RISC-V

glibc 2.44リリース。設定ファイル方式のチューナブルと数学関数の最適化

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glibc 2.44リリース。設定ファイル方式のチューナブルと数学関数の最適化

GNU Cライブラリ(glibc)の最新版2.44が公開された。チューナブル設定に新たな手段が加わり、数学関数の高速化や複数アーキテクチャへの最適化が進んでいる。 環境変数から設定ファイルへ 今回の注目は、/etc/tunables.confの導入にある。 glibcには「チューナブル」と呼ばれる仕組みがあり、mallocの動作やメモリ管理のパラメータを実行時に調整できる。従来はGLIBC_TUNABLES環境変数でプログラムの起動前に設定する必要があった。 新たに加わった/etc/tunables.confは、これを設定ファイルとして永続的に管理できるようにする。1行に1つのチューナブルを記述し、ldconfigを実行して適用する仕組みで、Red Hatが開発に貢献した。 この変更には背景がある。2023年10月、QualysがGLIBC_TUNABLES環境変数のパーサーにバッファオーバーフローの脆弱性を発見した。「Looney Tunables」(CVE-2023-4911)と名付けられたこの問題は、ローカルの攻撃者がroot権限を奪取できるもので、CVSSスコアは7

Linux 7.2-rc3公開、RISC-V新SoC対応とセキュリティ強化

Linux

Linux 7.2-rc3公開、RISC-V新SoC対応とセキュリティ強化

リーナス・トーバルズがLinux 7.2の3回目のリリース候補を公開した。開発は順調で、8月の安定版に向けて目立った問題は出ていない。RISC-V向け新SoCのデフォルト対応やドライバ脆弱性の修正など、多岐にわたるパッチが入った。 「怖いものは特にない」 トーバルズ氏(Linus Torvalds)は現地時間7月12日、Linux 7.2-rc3のリリースを発表した。添えられたコメントは短い。 Nothing looks particularly scary or strange.(怖いものも奇妙なものも特にない) コミット率はやや高めの状態が続いているが、夏休みに入る開発者が増え、多少バランスが取れているという。AIツールの普及でパッチ投稿量が増えた「new normal」(新しい常態)は7.0から続いており、7.2サイクルも変わらない。 変更の約半分はドライバ関連で、GPUとネットワーキングが中心。残りはファイルシステム、ドキュメント、コアカーネル、アーキテクチャ、ツール類と広く分散している。 UltraRISC RISC-Vがデフォルトカーネル構成に入る rc3

Red HatのArmエンジニア、80コアを捨て6コアに帰還する

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Red HatのArmエンジニア、80コアを捨て6コアに帰還する

Red HatでAArch64のサポートを担当するシニアソフトウェアエンジニア、マルチン・ユシュキェヴィチ(Marcin Juszkiewicz)氏が、約11か月にわたるAArch64デスクトップ実験の終了を宣言した。80コア・3.0GHzのAmpere Altra Q80-30と128GBメモリ、AMD Radeon RX 6700 XTを組み合わせた自作マシンで日常業務をこなし続けた連載全7回の、これが最終回になる。 毎週カーネルをビルドする生活 ユシュキェヴィチ氏が2025年6月に組み上げたマシンの構成は、サーバー向けマザーボードASRock Rack ALTRAD8UD-1L2Tを軸にしたものだ。Ampere Altraはデータセンター向けプロセッサであり、デスクトップ用途は本来想定されていない。動作確認済みデバイスのリストにAMD Radeon GPUは含まれていなかった。 The end of the AArch64 desktop experiment – Marcin JuszkiewiczAfter about eleven months of using a

Meta、退役サーバーのDDR4を独自チップで再生。サーバー25%削減

メモリ

Meta、退役サーバーのDDR4を独自チップで再生。サーバー25%削減

メモリが足りないなら、新しく買えばいい。それがデータセンターの常識だった。Metaはその前提を捨てた。退役したサーバーから引き抜いたDDR4メモリを、独自設計のCXLチップで新型サーバーに接続する。数百万台規模で、すでに稼働している。 40%のサーバーが「メモリ不足」 Metaが6月29日、コンピュータアーキテクチャの国際学会ISCA 2026で発表した論文は、同社のインフラが抱える現実から始まる。 数百万台のサーバーを運用するMetaで、約40%がメモリ容量の不足に制約されている。CPUやネットワークには余裕があるのに、メモリが先に尽きる。結果としてCPUリソースの25〜40%が遊んでいる状態になる。 サーバーの設計寿命は3〜5年。だがメモリモジュールの寿命は7〜10年ある。サーバーを退役させるたび、まだ十分に使えるDDR4メモリが一緒に廃棄されてきた。 新品のDDR5を買い増せば容量の問題は解決する。だが2026年現在、DRAMの供給は逼迫している。AI向けHBMの生産にメーカーの製造能力が集中し、汎用DRAMの供給は絞られている。DDR4のスポット価格はDDR5やHB

