Project Glasswing

AnthropicがAIによるAI開発の進展を説明 「自分で自分を作る」発言の文脈

AI

AnthropicがAIによるAI開発の進展を説明 「自分で自分を作る」発言の文脈

Anthropicが自社の内部データを公開した。マージされるコードの80%超がClaude製、エンジニア1人あたりのコード生産量は2024年比で8倍。数字だけ見れば生産性の話に見えるが、この報告書が本当に言いたいのは別のことだ。「再帰的自己改善」(recursive self-improvement、AIが自分の後継を自律的に設計・開発する段階)が、多くの機関が備えるより早く訪れうる、という警告である。 「AIが自分を作る」とはどういう意味か Anthropicのシンクタンク「Anthropic Institute」が6月4日に公開した報告書のタイトルは「When AI builds itself」。マリーナ・ファヴァロ(Marina Favaro)氏と共同創設者のジャック・クラーク(Jack Clark)氏の共著で、公開ベンチマークと社内の未公開データを組み合わせた分析になっている。Anthropicは再帰的自己改善に「まだ到達していない」と明言したうえで、その方向に向かう兆候が社内データに現れていることを示した。 報告書は、Anthropicの開発現場がこの5年でどう変わっ

AIが自ら考え、攻撃を変えるワームが実証された

セキュリティ

AIが自ら考え、攻撃を変えるワームが実証された

「1つのパッチを当てれば止まる」。WannaCryの時代から、ワーム対策の基本はそうだった。1つの脆弱性を突く固定のコードを、1つの修正で塞ぐ。攻撃者と防御者のいたちごっこは、少なくともルールが明確だった。 そのルールが壊れたかもしれない。 「適応型ワーム」という新しい脅威 トロント大学のニコラ・パペルノ(Nicolas Papernot)准教授率いるCleverHans Labが6月2日、AIを搭載した自己複製型ワームのプロトタイプを実証したと発表した。外部から隔離された仮想ネットワーク内での実験だが、結果は従来のワームとは質的に異なるものだった。 従来のワームは、あらかじめ組み込まれたコードで特定の脆弱性を突く。だから防御側は、その脆弱性にパッチを当てれば拡散を止められた。2017年にWannaCryが150カ国以上で猛威を振るったときも、攻撃が突いていたのはWindowsのSMBv1という単一の脆弱性だった。 今回のAIワームはそこが根本的に違う。オープンウェイト(誰でもダウンロードできる公開モデル)のLLMをローカルで動かし、標的のマシンごとに脆弱性を分析して、攻撃

トランプ政権、骨抜きのAI大統領令に署名

AI

トランプ政権、骨抜きのAI大統領令に署名

5月21日に撤回されたAI大統領令が、12日後に署名された。ただし中身は別物だ。審査期間は90日から30日に縮み、すべて任意。署名式もなかった。 何が変わったのか 2026年6月2日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が、AIとサイバーセキュリティに関する大統領令「Promoting Advanced Artificial Intelligence Innovation and Security」に署名した。非公開で、式典もなかった。 5月21日に直前撤回された大統領令の「縮小版」だ。前回の記事で取り上げた通り、あの日はホワイトハウスに招待されたテック企業幹部が移動中だったにもかかわらず、トランプ氏が突然「文言のいくつかが気に入らなかった」と署名を見送った。 今回署名された版と5月版の違いは明確だ。 審査期間が 90日から30日 に短縮された。5月版では、フロンティアAIモデルの公開前に政府が最長90日間の安全審査を行う枠組みが柱だった。署名版はこれを30日に縮めた。業界側は14日を求めていたとされ、30日はその折衷案という位置づけになる。 すべてが 「

Project Glasswing、1ヶ月で脆弱性1万件超を発見

AI

Project Glasswing、1ヶ月で脆弱性1万件超を発見

脆弱性を「見つける速さ」の問題は、もう終わった。次の課題は「直す速さ」だ。 1ヶ月で変わったセキュリティの前提 アンソロピックのProject Glasswing(プロジェクト・グラスウィング)が開始から約1ヶ月で、想定をはるかに上回る成果を発表した。 同社の非公開AIモデル「Claude Mythos Preview」を使い、約50のパートナー企業と共同で実施したスキャンで、深刻度「高」または「致命的」に分類される脆弱性が 1万件超 発見された。 パートナーの大半は1ヶ月間で各社数百件の脆弱性を特定。複数の企業が「バグ発見速度が従来の10倍以上になった」と報告している。 これまでソフトウェアセキュリティの進歩を制約していたのは、脆弱性をどれだけ速く見つけられるかだった。今やその制約は、見つかった脆弱性を検証し、開示し、パッチを当てる速さに移った。 脆弱性を探す作業はAIが圧倒的なスピードで引き受けるようになった。しかし、そこで見つかったものを処理できるのは、依然として人間だけだ。 パートナー企業の実績数値 クラウドフレアは自社の重要システムで 2,000件のバグ

