生産性

AIがシリコンバレーから奪っているのは雇用ではなく睡眠だった

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AIがシリコンバレーから奪っているのは雇用ではなく睡眠だった

AIの不安はもう開発者だけの話ではない。起業家、CEO、非技術職、投資家。シリコンバレーの全層が、仕事から離れられなくなっている。 出力100倍、労働時間も倍 マット・バン・ホーン(Matt Van Horn)氏は、もうノートPCの電源を切らない。4人の子を持つ連続起業家で、Lyftの前身Zimrideを共同創業し、スマートオーブンのJuneを設立・売却した経歴を持つ。現在はClaude Codeで常時6つ以上のAIエージェントを稼働させ、新たな会社を立ち上げている。出力はAI導入前の100倍になったと本人は語るが、同時にこうも認めている。かつてないほど働いている。 エージェントが仕事を代行してくれるはずだった。だが現実には、AIの出力を監視し、判断し、指示し直す作業が途切れなく発生する。人の手が離れた瞬間にエージェントは止まる。止まっている間に競合は進む。だからノートPCを閉じられない。 バン・ホーン氏だけの話ではない。音声AI企業Wispr AIのCEO、タナイ・コタリ(Tanay Kothari)氏は毎日16時間以上働き、5月には3週間連続でオフィスに泊まり込んだ。スタ

AIは雇用を奪うのか増やすのか。10億件の求人が出した答え

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AIは雇用を奪うのか増やすのか。10億件の求人が出した答え

PwCが10億件超の求人広告を分析した2026年版レポートが、AI時代の労働市場に走る亀裂の正体を浮き彫りにした。AIを「人の力の増幅器」として使う企業と、「コスト削減の道具」として使う企業。その差は、もう数字で見えている。 「二つの道」に分かれる労働市場 PwCが6月15日に公開した「2026 Global AI Jobs Barometer」は、6大陸27カ国・地域の10億件超の求人広告を横断的に分析した調査だ。2025年版に続く年次報告で、今年のデータが浮かび上がらせたのは「専門職化(professionalised)」と「民主化(democratised)」という二つの道だった。 専門職化とは、AIがルーティンワークを引き受け、判断力や創造性といった人のスキルがより重要になる方向を指す。放射線科医や採用担当者が典型例だ。一方の民主化は、AIが参入障壁を下げ、専門外の人でもこなせるようになる方向。ITサービスマネージャーや医療事務がここに入る。 数字は明快だ。専門職化された職種は、求人の伸び率が民主化された職種の2倍。賃金の伸びも42%速い。AIに仕事を「助けてもらう」

AI導入後も週約6時間の新しい雑務 英国調査で生産性効果を検証

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AI導入後も週約6時間の新しい雑務 英国調査で生産性効果を検証

英国のオフィスワーカー1500人を対象にした調査が、AIツールの現実を突きつけた。AIは週12時間を節約してくれる。だがその裏で、従業員は週5.8時間を「ボットシッティング」に費やしている。AIが1時間で吐き出した成果物を、人がもう1時間かけて使えるものに仕上げている計算だ。 「ボットシッティング」とは何か 企業向けAIプラットフォームを手がけるGlean Technologies(グリーン テクノロジーズ)の研究部門Work AI Instituteが2026年6月10日に公開した「The Work AI Index: UK 2026」が、この実態を報告した。 調査対象はAIツールを業務で使う英国のデスクワーカー1500人。90%が業務でのAI利用を義務づけられ、80%が週に複数のAIツールを使い、39%は4種類以上を併用している。これだけ普及しても、「AIが組織のパフォーマンスを大きく改善した」と答えた従業員は18%にとどまった。 英国AI普及率と効果実感のギャップ ※ Work AI Institute「The Work AI Index

Amazon社員がAI使用ノルマで「無駄遣い」、トークン水増し競争

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Amazon社員がAI使用ノルマで「無駄遣い」、トークン水増し競争

