Ryzen

AMD、ATI買収から20年 54億ドルの賭けが届いた場所

GPU

AMD、ATI買収から20年 54億ドルの賭けが届いた場所

2006年にAMDが54億ドルで買ったATI Technologies。その技術がなければ、Radeonも、APUも、PlayStation 4以降のゲーム機も、昨日発表されたAIアクセラレーターInstinct MI455Xも存在しない。20年の間に何があったのか。 CPUだけでは勝てない 2006年のAMDは、CPU専業メーカーとして最も勢いのある時期にあった。Athlon 64とOpteronがIntelの牙城を崩し、サーバー市場でもシェアを伸ばしていた。 だがCEOのヘクター・ルイズ(Hector Ruiz)氏は、CPUだけで戦い続けることの限界を見ていた。プロセッサの微細化が進めばトランジスタに余裕が生まれ、GPUをCPUと同じチップに統合できるようになる。その時にGPU技術を持っていなければ、Intelに統合型チップを先に出される。GPU会社を買う必要があった。 最初に声をかけた相手はNVIDIAだった。NVIDIAのCEOジェンスン・ファン(Jensen Huang)氏は、合併後の統合会社で自分がCEOに就くことを条件に要求した。ルイズ氏がこれを退け、交渉は決裂

Medusa Point、5.4GHzブーストでZen 5を35%超え

AMD

Medusa Point、5.4GHzブーストでZen 5を35%超え

AMD次世代モバイルAPU「Medusa Point」の10コアESが、Geekbench 6でシングルコア3329、マルチコア1万6555を記録した。前回まで2GHz付近に抑えられていたブーストクロックが5.37GHzに達し、Zen 6の性能水準が見え始めている。 初めて5GHz超でブーストした Medusa Pointのエンジニアリングサンプル(ES)がGeekbenchに登場するのは、もう珍しいことではない。3月以降、異なるCPU IDのサンプルが繰り返し姿を見せてきた。今回のCPU ID 100-000001713-33_Nは7月上旬に続く2回目の登場で、評価プラットフォームはAMD Plum-MDS1。10コア/20スレッド、クラスタ構成は4コア+6コアに分かれている。 今回の結果が過去のリークと根本的に異なるのは、クロック速度だ。 3月の初出時にはシングル1210、マルチ7323にとどまっていた。7月上旬に同じ33_Nサンプルが再登場し、シングル3174、マルチ1万5092まで跳ね上がったが、どちらもGeekbenchが報告する最大周波数は2GHz付近だった。

Medusa Point 3度目のリーク。2GHzで5GHz超え確実に

AMD

Medusa Point 3度目のリーク。2GHzで5GHz超え確実に

Zen 6のIPCがどこまで伸びているのか。3度目のGeekbenchリークで、数字がさらに具体的になった。 シングルコア3174、マルチコア1万5092 AMDの次世代モバイルAPU「Medusa Point」が、7月8日付けでGeekbenchデータベースに再び登場した。今回で3回目になる。 スコアはシングルコア3174、マルチコア1万5092。3月に確認された2回目のリーク(シングルコア2300、マルチコア1万3002)から、シングルコアで38%、マルチコアで16%伸びた。 比較対象となるRyzen AI 9 365(Zen 5、Strix Point、10コア、ブースト5GHz)のGeekbench平均はシングルコア2470、マルチコア1万2407。Medusa Pointはシングルコアで29%、マルチコアで22%上回る。2GHz動作のエンジニアリングサンプルが、5GHzで回る現行製品の平均をシングルもマルチも超えた。 OPNとモデル番号が更新されている OPN(Ordering Part Number、AMD内部の製品識別番号)は100-000001713-3

EXPO ULL対応メモリ、CL26キットは約17万8000円。AMD「同価格」発言との落差

メモリ

EXPO ULL対応メモリ、CL26キットは約17万8000円。AMD「同価格」発言との落差

G.SkillのEXPO ULL対応メモリ「Trident Z5 NeoX」が北米で販売を開始した。Computex 2026でAMDのデビッド・マカフィー(David McAfee)氏が口にした「既存のEXPOキットと実質同じ価格帯になる」という見通しを、最初の値札が否定した形になる。最上位のDDR5-6000 CL26キット(32GB)は1099.99ドル、日本円に換算すると約17万8000円。通常のEXPO対応Trident Z5 Neoの同等品(CL26、699.99ドル)より57%高い。 「同じ値段」の約束と、最大80%の現実 EXPO ULLの技術的な仕組みや600系マザーボードへのBIOS展開については既報のとおりだ。今回明らかになったのは実売価格であり、ここに焦点を絞る。 G.SkillはTrident Z5 NeoXを4つのSKUで投入した。すべてDDR5-6000、32GB(16GB×2)構成で、違いはCASレイテンシと価格にある。

