AMD 26.5.1のゼロRPMバグ、GPU温度が静かに上昇
AMDの最新ドライバ「Adrenalin 26.5.1」で、アイドル時にファンを止めるゼロRPM機能が破綻している。モニターのスリープ復帰後にファンが回らなくなり、GPU温度が静かに上昇するという報告がRadeonユーザーから相次いでいる。
モニター復帰後、ファンが止まったまま戻らない
問題の起点は5月6日に公開されたAdrenalin 26.5.1だ。Radeonサブレディットに投稿された不具合報告によれば、モニターがスリープに入る、あるいは電源を切るタイミングでゼロRPMが有効化されるところまでは通常通り。だが、モニターを復帰させてもゼロRPMが解除されず、ファンが停止したまま固まる。
ゼロRPMは、低負荷時にファンを完全に止めて静音化と防塵を狙う機能だ。Webブラウジングや動画視聴の間はヒートシンクの放熱だけでしのぎ、温度が上がってきたら自動でファンが立ち上がる。グラフィックボード各社が標準装備にしている定番機能であり、知らずに依存しているユーザーは多い。
今回のバグが厄介なのは、ファンが止まったままゲームや重い作業を始めてしまう点にある。本来なら負荷上昇に応じてファンが回り出すはずが、復帰後の状態ではそれが起きない。気付かないうちに温度が積み上がり、サーマルスロットリングや性能低下、最悪の場合はハードウェアの劣化につながる。
ファンの停止に気付くきっかけがないことが、このバグの本質的な怖さだ。GPUは音を立てずに熱を抱え込み、ベンチマークの数字が落ち始めて初めて異変が分かる。
再起動以外に確実な手段がない
最初に不具合を投稿した投稿主は、「再起動するまで直らない」と書いている。サードパーティのファン制御ソフトを入れていなくても再現するため、外部ツールとの干渉ではなく、ドライバ側の問題だと見られる。
応急処置として広く共有されているのは3つだ。
ひとつはシステムの再起動。確実だが、モニターをスリープさせるたびに再起動が必要になり、運用としては成立しない。
ふたつめは、ゼロRPM機能そのものを無効化する方法。ファンが常時回り続けるため熱の心配は消えるが、静音性と防塵というゼロRPMの利点を手放すことになる。
ゼロRPMを止めるという選択は、本来の機能を犠牲にして安全を買う行為だ。バグの存在を前提にした妥協であり、ユーザー側が払うべきコストではない。
そして3つめが、DDU(Display Driver Uninstaller)を使ったクリーンインストールだ。一部のユーザーは26.5.1を入れ直すだけで解消したと報告しているが、Redditのスレッドでは「DDUで26.3.1までロールバックしてようやく直った」という声のほうが目立つ。
| 再起動 | ゼロRPM 無効化 |
26.3.1へ ロールバック |
|
|---|---|---|---|
| 即効性 | 即時 | 即時 | 手間あり |
| 恒久性 | 復帰のたび 再発 |
恒久 | 恒久 |
| 採用時の 犠牲 |
都度の 作業中断 |
静音性・ 防塵効果 |
新機能と 修正の更新 |
| 必要な 追加ツール |
なし | なし | DDU推奨 |
サムスンメモリ搭載カードは無事という証言も
Redditのコメント欄では、症状の出方に偏りがあるとの指摘も出ている。あるユーザーは、SKハイニックス製メモリを積んだ9070XTでWebブラウジング中にホットスポット温度が上がり、ファンが回らないまま放置される現象を再現できると書いた。一方で、サムスン製メモリを積んだ個体では起きないという声もある。
メモリベンダーごとの温度プロファイルの違いが、ゼロRPMの判定ロジックを揺さぶっている可能性がある。ただし現時点で因果関係は確定していない。AMD側が公式に切り分けを示すまでは、推測の域を出ない。
別のコメントでは、過去のRDNA 3世代でも似た挙動があったと振り返る投稿があった。根が深い可能性を示唆する内容だが、これも個人の体験ベースであり、AMD公式の見解とは別物として扱うべきだろう。
26.5.2でも修正は確認されていない
事態をさらに悩ましくしているのが、5月14日に公開されたばかりの後継ドライバ「Adrenalin 26.5.2」だ。リリースノートを確認すると、Battlefield 6でのFSR非アクティブ表示やRoadCraftのクラッシュなど既知の問題は引き続き記載されているが、ゼロRPM関連の修正項目はない。 既知の問題として「Marvel Rivalsクラッシュ時は26.3.1へのインストールを推奨」との記述すらある状況で、ゼロRPMの件はまだ公式に認識されていないか、優先度が後回しになっているとみられる。
Adrenalin 26.5.1は3月20日の26.3.1から実に約6週間ぶりの公開更新だった。久しぶりの更新で持ち込まれたのが、温度管理という根幹に関わるバグだったわけだ。
サポート窓口に不具合を出した投稿主への返答も、現時点では確認されていない。AMDが正式にアナウンスするまで、26.5.1または26.5.2を使うRadeonユーザーは、GPU温度の挙動に注意を払うか、26.3.1までロールバックする選択を迫られる。
「最新ドライバが最も安全」は崩れた
GPUドライバの更新は本来、性能向上とセキュリティ修正をユーザーに届けるための仕組みだ。だが、この1年の流れを振り返ると、最新ドライバを当てたら何かが壊れるパターンが繰り返されている。Nvidia側でもファン制御の不具合でドライバが取り下げられた事例があり、ベンダーを問わず似た構造の事故が起きている。
「最新を当てれば安全」というかつての常識は、もう前提として置けない。アップデートの前にリリースノートを読み、コミュニティの初動報告を1〜2日待ってから当てる──そんな運用が、現実的な落としどころになりつつある。
熱で壊れるリスクを背負ってまで、いますぐ26.5.1に上げる必要があるのか。
参照元
- AMD Software: Adrenalin Edition 26.5.1 Release Notes
- AMD Software: Adrenalin Edition 26.5.2 Release Notes
他参照
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