KVM ARM64新機能ゼロ。AIパッチの代償

Linux

KVM ARM64新機能ゼロ。AIパッチの代償

Linux 7.2のマージウィンドウに投入されたKVMの変更一覧には、奇妙な空白がある。Intel向けもAMD向けもs390もRISC-Vも新機能を載せているのに、ARM64だけが「新機能なし」で終わった。 2026年6月18日、KVMメンテナーのパオロ・ボンジーニ(Paolo Bonzini)氏がリーナス・トーバルズ氏へプルリクエストを送った。そこにはKVM/arm64メンテナーのマルク・ザンジエ(Marc Zyngier)氏のコメントが引用されている。今回は純粋に修正だけだと前置きし、AI生成の修正パッチが大量に流れ込んだせいで新機能のレビューに手が回らなかったと説明している。 修正に埋もれたマージウィンドウ KVMに限った話ではない。ARM64アーキテクチャ全体のメンテナーであるウィル・ディーコン(Will Deacon)氏は自身のプルリクエストの冒頭で、AIツールの台頭が機能開発のペースを落としたと認め、Sashiko(LLMベースのコードレビューシステム)による追加のレビューラウンドもあって、いくつかの機能が次のサイクルに先送りになったと書いている。 KVM ARM

Ubuntu 26.10が目指す「文脈を理解するデスクトップ」の全容

テクノロジー

Ubuntu 26.10が目指す「文脈を理解するデスクトップ」の全容

10月リリース予定のUbuntu 26.10"Stonking Stingray"のロードマップが公開された。GNOME 51やRISC-V対応といった堅実なアップデートに加え、Canonicalが本格的に踏み込んだのは「コンテキストアウェアデスクトップ」。デスクトップ自体がユーザーの意図を理解するという構想の第一歩が、ここから始まる。 28.04 LTSへの布石 4月にリリースされたUbuntu 26.04 LTS"Resolute Raccoon"の安定運用が始まったばかりだが、デスクトップエンジニアリングチームはすでに次を見ている。 Canonicalのデスクトップエンジニアリングディレクター、ジャン=バティスト・ラルマン(Jean-Baptiste Lallement)氏が6月5日に公開したロードマップは、Ubuntu 26.10単体の機能一覧ではない。2028年4月に予定される次期LTS、Ubuntu 28.04への設計方針を示す文書だ。掲げられた4つの柱は「GNOMEを基盤とする堅牢なプラットフォーム」「シンプルかつ柔軟な設計」「コンテキストアウェアなデスクトップ」

Zeus GPU、テープアウト完了でRTX 5090に挑む

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Zeus GPU、テープアウト完了でRTX 5090に挑む

GPUスタートアップのBolt Graphicsが、Zeus GPUテストチップのテープアウト完了を発表した。TSMCの12FFCプロセスで製造され、RTX 5090の半分の消費電力でパストレーシング5倍を主張する設計が、紙の上の約束から現実の試作品へ一歩進んだ。 紙の発表から実チップへ Bolt Graphicsは2026年4月22日、次世代GPU「Zeus」のテストチップのテープアウト完了を発表した。カリフォルニア州サニーベールに本社を置く同社は、2025年3月にZeusを初披露したが、そこから1年余りを経てようやく「実在するシリコン」への一歩を踏み出したことになる。 興味深いのは選ばれた製造プロセスだ。Zeusのテストチップは、TSMCの12FFCプロセスノードで製造された。RTX 5090が採用する4nmクラスと比べれば、世代としては2〜3段階遅れるプロセスだ。にもかかわらず、Bolt GraphicsはRTX 5090を上回る性能を主張している。 プレスリリースによると、Zeusアーキテクチャはスケーラブルな設計であり、より先進的な5nmノードへの展開も視野に入れて