イギリス

豪SNS禁止法、罰金約110億円に倍増。85%の子どもは使い続けている

SNS

豪SNS禁止法、罰金約110億円に倍増。85%の子どもは使い続けている

世界で初めて16歳未満のSNS利用を禁じたオーストラリアが、施行から半年で罰金を倍増させた。だが同じ週に公表された研究は、子どもの85%がまだSNSを使い続けているという現実を突きつけている。 罰金倍増、権限拡大 オーストラリア政府が現地時間6月28日、16歳未満のSNS利用禁止法(Social Media Minimum Age Act)の罰則を大幅に強化すると発表した。違反企業に科される最高罰金を4950万豪ドル(約55億円)から9900万豪ドル(約110億円)に倍増させ、競争法・消費者法と同水準に引き上げる。 同時に、規制当局であるネット安全コミッショナー(eSafety Commissioner)の情報収集権限を拡大する新法案も提出する。SNS企業に対して、16歳未満のアカウント作成をどう防いでいるかの証拠提出を命じる権限を与え、年齢確認サービスやアプリストア運営会社など第三者からも情報を収集できるようにする。 アルバニージー(Anthony Albanese)首相は発表文で、大手テック企業が法律の遵守に十分な対応を取っていないと指摘した。通信大臣のアニカ・ウェルズ(

Signalが英国のデバイス一斉スキャン計画に「監視インフラだ」と反論

プライバシー

Signalが英国のデバイス一斉スキャン計画に「監視インフラだ」と反論

英国政府がスマートフォンのOSに裸体スキャニングを組み込むよう主要テック企業へ3か月の期限付き通告を出した。暗号化通信アプリSignalはこれを「子どもの安全ではなく監視インフラの構築だ」と批判する声明を6月8日に公表した。 AppleとGoogleへの3か月通告 キア・スターマー(Keir Starmer)首相は今月8日、ロンドン・テック・ウィークに登壇し、AppleとGoogleに対して3か月以内の対応を求めた。子どもが端末上で裸の画像を撮影・送受信・閲覧できないようにしろ、従わなければ立法措置に踏み切り、罰則だけでなく企業経営者への刑事責任も問う、というものだ。 英国内務省(Home Office)が想定する技術的な方法は、OSに裸体検知アルゴリズムを直接組み込むというものだ。端末のカメラ、メッセージアプリ、フォトライブラリ、ブラウザを対象に、デフォルトで露骨な画像をブロックする。成人が制限を解除するには、生体認証や公的身分証明による年齢確認が必要になる。既存・新規を問わず英国内の全スマートフォン・タブレットが対象となる。 英政府はAppleが既に実装している「Comm

スマートグラスを使った試験不正が現実化 監督側の対策を検証

教育

スマートグラスを使った試験不正が現実化 監督側の対策を検証

イギリスの試験監督当局Ofqualが、スマートグラスや超小型イヤホンによる新たなカンニングの脅威について警告を発した。日本でも2024年に早稲田大学入試でスマートグラスが使われた事件が起きたが、海の向こうでは問題の規模がもう一段大きい。 130万人の試験、2225件の不正 Ofqual(Office of Qualifications and Examinations Regulation)はイングランドの資格・試験を監督する独立機関だ。GCSEやAレベルといった中等教育の資格試験を管轄している。GCSEは16歳で受ける全国統一試験で、その成績が進学や就職の基礎資格になる。日本には完全な対応物がないが、義務教育の到達度を一つの国家試験で測り、結果がそのまま進路を左右する仕組みだと思えばいい。 そのトップであるイアン・ボーカム(Ian Bauckham)氏が、2026年6月4日に配信を開始したOfqual初の公式ポッドキャスト「Can I Just Qualify That?」の第1回で、率直な危機感を語った。 「スマートメガネが次に来るかもしれない。レンズの内側に、受験生にし

3.3億ポンド払って、NHSに残るのは一行のコードも無い

AI

3.3億ポンド払って、NHSに残るのは一行のコードも無い

英国政府がパランティアとのNHSデータ基盤契約を途中で打ち切るかもしれない。3.3億ポンド(約708億円)を投じた契約で、終わった後にNHSの手に残る成果物がソフトウェアも知的財産権もゼロという構造が、ようやく議会で問題視されはじめた。 議会で公然と出た「打ち切り」の言葉 何が起きたかを一言で言えば、政府の医療担当の政務次官が国会討論の場で「契約解除のオプションはテーブルの上にある」と明言した、ということだ。契約延長の可否は2026年中に決断され、実際のブレイククローズは2027年2月。パランティア(Palantir)依存からの脱却が現実的な政治課題として動き始めている。 2026年4月16日、英国下院のウェストミンスター・ホールでNHSフェデレーテッド・データ・プラットフォーム(Federated Data Platform、以下FDP)をめぐる討論が行われた。ここで保健・社会福祉省の政務次官ズビル・アーメド(Zubir Ahmed)は、パランティアが手がけるFDP契約について、来春のブレイククローズで打ち切られる可能性があるとの認識を示した。健康イノベーション・患者安全担当

「単純な裁判」でもAIに任せるべきではない理由

AI

「単純な裁判」でもAIに任せるべきではない理由

AIが法廷に入り込もうとしている。効率化という名のもとに、静かに、しかし着実に。だがその道の先には、「公正な裁判」という人類が数百年かけて築いた原則の崩壊が待っている。 人間の裁判官を機械に置き換える動きが始まっている 世界各地で、AIが司法判断に関与する実験が進行している。まだ実験段階と言われるが、その歩みは確実に進んでいる。 エストニアは7000ユーロ(約130万円)以下の少額訴訟を半自動化したシステムで処理している。当事者が書類をアップロードすれば、AIが判断を下し、不服があれば人間の裁判官に上訴できる仕組みだ。ドイツのフランクフルト地方裁判所では、Fraukeと呼ばれるAIシステムが航空旅客の権利訴訟を支援している。年間1万〜1万5000件にのぼる遅延補償請求を、過去の判例から自動生成した判決文のテンプレートで処理する。IBMと共同開発されたこのシステムは、裁判官が判決文を書く時間を大幅に短縮したという。 台湾ではさらに踏み込んだ。2023年11月から、飲酒運転や詐欺幇助の刑事事件でAIが判決文の草案を自動生成するパイロットプログラムが始まった。当初は同年9月開始予定