Windows 11、初期設定でのアップデートを任意化、強制30分が終了

新しいWindows 11 PCの電源を最初に入れた瞬間、多くのユーザーが向き合ってきたのは「更新プログラムを確認しています」の進捗バーだった。その強制待機が、ついに任意になる。

Windows 11、初期設定でのアップデートを任意化、強制30分が終了

新しいWindows 11 PCの電源を最初に入れた瞬間、多くのユーザーが向き合ってきたのは「更新プログラムを確認しています」の進捗バーだった。その強制待機が、ついに任意になる。


「後で更新する」ボタンが全ユーザーに解放された

Microsoftは、Windows 11の初期セットアップ(OOBE)画面で、更新プログラムのダウンロード工程をユーザーの判断で省略できる機能を全世界に展開した。進捗バーの下に「Update later(後で更新)」というボタンが新しく追加されており、これを選べばセットアップはそのまま先へ進む。

この変更を発表したのは、Windows UpdateチームのエンジニアであるAria Carley氏だ。4月13日のX投稿で、「新しいWindows 11デバイスは、セットアップ中に即座にアップデートをスキップする選択肢を持つようになった」と述べた。デスクトップに早く到達したい人と、最初から最新状態で使いたい人、その両方に道を開く設計だという。

これまでのWindows 11は、ネットワークに接続した瞬間から、累積更新プログラムの取得と適用を事実上強制してきた。新品のPCを箱から出して電源を入れ、いざ使おうとしたら画面が「更新中」で固まって動かない。そんな経験をした人は少なくないはずだ。

30分の待機が「選べる時間」になる

これまでの仕様では、初回セットアップの大半の時間を、このアップデート工程が占めていた。それが今回、ユーザーの判断で丸ごと省略できるようになった。

Windows Centralの報道によれば、従来のOOBEアップデートは、回線速度とハードウェア性能次第で30分から1時間近く続くこともあったという。新品PCを開封してから最初のデスクトップに辿り着くまで、ほとんどの時間を進捗バーに費やしていた計算になる。

「アップデートをスキップした場合、最新の機能やセキュリティ修正は、デスクトップに到達してから自分のタイミングで適用することになる」──Aria Carley

つまり、これは「アップデートを受け取らない」選択肢ではない。後回しにするだけだ。デスクトップに着いたあと、通常のWindows Update画面から改めて適用すればいい。急いでいるときはスキップ、時間があるときは従来通り、という使い分けができる。

セキュリティの観点から見れば、賛否の分かれる変更だ。出荷時のOSには、未修正の脆弱性が残っていることが多い。ネットにつなぎながらその穴を抱えたままデスクトップに進むのは、厳密に言えばリスクを伴う。ただ、実際に最新パッチが当たるのはデスクトップ到達後の数分後か、数時間後か、数日後かという話であり、「一度も当てない」ことを許可したわけではない。急ぐ人の判断に委ねたというだけのことだ。

管理されていないPCが対象、企業環境は別扱い

この機能が有効になるのは、主に個人向けの非管理デバイスに限られる。Autopilot経由で配備される企業端末や、IT管理者の制御下にあるマシンでは、管理者側のポリシーがセットアップ中の更新可否を決める。つまり、家庭用の新品PCを開封したときに見える景色は変わるが、会社から支給されるラップトップの挙動は管理者次第ということだ。

Carley氏はリプライの中で、「Autopilotを使う管理者は、ユーザーがセットアップ中にセキュリティ更新を受け取るかどうかを制御できる」と補足している。個人の自由と組織の統制を、同じ画面の上で両立させる設計になっている。

OOBEとはOut-of-Box Experienceの略で、PCを初めて起動したときに表示される一連のセットアップ画面のこと。言語選択、ネット接続、アカウント設定、プライバシー設定などが順番に進む流れを指す。

この機能自体は、実は数ヶ月前から一部のユーザーに対して段階的にテストされていた。Thurrott.comのフォーラムでは、3週間ほど前に「24H2の新規インストールで『Update later』ボタンが最初から表示された」という報告が上がっていた。今回のアナウンスは、その限定展開が正式に「全員デフォルト」へ昇格したことを意味する。

「静かなセットアップ」への長い道のり

Windows 11OOBEは、ここ数年のMicrosoftに対するユーザー不満の震源地のひとつだった。アカウントの強制サインイン、広告まがいの推奨画面、そして終わらないアップデート。新しいPCを買った高揚感を、起動から数十分かけて削り取っていく体験だと、多くのレビュアーが指摘してきた。

要するに、セットアップ中の強制アップデートが完全になくなったわけではない。「デフォルトで走るもの」から「選んだ人だけが走らせるもの」に、立場を入れ替えただけだ。使い始めの体験設計としては、これが正解だったはずだ。

今回の変更は、その巨大な不満の山のうち、最も視認性の高い部分に手を入れたものだ。根本的な構造──Microsoftアカウントの事実上の強制プライバシー選択肢の複雑さ──はまだ残っている。Windows Centralは「これは大きな取り組みの一部であり、Windows 11の不満点を減らすための品質改善の流れにある」と位置づけている。

つまり今回のボタン1個は、終着点ではなく通過点だ。ただ、通過点としてはかなり大きい。毎年数千万台のWindows PCが新規出荷されることを考えると、「最初の30分」を取り戻せた時間の総量は、世界全体で見れば膨大な規模になる。

半年後、新しいノートPCを開封した人が何の迷いもなく「Update later」を押し、5分後にはブラウザを立ち上げている。その光景がWindowsの日常になったとき、このボタン1個が案外大きかったことに、ようやく気づくのかもしれない。


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