AIセキュリティ製品が拡大

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中国360が「中国版Mythos」を発表 規制後に派生AIセキュリティ製品が拡大

Fable 5とMythos 5が米国政府の輸出管理で全面停止してから12日。中国のサイバーセキュリティ大手がMythos対抗を名乗り出た。360 Security Technology(三六零安全科技、上交所:601360)が、Mythosに匹敵すると自称するAIツールを正式に発表した。 「倚天屠龍」という名乗り 360の創業者ジョウ・ホンイー(Zhou Hongyi)氏が北京のISC.AI 2026カンファレンスで披露したのは、2つのAIセキュリティツールだ。総称は「倚天屠龍」。金庸の武侠小説『倚天屠龍記』(いてんとりゅうき)から取った名前で、原義は「天の剣と龍を屠る刀」。 脆弱性の自動発見を担う「屠龍鋒」(Tulongfeng)を、ジョウ氏は自ら「中国版Mythos」と呼んだ。もう一つの「倚天鎮」(Yitianzhen)は、サイバー防御とインシデント対応の自動化に特化している。 ジョウ氏は中国の最高政治諮問機関である全国政治協商会議の委員でもある。360が公開した講演録によれば、AIによる脆弱性発見を「国家戦略資産」と位置づけ、インフラ防御と攻撃の両面で使えると述べた。

Anthropic従業員「狙い撃ちされている」。Fable停止から6日、社内の混乱

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Anthropic従業員「狙い撃ちされている」。Fable停止から6日、社内の混乱

AIの安全性を掲げてきた企業が、安全性を名目に製品を止められた。Fable 5とMythos 5の停止命令から6日。Anthropicの約3000人は、いまだ納得のいく説明を受けていない。 変わり続けた「理由」 現地時間6月12日金曜、ホワイトハウスからAnthropicに電話が入った。最新モデルのFable 5とMythos 5を市場から引き揚げろ、という指示だった。猶予は90分もなかった。 社内のグループチャットは即座に騒然となったと報じられている。マネージャーたちは顧客向けの案内を準備するよう指示されたが、肝心の「理由」が二転三転した。最初は外国企業によるアクセスが問題だと告げられ、次にはモデルに重大な脆弱性が見つかったと説明が変わった。 社内チャットでは混乱がにじんでいたという。「クライアントに何と伝えればいい?」「何を信じればいいのか、誰か知ってる?」「そもそも何が問題なのか分からない」。 6日が経った。Anthropic幹部はワシントンへ飛び、月曜・火曜と政府側と面会を重ねたが、制限解除には至っていない。Anthropicは月曜の声明で「政府との協力を継続する」

米セキュリティ専門家40人超がFable禁止の撤回を要求

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米セキュリティ専門家40人超がFable禁止の撤回を要求

トランプ政権がAnthropicのFable 5とMythos 5に輸出管理指令を出してから3日。Adobe、Zoom、ソフォス、NVIDIAの幹部やセキュリティ研究者を含む40人超が、ホワイトハウスに対して禁止措置の撤回を求める公開書簡に署名した。書簡が訴えるのは一点。この措置は防御側から最良のツールを奪っただけで、攻撃側には何の影響も与えていない。 書簡が突きつける問い 公開書簡を取りまとめたのは、元Facebook最高セキュリティ責任者のアレックス・スタモス(Alex Stamos)氏。現在はAIコーディングセキュリティ企業Corridorの最高製品責任者を務める。 書簡は「防御側にAIを提供することが不可欠だ」と正面から訴える。自社や顧客のコードに潜む脆弱性を、攻撃者より先に見つけて塞ぐ。その切り札と見なされていたのがFable 5だ。 署名者にはLuta SecurityのCEOケイティ・ムスリス(Katie Moussouris)氏、SocialProof SecurityのCEOレイチェル・トバック(Rachel Tobac)氏、Veracode共同創業者のクリ

Anthropicが技術者をD.C.に飛ばした。Fable 5復旧交渉の行方

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Anthropicが技術者をD.C.に飛ばした。Fable 5復旧交渉の行方

Fable 5とMythos 5の全面停止から3日。Anthropicの上級技術スタッフがワシントンD.C.に入り、ホワイトハウス関係者と直接会談に臨んでいると報じられた。対立は対話の局面に移りつつある。 金曜日から続く水面下の接触 6月14日、Anthropicに近い関係者の証言として報じられた。同社の上級技術スタッフがワシントンに飛び、ホワイトハウス関係者と対面での協議に入っている。金曜日(6月12日)にトランプ政権側が最初の接触を図って以降、技術スタッフはバーチャル会議を重ねてきたという。 双方が問題解決に意欲を示しているという。 ただし、その間にも認識のずれは表面化している。政権側は「Anthropicが真剣に取り組んでいない」と主張していた。Anthropicに近い関係者は「金曜日の段階からバーチャルで対話を続けてきた」としている。技術者がD.C.に赴いたこと自体が、この認識の溝を埋めるための動きだろう。 止まった3日間で動いたもの 停止の経緯と背景についてはこれまでの記事で詳しく報じた。ここでは、この3日間で浮上した新たな事実を確認する。 停止翌日の報道で

Fable 5停止、もう一つの理由。中国のMythosアクセス疑惑が浮上

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Fable 5停止、もう一つの理由。中国のMythosアクセス疑惑が浮上

Fable 5とMythos 5の全面停止から2日。ジェイルブレイクとAmazonの通報、政権との交渉決裂という経緯はすでに報じた。だがその裏に、公表されていないもう一つの理由があった可能性が浮上している。 中国と関係のあるグループがMythosにアクセスした疑いがあり、それが輸出管理の根拠の一つだったと、事情に詳しい関係者の話として報じられた。 「アクセスを求めた」から「アクセスした疑い」へ 伏線は5月にあった。 4月、シンガポールで開かれたカーネギー国際平和財団の会合で、中国のシンクタンク職員がAnthropicの関係者にMythosへのアクセスを求めたと報じられた。Anthropicは拒否し、米国家安全保障会議(NSC)にもこの接触は報告された。 あの時点では「アクセスを求めて断られた」話だった。今回の報道は一段階先に進んでいる。中国関連グループが実際にMythosにアクセスした疑いがあるというのだ。どの組織が、どのような経路でアクセスしたのかは明らかになっていない。 食い違う説明 ここで注目すべきは、Anthropic側の反応だ。 同社の広報担当者は、Fab