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AIで渇望する素材を握る味の素。値上げしない理由
先端半導体に不可欠な絶縁材料ABFで、ほぼ100%の世界シェアを握る味の素。AI需要の爆発で供給が追いつかないなか、同社の中村茂雄CEO(Shigeo Nakamura)は「需要があるからといって価格を引き上げるつもりはない」と語った。値上げではなく増産で応える、と。英アクティビストファンドが30%の値上げを要求した2か月余り後の発言だけに、この判断の裏側は見ておく価値がある。 ABFの開発者がCEOになった意味 味の素ビルドアップフィルム(ABF)は、半導体パッケージ基板の層間を絶縁するフィルム素材だ。CPUやGPUが載る基板の内部で、配線層の間に挟み込まれ、電気的な干渉を防ぐ。PC向けCPUの基板ではほぼ100%、AI半導体向けでも同等の支配率を維持している。 この素材を1990年代に開発したのが、現CEOの中村茂雄氏その人だ。1992年に東京工業大学大学院を修了して味の素に入社し、1996年からABFの研究に着手。2025年2月、前任の藤江太郎氏が体調不良で退任したことを受け、同社初の技術畑出身トップに就いた。自分が生み出した製品が会社の成長エンジンになった局面で、その製