macOS 27、Intel Macを切り捨てる20年の節目

次のmacOSは、Intel製チップを載せたMacでは動かない。Appleシリコン専用のOSに切り替わる。WWDC 2025で示された「予告」が、今年秋のmacOS 27で現実になる。

macOS 27、Intel Macを切り捨てる20年の節目
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次のmacOSは、Intel製チップを載せたMacでは動かない。Appleシリコン専用のOSに切り替わる。WWDC 2025で示された「予告」が、今年秋のmacOS 27で現実になる。


macOS 26 Tahoeが最後のIntel対応

AppleはWWDC 2025のPlatforms State of the Unionで、現行のmacOS 26 TahoeをIntel Macに対応する最後のメジャーバージョンにすると明言していた。それから1年を経た今、今年6月のWWDC 2026でお披露目されるmacOS 27は、Appleシリコン搭載Macでしか動かないことが改めて確認された。

MacRumorsの報道によれば、macOS 27をインストールするにはMシリーズチップを搭載したMac、またはA18 ProチップのMacBook Neoが必要になる。ベータ版は6月、正式版は9月の提供が見込まれる。

Mac初代機の登場が1984年。Intel Macの登場が2006年。Appleシリコンへの移行開始が2020年。Intel採用の期間はおよそ20年間で、Macの歴史のうち半分近くを占めている。その痕跡が、OSレベルで完全に消える。

macOS 27のベータ版は6月、正式版は9月のリリースが見込まれる。対応条件:MシリーズチップまたはA18 Pro搭載のMac。Intel搭載Macは対応外。

切り捨てられる機種、生き残る機種

Intel Macのうち、macOS Tahoeには乗れるがmacOS 27には乗れない機種が4種類ある。

  • MacBook Pro (16-inch, 2019)
  • iMac (Retina 5K, 27-inch, 2020)
  • MacBook Pro (13-inch, 2020, Four Thunderbolt 3 ports)
  • Mac Pro (2019)

特にMac Pro (2019) の存在は重い。2019年発売の最上位構成は5,999ドル(現在の為替で約95万円)から始まり、フル構成にすると約5万2,500ドル(約830万円)に達した。それが購入から7年でOSのメジャーアップデート対象から外れる。業務用途で複数台入れた企業や、映像制作スタジオにとっては、資産価値の下落をどう見積もるかという古い議論が再び浮上する。

一方、2019年のMacBook Pro 16インチから見れば、macOS 26 Tahoeのサポートが切れるまで含めておおむね10年間の公式サポートを受けたことになる。macOS Tahoe自体は今後数年、セキュリティアップデートを受け続ける見込みだ。2020年の27インチiMacについては、Appleシリコン世代で同じフォームファクターの後継機が登場していないため、「Intel Mac時代の最後の大型iMac」という肩書きを背負ったまま記憶されることになる。

macOS 27側で残るAppleシリコン機種については、AppleはまだM1を切る発表をしていない。順当ならM1以降すべてが対応するはずだが、機能単位で「M2以降」「M3以降」の制限が付くことは十分ありえる。WWDC 2026の発表まで、M1世代のオーナーは気を抜けない。

Rosetta 2はもう1年の猶予、ただしその先は縮小

Appleシリコン機の側にも別の地雷がある。Intel向けアプリを翻訳して動かしてくれるRosetta 2が、完全な形で提供されるのはmacOS 27が最後になる。macOS 28以降は、古いゲーム用の限定機能としてのみ残される。

Rosettaは、Appleシリコンへの移行を容易にするために設計された。次の2つのメジャーmacOSリリース──macOS 27まで──では、汎用ツールとして提供を継続する。この期間を超えた後は、Intelベースのフレームワークに依存する、更新が止まった古いゲームタイトルをサポートするためのサブセットのみを残す。

Appleは今年2月のmacOS 26.4で、Rosetta 2経由で起動するアプリに警告ポップアップを出し始めた。「このアプリは将来のmacOSでは動かない」と、ユーザー側にも開発者側にも突きつける仕組みだ。

移行期間は寛大とも言える。WWDC 2020でAppleシリコンが発表されてから、Rosetta 2の完全廃止までおよそ8年。Intel移行時のRosetta初代が5年で打ち切られたのと比べれば、2倍近い猶予期間がある。それでもAppleシリコン対応を放置したまま更新が止まったアプリは、macOS 28で静かに動かなくなる。自分のMacで動いているアプリがIntel版のままか、Appleシリコン版かは、アクティビティモニタの「種類」列で確認できる。

Hackintoshという文化の退場

今回の切り捨ては、もうひとつの文化を完全に終わらせる。市販のPC部品を組み上げてmacOSを動かすHackintoshだ。

Hackintoshはそもそも、MacがIntelアーキテクチャを採用していたから成立していた。AppleがAppleシリコンに移行してからの5年間、Intel Mac向けmacOSが存続していたおかげで、Hackintoshシーンはかろうじて延命していた。macOS 26 Tahoeがx86_64向けの最終バージョンになることで、その命綱が切れる。

AppleシリコンはArm64アーキテクチャを採用しており、x86_64用にコンパイルされたmacOSカーネルは物理的に動かない。PC向けの市販Armチップも、Appleシリコンのファームウェアと一致するものは存在しない。

Hackintoshは常に非公認の文化だった。Appleは黙認してきたし、コミュニティブートローダーOpenCoreのようなツールを磨き上げ、ときに純正Macに匹敵する安定性を実現してきた。その数十年にわたる営為が、アーキテクチャ移行という構造変化で静かに幕を閉じる。

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「時代の終わり」の意味

MacRumorsが見出しに掲げた「End of an Era」は誇張ではない。Macの歴史は、CPU移行のたびに前世代との完全な互換性を犠牲にしてきた。68000からPowerPCへ、PowerPCからIntelへ、IntelからAppleシリコンへ。そして今回、Intel最後のOSであるmacOS 26 Tahoeは、PowerPC最後のMac OS X 10.5 Leopard、68000最後のMac OS 8.1と並ぶ記念碑的なバージョンとして残る。

ユーザー側の実利で見れば、Appleシリコンへの切り替えが正しい判断であることは、もはや論争の余地がない。MacBook Airのバッテリー持ちも、Mac Studioの性能密度も、Intel時代には到達できなかった領域だ。「Intelが恋しい」という声は、ユーザーコミュニティでもほとんど聞かれない。

それでも、2019年〜2020年に数十万円から数百万円を投じてIntel Macを買った人の環境は、この秋以降、徐々に世界から取り残されていく。セキュリティアップデートはしばらく出続けるが、新機能は来ない。アプリ側も、対応しないという判断が徐々に増えていく。

macOS 27の詳細はWWDC 2026、日本時間で6月9日未明の基調講演で明らかになる。そこで語られるのは、新機能の話だけではない。Intelという文字列がMacから消える、最初のOSの姿でもある。


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