Mythosの脅威情報、Anthropicが外部共有を解禁

AI

Mythosの脅威情報、Anthropicが外部共有を解禁

Anthropicが方針を転換した。同社のAIモデルMythosで発見されたサイバー脅威の情報を、パートナー企業が外部と共有できるようになる。守りの時間稼ぎは、次の段階に入った。 機密保持から情報共有へ Anthropicは先週、Project Glasswingのパートナー企業に対し、Mythosで発見したサイバー脅威の情報を外部と共有してよいと通知した。プログラムへの参加自体を公表することも許可されている。 4月7日にMythos Previewを発表した当初、パートナー企業は機密保持契約のもとで運用していた。発見した脆弱性の情報は社外に持ち出せず、Glasswingの輪の中だけで処理される仕組みだった。攻撃者に情報が渡るリスクを懸念したパートナー側が、契約時に機密保護を求めた経緯がある。 Anthropicの広報担当者は「パートナー同士、またはGlasswing外の企業と発見内容を共有し、脆弱性のトリアージに役立ててもらうことを全面的に支持する」と述べている。 しかしプログラムが成熟するにつれ、情報を閉じ込めておく弊害が目立ち始めた。Glasswingに参加していない

MicrosoftがAIで16件のWindows脆弱性を発見

AI

MicrosoftがAIで16件のWindows脆弱性を発見

「MDASH」と呼ばれる100以上のAIエージェントを連携させた新システムが、Windowsネットワークスタックの深部から4件のクリティカルRCEを掘り出した。脆弱性発見は、もう人間の手作業ではない。 100のAIエージェントが脆弱性を狩る MicrosoftがMDASH(エムダッシュ)と呼ばれる新しい脆弱性発見システムを公開した。100以上の専用AIエージェントを協調動作させ、Windowsのネットワークスタックと認証系から16件の未知の脆弱性を見つけ出したという。 うち4件はクリティカル評価。すべてリモートコード実行に至る欠陥で、WindowsカーネルのTCP/IPスタックやIKEv2サービスといった、企業環境に広く配備されているコア部分を撃ち抜く。発表は5月12日のPatch Tuesday(米国時間)と同時で、該当する欠陥は4月と5月のセキュリティ更新で順次パッチが配布されている。 MDASHを開発したのは、Microsoftの「Autonomous Code Security」(自律コードセキュリティ)チームと、Windows攻撃研究・防御を担う「WARP」チームの

OpenAIがDaybreak発表、サイバー防御へAI投入

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OpenAIがDaybreak発表、サイバー防御へAI投入

OpenAIがサイバーセキュリティ構想「Daybreak」を発表した。Anthropicが1ヶ月前に「危険すぎる」として限定公開した「Mythos Preview」とは対照的に、Codexと合流して企業に開かれた形で投入される。 Anthropicの1ヶ月後、OpenAIが踏み込んだ サイバー防御の主導権争いが、AI企業同士の正面衝突になってきた。 OpenAIは5月11日(米国時間)、サイバーセキュリティ構想「Daybreak」を発表した。フロンティアAIモデルとコーディングエージェント「Codex」を組み合わせ、脆弱性の発見・検証・修正を開発サイクルの早い段階に持ち込む構想だ。サム・アルトマンはXで「サイバー防御を加速し、ソフトウェアを継続的に守るための取り組みだ」と書いた。 注目すべきは、この発表が単独で出てきたわけではないことだ。Anthropicは1ヶ月前の4月、フロンティアモデル「Claude Mythos Preview」が主要OSとブラウザに数千件のゼロデイ脆弱性を見つけたと公表し、「一般公開しない」という異例の判断を下した。代わりに「Project Glas

GPT-5.5-Cyber公開、能力でなく配り方の戦争へ

AI

GPT-5.5-Cyber公開、能力でなく配り方の戦争へ

OpenAIがサイバー防御用にチューニングしたGPT-5.5-Cyberの限定プレビューを始めた。AnthropicのClaude Mythos Previewに対抗する一手だが、能力差ではなく「誰にどこまで渡すか」という設計思想の違いがはっきり出ている。 OpenAIが踏み込んだ「より許容的な」モデル OpenAIは2026年5月7日、サイバー防御に特化した派生モデルGPT-5.5-Cyberを限定プレビューとして公開した。対象は重要インフラの防御に責任を持つ、審査済みの防御担当者だ。同社はこれをTrusted Access for Cyber(TAC)プログラムの最上位ティアに位置づけている。 サム・アルトマン(Sam Altman)は4月30日、自身のXでこう述べた。 フロンティアサイバーセキュリティモデルとして、GPT-5.5-Cyberを今後数日のうちに重要なサイバー防御担当者に展開していく。 エコシステム全体および政府と協力し、サイバー領域における信頼ベースのアクセス方法を整備していく。企業やインフラを迅速に保護したい。 ここで使われている「フロンティア」という

トランプ政権、AIモデルの事前審査を本気で検討し始めた

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トランプ政権、AIモデルの事前審査を本気で検討し始めた

「規制しない」と言ってきたトランプ政権が、AIモデルの公開前に政府が中身を点検する仕組みを本気で協議している。きっかけはアンソロピック(Anthropic)の「Claude Mythos」。シリコンバレーと政権の関係が、見えない場所で書き換わり始めている。 「規制しない大統領」が方針を曲げる瞬間 トランプ政権は、AIモデルが公開される前に政府がその中身を審査する仕組みを検討している。米政府高官と協議に詳しい関係者がNYTに語った内容は、これまでの規制最小路線と真正面からぶつかる。 検討されているのは、テック企業幹部と政府関係者で構成するAIワーキンググループを設置する大統領令だ。連邦政府による正式なAIモデル審査プロセスもこの枠組みで議論される見込みで、先週はホワイトハウスがAnthropic、Google、OpenAIの幹部にこの構想を説明した。 参考にされているのは英国のモデルだという。複数の政府機関がAIモデルの安全基準への適合を確認する英国型の仕組みは、開発スピードを大きく落とさず最低限の歯止めをかける現実解として、政権内で支持を広げている。 トランプ氏は2025年