AMD Ryzen、メモリ暗号化が黙って消えていた

セキュリティ

AMD Ryzen、メモリ暗号化が黙って消えていた

あなたのRyzenで動いていたメモリ暗号化機能が、ファームウェア更新で無効化されていた。AMDは告知しておらず、BIOSの設定画面には今もスイッチが残っている。切り替えても、何も起きない。 動いていたものが、消えた TSME(Transparent Secure Memory Encryption)は、RAM上のデータをまるごと暗号化するハードウェア機能だ。起動時にAMD Secure Processorが暗号鍵を生成し、メモリへの書き込みをすべてAESで暗号化する。OSの関与は不要で、BIOSで有効にするだけでいい。この保護が効いている限り、コールドブート攻撃(メモリモジュールを冷却し、電源断後も残留するデータを読み取る物理攻撃)やDRAMモジュールの抜き取りで得られるのは、意味のない暗号文だけになる。 AMDは2017年頃にこの機能を導入し、当初はRyzen PROやEPYCといった業務・サーバー向けCPUを対象としていた。だが実際には、一般消費者向けのRyzenでもTSMEは動作した。BIOSにオプションがあり、有効にすれば暗号化が走る。AMDのエンジニア自身が2020年

AMD次世代Ryzen「Olympic Ridge」NPUを得てiGPUを捨てる

AI

AMD次世代Ryzen「Olympic Ridge」NPUを得てiGPUを捨てる

Zen 6世代のデスクトップ向けRyzenに、これまでとは異なるIOダイが載る。ハードウェアリーカーのGotou_3rd氏が現地時間6月15日に公開した情報で、開発コード名Olympic Ridgeの構成の一端が明らかになった。NPUを新たにIOダイへ統合し、Ryzen 7000/9000世代で搭載されていたiGPUは廃止される。CUDIMMへの対応も明らかになったが、USB4コントローラの統合は見送られている。 IOダイの刷新――何が入り、何が消えるか Olympic Ridgeの新しいIOダイでは、デスクトップ向け非APUのRyzenとして初めてNPUが統合される。これまでAM5でNPUを搭載していたのはRyzen 8000Gシリーズ(デスクトップAPU)の上位モデルに限られており、標準のデスクトップCPUラインには載っていなかった。 代わりに消えるのが、RDNA 2ベース・2CU構成のiGPUだ。Ryzen 7000世代でAM5に初搭載されたこの小さなGPUは、ゲームをするには非力だが、映像出力やハードウェアデコードの用途には十分だった。グラフィックボードの不具合で画面が

AMDがMacBook Neoに「ゲームで勝負」を挑んだが土俵がおかしい

AMD

AMDがMacBook Neoに「ゲームで勝負」を挑んだが土俵がおかしい

9万9800円のMacにゲームの互換性で噛みつくAMD。比較に持ち出したのは、自社の旧世代チップだった。IntelやQualcommがMacBook Neo対抗の新チップを投入するなか、AMDの打ち手は「Windowsならゲームが動く」という古い論法に留まっている。 旧世代チップで挑むAMD AMDが公式サイトに掲載した新しいマーケティング素材が波紋を呼んでいる。 HP OmniBook X FlipとMacBook Neoを並べ、「PCゲームの人気タイトル上位20本のうち、MacBook Neoではネイティブに動くのは5本だけ。AMD搭載機なら20本すべてが動く」と主張している。Steam、Epic Games Store、PC Game Passへのフルアクセスを前面に押し出し、「妥協なし」とうたう。 この比較には、見過ごせない事実がある。 AMDが持ち出したRyzen 5 220はHawk PointファミリーのZen 4世代プロセッサで、2025年2月の発売だ。実態としてはRyzen 5 8540U(さらに前身のRyzen 5 7545U)のリネーム品にすぎない。Z

EXPO ULL、600シリーズにも展開開始。今のメモリでは使えない

メモリ

EXPO ULL、600シリーズにも展開開始。今のメモリでは使えない

AMDがComputex 2026で発表した「EXPO ULL」(Ultra Low Latency)が、マザーボード各社のBIOS更新を通じて、旧世代の600シリーズにまで広がり始めた。サブタイミングの自動最適化でゲーミング性能を底上げする技術だが、恩恵を受けるには対応メモリの購入が必須。DDR5が高騰を続けるこの状況で、AM5ユーザーにとってどこまで現実的な選択肢になるのか。 やっていることは単純。やれなかった理由がある EXPO ULLの仕組み自体はシンプルだ。 メモリのオーバークロックプロファイルであるEXPO(Intelで言うXMP)は、これまでCL・tRCD・tRP・tRASという4つのプライマリタイミングしか規定できなかった。問題は、性能に大きく効くセカンダリ・ターシャリタイミングだ。BIOSはJEDECの緩いデフォルト値をそのまま当てるため、詰めたければユーザーが手動でやるしかなかった。 G.Skillが明かしたところによると、EXPO ULLはこの制限を取り払う。メモリベンダーが工場でセカンダリタイミングまで詰め、その設定値をSPDに書き込む。ユーザーはBI

