著作権

GCC、LLM生成コードの受け入れを「約15行」で線引き

GCC

GCC、LLM生成コードの受け入れを「約15行」で線引き

GCC運営委員会がAIポリシーの勧告を正式に受け入れた。著作権上重要な規模のLLM生成コードは受け付けない。ただしテストケースは例外とし、2027年初頭に見直す。 3ヶ月の検討を経た結論 GCC(GNU Compiler Collection)の運営委員会が現地時間7月29日、AIポリシー作業部会の勧告を受け入れたと発表した。 4月に設立された作業部会は、Red Hatのジョナサン・ウェイクリー(Jonathan Wakely)氏がリーダーを務めた。メンバーはカルロス・オドネル(Carlos O'Donell)氏やスダクシナ・ダス(Sudakshina Das)氏ら7名。約3ヶ月の検討を経て勧告がまとまった。 採択されたポリシーの骨子を整理する。 GCCは当面、LLM生成コンテンツを含む、またはそこから派生した「著作権上重要な」貢献を拒否する。 ここでいう「著作権上重要」(legally significant)とは、GNUプロジェクトのメンテナーガイドラインに定められた基準で、おおむね15行のコードまたはテキストが閾値になる。 15行を超える貢献にはFSF(フリーソフ

ChatGPT、著者のスタイル模倣を拒否し始める。存命作家に限定

AI

ChatGPT、著者のスタイル模倣を拒否し始める。存命作家に限定

著者の「声」を真似る代わりに「似た雰囲気」を提案するようになった。著作権訴訟を抱えるOpenAIにとって、小さな文言の違いが法廷で大きな意味を持ちうる。 「あなたのスタイルでは書けません」 ChatGPTが、有名作家のスタイルを直接模倣する要求を拒否するようになった。 Ars Technicaが報じたテストでは、スティーヴン・キング風の書き出しを求めるプロンプトに対し、ChatGPTは「キングの正確なスタイルや独特の声は再現できない」と返答したという。心理描写を軸にしたホラーや田舎町の不安感といった特徴なら使えるが、特定の作家の「声」には踏み込まない。J・K・ローリング、エイミ・タンといった存命作家でも、チャールズ・ディケンズやヘミングウェイといった故人でも同じ反応が確認された。 ただし故人作家については、条件次第で応じるケースもある。7月に公開されたNo Latencyの比較調査では、ChatGPTは存命作家のスタイル模倣を拒否した一方、故人作家には応じている。 拒否する場合でも、代替案は出す。作風に通じる要素(緊張感、語りの速度、視点の置き方など)を取り入れた文章を「雰

Anthropic、著作権和解15億ドルに最終承認

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Anthropic、著作権和解15億ドルに最終承認

米国著作権訴訟で過去最大の和解が確定した。AI学習はフェアユースと認められたが、海賊版書籍の保存が違法と判断された結果の決着であり、金額だけでは語れない含みがある。 学習は合法、入手は違法 サンフランシスコ連邦地裁のアラセリ・マルティネス=オルギン判事は現地時間7月20日、Anthropicが作家グループに15億ドル(約2,400億円)を支払う和解を最終承認した。米国の著作権訴訟で確認されている和解額としては過去最大となる。 訴訟は2024年8月、スリラー作家のアンドレア・バーツ(Andrea Bartz)氏らが提起した。Anthropicがチャットボット「Claude」の学習データとして、海賊版サイトのLibrary Genesis(LibGen)やPirate Library Mirror(PiLiMi)から書籍を大量にダウンロードし、無断で使用したと主張する集団訴訟だ。 2025年6月、当時の担当判事ウィリアム・アルサップ(William Alsup)氏が分離判断を下した。著作権で保護された書籍をAI学習に使うこと自体は「本質的に変容的」であり、フェアユースに該当すると

豪州、AIデータセンターに「電力自給」を義務化へ

AI

豪州、AIデータセンターに「電力自給」を義務化へ

オーストラリアが、AIデータセンターに消費量と同等の発電を義務づける国家基準を策定する。水・著作権・送電網コストも対象とした包括的な法制化は世界初の試みになる。 「使った分は、自分で作れ」 オーストラリアのアンソニー・アルバニージー(Anthony Albanese)首相は現地時間7月15日、シドニー大学で演説し、「Australian Standards for AI」(オーストラリアAI基準)の策定を発表した。AIデータセンターの電力、水、送電網の接続費用、著作権保護を一つの国家フレームワークにまとめ、法的拘束力を持たせる。 柱は3つある。 第一に、大規模データセンターに対して、消費する電力と同量の新規発電を義務づける。再生可能エネルギーによる発電と調整力を自前で確保し、送電網から取り出す以上の電力を供給する「純発電者」になることを求める。送電網への接続費用も全額自己負担とし、家庭や企業の電気料金に転嫁させない。 第二に、水の使用効率を最大限に高め、追加の水インフラが必要であればその費用も事業者が負担する。オーストラリアは居住大陸のなかで最も乾燥した土地だ。 第三に、

Suno、YouTube等から200万曲超を収集(ハッキングで判明)

AI

Suno、YouTube等から200万曲超を収集(ハッキングで判明)

AI音楽生成サービスSunoのソースコードが外部に流出し、訓練データの取得先と規模が明らかになった。 流出コードに記録されていた取得先 AI音楽生成サービスSunoが2025年11月にハッキングされ、ソースコードと顧客情報が流出した。攻撃者から内部資料の提供を受けた404 Mediaが報じ、Sunoがどこから、どれだけの音声データを集めていたかが具体的に判明した。 流出したソースコードは2023年から2024年にかけて作成されたもので、スクレイピング(自動収集)の処理と対象が記されていた。コード内のコメントには、取得先としてyoutube_music、deezer、genius_hq、freesound、jamendo、pond5_musicなどが列挙されている。 ファイルに記録されていた規模は膨大だ。YouTube Musicからの取得は201万3545クリップ、11万3879時間。Pond5(Shutterstock傘下のストック音楽ライブラリ)から6万2117時間、IMSLP(国際楽譜ライブラリー)から1万9514時間、Geniusから1万7615時間。 Deezer

