Google、複数店舗をまたぐ「Universal Cart」を発表 AIが価格もポイントも管理する

どの店で買い物をしても、カートはひとつ。Google I/O 2026で発表されたUniversal Cartは、その発想を現実にしようとしている。

Google、複数店舗をまたぐ「Universal Cart」を発表 AIが価格もポイントも管理する

どの店で買い物をしても、カートはひとつ。Google I/O 2026で発表されたUniversal Cartは、その発想を現実にしようとしている。


カートが「入口」から「完結の場所」になる

Googleがつくろうとしているのは、単なる便利な買い物リストではない。

2026年5月20日、Google I/O 2026で、GoogleはUniversal Cartを発表した。Google検索・Gemini・YouTube・Gmailを使っているときに見つけた商品を、どのサービスからでも同じカートに追加できる機能だ。米国では本日から展開が始まり、今夏にはGeminiアプリ、その後YouTubeとGmailにも順次対応する予定だ。

Universal Cart 展開ロードマップ
フェーズ 1 2026年5月〜
米国で展開開始 Google検索でUniversal Cartが利用可能に。
商品の追加・価格追跡・在庫通知・互換性
チェックが使える。
Google 検索 🇺🇸 米国
フェーズ 2 2026年夏
Gemini アプリへ拡大 Geminiとの会話中にそのまま商品をカート
に追加できるようになる。
Gemini アプリ 🇺🇸 米国
フェーズ 3 2026年内予定
YouTube・Gmail へ対応 動画視聴中やメール確認中にも商品をカート
に追加できるようになる予定。
YouTube Gmail 🇺🇸 米国
フェーズ 4 2026年内予定
カナダ・オーストラリアへ展開 UCP決済機能が北米・オセアニアに拡大。
ホテル予約・フードデリバリーにも対応
分野を広げる予定。
🇨🇦 カナダ 🇦🇺 豪州
フェーズ 5 時期未定
英国・さらなる拡大 UCP展開が英国に到達。AP2(AI代理購入)の
Google製品への統合も進む予定。
🇬🇧 英国 AP2 統合
※ Google I/O 2026(2026年5月20日)発表内容に基づく。フェーズ3以降は「予定」であり、時期・内容は変更される場合がある。

従来のオンラインショッピングでは、複数のサービスで商品を見つけても、それぞれの店に個別のカートがあった。気に入った商品を別のタブで開いておくか、自分でメモするしかなかった。Universal Cartはその状態を変える。

カートに商品を入れた瞬間から、AIが背後で動き始める。値下がりを検知して通知したり、価格の推移を示したり、在庫が復活したときに連絡したりする。Google ウォレットと連携しているため、使っているクレジットカードの特典やポイント情報も参照しながら、割引やポイント獲得の機会を自動で提示する。

購入の準備が整ったら、UCP(Universal Commerce Protocol)により、カートからスムーズに決済できる。お気に入りのブランドで、わずか数タップでGoogle Payを使って決済することも、加盟店のサイトで購入手続きを終えることも可能だ。どの購入方法を選んでも、ブランド側が販売元であることに変わりはない。

— Google公式ブログ(日本語)

Nike、Sephora、Target、Walmart、Wayfairをはじめ、FentyやSteve Maddenを含むShopify加盟店でも順次利用できるようになる。

PC自作もAIが助けてくれる

Universal CartがAIを活用するもうひとつの場面として、Googleが挙げているのがパーツの互換性チェックだ。

初めて自作PCを組み立てようとしているユーザーが、複数のショップからCPUやマザーボードをカートに入れたとする。Universal Cartはそのパーツ同士の組み合わせを自動で検証し、問題があれば代替品を提案する。バラバラの店で選んだパーツが「実は動かない組み合わせだった」という失敗を、購入前に防げるかもしれない。

パーツ選びに不慣れな層にとっては、かなり心強い機能になる可能性がある。

「共通言語」としてのUCP——業界を横断する基盤

Universal Cartの裏側を支えているのが、Universal Commerce Protocol(UCP)だ。

UCPは2026年1月にGoogleが小売業界のパートナーと共同開発したオープン標準規格だ。AIエージェントと加盟店のシステムが共通の言語でやり取りできるようにするための仕様で、Shopify、Target、Walmart、Etsy、Wayfairが開発に参加し、Visa、Mastercard、Stripeなど20社以上が支持を表明している。

UCP・AP2 機能インパクト

機能 消費者 加盟店 決済事業者
Checkout
決済の実行
Cart
横断カート管理
Identity Linking
ポイント・特典連携
Order Management
注文・追跡管理
Product Catalog
リアルタイム商品情報
AP2
AI代理購入

※ ◎ 全当事者に直接・高インパクト ● 高い価値 ○ 中程度の価値 △ 限定的 ― ほぼ影響なし。Google I/O 2026発表内容をもとに各機能の受益度を整理。

当初は米国のみだったUCPによる決済機能は、今後数ヶ月以内にカナダとオーストラリアへ、その後英国へと展開される予定だ。対応分野もホテル予約や地域のフードデリバリーへと広がる。

Googleが目指しているのは、UCPをECの基盤インフラとして業界標準に育てることだ。インターネット上の情報交換を支えるHTTPのように、AIが介在するすべての購買取引の土台になることを狙っている。

AI エージェントが決済まで完了させる「AP2」

Google I/O 2026でもうひとつ発表されたのが、Agent Payments Protocol(AP2)だ。

AP2は、AIエージェントがユーザーに代わって安全に支払いを実行するための仕組みだ。「このブランドの、この製品を、この予算内で買う」という条件をあらかじめ設定しておくと、条件が揃ったときにエージェントが購入を自動で完了させる。

技術的には、ユーザー・加盟店・決済処理業者の間に暗号化された検証可能なリンクを構築し、エージェントが常にユーザーの代理として行動していることを保証する。改ざんを防ぐデジタルの記録が残るため、返品時の確認作業も双方が同じ情報を参照できる。

今後数ヶ月のうちに、まずGemini Sparkをはじめとする Google製品への統合が進む見通しだ。

ユーザーとしては便利。業界への影響は大きい

Universal Cartは、オンライン購買の習慣に沿って設計されている。

ほとんどの人は複数のデバイスを使い、複数のショップを回り、数日かけて購入を決める。Googleは検索・メール・動画視聴を通じて、こうした購買行動のパターンを日常的に観測してきた会社だ。

AP2まで視野に入れると、Googleが「商品を見つける入口」から「購入まで完結させる場所」へと踏み込もうとしていることがわかる。消費者にとって、ひとつのカートで比較・追跡・購入まで完了できるのは明らかに便利だ。

小売側から見て気になる点があるとすれば、AP2によってGoogleが消費者の購買履歴全体を可視化できる立場に近づく点だろう。どの商品を検討し、どこで買ったかという情報が、Googleに集まるようになる。小売業者と決済事業者がこの動きをどう受け止めるかは、今後のUCP普及を左右しそうだ。

日本での展開時期はまだ発表されていないが、UCPの普及が進めば、対応する日本のEC事業者にも影響が出てくる。


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