正体不明のAMD GPU「GFX1156」がドライバに出現。RDNA 3.5は終わらない

Linux

正体不明のAMD GPU「GFX1156」がドライバに出現。RDNA 3.5は終わらない

オープンソースのグラフィックスドライバに、AMDの未発表GPUを示すコードが静かにマージされた。GFX1156。RDNA 3.5系列のAPU向け内蔵GPUとみられるが、どの製品に搭載されるのかは誰にもわからない。わかっているのは、AMDがまだこのアーキテクチャを手放すつもりがないということだけだ。 ドライバコードが語る「次」 LinuxのオープンソースグラフィックスライブラリMesaの開発版(26.2)に、AMD GPUの新しい識別子「GFX1156」のサポートが6月11日付でマージされた。AMDのエンジニアが提出したマージリクエスト(!41969)はRadeonSI(OpenGL)とRADV(Vulkan)の両ドライバに初期対応を追加するもので、サミュエル・ピトワゼ(Samuel Pitoiset)氏とピエール=エリック・プルー=プレイエ(Pierre-Eric Pelloux-Prayer)氏のレビューを経てmainブランチに取り込まれた。 並行して、Linuxカーネル側でも動きがある。今月中旬に始まるLinux 7.2のマージウィンドウに向けて、DRM-Nextにはすでに

Ryzen 9 7950X3DのRMAをAMDが拒否、基板膨張を「物理損傷」と判断

AMD

Ryzen 9 7950X3DのRMAをAMDが拒否、基板膨張を「物理損傷」と判断

アイドル中に突然停止したRyzen 9 7950X3Dを巡り、GIGABYTE側が「マザーボードに問題なし」と公式報告を出したにもかかわらず、AMDが写真のみを根拠に保証申請を却下した事例が報告されている。2023年に明らかになったRyzen 7000X3D系の電圧問題から3年。「誰のせいか」という問いが、今も答えを持たないまま浮かんでいる。 GIGABYTEは「正常」、AMDは「物理損傷」 2023年5月に組まれたシステムが2026年4月28日、アイドル状態のまま「ポン」という音とともに突然停止した。報告者のシステム構成は、Ryzen 9 7950X3DとGIGABYTE X670E AORUS MASTER、Kingston Fury Beast DDR5-6000(32GB×2)、GIGABYTE RTX 4090 AORUS MASTERだ。CPUのオーバークロックはなし、BIOS設定の変更もなし。メモリはEXPO(AMD公式のDDR5オーバークロックプロファイル)で動作していた。 [7950X3D Failure] CPU substrate swelling af

Zen 6デスクトップに問題発覚、来年以降に延期か

CPU

Zen 6デスクトップに問題発覚、来年以降に延期か

サーバー向けは2nm量産スタート、デスクトップは後回しに B0シリコンを試験中に問題が浮上 AMDのZen 6アーキテクチャに関する詳細なリーク情報を発信し続けてきたYouTubeチャンネル「Moore's Law Is Dead」が、5月末のライブ配信で新たな内部情報を明かした。 デスクトップ向けZen 6(コード名:Powderhorn)は、最終製品に向けた「B0ステッピング」と呼ばれるシリコンが製造され、現在テスト段階にある。ここまではポジティブな進捗だが、テスト中に問題が浮上した。 このB0シリコンで「ある問題」がAMD社内で議論されているという。詳細は伏せられているが、「一部シナリオでパフォーマンスがやや低下する可能性がある」程度のものとされ、「小さいが無視できない」と表現されている。 対処の選択肢は3つ。ソフトウェアとマイクロコードで修正する、金属層の調整で対処する、あるいは新しいステッピングを起こす。最後の選択肢が採用されれば、デスクトップ向けZen 6の投入時期は「2026年末→2027年Q1〜Q2」へとずれ込む可能性が高いとされている。 サーバー向けは

EXPO ULL、サブタイミング開放で何が変わるのか

メモリ

EXPO ULL、サブタイミング開放で何が変わるのか

AMDがComputex 2026で発表したEXPO ULL(Ultra Low Latency)は、BIOSでワンクリックするだけでメモリのレイテンシを下げられるという触れ込みだった。だが発表時点では「具体的に何が変わるのか」がほとんど語られていない。その中身をG.Skillが明かした。 サブタイミングという「見えない壁」が消える G.SkillがComputex 2026の自社ブースで明らかにしたのは、EXPO ULLの本質がプロファイル仕様の拡張にあるという点だ。 従来のEXPO(およびIntelのXMP)では、メモリメーカーがプロファイル上で変更できたのはプライマリタイミング4項目のみだった。CASレイテンシ(CL)、tRCD、tRP、tRASの4つ。それ以外のサブタイミング(セカンダリ・ターシャリタイミング)はプロファイルに含められず、BIOSのデフォルト値任せだった。 EXPOプロファイルで変更可能な項目 項目従来EXPOEXPO ULLプライマリタイミングCL○○tRCD○○tRP○○tRAS○○サブタイミング・電圧