Nova Lake-S 28コアbLLC、PL1が296Wとリーク。TDP 125Wの2.4倍

シングルタイルのデスクトップCPUとして異例の電力設定が浮上した。Intelの次世代Nova Lake-Sに搭載予定のbLLC(巨大キャッシュ)付き28コアモデルが、持続的な電力上限であるPL1で296Wに達するという。

Nova Lake-S 28コアbLLC、PL1が296Wとリーク。TDP 125Wの2.4倍

シングルタイルのデスクトップCPUとして異例の電力設定が浮上した。Intelの次世代Nova Lake-Sに搭載予定のbLLC(巨大キャッシュ)付き28コアモデルが、持続的な電力上限であるPL1で296Wに達するという。


TDP 125Wの設計に、PL1 296W

中国のハードウェアリーカー「金猪升级包」(ジンジューシェンジーバオ、Golden Pig Upgrade)氏が8月20日、Weibo上で投稿した情報による。投稿の内容は短い。「28C bLLC PL1 296W」。泣き顔の絵文字が添えられていた。

金猪升级包

この28コアモデルのコア構成は、8基の高性能Pコア(Coyote Cove)、16基の高効率Eコア(Arctic Wolf)、4基の省電力LP-Eコアで、シングルコンピュートタイル設計にbLLCを組み合わせた構成だ。コア構成自体はリーカーのJaykihn氏をはじめ複数のリーク情報で一致しており、bLLCの容量は144MBに達するとされている。

問題は電力だ。これまでのリーク情報では、この28コアbLLCモデルのTDPは125Wと報じられてきた。296WのPL1は、その2.4倍にあたる。

ここで整理しておくべき点がある。TDP(Thermal Design Power、熱設計電力)とPL1(Power Limit 1)は厳密には別の仕様だ。TDPはベース動作時の熱設計の指標であり、PL1はCPUが持続的に消費できる電力の上限を指す。

Intelは近年、PL1をTDPと同値に設定するケースと大幅に上回るケースの両方を採用してきた。現行のCore Ultra 9 285K(Arrow Lake)では、標準設定(Performanceプロファイル)の場合PL1とPL2がともに250Wに設定されている。

つまり今回リークされたNova Lake-Sの28コアbLLCモデルは、シングルタイルCPUでありながら、PL1の時点で現行最上位のCore Ultra 9 285KのPL2を46W上回る。

bLLCの代償

bLLCはBig Last Level Cacheの略で、AMDの3D V-Cacheに対抗するIntelのキャッシュ増量技術だ。

Nova Lake-S bLLC搭載モデルと電力リーク情報
モデルbLLCTDPリーク値
Nova Lake-S bLLCモデル(リーク情報に基づく推定仕様)
52コア288MB175WPL2: 474W
44コア264MB175W
28コア144MB125WPL1: 296W
24コア132MB125W
22コア108MB65W
参考:現行世代
285Kなし125W250/250W
※TDPはリーク情報に基づく推定値。PL1は持続消費電力の上限、PL2は短期最大消費電力。52コア・44コアはデュアルタイル構成、28コア以下はシングルタイル構成。285KはArrow Lake世代Core Ultra 9 285Kの公式仕様(PL1/PL2ともに250W、L3キャッシュ36MB)

AMDがCPUダイの上にキャッシュを積層するのに対し、IntelのbLLCはコンピュートタイル内にキャッシュを内包するオンダイ設計を採る。シングルタイル構成では最大144MB、デュアルタイル構成では最大288MBのキャッシュを搭載する。

Nova Lake-Sのラインナップでは、bLLCを搭載するモデルが複数確認されている。52コアのデュアルタイルモデル(288MB)、44コアのデュアルタイルモデル(264MB)、28コアのシングルタイルモデル(144MB)、24コアモデル(132MB)、22コアモデル(108MB)と、コア数に応じてキャッシュ容量が異なる。

過去のリーク情報では、52コアのデュアルタイルモデルはPL2で474Wに達するとされていた。だがそれは2つのコンピュートタイルを束ねた巨大な構成の話だ。シングルタイルの28コアモデルがPL1で296Wに達するとなれば、PL2はさらに上を行く可能性がある。

Arrow Lakeからのゲーム性能向上は30〜45%とされるbLLCだが、そのキャッシュをフルに活かすにはクロックを上げる必要があり、電力はそこで跳ね上がる。144MBのキャッシュを28コアとともに駆動するコストが、296Wという数字に表れている。

冷却という現実

296WのPL1は、PCを組む側にとって具体的な制約になる。

現行のCore Ultra 9 285Kは、ゲーム中の実消費電力が平均80W台で収まるという報告がある。全コア負荷でも250Wを超えない設計だった。Nova Lake-Sの28コアbLLCモデルがPL1の296Wで持続動作するなら、360mmクラスの大型水冷が前提になり、小型ケースでの運用は事実上不可能に近い。

1次ソースのWeibo投稿には中国のコミュニティから反応が集まっていた。「28コアbLLC付きなんて、電力消費で折れるだろ」「600Wが怖い」「水冷を上から被せないと」といった電力への懸念が並ぶ一方、「300WのCPUならいける」「make intel great again!(Intelを再び偉大に!)」と受け入れる声もあった。「これは株式コードか?」という皮肉も見える。

性能のために電力を差し出す設計

Nova Lake-Sは、Intelが自作PC向けデスクトップCPUの巻き返しを図る世代だ。Arrow Lakeではゲーム性能でAMDのRyzen 9000X3Dシリーズに後れを取り、消費電力の改善は評価されたものの市場の主導権を握れなかった。

bLLCの投入は、AMDが3D V-Cacheで築いたゲーミング性能の優位を崩すための切り札と位置づけられている。シングルタイルの28コアモデルが先行して2027年初頭に投入され、52コアのデュアルタイルモデルは数か月後に続く見通しだ。ソケットもLGA 1851からLGA 1954に刷新される。

296WのPL1が製品版でそのまま採用されるかはわからない。開発段階の試作品から得られた暫定値であり、製品化までに電力設定が変更される可能性は十分にある。だが仮にこの数字が維持されるなら、Intelは効率より性能を優先する方向に舵を切ったことになる。

Arrow Lakeで見せた「ワットあたり性能の改善」という路線とは、明らかに違う判断だ。

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