ボーイング737-7 MAX、発表から15年でFAA型式証明を取得

346人が命を失った事故を経て、ボーイング737 MAXファミリーの小型機がようやく飛べるようになった。残る未認証は大型の737-10だけだ。日本では今年、同じファミリーの737-8が初めて就航する。

ボーイング737-7 MAX、発表から15年でFAA型式証明を取得

346人が命を失った事故を経て、ボーイング737 MAXファミリーの小型機がようやく飛べるようになった。残る未認証は大型の737-10だけだ。日本では今年、同じファミリーの737-8が初めて就航する。


10年近くかかった認証

FAA(米連邦航空局)は現地時間8月3日、Boeing(ボーイング) 737-7 MAXに型式証明を付与した

この機体の認証審査には10年近くがかかった。FAAは声明で、飛行制御、システム安全性評価、ヒューマンファクター(人的要因)、乗員警報など「新規で複雑、または安全上重要な領域」を自ら実施または直接審査したと説明している。

737-7のテストプログラムは2018年に始まり、1,000時間を超える飛行試験と地上試験を経て完了した。Boeingの民間航空機部門社長兼CEOステファニー・ポープ氏は、チームが「パンデミック、新しい認証プロセスへの移行」を乗り越えたと述べている

事故が止めた時計

認証が15年もかかった直接の理由は、737-8 MAXの2件の墜落事故だ。

2018年10月のライオン・エア610便、2019年3月のエチオピア航空302便。合わせて346人が亡くなった。原因はMCAS(操縦特性向上システム)と呼ばれるソフトウェアの設計上の欠陥だった。単一のセンサー故障から機首を繰り返し押し下げ、パイロットの操作を上書きした。

事故を受けて世界中の規制当局が737 MAXの運航を停止し、Boeingの開発リソースは737-8の修正に集中した。2018年に初号機を製造し、翌年の就航を予定していた737-7は、そのまま放置された。当時の発注元はサウスウエスト航空だけだった。

FAAは認証にあたり、事故を受けて制定された航空機認証・安全・責任法(Aircraft Certification, Safety, and Accountability Act)とNTSB勧告に対応する改修を要求した。飛行制御ソフトウェアの更新、乗員警報システムの刷新、そして737-7固有の問題であるエンジン防氷システムの再設計だ。

防氷システムの不具合は飛行試験中に発見された。エンジンインレット周辺に過剰な熱が蓄積し、構造を弱める可能性があった。

居場所を探す飛行機

737-7は、737 MAXファミリーの中で独特な立ち位置にある。

2クラス構成で135〜160席、最大で172席。航続距離はファミリー最長の3,800海里(約7,040 km)で、兄弟機より約10%長い。

最も小さいのに最も遠くまで飛べるという特性は、需要の薄い中距離路線や新規路線の開拓に向いている。Boeingにとっては、エアバスとエンブラエルが支配する150席以下の地域間路線市場への唯一の足がかりでもある。

ただ、市場の反応は冷淡だ。未納入の確定受注は282機にとどまる。大半はサウスウエスト航空が保有する。同社は老朽化した737-700の後継機として長らく737-7を待っていた。アレジアント・エアが2022年に発注を加えたが、それ以外の需要は限られている。本来のライバルであるエアバスA319neoも販売が振るわない。事実上、競合のいない市場への参入になる。

完成済みで保管されている機体が約30機ある。これらを最終認証構成に改修した上で、2027年に初号機がサウスウエスト航空に納入される予定だ。

日本の空にも737 MAX

737 MAXは今年、日本の空にも飛び始めている。

スカイマークは今年5月4日、737-8(737 MAX 8)を日本の航空会社として初めて受領した。国土交通省の型式証明は3月25日に交付されている。ANAは737-8を最大42機発注し今年10月以降の初受領を予定、JALも38機を発注している。3社の発注は合わせて100機に上る。

スカイマークはさらに737-10(737 MAX 10)を7機発注しており、2027年度からの納入を計画している。しかし737-10はまだFAAの型式証明を取得していない。Boeingは2026年7月に最終認証飛行を完了したと発表しているが、FAAの判断は出ていない。737-7の認証に10年かかった事実を見れば、スカイマークの737-10が予定通りに届く保証はどこにもない。

Boeing 737 MAXファミリー比較
737-7737-8737-9737-10
基本性能
座席数135〜160160〜180175〜195185〜210
航続距離3,800海里3,500海里3,300海里3,100海里
認証・導入
FAA認証2026年8月2017年3月2018年2月未取得
初納入2027年予定2017年2021年未定
日本の発注なし3社100機なしスカイ
マーク
7機
※座席数は2クラス構成。航続距離はBoeing公式値。737-9の初納入は運航停止解除後の2021年。日本の発注100機はスカイマーク・ANA・JALの3社合計(737-8と737-10を含む)

残された課題

737-7は通過点であり、Boeingの再建はまだ続く。

2024年1月、アラスカ航空の737-9で飛行中にドアプラグが脱落する事故が起きた。FAAはBoeingの生産を月38機に制限し、製造品質の改善を求めた。

その後、2025年10月に月42機、2026年3月に月47機へと段階的に制限を緩和。7月には737 MAXと787の耐空証明発行権限をBoeingに返還している。737 MAXファミリー全体の受注は7,200機を超え、そのうち2,300機以上が2026年6月末までに納入された。

残る最大の難関は777Xだ。Boeingの次世代大型旅客機は2020年の納入を予定していたが、設計上の問題が重なり、現在の目標は2027年にずれ込んでいる。さらに深刻なのは、FAA未承認の設計で製造された20機超のテスト機の存在だ。大幅な改修が必要で、航空会社は購入を敬遠している。

346人の命と引き換えに厳格化された認証プロセスは、時間はかかっても機能した。Boeingが失った信頼を取り戻すのに、それで十分かどうかは別の話だが。

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