Googleが「サイトブロッキングは有害」とEUに提出、米国でも法制化迫る

著作権

Googleが「サイトブロッキングは有害」とEUに提出、米国でも法制化迫る

海賊版対策として各国に広がるサイトブロッキング。その矛先がDNSリゾルバやVPNに向き始めた今、GoogleがEUで公に反対意見を提出した。同じ週、米議会ではブロッキング法案の立法化が動き出している。 Googleの意見書が公開された経緯 Googleが欧州委員会の著作権指令レビューに意見書を提出した。書類には「Privileged and Confidential」(秘匿扱い)と記載されていたが、欧州委員会のウェブサイトに他の提出物とともに公開されている。 Googleが海賊版サイトのブロッキングについて公の場で意見を述べるのは珍しい。だが、フランス、ベルギー、イタリア、ポルトガルでは既にGoogle Public DNS(8.8.8.8)経由で海賊版ドメインへのアクセスを遮断するよう裁判所に命じられており、自社インフラが直接の標的になった以上、沈黙を続ける段階ではなくなった。 意見書でGoogleが反対するのは、DNSリゾルバ、VPN、共有IPアドレスを対象にしたブロッキングだ。コンテンツそのものを削除しない、別のDNSリゾルバに切り替えれば回避できる、正規のサービスを巻

英国控訴院、Microsoft控訴を全面棄却。中古ライセンス再販は合法

Microsoft

英国控訴院、Microsoft控訴を全面棄却。中古ライセンス再販は合法

英国で5年にわたって争われてきたソフトウェアライセンスの再販をめぐる訴訟が、大きな転換点を迎えた。 クリップアートで著作権は守れない 英国控訴院は現地時間2026年7月7日、Microsoftが提起した2件の控訴をいずれも棄却する判決を下した。中古のMicrosoftソフトウェアライセンスを企業に再販してきた英国企業ValueLicensingの事業は、合法であると改めて認められた。 争点は2つあった。1つは著作権。Microsoftは2025年になって訴訟の方針を転換し、Officeに含まれるアイコンやヘルプファイルが「創作物」に該当すると主張した。創作物であればEUの情報社会指令が適用され、中古ソフトウェアの再販を認めた2012年のユーズドソフト(UsedSoft)判決の射程から外れる、という論理だった。 控訴院はこの主張を退けた。Officeの実質はコンピュータプログラムであり、アイコンやフォントは「付随的」な要素にすぎない。ソフトウェア指令が適用され、著作権は最初の販売時点で消尽する。Microsoftの論法が通った場合に何が起きるか、判決は一文で指摘している。 ユ

「UNIXは誰のものか」23年目の法廷。Xinuos対IBMが控訴審へ

UNIX

「UNIXは誰のものか」23年目の法廷。Xinuos対IBMが控訴審へ

UNIXの所有権をめぐる訴訟は2003年に始まり、当事者が破産し、資産が売却され、和解が成立しても終わらなかった。SCOの法的後継者Xinuos(ジヌオーエス)が控訴審の法廷に立った。 1998年の共同開発が、四半世紀の訴訟を生んだ 2026年6月22日、米連邦第2巡回区控訴裁判所で3人の判事を前に、約32分間の口頭弁論が行われた。事件番号25-1073。原告はXinuos、被告はIBM。争われているのは、1998年に始まった共同開発プロジェクトのコードを誰が使う権利を持つか、という問いだ。 この訴訟の根は深い。1998年10月、IBMとサンタクルーズ・オペレーション(SCO)はIntel、セクエントとともにプロジェクト・モンテレーを発足させた。当時Intelが開発していた64ビットアーキテクチャIA-64向けに、複数のUNIXを統合して単一のOSを作る計画だった。IBMはAIXからPOWER/PowerPC対応の技術を、SCOはUnixWareからIA-32対応の技術を、セクエントはDYNIX/ptxからマルチプロセッサ対応の技術を持ち寄った。 2001年までにプロジェクト

1200万曲のAI学習リストに自国の音楽。オーストラリアの闘い

AI著作権

1200万曲のAI学習リストに自国の音楽。オーストラリアの闘い

カイリー・ミノーグだけで182曲。業界連合が連邦議会で記者会見を開き、AI企業による無断利用を「業界史上最大の知的財産の窃盗」と断じた。 「許可なし、ライセンスなし、対価なし」 6月にThe Atlanticが公開したデータベース検索ツールは、AIの学習に使われた4つの大規模楽曲データセットの中身を可視化した。ミッドナイト・オイル、シーア、クラウデッド・ハウス、ロードらオーストラリア・ニュージーランドのアーティストが多数含まれていた。カイリー・ミノーグだけで182曲がリストに載っている。 これを受けて動いたのがAPRA AMCOS(オーストラレーシア演奏権・複製権管理団体)だ。ディーン・オームストン(Dean Ormston)CEOは「テックプラットフォームが許可も対価もなく楽曲をAI学習に使っている事実に、私たちも皆さんと同様に憤っている」と声明を出した。 7月1日の議会前には、ウィリアム・バートン(William Barton)氏、ポール・デンプシー(Paul Dempsey)氏、マハリア・バーンズ(Mahalia Barnes)氏ら音楽家に加え、