Xbox新CEOが認めた「Game Passは高すぎる」内部メモ流出
昨年秋の大幅値上げからわずか半年。Xboxの新CEOが社内向けメモで「Game Passは高くなりすぎた」と率直に認め、価格モデルの見直しに動き出している。
昨年秋の大幅値上げからわずか半年。Xboxの新CEOが社内向けメモで「Game Passは高くなりすぎた」と率直に認め、価格モデルの見直しに動き出している。
新CEOが内部メモで放った一言
Microsoftの新しいXbox責任者アシャ・シャルマが、社内に向けて興味深いメモを送っている。The Vergeが入手したその文書で、シャルマは「Game Passはプレイヤーにとって高くなりすぎた」と明言し、「より良い価値の方程式が必要だ」と述べた。新CEOに就いて早々、自社サービスの価格そのものに疑問符を打ったわけだ。
言い訳めいた文言ではない。シャルマは現行モデルそのものを「最終形ではない」と位置づけ、短期・長期の二段構えで見直すと書いている。
Game PassはXboxにおけるゲーム価値の中心だ。だが、今のモデルが完成形でないのも明らかだ。短期的にはGame Passはプレイヤーにとって高くなりすぎており、より良い価値の方程式が必要だ。長期的には、Game Passをもっと柔軟な仕組みへと進化させていく。ただしそこには、試行と学習のための時間がかかる。
社内メモが外部に出ること自体は珍しくない。珍しいのは、値上げを主導した会社の新トップが半年後に「高すぎる」と言い切ったことだ。
半年前の値上げが何を起こしたか
話の背景には、2025年10月の大幅な価格改定がある。最上位のXbox Game Pass Ultimateは月額1,450円から2,750円へ跳ね上がり、上げ幅は1,300円。約1.9倍という値上げは、サブスク慣れしたユーザーの神経にも十分響く数字だった。米国では月額19.99ドルから29.99ドルへ、ちょうど5割増しの改定だ。
PC Game Passも影響を受けた。990円から1,550円への変更は、PC専用プランの相対的な安さを売りにしてきた層の信頼を揺さぶった。同時期に旧CoreはEssentialへ、StandardはPremiumへと名称変更され、Ubisoft+ ClassicsやフォートナイトクルーといったコンテンツがUltimateに追加されている。
価値は確かに増えた。ただ、価値を増やせば値上げが歓迎されるという発想自体が、2025年のゲーマーには通用しなかったのかもしれない。
価格改定の内訳(日本・2025年10月〜) Ultimate:1,450円 → 2,750円 Premium(旧Standard):1,100円 → 1,300円 PC Game Pass:990円 → 1,550円 Essential(旧Core):842円 → 850円
「Call of Duty税」という言い回し
値上げの説明として、業界内では半ば公然と「Call of Duty税」という表現が使われてきた。2023年のActivision Blizzard買収後、新作Call of DutyがDay Oneで追加されるようになり、その原資が月額料金に乗っている、という見立てだ。
Windows Centralによれば、同誌のJez CordenはCall of DutyがGame Passから外れる可能性に言及している。もし本当に外れれば、値下げの余地は確かに生まれる。だがそれは、約690億ドル、現在のレートで日本円にして10兆円を優に超える巨額買収の意義を自ら値引きする行為でもある。
シャルマは内部メモで、次週にもGame Passの今後についてチームと「さらに踏み込んで」話し合うと記しているという。社内での議論が本格化するのは、まさにこれからだ。
「短期」と「長期」の温度差
注目すべきは、シャルマのメモが短期と長期で異なる温度感を持っていることだ。短期の話は「高すぎる」「値段をどうにかする」という、現実的で防御的な文言に近い。一方、長期の「柔軟な仕組みへ進化させる」という表現は、単なる値下げ以上のものを示唆している。
先行報道では、シャルマが「低価格帯の新ティア」の追加を検討しているとも伝えられている。既存プランを値下げするのではなく、安いプランを新設して裾野を広げるアプローチだ。こちらのほうが、既存のARPU(ユーザーあたり平均収益)を守りつつ新規層を取り込めるという点で、企業側には好都合だろう。
ただ、それがユーザー側の不満を解消するかは別の話だ。「自分の入っているプランが高い」と感じている人に、もっと安いプランの存在を見せても、必ずしも満足には繋がらない。
誰が得をし、誰が損をするのか
この動きを受けて、立場ごとに反応は分かれる。既存のUltimate加入者にとっては、値下げの可能性は歓迎すべきニュースだ。だが半年間、値上がりした料金を払い続けてきた事実は戻ってこない。
開発者側にとっても話は単純ではない。Day One配信の報酬体系はサブスクの月額料金を前提に組まれている。価格が下がれば、Game Pass経由で支払われる配分額も影響を受けかねない。特に中規模以下のスタジオにとって、Game Passは既にパブリッシング戦略の中核に組み込まれている。
そしてMicrosoft自身にとっての問題は、価格を上げても下げても、一度失った信頼は簡単には戻らないことだ。値上げを急ぎすぎた反動で値下げするのか、それとも最初から戦略の一部として値下げ余地を織り込んでいたのか──この説明のトーンが、今後の受け止めを左右する。
要するに、問われているのは価格の上下そのものではなく、Microsoftが自社サブスクの立ち位置をどう説明するかだ。値下げは救済にも見えるし、言い訳にも映る。
値上げから値下げへ、半年の意味
たった半年で舵を切り直すのは、経営判断としては俊敏と言える。だが見方を変えれば、半年前の値上げが市場調査ではなく見切り発車だったと告白しているようにも映る。Phil Spencer前CEOの路線を引き継いだ直後の新CEOが、最初の大きな仕事として「前任期の値上げを直す」ことになるとしたら、それはそれで象徴的な世代交代だ。
シャルマの言葉を額面通りに受け取るなら、値下げか新ティアかの形で、近いうちに何らかの動きが出てくるはずだ。ただ、試行と学習には時間がかかるとも彼女自身が書いている。忍耐を求められるのは、結局のところ、今月も2,750円を払っているユーザーの側なのかもしれない。
サブスクは信頼のゲームだ。一度値上げした料金を下げるのは、値上げよりもはるかに難しい。新CEOが最初に挑むのが、その難しい方の仕事だとしたら──少なくとも、問題の所在を認めた点だけは評価していいのだと思う。
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