セキュリティ
AIが自ら考え、攻撃を変えるワームが実証された
「1つのパッチを当てれば止まる」。WannaCryの時代から、ワーム対策の基本はそうだった。1つの脆弱性を突く固定のコードを、1つの修正で塞ぐ。攻撃者と防御者のいたちごっこは、少なくともルールが明確だった。 そのルールが壊れたかもしれない。 「適応型ワーム」という新しい脅威 トロント大学のニコラ・パペルノ(Nicolas Papernot)准教授率いるCleverHans Labが6月2日、AIを搭載した自己複製型ワームのプロトタイプを実証したと発表した。外部から隔離された仮想ネットワーク内での実験だが、結果は従来のワームとは質的に異なるものだった。 従来のワームは、あらかじめ組み込まれたコードで特定の脆弱性を突く。だから防御側は、その脆弱性にパッチを当てれば拡散を止められた。2017年にWannaCryが150カ国以上で猛威を振るったときも、攻撃が突いていたのはWindowsのSMBv1という単一の脆弱性だった。 今回のAIワームはそこが根本的に違う。オープンウェイト(誰でもダウンロードできる公開モデル)のLLMをローカルで動かし、標的のマシンごとに脆弱性を分析して、攻撃