GEEKOM、公式ドライバーにバックドア型マルウェア。対象6機種と対処法

メーカー公式サイトからダウンロードできるLANドライバーにAsruexトロイの木馬が混入していた。GEEKOM側は「古いページの残骸」と説明し謝罪したが、報道の削除も要求している。

GEEKOM、公式ドライバーにバックドア型マルウェア。対象6機種と対処法

メーカー公式サイトからダウンロードできるLANドライバーにAsruexトロイの木馬が混入していた。GEEKOM側は「古いページの残骸」と説明し謝罪したが、報道の削除も要求している。


公式ドライバーの中に潜んでいたもの

GEEKOMのAMD搭載ミニPC向けにメーカー公式サイトで配布されていたLANドライバーのパッケージに、バックドア型マルウェアが混入していたことが判明した。

対象機種はA7、A8、AE7、AE8、AX7 Pro、AX8 Proの6モデル。問題のファイルはLANドライバーフォルダー内にあるInstall_PCIE_Win11_11.10.0720.2022_11222022.exeで、これをインストーラーとして実行すると、管理者権限でシステムに侵入する。

最初に警告を発したのは、海外掲示板RedditのミニPC板に投稿されたユーザーの報告だった。Windows Defenderがドライバーインストール直後にTrojan:Win32/Asruex.Aとして隔離したという。

GEEKOM Malware Warning
by u/DanDoesGameYT in MiniPCs

現地時間8月15日、海外メディアのVideoCardzがGEEKOMのサイトから直接アーカイブをダウンロードし、問題のファイルの存在を独自に確認した

検出はWindows Defenderだけにとどまらない。VirusTotal、FileScan.IO、MetaDefenderの3つのマルウェア解析プラットフォームでも検出された。さらにYARAifyはClamAVの署名でMalware.AgentbおよびWin.Trojan.Asruexとして識別している。

Asruexの危険性

混入していたのはAsruex(アスルエックス)と呼ばれるバックドア型のトロイの木馬だ。2015年頃から活動が確認されており、サイバースパイ活動で知られるDarkHotel(ダークホテル)グループとの関連が指摘されている。

ドライバーのインストーラーとして実行されるため、管理者権限が与えられる。これにより、保存されたデータの窃取、キーストロークの傍受、パスワードの奪取が可能になる。さらにC&C(指令・制御)サーバーとの通信を確立し、攻撃者がいつでもリモートからPCにアクセスできる状態を作り出す。

Redditスレッドでは、あるユーザーがこのファイルについてAsruexの既知のC&Cサーバーへの接続を確認したと報告している。

今回突然発生した問題でもない。VideoCardzの報道によると、このファイルのハッシュ値に関する報告は2024年12月まで遡る。マルウェアを含むドライバーは少なくとも1年半以上、GEEKOM公式サイト上で公開されていた可能性がある。

GEEKOMの対応と、報道削除の要求

現地時間8月17日、GEEKOMは公式声明を発表し、問題を認めて謝罪した。

声明の要旨はこうだ。問題のファイルは、すでにリニューアル済みの古いサポートページに残っていたもので、通常のサイトナビゲーションからはアクセスできなくなっていた。ただし検索エンジンにはインデックスが残っており、検索経由でたどり着けた。現行のサポートページには異常はなく、ミニPCにプリインストールされたWindowsにも影響はないとしている。

ここに問題がある。ドライバーを探すとき、メーカーサイトのメニューをたどる人は少数派だろう。Google検索で型番とドライバー名を入力するのが普通だ。「ナビゲーションからは外してあった」は、ユーザーの行動を考慮した説明とは言いがたい。

もう一つ。GEEKOMはVideoCardzに対して元記事の削除を要求している。自らマルウェアの存在を認めておきながら、その報道を消すよう求めた。VideoCardzはこの要求を拒否している。

GEEKOMドライバーマルウェア混入の経緯
2024年12月
ハッシュ値の報告が初確認
問題のファイルと一致するハッシュ値がこの時点で調査対象になっていた
8月13日
ユーザーがRedditに警告を投稿
Windows Defenderがドライバーインストール直後にAsruexとして隔離
8月15日
海外メディアが独自に検証・報道
GEEKOMのサイトから直接ダウンロードしてマルウェアの存在を確認
8月17日
GEEKOMが公式声明を発表
「古いページの残骸」と説明して謝罪。出荷時システムへの影響は否定
8月17日
報道記事の削除を要求
メディアは拒否。混入経路は未説明のまま
※8月の日付は2026年・現地時間

なお、GEEKOMはマルウェアがどのようにして自社サーバー上のドライバーパッケージに混入したかについては説明していない。

該当する人がやるべきこと

GEEKOMの対象6機種(A7、A8、AE7、AE8、AX7 Pro、AX8 Pro)を使っていて、GEEKOM公式サイトからLANドライバーをダウンロード・実行した覚えがある場合、以下の対処が必要だ。

まず、問題のインストーラーファイルが残っていれば削除する。次にWindows Defenderのフルスキャン、あるいはオフラインスキャンを実行する。ネットワークドライバーはWindows UpdateかRealtek公式サイトから再取得する。

ただし、ドライバーインストーラーは管理者権限で動作する。すでに実行してしまった場合、最も安全なのはMicrosoftの公式イメージを使ったWindowsのクリーンインストールだ。GEEKOM自身もこの方法を推奨している。

一方、このドライバーを一度もダウンロードしていない場合、GEEKOMのミニPCを持っているだけで危険にさらされるわけではない。問題はプリインストールのWindowsではなく、公式サイトから別途ダウンロードするドライバーパッケージに限定されている。

ミニPCメーカーとマルウェアの前例

格安ミニPC市場でのマルウェア問題は、これが初めてではない。

2024年初頭、中国メーカーのAceMagicが出荷したミニPC(AD08、AK1、S1等)で、Windowsのインストールイメージと回復パーティションにBladabindiとRedlineという2種類のマルウェアがプリインストールされていた問題が発覚している。こちらは工場出荷段階で、つまり箱から出して電源を入れた瞬間から感染していた。

GEEKOMのケースは性質が異なる。工場出荷時のシステムではなく、公式サイトからダウンロードするドライバーパッケージが汚染されていた。メーカーのサーバー管理の杜撰さを示す事例であり、意図的な配布とは考えにくい。ただ、1年半以上も放置されていた可能性がある以上、管理体制への疑念は残る。

ミニPCを購入したら、同梱のインストール環境は使わず、Microsoftの公式メディアからWindowsをクリーンインストールする。ドライバーはWindows UpdateかAMD・Intel・Realtek等の部品メーカーから直接取得する。OEMのドライバーパッケージに頼らないのが、こうした事例が繰り返される市場での自衛策になる。

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