FT報道で発覚した「tokenmaxxing」の実態。週80%の社員にAI利用を課す目標と、社内ランキング表示が「とにかく使え」の圧力に変わっている。 「使うために使う」現象がAmazonに飛び火している Financial Timesの報道で、Amazon社員が社内AIツールを使って「不要な作業」をわざと自動化し、AIトークンの消費量を水増ししているとの内部証言が明らかになった。先月にはMeta、Microsoftで同じ行動が報告されており、ハイパースケーラー3社で同じ歪みが連鎖している。 Amazonは社内向けに「MeshClaw」というエージェント基盤を最近展開している。コードのデプロイ、メールのトリアージ、Slackとの連携などを社員に代わって実行できる仕組みだ。Amazonは公式には「数千人のAmazonianが毎日の繰り返し作業を自動化できるツール」と説明しているが、複数の社員がFTに語ったところでは、このツールを使って意図的に不必要なAI処理を回し、自分のトークン消費量を稼ぐ動きが社内で広がっている。 問題の核心は、Amazonが社員開発者の80%以上に毎週AI

Cloudflareが過去最高益で1100人をAIレイオフ

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Cloudflareが過去最高益で1100人をAIレイオフ

Cloudflareが過去最高益と同時に従業員の20%・1100人をレイオフした。創業16年で初の大規模人員削減。 理由は業績悪化ではなく「AIで不要になった」。最高益のさなかに語られたこの説明を、市場は鵜呑みにしなかった。 過去最高益の発表と同時に、20%が消える Cloudflareは現地時間5月7日、第1四半期決算とともに従業員の約20%・1100人の解雇を発表した。創業16年で初めての大規模レイオフだ。 奇妙なのはタイミングである。同じ日に発表された四半期売上は6億3,980万ドル、前年同期比34%増。同社にとって四半期として過去最高だ。残存履行義務(RPO、契約済みで未実現の売上)も前年同期比34%増と、先行指標も力強い。 業績は悪くない。むしろ申し分ない。それなのに、20%が消える。 Cloudflare 第1四半期業績 ── 増収の裏で動く損失 項目 Q1 2026 Q1 2025 前年比 売上高 $639.8M $479.1M +34%増収 GAAP 営業損失 -$62

米就業者の半数がAI利用、だが仕事の中身は変わっていない

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米就業者の半数がAI利用、だが仕事の中身は変わっていない

米国の働き手のちょうど半数が、職場で何らかの形でAIを使うようになった。ギャラップの四半期調査で初めて到達した節目だ。ただし同じ調査の奥を読むと、その明るさを打ち消す数字が並んでいる。 半数到達の裏で起きていること ギャラップ(Gallup)が2026年4月13日に公開した最新の職場AI調査によれば、米国の就業者の50%が「年に数回以上」AIを職場で使っていると回答した。前四半期の46%から4ポイントの上積みで、同社の計測史上で初めて半数に到達したことになる。日常的に使っている層は13%、週に数回以上は28%まで伸びた。数字だけを並べれば、順調に浸透している物語に見える。 ただ、ここで止まると話の芯を取り逃がす。残り半数は年1回以下か、まったく触っていない。毎日使う層は依然として1割強に過ぎない。普及と偏在は同じコインの裏表で、「全員が使う」状態にはまだ遠い。 調査は2026年2月4日から19日にかけて、2万3717人の米国の就業者を対象に実施された。サンプル規模としては十分で、誤差は±0.9ポイント。数字の重みはある。 米国就業者のAI使用頻度(2026年2月調

AIインフラ投資、ROI達成は3割未満 Gartner調査

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AIインフラ投資、ROI達成は3割未満 Gartner調査

2026年、AI投資に対する説明責任の時代が始まっている。Gartnerの最新調査が突きつけた数字は、その現実を映し出している。 ITインフラ領域で成功するAIプロジェクトは28% Gartnerが2025年11月〜12月に実施した調査の結果は、AIへの期待と現実の乖離を端的に示している。ITインフラ・オペレーション(I&O)部門のマネージャー782人を対象にしたこの調査で、AIの導入がROI(投資対効果)を完全に達成したと答えたのはわずか28%にとどまった。 一方で、5件に1件のプロジェクトは完全な失敗に終わっている。57%のI&Oリーダーが、自部門でのAI適用において少なくとも1回の失敗を経験したと回答した。「成功」と呼べるのは3割未満、「完全な失敗」が2割——この数字が、AI投資の現在地を示している。 AIインフラプロジェクトの成果分布 ROI完全達成 投資対効果を実現 28% 部分的成功・進行中 一定の成果または継続中 52% 完全な失敗 5件に1件 20% 出典:Gartner(2025年11〜12月調査